N研

Nため研究所 へようこそ


此処は彷徨えるトリ達が真実を探求する思索の場

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所内のルールはたった二つ
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後は自由に思考を羽ばたかせて下さい

研究所長

所長からのお願い

コメント投稿は匿名で結構です。
自分は常任研究員と思えたら、バンドルネームを付記して下さい。

50 件のコメント:

motoさん さんのコメント...

所長からの研究テーマ発表 1

成瀬のプロポーズシーンで、9話と10話では明らかに画面色相に差がある。
この演出意図を研究討論願う。

motoさん さんのコメント...

所長からの研究テーマ発表2

杉下の野望『まっすぐな水平線が見たい』が『ゴンドラから見た水平線』で実現した事になっている。
この事から、杉下にとっての野望とはなんであったのかを研究討論してほしい。

motoさん さんのコメント...

研究テーマ投下!
桃さんから、成瀬が杉下にピロポーズした際の言葉

『杉下の人生や、杉下の思うようにしたらええ。でも、待っとるよ』

これの発言意図に関して異論を頂きました。
私はこれを杉下の気持ちが西崎にある、と誤解した成瀬が杉下の感情面に配慮した上で、選択を杉下に委ねた言葉、と取っています。

桃さんの異論は以下の通りです。
『成瀬くんの、杉下の人生や〜…

の発言について、私は違う受け取り方をしています。

まず、島に帰ろう、と自分の気持ちを伝えたあと、島には帰りたないんか?親にも世話になりたくないん?まだ島におるん?

と尋ねています。

これらはすべて、希美と、両親とのことを気遣った上での発言です。

つまり、希美を苦しめた父親はまだ島にいるのか?

親との関係は10年の間にも改善はないのか?

ということを気遣っていると取れます。


上記のことから、好きにしたらええ〜…という発言は、希美の中に別の男性云々ではなく、単純に、出たくてたまらなかった島に、希美が帰りたくないのなら、好きにしていいよ、気持ちは変わらないから、という意味合いに捉えています。

人生最期の時を、何も、おりたくない場所(島)で過ごすことはないよ、という成瀬くんの気遣いから、強引に誘うのではなく、希美の意志に委ねる問い掛けになったと思っています。』

西崎に対する感情への配慮か?島に対するトラウマへの配慮か?
さあ、始めましょう。

motoさん さんのコメント...

桃さんの指摘に対しては、まず私が行かないと行けないですよね。

私の判断をもう少し説明します。

普通にこの部分だけ切り取って斟酌すれば、二つの見方がありうると思うんです。
一つは杉下の上昇志向。もう一つが島時代のトラウマ。そのいづれかが、成瀬の「杉下の人生や…」のバックボーンとなっている、とする見解。

杉下の上昇志向については彼女自身が成瀬のプロポーズ前にそれはもうない事を告白している(…だれにもとられんかったら、それでいいんよ)。ですので、それは成瀬がもはや『杉下の人生や…』を言う理由にはならない。

二つ目は島時代のトラウマ、具体的には両親に対して。これはプロポーズの後、成瀬が具体的に聞いている(『島には還りたないんか?…』)。
確かに杉下自身、苦々しげに母親の近況について高松にいる事を説明している。父親については説明がないので、成瀬にも父親が島にいる事は想像できる。

桃さんの説はこの流れで、杉下のトラウマの形成の原因の一つである父親がいる島へ還る事を渋っている、若しくはその記憶を呼び覚ます島という場所を避けている、と成瀬が判断して『杉下の人生や…』になっている、ととられているわけですよね?

成瀬の言葉はこう続きます。
『杉下の人生や、杉下の思うようにしたらええ。でも、待っとるよ』
私は、この言葉に成瀬の杉下希美という人格への願いが込められているように思うのです。余命が限られた杉下が残りの人生を悔いなく生きて欲しい!という成瀬の願いです。
自分は寄り添う事を希望しているけれども、彼女がそれを選ばないのであれば、それを受入れる、と。

もし、成瀬が杉下が島へ還る事が障害である、と考えているなら、これまでの成瀬の杉下への行動を考えると、成瀬は島へ還る事を取りやめると思えるんです。そして杉下に寄り添うと。

でも彼は杉下に寄り添う意思は表明したものの、彼女の答えを待たずに島へ還った。彼女の選択に任せた。という事はこの段階で杉下が島へ還る障害は彼女の島に対するトラウマではない、と成瀬が判断したと取っていいと思います。

では、成瀬が何と自分を選択する事を彼女に任せたか?と考えると、上昇志向は既に上記の通り彼女自身が否定していますから、彼女の心の中にいる誰か、と成瀬は考えた。
それは、安藤ではない事は高野との会話で成瀬に判っていますから、残るのは西崎、と推理しました。

ひまわり さんのコメント...

カフェから初めて来ました。ひまわりです。よろしくお願いします。

motoさんと桃さんのやり取り、いつも興味深く読ませてもらってます。お二人の視点や論理は新しいNの楽しみ方を教えてもらえて、いつも読むたびにドラマを見ると違った話に出会えます。ありがとうございます(^^)

このテーマ、気になったので考えが足りないところが多々あると思いますが、参加させてくださいm(_ _)m

私は成瀬のプロポーズの言葉、「杉下の好きにしたらええ」には、

①島と両親への配慮
②杉下の生き方への配慮
③杉下が最後一緒に過ごしたいと思う人への配慮

の3つがあると思います。

①は桃さんと同意見です。

こっから個人的に思うことですが、成瀬が島行きを取りやめなかった、これは成瀬自身の生き方を素直に選択したからだと思います。そして、その方が希美が喜ぶことも知っていると思います。成瀬が自分らしくあることをあきらめて希美に寄り添うことは、希美が良く思わないと分かっていたのではないでしょうか。「(自分も生きたい場所で自分らしく生きていくから、そんな自分でよければ)ただ一緒におらん?」というような解釈です。

②は杉下の簡単に人に助けを求めない、自分の力で生きていく、そんな人生観への配慮だと思います。それでも、「待っとる」なんだと思います。

③はmotoさんの西崎への配慮と同じです。杉下が最後に一緒にいたい人といて欲しいということだと思います。
ただ…西崎も一つの選択肢ではあると思いますが、成瀬の中では特定できていないのかなと。家族と過ごすっていうのも一つの選択肢ですし。

私は「2014年の杉下のNは安藤」派なので、安藤も選択肢に入ってると思うんです。高野さんの話では、安藤と一緒になっていないことは分かりますが、現在の希美が心の中で誰を想っているかは謎です。だから、成瀬にとっても希美が最後に誰といたいかは分からなかったのではないでしょうか。


以上の①〜③に配慮し、杉下の選択に任せたという解釈です。まとまってなくてごめんなさい。でもN研に参加してみたかったんです♡よろしくお願いします。

桃 さんのコメント...

こんばんは。所長。
そしてひまわりさん、はじめまして。

何故成瀬くんが、希美がいる東京にとどまらず、島へ帰る選択をしたかについては、ひまわりさんとほぼ同意見です。

また②についても、近い見解も持っています。


私は成瀬くんのプロポーズのシーンの一連の台詞、選択した言葉から、自分といるのが嫌だから断られる可能性がある(moto様説ですと西崎さん、ひまわりさん説ですと安藤、もしくはこの10年で出逢った第三者、或いは家族)とは思っていなかった、つまり希美の“気持ち”は、10年前から自分にあったのだということに気付いていた、と思っています。

でなければ、10年連絡も取らずにいた相手に、一度も気持ちを伝えたことすらない相手に、いきなりプロポーズできないと思います。

一緒に帰らん?ただ一緒におらん?

その後に、自分ではダメか?一緒にいるのは嫌か?という確認はなく、一緒にいる“場所”について、そして一緒にいる“環境”についての確認をしています。

先に書いた、島へは帰りたないんか?まだ島におるん?という言葉です。


希美の心に自分ではない誰かがいる、という認識であれば、島に帰らなかったとしても、希美とは一緒にいられない、ということになります。

しかし、会話の流れの限り、希美が一緒にいない選択をするとしたら、やはり15年前からのトラウマである“島”と成瀬くんは考えていたように思うのです。

また、成瀬くんは自分と一緒に島へ帰る=トラウマの元である場所、親の元へ連れて帰ることこそを、目的にしていたように思います。

何度か書きましたが、希美が最期の時を安らかにすごすには、トラウマの解消、親との和解が必要ですし、成瀬くんにもそれはわかっていたと思います。

ですから、島へ帰ってから、希美の住む場所は親の元でも良かったかもしれませんし、一緒に暮らすでも良かったのだと思います。

もちろん、希美の性格をよく知っている成瀬くんは、希美の“誰も悲しませずに死ぬ”という望みにも気付いていたと思います。

その望みから、誰といることも選択しないという可能性も考えていた。

成瀬くん自身は、希美が最期幸せな時を過ごすために、島へ帰ることが必須(自分と一緒にいることではなく、トラウマの解消)と考えていたけれど、希美の幸せは希美自身にしか決められないので、希美が悔いなく人生最期の時を迎えられるなら、希美の選択に任せるよ、という気持ちが、好きにしたらええよ、という言葉に現れていると思っています。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、いらしゃい!
もちろん議論に入ってい頂くのは歓迎です!既に議論の際のやり取りも御覧頂いていると思いますので、余計な事かもしれませんが、結構ずけずけとそこは違うと思う、といった突っ込みを平然とやりますので、気を悪くしないでください。
ここでの議論の目的は勝った負けたでなく、それっぽい合意を得る訳でもなく、自分が見えているモノを披歴する。相手の見えているものを引き出す。そしてそれぞれがその中から自分なりの真理をよりクリアにしてゆく事。

ですので安易に相手に関心する必要もなければ、かといって感情的になる必要もない。
そういう前提で行きましょう!(笑)

では、私の意見を行かせてもらいます。

1.の島と両親に対する杉下への感情への配慮についてです。これは既に”それが理由なら成瀬は島へ帰るのを取りやめる”と解釈しています。そしてその判断に至った論拠としては、西崎の吊り橋の問いです。
成瀬は10年前、『呼ばれれば、渡る』と答えています。この答えに西崎は成瀬へ連絡した。
ですから、もし島、及び親のトラウマが島を避ける理由であるなら、成瀬は自分の都合などお構いなしに島へ帰る事を取りやめる、と取っています。

確かに、上記の『呼ばれれば…』の部分を取って、杉下に呼ばれていないから、そこまでしないのでは?という取り方も可能ですが、お城放火未遂の際、杉下は成瀬を呼んでないのに彼女を危機から引っぺがし、自ら代理放火までしようとした。成瀬は杉下を危機から救う為に橋を渡る事など抵抗なく出来てしまう。ですのでもし杉下の心の引っかかりが島にあるなら、自分が既に決めていた島への帰還など、簡単に捨てると思います。

2.の杉下の人生観=上昇志向、独立志向について。、上昇志向は先に書いた通り、杉下自身が『食べるところと住む処が取られなければそれでいい』と自らその価値観を放棄した事を告げているので、成瀬の『杉下の人生や…』の発言根拠とならない。
独立志向については殊終末期の人間に対しては当たらないと考えます。杉下の不幸、絶望はトラウマも含め上昇志向・独立志向の故に自らが『頼っていい』存在を持ち得なかった故のモノであり、成瀬がプロポーズしたのは、杉下が『頼っていい』先として自らを開示する為ですので、成瀬が杉下の独立志向に配慮して『杉下の人生や…』と発言する根拠にはならないと思います。

3.については…そうなん?病気だから安藤から身を引いた説?
もちろん歓迎しますが、よう此処の暴論我慢出来るね!(笑)

杉下の心象に関しては別の議論として、成瀬にはどう見えていたか、ですのでそこに絞って考えると、高野との会話で成瀬自身が杉下が安藤とはいっしょでない事が解る。そして西崎からの連絡で、西崎は単に杉下の病気を伝えただけでなく、西崎が話せるあらゆる事を成瀬に伝え、成瀬を動かすべく説得したと思います。成瀬は西崎になぜ杉下と接触を断ったのかを伝えていないからです。だからこそ西崎はまず安藤をテストした、と理解しています。今私は『成瀬の杉下への怒り決別説』を取っていますので、実際の杉下の心象は別として、成瀬の中で安藤、という推測はない、という判断です。

うまく伝わったでしょうかね?

motoさん さんのコメント...

ごめん、桃さん
先にはいっとったの気付かんかった!
明日は早いんで、ちょっと時間ください!

あ、もちろん議論進めてもらってかまわんよ!

motoさん さんのコメント...

桃さん、
それでは私より。
ひまわりさんへのレスとかぶるんですが、島へ帰るのを成瀬が取りやめなかった部分です。

桃さん説を俗な言い方をすればこうなりますよね?
杉下には別の男はいない。島に帰るのが嫌なら、それは仕方ない。成瀬は成瀬の生き方で行く…
と見えますがそれであってる?

もしそうならちょっと違うという感覚。
西崎が救いたかったのは、緊急連絡先として、だれの名前も書けない状態の杉下を救ってやりたかったから、と言うのが私の理解です。安藤との会話で、『元の生活には戻れないかもしれない』と言っています。それを意識しつつ、成瀬はそれさえも飛び越える、と思ったからこそ成瀬に連絡した訳ですよね?
成瀬が杉下が島に帰るのがベスト、と考えた可能性は否定しませんが、桃さんのお説では杉下の意向を確認しないまま成瀬は杉下を東京において島へ帰った事になる。緊急連絡先を書けない杉下を一人放置した事になりませんか?西崎が観たのはそのような成瀬ではないと思います。

まして桃さん説では、プロポーズの段階で杉下の気持ちが自分に在り続けているのを成瀬が分かっている訳ですから、そのような相手をいくら誤解とはいえ十年遠ざけた末、(あえて俗な言い方をしますね)自分は島へ帰るから、もし一緒に来たかったらいいよ、嫌ならそれでもいいよ、と言う行いを成瀬は出来ないのでは?

それでも成瀬は島へ帰った。自分を頼ってほしいと念じつつ、そうでなければ自分以外の誰かと寄り添う事を期待して島へ帰った、と見る方が自然ではないでしょうか?

ちなみに私の説に追加的に説明させていただくと、成瀬は事件の時、一度プロポーズする事を腹に決めていましたので、杉下に対する怒りが自分の誤解である事を成瀬が解れば、10年を飛び越えるのは造作もない事だと考えています。

だって、怒りを覚えたといっても、彼を十年間支え続けたのは、杉下の『成瀬君、頑張れ〜‼︎』なのですから。

10年、もしくは15年の年月を飛び越えて成瀬の元に杉下が還った奇蹟に、我々は感動を覚えるんですから

ひまわり さんのコメント...

motoさん、ここでの議論の仕方、ご説明ありがとうございます(^^)了解です( ´ ▽ ` )ノ

桃さんとmotoさんのお考えをよんでスッキリしました。motoさんの「自分なりの真理をよりクリアにしてゆく」、まさにその通りになっていってます。

前回書き込んだ時よりスッキリしたところは、桃さんの「成瀬くんは自分と一緒に島に帰る=親の元へ連れて帰ることこそが目的」というところ、うっすら感じていたことが言葉になっていてすごくスッキリしました。

希美の「病気のこと西崎さんに聞いたん?」という問いに、成瀬は「島には帰りたないんか?親には世話になりたくないん?」と聞き返しています。この流れからも、病気になった希美にとって成瀬が一番心配していることは、親との関係が改善されているかどうか、なんだと思います。

この後、希美は母親は島を出て高松にいることを伝え、会いに来てくれてありがとう→成瀬の野望に話をうつします。

ここで、希美は成瀬のプロポーズを断っているようにとれます。そこでテーマの「杉下の思うようにしたらええ。杉下の人生や。生きたいように生きたらええ。」が出てくるわけなので、成瀬の頭では高松の母親の元に帰るもよし、このまま親と疎遠がよければそれでもよし。

「でも…待っとる」は、もちろん成瀬自身が希美を待っとるということもあると思いますが、親もきっと待っとるよという代弁のようにもとれます。

ここからは全くの推測ですが、高野に母親の所在地などを杉下に手渡して欲しいとお願いしたのも、もしかしたら成瀬くんなのかも…と思ったり。

成瀬はプロポーズするためにあの場に行ったのではなく、プロポーズを介して親への橋渡しをしたかったのかなぁと。であれば、西崎が安藤ではなく成瀬を選んだ理由も納得。安藤の「杉下は簡単に助けてと言わない」という言葉を受けて、西崎が杉下が助けてと言える人は成瀬であり、親なのではないかと考えた。

成瀬が希美に選択を委ねて、先に島へ帰ったのも、杉下にとって本当に必要な相手は自分ではなく親だから。親との関係が改善した後、島に戻りたくなったら、自分が島で杉下を迎えたかったから。

ここはmotoさんの、「自分を頼って欲しいと念じつつ、そうでなければ自分以外の誰かと寄り添う事を期待して島に帰った」を受けてスッキリしました。成瀬は10年前に杉下にプロポーズすることを腹に決めていたというところも同感です。私は親への橋渡しという気持ちもあったと思いますが、成瀬が杉下が病気と知って、すぐに自分の気持ちを伝えられたは腹に決めていたからだと思います。

自分の考えもかなり変わったかな。まとめると、
①親との関係を改善させることが優先であることへの配慮
②杉下の人生観への配慮

成瀬は希美と再会して話す内に、希美には他の男性と最後一緒にいたいという考えはないと悟ったと思います。

だから、この二点かな。

ちなみに、私は病気だから安藤から身を引いた説ではないです。最初はそうだったんです、単純にドラマを見てたので。でもここの論考に出会って、安藤の叩かれっぷり(笑)を読んで、考えが変わりました。だから、全然暴論だなんて思ってないです、むしろ本当に新しい楽しみ方を教えてもらえてすごく感謝です(^^)

安藤から身を引いたのは、別の理由があると思ってます。

桃 さんのコメント...

こんにちは。

ニュアンス的に少し違います。

確かに成瀬くんは“杉下の好きにしたらええよ”と伝えています。希美の意志に委ねるように捉えられますが、成瀬くんが本当に伝えたかったのはその後の“待っとるよ…待っとる”の方だと思うのです。

待っとる=君の帰る場所、居場所はあるんだよ、と伝えているのだと思います。

島に帰るのが嫌なら仕方ない、ではなく、希美が唯一一緒にいたいと願っているだろう自分は島で待ってるから、と希美がトラウマと向き合うキッカケを与えた、強引なまでに背中を押したのだと思っています。

成瀬くんのプロポーズがなければ、いや、島に帰ろうという言葉がなければ、希美は母親に会いに行ってはいないと思うのです。

成瀬くんの願いは、希美が人生の最期で幸せになること。それはただ2人で一緒にいられたら、という普通の、一般的な男女のプロポーズではない、と思っています。東京で2人で暮らすのでは成し遂げられないことだと思うのです。

成瀬くんは希美をひとり東京に残したのではなく、トラウマを自分自身で乗り越えようとする、そうしてまでも最期の時を自分と過ごしたいと望んでくれる、と信じたのだと思います。

成瀬くんと一緒にいる為に(=他人に甘えることができる)親との確執を乗り越えることは必要条件だったと思うのです。

まさに放火を止めた時と同じ。有無を言わせない強い力で橋を渡っただけではなく、希美を引き寄せた。
一緒に帰りたかったらいいよ、嫌ならいいよ、ではなく、無理やりオイル缶を取り上げた、代わりに放火しようとした、坂降りてきて、あそこ行かん…と同じ。
成瀬くんの性格がよく表れている台詞だなぁと感じています。

また、ひまわりさんの西崎さんが安藤ではなく成瀬くんを選んだ理由について書かれている部分、本編の論で何度か書きましたが、西崎さんが希美の意に沿うことを全く考えないのであれば、安藤でも成瀬くんでもなく、まず母親に連絡したのではないか、と私は考えているので、希美と親のことを知っていて、その関係にも思いを馳せるであろう成瀬くんならば、自分では叶えられなかった親との和解を叶えられるかもしれないと思っていたと思います。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、なかなかハードル高いわ(笑)
ひとつ確認ね!
ひまわりさんが『成瀬には杉下が誰とも寄り添う意志を持っていないと見えた』には同意です。ですが、『成瀬には杉下の心に誰かいる』と思う事は別ですよね?
成瀬は『杉下の人生や…』で、杉下の心の中にいる(と成瀬が思っている)相手に対する思いを遂げて欲しい、と杉下の背中を押している発言だと私は思ってるんですね。

確かに話の演出上、この発言が島へのわだかまりに関する発言であるように取れるのは確かです。ですが成瀬が杉下が島へ帰る事の障害が島であると判断するなら、成瀬は自身の島への帰還を止めていたのではないでしょうか?自分が島へ帰る事=緊急連絡先を書けない杉下を東京に一人残す事になるからです。これまでの成瀬の杉下に対する非常時の行動原理を鑑みると、彼がそのような行動をするとは考え難いのです。
この評価は西崎の吊り橋への答えともリンクしていると思います。西崎は『何でもする』安藤ではなく、『渡る』と答えた成瀬を選択したのですから。

桃 さんのコメント...

先ほどのレスに追記…でもないのですが、

ひまわりさん、何度か書いていますが私は安藤は西崎さんと希美に嫌われたとは捉えていません。

西崎さんも希美も、野ばら荘時代、安藤の真っ直ぐさ、前向きさに救われていました。

人は、自分の救いとなった相手のことをそう簡単に嫌いになれません。

いっそ嫌いになりたい、と思ったところで嫌いになれないのが、人の思いの複雑さだと思っています。

同様に、事件当時、希美のN=安藤、と誤解した成瀬くんが、希美に対する怒りを抱き、希美を嫌ったが故の決別、とも捉えていないので、やはり希美のN=安藤、が誤解だったことに気付いた時点で、あの時本当に希美によって守られたのは、自分自身であったのだ、ということにも気付いていたと思います。

だからこそ、自分が島に帰ると宣言することで、希美の退路を断った。
力づくででも、希美を救い出そうとした。

まさに、西崎さんの理想とする答えを出したのではないかというのが、私なりの解釈です。


ひまわりさんと異なる点は、終始一貫して希美のN=成瀬くん、と考えていますので、希美が安藤から身を引いたという解釈は、私の中では存在していません。

如何ですか??

motoさん さんのコメント...

桃さん、
成瀬が杉下に一番伝えたかったのは自分がいる、という事であるのは同意です。
そして杉下が母親に会いに行ったのも成瀬の影響であることも同意です。

たぶん成瀬の行動の意図をどう取っているかだと思うんです。成瀬はこの時何が目標だったんでしょう?
私は成瀬が杉下が緊急連絡先を書き込めないという危機を救う事だったと思うんです。もちろんそれが自分を頼る事であって欲しいと願った。でも、その危機から救えるのであれば、そこに寄り添うのは、必ずしも自分でなければならないとは考えていなかったのでは?だからこその『杉下の人生や…』
この論は確かに杉下の中に他の人間がいると成瀬が考えていての事です。

仮に桃さんのお説とすると、成瀬はわざわざ『杉下の人生や…』という形で杉下に選択の余地を残す必要はないのではないですか?
ただ単に『まっとる!』の一言でいいはずです。

成瀬としては杉下に家族との関係改善を促すため、という考えはなかったと思います。
確かに自分の事であれば、10年を飛び越えてプロポーズする事もいとわないでしょう。杉下が10年を飛び越えて自分の元へ帰ってくると信じる事も勝手です。
ですが杉下とその家族が和解することは望んでも、それに期待は出来ないと思います。
なぜなら、それに失敗すれば杉下は結局東京で一人、緊急連絡先を書くことが出来ない状態となることを意味するからです。その状態を成瀬は許容出来るでしょうか?出来ないからこそ杉下の元に現れたのですから。

あー、なんか伝えたいことがうまく表現出来てないかも?でも、ひとまずあげますね!

motoさん さんのコメント...

あ~、桃さん、ひまわりさん

横からごめん。杉下、西崎の安藤に対する感情について割り込みさせてください。

実はこのドラマを見てからずっと感じていた違和感があります。自分と周囲の、安藤が外鍵を掛けた行為に対する感情面でのギャップに戸惑っているんです。

これは以前、naoさんだったか、OAさんだったかの質問に答えた事があるんですが…

仮定の話としてですが
みなさんが友人と出かける際、トイレに入ってその友人が外から閂を掛けたら、その友人の事をどう思われますか?

私は即刻絶交です。一応理由は確認するかもしれません。たとえばナイフで脅されていたとか…もしそういったものでなければ、それがどんなものであっても即刻絶交です。

これには結果は関係ありません。たとえば電車に間に合うとか間に合わないとか。行為自体がその人物への評価対象です。

もし友人が道を間違えて待ち合わせに遅れて予定していた電車に遅れたなら許せます。

ですが仮に上記のように閉じ込められ、そこから脱出出来て予定通り電車に乗れたとしても、私は閂を掛けた人を許せません。

私にとっては密室を作る、という行為そのものがその人物を嫌う、嫌悪する、遠ざける必要十分な理由になります。

桃 さんのコメント...

ええと…

moto様との解釈の相違は、結局は原点回帰です。

希美自身のトラウマに帰るのだと思います。

私の物語全体の解釈において、希美は勿論のこと、成瀬くん自身も、結婚観というものを持っていない、という前提があります。

それはふたりが共通して、簡単に家族や、家庭が壊れてしまうことを、身をもって体験しているからです。

子供である自分が存在しているにもかかわらず、両親が、自分の父親が。母親が、互いを罵ったり、一方的に拒絶する。

この事実は、恋愛観は勿論、結婚観にも影響します。
つまり、大好きな人と結婚しても、いつか崩壊するんじゃないか、という不信です。

そこから、希美は、誰にも頼らん。一人で正々堂々と生きていく、と宣言し、成瀬くんはその思いを誰よりも理解した。

親にすら甘えられない希美は、誰を頼ることもできない。

成瀬くんは誰よりもそれを理解していた。

だからこそ、自分を頼ってほしいから、自分に甘えてほしいから、

その為に親との和解が必要不可欠だとわかっていたのだと思います。

成瀬くん自身が、頼れる親、甘えられる親をなくしているからです。

闇落ちした時に、成瀬くんが頼ることができたのは、自分を捨てた母親ではなく、他人の、しかも自分を疑っている高野さんしかいなかったのですから。

親に素直になれない、少なくとも母親に甘えられない希美は、成瀬くんはおろか、成瀬くんが誤解している、希美の中にいる自分ではない誰か(←私にこの解釈はありませんが)、その他の誰も頼ることはできない。

それが希美のトラウマ、という解釈をしています。


ちなみに、希美は案外アッサリ母親に会いに行ったなぁ、ちょっと意外だな、というのが私の印象です。

このあたりの話になると、制作側の話になってくるとは思うのですが。たとえば、尺の都合とか。

肯定的に見れば、それ程希美は成瀬くんの元に行きたかったのだなぁ、ですかね。

成瀬くんの選ぶ言葉、杉下の人生や〜…は、希美を思いやってのことだと思います。

ただ、待っとるから‼︎

と自分の願望を押し付けるだけの物言いをしないから、成瀬くんなのだと思いますよ。

しかし、言葉はそういうやんわりした物腰でも、実際は希美がトラウマと、母親と、向き合うしかない状況に持っていっているな、と感じていますので、オイル缶を取り上げた行為と同じものを感じます。

ひまわり さんのコメント...


こんにちは!

まずmotoさん、成瀬が『杉下は誰とも寄り添う意思がない』と思う事と、『杉下の心に誰かいる』と思う事は別ですね。

もし、成瀬が『杉下の人生や…』で、杉下の心の中にいる相手(親以外)と添い遂げて欲しい、と杉下の背中を押しているのだとすると、上の桃さんのお考えと同じく、私は親が原因で生まれた希美のトラウマを修復しない限り不可能なのではないかと思っています。なので、成瀬は何よりも親との関係の回復を考えたと私はとっています。希美の心に誰がいようとも、親への橋渡しは自分しかできないと、そこに希美にとっての自分の必要性を感じ、使命感を感じたのだと思っています。

桃さんとは、おそらくここが違うんでしょうね。桃さんのお考えにある、「希美が唯一一緒にいたいと願っている」のが成瀬だと、成瀬自身が分かる場面って、どこになるんでしょうか?私はちょっとここが、見つけられなくてですね、

あと、希美が抱えるトラウマの捉え方が、桃さんとmotoさんは違うということで、ぜひmotoさんの希美のトラウマ説も教えて頂きたいです。きっと今までの記事であるんですよね、ごめんなさい、まだ全部読めていなくてm( _ _)m 記事のタイトル教えて頂けたら、自分で読みますね。よろしくお願いします。あと、どこかの記事で読んだんですが、希美の成瀬に対するトラウマもありましたよね?これも読みたいんですけど、ごめんなさい、教えてくださいばっかりで( T_T)

あと、トラウマの解釈から受けとり方が異なってくる部分なのかもしれませんが、motoさんの、『成瀬が杉下が島へ帰る事の障害が島であると判断するなら、成瀬は自身の島への帰還を止めていた』の部分。私は杉下のトラウマは島ではなくて、親だと思っているので、成瀬が島に帰ること事態は、杉下の直接のトラウマにはなっていないのかなと。本編でも数回、成瀬が帰ってきている島には行っているし…でもその際、親には会っていないから。


motoさん さんのコメント...

そろそろ議論のポイントが出揃ってきたと思うので、論点整理をしたいと思っているんですが、申し訳ない、今忙しくそれをしている時間がない…(泣)もうちょっと時間ください。

ひまわりさん、
杉下のトラウマについてはトラウマそのものとしての投稿は無いです(無いはず…)
ですが杉下のトラウマについては『成瀬は杉下のN=安藤と誤解した? その3』で頻繁に出てきているので、各人がイメージしているものの感じはつかめるかも。

また、それと関連する杉下の野望については、最近『杉下の野望の本質』で触れました。参考に。

あ、あと桃さん、また様づけになっとるよ!アフロ1さんに叱られるよ(笑)take it easy ,
私も年功序列に従います!(笑)

ひまわり さんのコメント...

連続すみません。

テーマと離れますが、安藤について少しだけ。語ると熱くなっちゃうので。

motoさん、

おっしゃること分かります。本当に今までの安藤は何だったの?って思う、外鍵かける行為はひどく安藤の株を下げてます(笑)

ゲーム感覚で恐ろしいことをしてしまう、幼くて稚拙で愚かな行為。行為自体は非常に許せないことです。でも、この行為に至った経緯に注目すると、その原因を作ったのは西崎と希美です。原因を作っといて、その結果である安藤の行為だけを最低っと言って関係を断つ、西崎も希美もそんな自分勝手な人間には思えないんです。

西崎も希美も、そのような行為をさせてしまったことに対して罪悪感を持っていたと思っています。ただ、その罪悪感が外鍵がかかっていたことの隠蔽の理由ではないと思いますが。隠蔽した理由は、ここでも記事になっていた、それぞれのNのために最善策を考えた時、結果として隠蔽することになったのだと思います。


桃さん、

安藤から身を引いたというところは、まだ自分自身まとまってないんです。ただ、ここでの考察の中ですごく疑問に思っていることがあって。

スカイローズガーデン事件時、希美のNが成瀬であり、さざなみ事件の蒸し返しを最も恐れて成瀬を守るために、西崎・安藤などもろもろを利用し偽証した。

あってますかね?ここがなんかしっくりこないんですよね。

この時の希美って、そんなに「さざなみ事件の蒸し返し」を恐れていたのかなぁ。どこでそれが分かるんでしょうか。そこが分からないんです。逆に恐れてないんじゃない?っていう描写ばかり目に入ってきて、その結果「希美のN=安藤」になったんですけど。

あーん、結局長くなっちゃった。すみませーん(_ _;

ひまわり さんのコメント...

motoさん、

忙しい中、ありがとうございました!
記事読みます!

桃 さんのコメント...

ひまわりさん、こんばんは。

まず、成瀬くんが何故希美の想いに気付いたのか、についてですが、さざなみ時の希美の行為の全てが自分を守る為であり、その時希美がどんな思いで自分と距離を置いたか、その心情を正しく理解したのは、成瀬くん自身がスカイローズ事件で希美を守る為に偽証し、離れた10年の間だったと思います。

また希美も、成瀬くんが自分の為に事件後姿を消したことを理解していたと思っています。

そのあたりの認識は、9話、島の桟橋の上での高野さんと成瀬くんの描写から、そのように解釈しています。

しかし、私は事件当時の希美のN=安藤、と成瀬くんは誤解した、という見解ですので、高野さんとの会話の中でそれが誤解であったと気付いた時に、事件当時希美の行動によって真に守られたのは自分自身だったことにも、気付いたのだと思います。

希美のN=安藤、でないなら、では何の為に希美が偽証をしたのか。
さざなみの時とは逆で、成瀬くんから希美への連絡は希美を守る為に、してはならないと成瀬くんは思っていたと思いますが、西崎さんの刑が確定し服役した時点で、希美から成瀬くんへの連絡、接触は、してはいけないと希美が思う必要はないと思うのですよね。

希美が10年経って尚、何を守ろうとしているのか(高野さんの、変わらんよあの子は〜…の発言から推し量った)を理解した時、希美にずっと想われていたのは、自分自身だったということに気付いたのではないか、というのが私の解釈です。

直接的な描写はありませんので、あくまで物語全体を通して、自分が感じ取ったものです。

何故希美のN=成瀬くん、なのかという点については、杉下のN=成瀬短期普及講座、ご覧になりましたか?

最も端的な表現は、事件時、希美は何の為に偽証したのか=捜査機関から誰を守る為の偽証なのか、という本質的な部分だと思いますね。

最も大きな嘘、誰かを守る為の嘘、裁かれる可能性のある希美の犯した罪は、偽証です。

偽証とは、心中事件を殺人事件に偽証したことであり、鍵の隠蔽ではありません。

心中事件を殺人事件に偽証することが、=安藤の為、とは考えられない、というのが、希美のN=成瀬くん、と結論づけた最大の理由です。

motoさん さんのコメント...

桃さん、解説ありがとう!

ひまわりさん、そしてそこがこのドラマの一番のトリックです!

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、もう一つ

そこがトリックである事に一番最初に気付いたのは桃さんです。
確か桃さんが公式で2月6日に最初に指摘しました。
私は桃さんに10日ほど遅れました。だから『杉下のN=安藤トリック説』は桃さんのものですよ!

ひまわり さんのコメント...

桃さん、

希美が10年経って尚、何を守ろうとしているのか(高野さんの、変わらんよあの子は〜)、ここから成瀬が自分を希美がずっと想っていてくれているということに気づいた。すごくスッキリしました。

であれば、成瀬が希美を幸せにできるのは自分しかいないと思い、少し強引に希美のトラウマを乗り越えさせ、島にいる自分の元に来させた。ここも納得です。

成瀬の性格はまだ私自身掴みきれてないので、最後そこまで自分の思いを強く出すところに違和感を感じていますが、ここは自分の成瀬像が確立したら自然にシックリくる気がします。

杉下のN=成瀬短期普及講座、全て読みました。

おそらく、『事件時、希美は何の為に偽証したのか=捜査機関から誰を守るための偽証なのか』というところから、私の捉え方が違っているから、成瀬説に疑問が残っているのだと思います。

私は希美の真の偽証の相手は、捜査機関じゃないと思っています。

まだ読んでいない記事もあるので、自分の考えをもっと深めていけたらと思います。

質問に答えて頂いて、ありがとうございました!

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、
ひまわりさんの杉下の偽証意図、聞いてみたいです。
ただ、この問題は杉下だけ考えてもダメで、四人の意図がある手段によって同時に達成される、その暗黙的ゲームが成立するかがポイントです。
具体的には手段としての安藤の外鍵の隠蔽がひまわりさんのお考えで、四人同時に成立するか?になります。
桃さんも私も、ここでの考え方(集中講座でのトリックの成立ロジック)以外には成立し得無い、と考えていますので、結構ハードル高い難問ですよ。(笑)ご覧の通り、自説をなかなか曲げ無い頑固?な二人が、ここだけは意見が一致しているんですから(桃さん、怒らんでね?笑)

一般的な(俗にいう成瀬派も含め)杉下のN=安藤説では、杉下が偽証を受け入れたタイミングと杉下の意図(安藤保護)が不整合を起こしてますので。

motoさん さんのコメント...

改めて成瀬のこの言葉をじっくり考えたんですね。

『杉下の人生や、杉下の思うようにしたらええ。でも、待っとるよ』

前半部分は、杉下の自由意志を肯定、後押しする言葉です。
で、それに続いて『でも』と逆接詞で繋いで『待っとるよ』と続く。
ここで逆接詞で繋がる、という事は『思うようにしたらええ』には自分の『待っとるよ』が含まれていない、少なくとも含まれない可能性がある、という事になります。それはつまり成瀬が『待っとる』以外の選択肢が杉下には存在しうる、と成瀬が想定している事になります。
成瀬の『待っとる』=杉下が島へ帰り成瀬と寄り添う、という意味です。
つまりこのセリフは、杉下の自由選択の一つとして自らを開示した。幾つかあり得るであろう選択肢から、納得出来るものを杉下自身が選択して貰いたい。それが自分で無い場合もあるだろう。それは成瀬は受け入れる。それ『でも』成瀬は島で杉下を待つ、それを選ぶ事を希望している、という意味になります。

このセリフを言語構造から分析すると、桃さんやひまわりさんが言われるような前提にそぐわないセリフですが、いかがお考えですか?

みきち さんのコメント...

飛び入り失礼します。

カフェのほうで、店長さんより「成瀬は杉下のNについて誤解に誤解を重ねた」とのレスをもらい、
今ここでのテーマとかぶってるなあと思ったので、わたしの考えをこちらに投げてみたいなと思いやって来ました!

わたしは、成瀬くんの「杉下の思うようにしたらええよ」発言は、杉下をトラウマと直面させる意図があったと捉えます。


誰にも頼らないで、1人でいようとする理由を、成瀬くんは把握している。
それで、一緒に帰らん?とプロポーズした後で、島について、親について質問をしてますが、それは『そこがネックになってるんだよね、分かってるよ』と暗に理解を示すもの。
そして、思う通りにしたらええよの発言が来ますが、そこには、
『自分でも気づいてるくせに、そのまま蓋をしたままでいいの?
でも、自分は待ってるから、居場所はここにあるから。向き合って乗り越えてほしい』というメッセージ。

ということで、
ほとんど桃さんのお考えに賛同です。
強引なまでに、背中を押した。というのがまさにだと思います。

緊急連絡先を書けない状態の杉下を救うということを果たすためには、結局のところ誰にも頼れない…という状態を解消すること。つまり、親とのトラウマをなくすことに限るのではないでしょうか。

強引を通り越してちょっと突っぱねるようなところもあったと思うのです。
そうでもしないと、変わらないと踏んでいるから。かつ、それでも杉下は自分のところに来てくれると信じているから。


なぜ信じられるか。
島で高野さんに会った時に、偽証の際守られたのは自分だったと、そしてその嘘を今でも頑なに貫き通そうとしていると気づいた時、杉下はずっと自分のことを想っていると実感した。
だから、自分のところに来るために、どうにかトラウマとぶつかって、乗り越えてくれると思った。


自信がないとできません。
杉下の心の中に他にだれかが居ると思ったら、10年ぶりに会っていきなりプロポーズなんて。
しかもそれが西崎さんだと、成瀬くんが誤解していたとしたら、そもそも西崎さんから杉下の話を聞いても、動かず、西崎さんから動いてもらったほうがいいと考えると思います。

「呼ばれれば、渡る」と考えている成瀬くんのままであれば、なおさら呼ばれていないのに、渡ったりしないはず。

ちなみに、
この10年後の時点で成瀬くんは「呼ばれれば渡る」ではなく、「呼ばれずとも渡る」考えに変わったと勝手な解釈ながら思います。

成瀬くんにとって、10年に意味があるとすれば、明確な野望を持ったこと。(地に足が着いた所で、人の思い出に残るもんを作れんかなと思って、うんぬん)
野望を持ったひとは強い。昔の成瀬くんは、自分らしい強い目標を持ってなくて、なんとなくふわふわとしていた。だから、「呼ばれれば渡る」としか答えられなかった。

でも、現在の成瀬くんは、具体的に野望を持っていて、さらに杉下が自分をさざなみの事件からこれまで14年間、ずっと守ろうとしてくれていたことに気付いた。
だから、呼ばれていないけれども、思い切ってプロポーズができた。


考えが変わったってのは、暴論だ!と言われかねないですね。
発言としての明確な根拠はないので。ですが、10年後の成瀬くんは表情に迷いがないように思うんです。

優しい眼差しの奥に、力があるというか。特にプロポーズの時は、揺るぎない感じです。だから、なにかしら10年の間に変わったと解釈してます。

桃 さんのコメント...

おはようございます。
みきちさん、はじめまして。

成瀬くんは10年の間に、呼ばれれば渡るから、呼ばれずとも渡るに変わった…

とてもしっくりくる表現でした。

実は、希美は14年前から一度も成瀬くんを呼んではいないのですよね。自分を助けてほしいという目的では、呼んでいない。

唯一呼んだのは、スカイローズ事件の時だけだった。そのことを希美は深く後悔していたと思いますが、そんな希美の気持ちにも成瀬くんは気付いていたと思います。

成瀬くんが動くのは、渡るのは、いつだって“希美に呼ばれている気がする時”なのだと思います。

さて、所長の言語構造について、ですが。

私の前提からすると、『杉下の人生や…したいようにしたらええ。“だから”待っとるよ。待っとる』という台詞になる。

日本語は不思議です。日本語は、難しいですね。

接続詞の役割の中で、逆接詞には否定以外に、強調の意が含まれます。

待っとる。

この、成瀬くんの意志、そして望みそのものを、より印象付ける為だと捉えます。

私は、希美が成瀬くんの元で最期の時をすごす選択をしないとしたら…

その理由は、愛する人を哀しませたくないからだと思っています。

成瀬くんを、傷つけたくないから。
置いて逝かなければならないから。
遺して逝かなければならないから。

そんな自分に、自分がいなくなったあともきっと縛られ続けてしまう成瀬くんの、未来のことを思ったから。

安藤に向けた、誰にも邪魔されないで行きたい場所に行ってほしい。

その思いは、等しく成瀬くんや西崎さんに対しても抱いていたと思います。

そして、誰も哀しませずに死ぬ、そんな希美の優しさを成瀬くんは誰よりも知っていた。

誰かを守る為に嘘をつき通す。
それも優しいからこそできること。


希美が自分のところにこない、その理由も正しく理解していたからこそ、“でも、待っとるよ”と言ったのだと思います。

自分を哀しませると思って躊躇うかもしれない。でも、待っとるよ。
そんな気遣いなんか、せんでええよ。したいようにしたらええ。自分のしたいようにすることを、最優先にしてええんよ。


というのが、成瀬くんがあの短い言葉の中に込めた、希美への想いだと捉えています。


台詞にされていない行間、隠れた言葉、真意を考えると、逆接的に繋がれるのが自然だと思います。

ひまわり さんのコメント...

motoさんの指摘について

間違っていたらごめんなさい。

もし、親との和解が成立しなかった場合、それ『でも、待っとる=自分がいるよ』の場合、親がトラウマである希美が島にいる成瀬の元へ来ることには無理がある、ということですかね?

みきちさん、はじめまして。
『島で人の心の残る料理を作る』、成瀬にとっての新しい「さざなみ」であり、初めての強い野望なんですね。その野望を希美の正面で堂々と話すところ、「呼ばれずとも渡る」成瀬に成長しているのが分かりますね。

桃さんもみきちさんも、成瀬と一緒になるためになら、希美は親とのトラウマをも乗り越えようとする、その確信が成瀬にあるというお考えですよね。

お二人のお考えを聞きながら、私も10年後の成瀬像が次第に固まりつつあります。でも、間に安藤を挟むことによって、私が希美に感情移入してしまうと、あの場面でお二人ほど強い確信を持って希美のところへ行く成瀬にはまだなっていません。

そこで、桃さんの「でも…待っとる」の「でも」が強調であり、「自分を哀しませると思って躊躇うかもしれない。でも、待っとるよ。そんな気遣いなんか…最優先にしてええんよ。」という流れを受けて、この場面を見返してみました。すると、問題のセリフを言う前には、「希美が成瀬と一緒にいたいと思っている」と、成瀬が認識できるところがありました。

問題のセリフの直前。希美が成瀬の野望にふれる部分です。

「もし一緒になっとったら、私が成瀬くんの野望、叶えられとったね。」

前からこの野望にふれる希美に違和感がありました。ずっと、成瀬との関係を「究極の愛」以外で定義したことのなかった希美が、仮定の話であっても、男女の関係で成瀬を位置付けたこと。「究極の愛」ですら成瀬に伝えたことはないのに、「一緒になっとったら=結婚したら」を成瀬くんに伝えたこと。

残念ながら、ここは表情があまり分からない演出になっていますね。この場面は、「窪田さんが感情を表現することが大変うまい俳優さんのため、監督がおさえて演技してくれと頼んだ」とどこかで読んだ記憶があります。だから、表情からは成瀬がどうこのセリフを捉えたのか、分かりにくいんですが…

下を向いて目が泳いで、でももう一度希美をしっかり見て、例のセリフを話すんですよね。

私はこの希美の「もし一緒になっとったら」のセリフが、本当は成瀬と一緒にいたいと願っていること、でも桃さんが書かれていたように成瀬を悲しませることが怖い、そんな希美の思いを成瀬が認識できた瞬間ではないかと思いました。

すると、問題のセリフも、桃さんのお考えの通り、すんなり入ってきました。


何回も同じ場面をリピートしていたら、1歳の娘が飽きてしまいました(笑)Eテレにかえます、まだmotoさんのご指摘にしっかり向き合えていないかもしれませんが、とりあえずここまでで。

motoさん さんのコメント...

超長文になってしまいましたが、行きます。

みきちさん、いらっしゃい!
ぜひこっちでもみきちさんのお考えをご披露ください。
結構ずけずけ『そこ違う〜』とツッコミが入りますが、気にしないでね。ここは自分の頭の中身を曝け出す事、相手の頭の中を覗き見る事を重視してますので。それ以外の思惑はここでは有りません。

と、言いつつ、またいつの間にか数で劣勢?に追い込まれておりますが、なんのこれしき(笑)

.桃さんの逆接詞がここでは強調になっている論、そうですね。桃さんの前提に立たれるなら、此処が強調になると言う解釈は成立し得ますね。
『でも、』が強調になりうる事は了解です。

”でも”成瀬には桃さんが言われるほど、杉下がこう行動するであろう、という確信はあったでしょうか?桃さんの言われるのは、成瀬自身の気持ちではなく、成瀬から観て杉下が自分の事をどう思っているか?ですよね。
成瀬は杉下のN=安藤が誤解だったと高野及び西崎との会話で理解し、その結果として杉下のN=自分と理解出来たとしても、自分が『島でまっとる』と宣言した処で、杉下が彼の目算(親との和解も”杉下の自由意志として”実現し、自分の処に帰ってくる)どおりになる、とは確信できないのでは?

なぜなら、彼自身が母親と和解出来ていない。それに自分が事件時の杉下の意図を取り違えていた実績。この事実がある以上、残念ながら成瀬は杉下の行動を(希望はしても)、確信は出来ないです。

自分が時間を飛び越えて橋を渡ることは厭うことなく出来ても、相手が同じ事が出来ると思う、若しくはそれを期待する、というのは違うと思うのです。

実際、杉下は成瀬の申し出を柔らかく拒絶していますよね。つまり成瀬の思惑通り動くとは限らない事が示されている訳です。彼女の自由選択として、成瀬の期待に沿わない事が可能性として示されている。

そう考えると、桃さんの説では、成瀬が彼女を待たずに島へ先に還ったのは、彼女が自分の思惑通りにならない=誰の名前も緊急連絡先に書けない状態のままで彼女を放置する事になる。その可能性を残したままになる。

それがこのドラマで描かれていた成瀬の姿でしょうか?
ここまで緻密に構造を作りこんだドラマで、そのような事態が発生する可能性を残したまま、成瀬を島へ帰すように造るだろうか?と思うんです。

ここから先は自説の開示、解説です。
ひまわりさんの問いにこたえているかな?

具体的には成瀬は、杉下の心の中に西崎がいる、と判断している。なぜならN作成2へ協力する杉下の理由を推測すると、杉下の西崎への片思いであると見えるから。西崎の奈央子救出=野口から奈央子を引き剥がす=人妻略奪であり、それへの協力は『人助け』の感情では無理、と理解しているから。成瀬は杉下が父親が愛人を連れ込んだ事で島で苦労したのであり、また『他所の家庭には首を突っ込まない』島の文化で杉下と自分は育ったから。
そういった環境で育った杉下が西崎に協力するためには、それを凌駕する感情が必要でそれは杉下の西崎への思いから、と判断していたわけです(で、実際このときの杉下の『究極の愛』の相手は西崎。ただ杉下の『究極の愛』は杉下の成瀬への感情から杉下自身を保護するための心理機構で、ゴンドラ以降成瀬にはその心理機構が外れて、西崎と結びつき、システムが逆回転して西崎への感情を生み出した、という非常にひねくれた説)。
また、事件処理の際には成瀬は杉下が西崎の偽証要求を拒否した処を見ていません。そうした時、杉下が偽証を受入れたのは西崎の為か自分の為かは判断できない。でも、事前の上記判断から、杉下の偽証受入れは西崎の保護の為と成瀬には見えていた。(安藤と誤解する前の段階)

西崎からの電話で、恐らく西崎は安藤や自分との事、その会話、杉下のN=成瀬だと西崎から説得されたでしょう。そして、『究極の愛』についても成瀬は西崎から聞かされていたはずです。なぜなら成瀬は西崎になぜ杉下と接触を絶ったのかを一切語らなかったから。ですので、成瀬にも杉下の心に自分がいる可能性は認識出来ても、上記の判断(自分が直接的に見たものからの判断)を覆すものにはならない。

ですが成瀬は西崎からの『究極の愛』の説明で一つ重要な事実を認識した。それは自分が杉下にとって『究極の愛』という名の足かせ、縛り(=トラウマ)だったという事です。

ですから成瀬が再開直後にさざなみの真相を暴露しましたが、これには杉下へ赦しを請う(結果として杉下の誤解を利用した)事、プロポーズするための条件であると共に、杉下の自分というトラウマを外してやる、という意図があった。これを外すことで成瀬は杉下が自分の自由選択として西崎、若しくは自分を選択する事を願ったし、それが出来るようになる、と考えた。

成瀬には、杉下が他の異性と寄り添う(必ずしも結婚とは限らず)には親との和解が必要とは考えていないのです。なぜなら自分が島時代の杉下の恋愛の対象であった事を自覚しているから。成瀬の『結婚した相手より後に死ぬ』の野望に対して杉下は照れてはいたものの、拒否反応を示していません。

そうであれば、成瀬から観て、あとの杉下の足かせは自分、という事になる。そこで杉下の足かせを外し、杉下を自由にしてやる。その上で自らを改めて杉下の選択肢として再開示する。杉下の選択に干渉しない(『杉下の人生や、思うように生きたらええ』)。『でも』杉下が自分を必要とするなら、それがどんな杉下であっても(親と和解せずとも、西崎に気持ちがあろうと、他のどのような杉下であっても)受入れるから、いつでも島で『まっとる』、というのが私の解釈です。

追加的に説明すると、成瀬は島に父親及びゆきがいる事が島へ還る事の障害とは取っていないはずです。なぜなら杉下はさざなみの跡地への工事前神事で父親へ土下座する事で父親とゆきに対して『勝った』から。成瀬はそれを目撃しています。感情面での蟠りはあるでしょうが、父親とゆきの存在そのものは障害にはならない。そして最後に残るのが母親ですが、母親は島外(高松)にいる事が杉下自身が明らかにしていますので、杉下が島へ還る事に障害はない、と判断していたはずです。

ひまわり さんのコメント...

motoさんの杉下の心の中には西崎がいる説、すごく興味深い。また別の物語が存在することに感動です。本当に深い小説だなぁ。

あと、成瀬に対する「究極の愛」が希美のトラウマになっている、これは私にとっては新しい事実!うれしい収穫!

motoさんの西崎説を受けて、私もこの場をお借りして、少しだけ自分の考えを述べさせて頂きます。


私は希美がN作戦2に参戦しようと決意したのは、西崎の母親の話を聞いてからだと思っています。

見殺しにしてしまった母に対する償い、今度は見て見ぬふりはしたくない、必ず救い出したい。そんな西崎の母親に対する心情と、希美は自分の母親に対する心情を重ねたのではと、そう私はとっています。よって、奈央子を野口から救うことは、希美にとっても母に対する償い、自分の親へのトラウマを自分の手で少しだけ解消しよう、という前向きな発想だったようにとっています。

ゴンドラに乗り、冷蔵庫のトラウマは解消できた。少しずつ明るい方へ、そんな願いから自ら一歩踏み出そうと思っていたのかなぁと思っています。

成瀬から見て、希美が母親を意識して参戦したという描写は、今のところ見つけられておりません。

ただ、島でのお城放火を止めた時、希美が自分の苦しみ以上に母の苦しみを救いたくて、放火しようとした姿を知っています。その後、希美が母を見捨てるようにして島を出ることになった、このことも察していたと思います。

そこから成瀬が推測し、あのメールの文章が生まれた。『大事な人がひどい目にあってて、いてもたってもいられない気持ちはわかる。だから協力する』

うーん、自分で書いてて、ちょっと成瀬が推測するには無理があるかな(笑)

最近、こちらに頻繁にお邪魔するようになり、坦々とした主婦+ママ生活にささやかな楽しみができました(^ ^
素敵な場所を提供してくださっている管理人様、そして素敵な常連様方ありがとうございます。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、
えっと何処から書こうかな?一先ず西崎からか。
本編でも書いてるんですが、当初安藤の外鍵の隠蔽のトリック破りの頃は西崎の可能性は考慮せずに単純に杉下のN=成瀬、と結論していました。ですがその後につらつら考えていた時、必ずしも杉下のN=成瀬、と言えないという事に気付いたんです。杉下のN=西崎と考えても同様にトリック破りが成立するんですね。
つまり『一番大事な人が傷つかない方法を考えた』=奈央子を殺人犯にしたくない西崎の意向を組む、と言う論理も成立し得るんです。
でも、杉下の西崎に対する感情なんて、ドラマで全く描写されていない。普通なら、そんなのありえない。実際当初は自分も短絡的に杉下のN=成瀬と取っていた。でもこの可能性に気づいた時、杉下の『究極の愛』の定義に思い至ったんです。

『相手にも気付かれずに罪を共有し、黙って身を引く』

もし、杉下が自分で定義した究極の愛を実際に実行していたとしたら?三人のうち誰が一番似つかわしいか?と考えたら、それは西崎なんです。
実際西崎に対してそれらしい描写は無いですよね?だって究極の愛の定義上、それは杉下の心の中だけに隠蔽されているから、描写されえない。パラドックスなんです。

あとは証拠探しです。そうしたら幾つか有るんですよ。
西崎が奈央子と不倫関係にある、と杉下に打ち明けたシーンでの杉下のヒステリックな反応。
それでも西崎に協力するかのような、成瀬に関する情報提供。
串若丸からおんぶされて帰るシーンは相手の背中に頭を預ける、と言う意味で杉下と成瀬の早朝デートにおける自転車でのシーンと被る(安藤には無い)。
成瀬を含む三人での鍋シーンで西崎の『歪んだ場所にいると歪んでいる事にさえ気づかない』のセリフに反応する杉下。
そして決行まえの西崎への『自分の幸せもある考えなよ』のセリフの際の眼の泳ぎ方…

これらをつなぎ合わせると、杉下の体験や島での文化上できなさそうな作戦に杉下が協力的であったのか、なぜ杉下をよく知るはずの成瀬がその作戦に加わるのか、と言う事が非常にすっきり理解出来たんです。ミステリーにおける論理的可能性は必然だから。

この時の杉下は成瀬と関係を再開させたがっていました。画面描写で明らかです。そして成瀬に対して、かつてのような『あってはいけない』という杉下の心理は見られない。

このようなことから、杉下にとって『究極の愛』とは、成瀬に近づく事は成瀬の利益にならない、でもだだ漏れする感情から杉下自身の精神を保護する為の保護システムだと、結論付けました。

ゴンドラでの経験で杉下の価値観に変化が見られ、野ばらの爺さんから『苦しかった事は忘れる事』と諭され、トラウマが解消した。その中には『究極の愛』という精神保護システムで抑圧していた苦しみも含まれて、それが解放されたんですね。そのシステムの対象が成瀬から外れたんです。

ですが、そのシステム自身はその後も生き残っていて、以前からその境遇からシンパシーを感じてた西崎と結びつき且つシステムが逆作用を起こして、西崎が『究極の愛』の対象になってしまった。

ですので杉下の事件に挑む際の魂胆は以下の通りです。

西崎の奈央子救出(=人妻略奪という罪)に協力(=罪の共有)し、且つ自身の西崎に対する感情は、西崎が〝杉下の究極の愛の相手〟と思っている成瀬と自分の共同作業でカモフラージュ(相手にも知られず)した上で、作戦終了後には本気で成瀬と関係を再開させる(=西崎から黙って身を引く)

ですので私は何が事件を招き寄せたのか、と聞かれれば、杉下の精神保護システムとしての『究極の愛』だと答えます。

ただし、本人はいたって真面目で合理的且つドラマの真実だと思っているこの説に賛同してくれてる人は誰もいません(笑)

長文連投、失礼しました!

桃 さんのコメント...

何度か書いてきましたが、希美と成瀬くんは作戦Ⅱを“人妻略奪”とは捉えていない、というのが私の解釈です。

希美は灼熱バードを読み、安藤とは違い西崎さんの心情を理解できる。また、自分同様に母親に対するトラウマ、罪悪感にも気付いています。

成瀬くんの場合は実際に言葉で確認しています。
“シェルターやら施設へ…”
“そういうことを考えているのではない”

成瀬くんも希美も、自分が“困っている人”になった経験がある。そして誰かに助けられて今の自分がある。それに対する感謝の気持ちがある。
“困っとる人は助けた方がええ”
“困っとる時に助けてもらったら嬉しいよ”

仮にmotoさんの説の通り、希美が西崎さんに対して特別な感情を抱いていたとしたら、不倫の事実を知った時点で冷める、あるいは嫌悪する、と思います。
安藤のことは、鍵をかけたことにより今までのことが帳消しになってしまう程嫌ったという説のように、西崎さんのことは安藤以上に嫌悪する事実ですし、作戦への協力はなかった様に思います。

家庭が壊れることを経験した希美が、人妻略奪に協力する理由が自分の恋愛感情故、というのは考えられないです。

希美は誰も頼れない。“誰も”です。
異性に限ったことではないのです。同性の友人にだって、頼れないのです。医師にさえ心を開いていない様に思えます。

それは親からのトラウマであると同時に、高校時代、親のことが知れ渡った際の友人達の手の平を返した様な変化を経験しているから。

だから本当の友人すら作れず孤独なのです。
誰も信用できないのですよ。

そんな希美が唯一信じることができた相手が、成瀬くんです。
周りがどんなに変わっても、唯一変わらず接してくれた。結婚式での再開後の、
“変わってないね、成瀬くんのまんまやね”
これは希美の成瀬くんに対する深い信頼を表していると思います。

成瀬くんは高校の時も再開後も、男として、自分が必要とされているとは思っていなかった。
だから、進展させようとも想いを伝えようともしなかった。
希美が誰にも頼れない原因を、正しく理解していたと思います。
また、西崎さんも正しく理解していたと思っています。

誰かと寄り添い、最期の時を幸せにすごす。
必ずしも異性である必要もないはずです。心許せる友人、仲間、家族でも良いわけです。

しかしそのどれも希美の選択肢の中にはない。
誰のことも拒絶して、ひとり死と向き合う。

これが親からのトラウマでないなら、何なのか。
確かに成瀬くんもトラウマのひとつですが、成瀬くんがトラウマとなった原因も、親からのトラウマにもあります。
異性と寄り添えないことが、成瀬くんからのトラウマが原因としても、その他の誰も頼れないことは、そのトラウマが原因とは言えません。

成瀬くんが先に島へ帰らなければ、たとえ東京に残っていても、希美は成瀬くんを頼ることはできないと思います。
誰にも頼れない原因を解消しない限り。
それがわかっているから、トラウマと向き合うしかない状況に持っていっていると捉えています。
希美を救う為なら、有無を言わせない。
吊り橋がどんな状況に見えても、確かめもせずに渡る。渡れる。

ずっと描かれ続けてきた成瀬くん像そのものだと、私は思います。
何せ、希美には時間がないのですから。

あと、土下座して父親に勝っているから、というのはあまり関係ないと思います。
島という閉鎖的な独特の環境に戻ると、嫌でも過去が付いて回ります。過去を乗り越えていない限り、周りの好奇の目や世間話に、いちいち傷つきます。

それは成瀬くんにも、自分の母親の性格からして十分想像できたでしょう。

父親の暮らす土地に戻るということそのものが障害なのではなく、過去と向き合わずに生きてきた=過去そのもの、が障害なのです。

“島には帰りたないんか”

という言葉には、本当は過去を乗り越えて島に帰りたいんじゃないの??

という気持ちが込められていると思います。

母親についても同様です。
母親がそこ(島)にいなくても、母親との確執、そして母親を見捨てるように島を出た自分と向き合わない限り、島へは戻れないと思います。

ちょっと帰省するのとは違いますから。

ひまわり さんのコメント...

おはようございます。

桃さん

以前、希美がずっと成瀬を思い続けていることを、成瀬が認識できる部分を質問させていただきました。

高野との食堂での会話、「変わらんよ、あの子は。強い子やけん。」から、希美がさざなみ事件の時同様、現在も成瀬を守り続けていること、安藤とは一緒にいないことを認識した。おそらく、一人でだれにも頼らずに生きているということも。

さらに、桟橋のシーンの成瀬と高野の会話から、さざなみの事件後、希美がどんな気持ちで自分から身を引いたのか、成瀬が理解していることが分かります。ですから、さざなみ事件時から、少なくとも結婚式で再開するまで、ずっと成瀬から身を引いていた希美は、その期間成瀬を思っていたと認識できた。

と桃さんのご回答から、私なりに理解したのですがあってますか?

スカイローズガーデン事件時、実際に希美のNが成瀬の場合でも、西崎、安藤の場合でも、この高野との会話から同じ受けとり方を成瀬はしたと思います。

しかし、現在も一人で生きていること=スカイローズガーデン事件時の希美のNが成瀬である、とはならないと思うんです。誰かの罪を共有し身を引く、という希美の行動を理解している成瀬にとっては、一人で生きていること=誰かのためを思って今も身を引いている、とはなりませんか?

スカイローズガーデン事件時、関係者全員に何らかの罪がありました。そして希美が罪を庇った相手が、自分ではなかったと成瀬は誤解していたわけですし、その誰かの罪も引き続き庇い続け、その相手から身を引いている=だから一人でいる、とは受け取れませんか?

今現在の希美がさざなみ事件のことを守っているとしても、スカイローズガーデン事件での、自分以外の誰かの罪を希美が庇い続けていない、と認識できる要素は、食堂での高野との会話だけでは少ない気がするのです。西崎・安藤と一緒にいない=西崎・安藤の罪を庇っていないにはならないと思うんですよね。

そこを受けてテーマに戻ると、motoさんの疑問と同じ

「杉下がこう行動するであろう、という確信が成瀬にあったのか?」が残ります。

成瀬と一緒になるためにトラウマを乗り越えるだろう、この確信は希美と10年後会って話をしないことには、なかなか持てないんじゃないかと思うのです。


ですので、私は

希美のトラウマである親への橋渡しを最大の目的としてプロポーズを行い、その後親との関係を質問して把握し、希美の「もし一緒になっとったら…」を聞いて成瀬への思いを確信し、成瀬を悲しませることへの希美の恐怖心を配慮しつつ、親との和解をするかどうかの選択を希美に委ねた。

そこで問題のセリフが生まれる。

あと、選択は希美に委ねますが、ここで別れた後も成瀬からは希美にコンタクトするつもりでいたと思います。チケットを郵送する連絡先も聞いてますし、店にも招待してます。自分と一緒にいる選択を希美がしなくても、希美の心を一人にはしなかったと思います。

自分なりに、このテーマまとめてみましたが、みなさんのご意見よろしくお願いします。

motoさん さんのコメント...

またまた長文になってしまいました。すみません。

ひまわりさん、微妙に中間点に滑り込んできましたね(笑)ひまわりさん、頭切れますね?

それでは桃さんへ向き直って(笑)
桃さん、成瀬が杉下にとってのトラウマ、の部分の解釈ですが、私の見立ては違います。
杉下の成瀬へのトラウマは、杉下の親に対するトラウマと相互作用しつつも独立している、という見方です。

それは杉下の野望の性格を分析すればわかります。

杉下の野望は確かに親へのトラウマから生まれたものです。その形成には成瀬は直接関わっていない。高校生が現実的に対応できる領域の外の対応を求められ、それに必死に適応しようとする杉下の、感情の逃げ口として形成されたものです。ですから中身が空っぽなんです。
安藤にもそれを指摘されていますし、安藤の『何になりたいの?』に答えることが出来ない。
ですから、本質的には杉下の野望は、彼女が島を脱出した時点で用なしになっているはずだったものです。
ですが、さざなみの事件後、島を脱出する事自体窮地に陥り、希望が絶たれかかったときの成瀬のNチケットに光を見て、島を出て野望を実現する事、その為に上を目指すことが『成瀬との約束』になったんです。
だから島を出たのちも杉下は野望の実現に邁進しますよね?ビルのゴンドラに乗ることにもこだわった。
でも、いつの間にか彼女の野望は変質しています。元の野望は”まっすぐな水平線が見たい”だったものがいつの間にか『高いところから見る水平線』に化けてしまっている。つまり杉下の野望、もしくは上昇志向とは中身に大したものは無くて、成瀬との約束の実現、ひいては成瀬と自分の繋がりの確認行為であって、一つ一つに中身はさして重要でないからこそ、変質しているんです。

ですから、杉下の上昇志向は成瀬に対する囚われに起因しているととっています。

それから、成瀬が西崎に協力する理由の解釈についてですが、成瀬ははっきりと『人助けには協力できない』と言っていますよ。かれの理由は『料理を楽しむ、その時間・空間を近しい人と共有するという目的以外に料理を使う事全般への拒絶』です。だから人妻略奪か人妻救出かは関係ない。その原則は曲がらないんです。これはプロポーズの際の『人の思い出に残る料理』、高校時代の『親父が料亭を護ることは人の記憶を守ること、といっとった』とも通じる、料理に対する彼の揺るがない姿勢です。

その彼が原則を曲げた。上記のとおりそれは西崎が理由ではない。杉下が作戦にかんでいるからです。彼が『考えた』事とはなにか?それはなぜ杉下が西崎に協力するかです。

ここで杉下に話を移しますが、桃さんは此処で取り違えをされています。桃さんは杉下が人妻略奪には協力できないが人妻救出になら協力出来る、と取られている。ですがこの二つに本質的な差はない。夫婦という制度に規定された男女間に恋愛感情を持って割り込む、介入する、という意味において差は無いんです。そして西崎が不倫していたという事実は揺るがない。不倫を知った時点で杉下はヒスを起こしましたよね?桃さんの言われる通りの反応です。でもその後は?西崎の気持ちを聞いた程度でそれほどまでのヒスが解消して、協力する、になる?

それは桃さんがいみじくも『判る』とおっしゃった感情です。杉下は自分と似た境遇にある者、つまり自分がその人間の感情を『判る』者への心理的接近を図る癖がある。成瀬との関係がまさにそれです。ですから自分と似た境遇の西崎も『判る』。その西崎が奈央子の事を『判る』のも『判る』。そして成瀬もそれらの関係が全て『判る』。ここで『判る』という感覚はすなわち異性間では恋愛の感情です。
ですから、杉下が西崎に協力するのは、それが人助けだからではなく、杉下が西崎を『判る』=恋愛感情があるから、とし、かつ成瀬がそれを『判っている』からです。

桃さんは安藤の行為との対比を挙げられていましたが、安藤の行為に対する決定的な差は、この『判る』部分の欠除です。そして私も三人の事は『判り』ますが、安藤は『判り』ません。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん
「もし一緒になっとったら、私が成瀬くんの野望、叶えられとったね。」

これを杉下の今も変わらない成瀬への感情の表現、と取られたようですが、必ずしもそうは言えないのでは?

過去のある時点においてそういう感情を持っていた、という事の表明であるとは認めますが、今現在でそれを杉下が成瀬に実現させる、という意思はこのセリフで否定している訳ですから。

これは理由はどうあれ、成瀬の申し出に対する柔らかい拒絶ですから、今現在も成瀬に気持ちがある事の表明、及び成瀬もそう取った、とは言えないと思います。


桃さんへ、
桃さんへ一つお聞きしたい事があるのですが、杉下はN作戦2の後、杉下は成瀬との関係をどうされようとしていたと思われていますか?

桃 さんのコメント...

希美の上昇志向は成瀬くんとの約束に対する囚われに起因するのでしょうか?

バルコニーでの演説の時点で、既に形成されていたと思いますよ。

誰にも頼らん=自立
上目指す=成功(底辺のような今の生活からの脱却)

母親のような寄生する生き方に対する嫌悪、父親やゆきよりも成功したいという意識。

前にも書きましたが、希美のような経験をすると世間一般の男女が最終目標とするような幸せの形=結婚は、人生の選択肢からなくなってしまうことがあります。
結婚観というものは、男女では大きく異なると私は思っていますので、特に第一線で働き続けることを望む女にとっては、正直“枷”だと思っています。往々にして働き辛くなる傾向にあると思います。
自立とは自分の力で生計を立てること。それを望むことは、誰かと共に生きることとは相反することだと思うのです。

しかし余命宣告された時点で、希美は上昇志向を捨てています。自分が欲しいと願っていたものは、手に入れようとしてきたものではなかった。

それならば、成瀬くんが自ら希美のトラウマを解消しに行かずとも、既に解消されているのでは?
希美のトラウマの本質は、誰かと共に生きることが幸せだと思えないこと。
それに憧れるのに、望まないこと。

また、判るという感覚=恋愛感情、とはならないと思います。人それぞれ異なるので視聴者の経験に左右されるのでしょうけれど。

たとえ作戦Ⅱの本質が変わらなくとも、不倫を嫌悪する経験があったり、家庭を失う経験のある希美が、協力する動機が自分の恋愛感情故、というのはやはり違和感がありすぎます。
自分の感情を優先するような人物像には描かれていませんし(自分が大切だと思う相手に対して)嫌悪している父親と同じ行為を、希美はできないと思います。

希美が“判る”という感覚から協力したのであれば、その“判る”対象は西崎さんだけではなく、奈央子でもあると思います。

ちなみに、motoさんは、お友達や奥様のお友達が奈央子のような環境に置かれていたら、どうされますか?
私は知らないフリはできないと思います。自分に何かできないか考える。
勿論ドラマのような行動の選択は有り得ませんが。

成瀬くんが人助けには協力できない、と言ったのは状況を聞いた時点での判断。
その後も西崎さんとの会話で考え方を理解しています。
警察は何もないと動かない。何かあってからでは遅い。歪んだ場所にいると〜…

“大切な人が酷い目にあっていて、いてもたってもいられない気持ちは判る”
=希美が酷い目にあっていて、いてもたってもいられない気持ちになった。

“だから”協力する。

つまり、成瀬くんが“判る”のは西崎さんの気持ち。
西崎さんを過去の自分と重ねたから、と言えます。

“判る”という感覚は同性間でも十分成立しますし、恋愛感情がなくとも成立します。

希美は、安藤に対して“判る”部分もたくさんあったと思いますが、私は安藤に対する恋愛感情はなかったと思っていますので。

そして安藤の行為に対しても、少なくとも西崎さんと成瀬くんは“判っていた”と思いますよ。

最後の質問は、作戦が成功していたら〜という意味ですよね?

桃 さんのコメント...

ひまわりさんへ

確かにそのような解釈もできると思います。

成瀬くんは高野さんとの会話から、希美が安藤と一緒にいないことを悟った。
本来ならば、安藤といない=ひとりでいる、とはならないと思うんですよね。
事件から10年も経っています。普通の感覚の人なら、10年もの時が流れたらその間に、全く関係のない第三者と出逢い惹かれ…ということも当たり前に視野に入れると思うんですよね。

しかし“変わらんよ、あの子は〜…”から成瀬くんは希美が今もひとりだと思った。でなければ、西崎さんからの電話の前に希美に連絡しないと思うのです。

何故ひとりだと思ったのでしょう。

ここで私は、希美の演説、即ちトラウマに成瀬くんが立ち戻ったからではないか、と捉えています。

誰かを庇い守っているからひとりでいる、というよりも、トラウマが邪魔をして誰といることもできないのではないか、と思ったのではないか、と思っています。

10年もの間、事件後の辛い時間をたったひとりですごさせてしまった。希美のN=安藤、ではないと気付いた時に、事件時、真に守られたのは自分であったこと、そして希美からの連絡もなかった意味に気付いた。
身を引いた相手(希美も連絡先を変えていますよね)は自分だったかもしれない。そこにまでも考えが至ったから、高野さんと別れてすぐ希美に連絡をした。

このふたりはつくづくすれ違うのですよね。もう笑えるくらいに。
島からかけた電話に希美は出ることができなかったわけですが、この時繋がっていたとしたら…成瀬くんは何と言ったのでしょうね。
この時点では希美の病のことは知らないわけですし。

また、東京に戻ってからの電話で希美は着信の相手が成瀬くんだと知っている上で息をのんでいます。

最初の電話で何かメッセージを残したのだと思われますが、どんな言葉を残したのでしょうね。

最後の、選択は希美に委ねているが、このまま終わるつもりはなく、コンタクトを取り続けただろうというご意見に賛同です。

実際、希美が島に帰る決意を固めたのは、Nチケットを手にした時ではないかと思っています。

ひまわり さんのコメント...

motoさん

正直、motoさんのご指摘通りです。突っ込んで頂いてありがとうございます。ご指摘頂きながら、深めよう、助けてもらおうという前提であげちゃいました(笑)あの希美の野望に触れる言葉だけでは、成瀬にとって確信にはなりませんね。m(_ _)m

そこでmotoさんに質問返し(笑)上のmotoさんの書き込みで、

成瀬には、杉下が他の異性と寄り添うには親との和解が必要とは考えていない。なぜなら成瀬が島時代の杉下の恋愛の対象であった事を自覚しているから。成瀬の『結婚した相手より後に死ぬ』の野望に対して杉下は照れてはいたものの、拒否反応を示していない。

とあります。ここから私は、島時代に『結婚した相手より後に死ぬ』を成瀬が話す場面で、成瀬が島時代の希美の恋愛対象であったことを自覚できた、とmotoさんは考えているととったのですが、あっていますか?

であればその理由を教えて頂けますか?

motoさん さんのコメント...

桃さん、

作戦後に関する問いは、桃さんの理解の通りです。作戦が成功した後の自分と成瀬の関係をどうしようと杉下が考えていたか、を桃さんだどう取っているのか?という意味です。

桃さん、また長文になるけど、申し訳ないです(汗。。。)
杉下のバルコニーでの宣言については、野望と同様に考えています。
宣言内容は、自分の状況に対して自分を鼓舞するために形成されたもの、という認識です。その内容に両親が影響しているのは確かです。
ですが、宣言の行為自体は、成瀬に対する告白と同義ととっています。成瀬に対しては自分を偽る、誤魔化す、隠す事はしない、全部さらけ出すという宣言です。その前の自転車で成瀬に感じた感情を素直に行動で表現した。ただその宣言内容が成瀬に対する配慮に欠け、彼との間にズレがありますが…。

先のNチケットで成瀬と約束になった、の表現は説明不足でした。成瀬との約束の形成はこの宣言の時で、Nチケットの際にはそれが杉下の中で絶対化、神聖化された、というのが正確な表現です。
ですので杉下にとって成瀬という存在は単に恋愛面だけでなく、上昇志向・独立志向の面でのドライバーであり、且つその故に囚われであり、またある種の脅迫観念にもなっていると考えています。

更に言えば、成瀬と親、若しくは島へのトラウマは独立して成立したものの、その後の杉下には、成瀬が島時代の全ての事を代表する、記憶と感情を呼び出すシンボルと取っています。杉下にとって成瀬とはコンプレックス(複合)であったとの理解です。ですから、早苗さんが野ばら荘を訪れた際の西崎とのやり取りはそのコンプレックスの表現と取りました。

杉下が西崎に協力する感情についてですが、杉下の経験と感情、自らが育った島の文化。それらは全て西崎に対する協力はNOです。でも杉下はそれを乗り越えてしまった。それは杉下の西崎に対する感情、「愛」以外には合理化されえないと思います。そんな杉下を見て、成瀬はこれも自らの原則の逸脱を自身の杉下に対する「愛」で合理化した。成瀬が『考えた』のは杉下の中の合理化の類推と自身の合理化についてだったと理解しています。

で、話しはプロポーズ時に戻るわけですが、成瀬には事件時の杉下に関する自らの判断があり、それは西崎に見えていた。それを否定出来る自らの経験はない。一方で西崎は自分が杉下の究極の愛の対象だという。だから成瀬は自分というタガを杉下から外し、「杉下の人生や~」との発言になった、との判断です。

私が杉下がこのとき成瀬の申し出を固辞したのは、成瀬そのものが固辞の理由だと取っています。成瀬に対する罪の意識です。ですので、ここでも二人はすれ違っているんですよね。

桃さん、申し訳ないけど桃さんの問いには答える事が出来ません。自分が成瀬と同様のシチュエーションに立たされた事がないからです。現在の自分は成瀬のポジションも西崎のポジションでいる事も出来ませんので、想像する事が容易ではありません。しかしもし何がしか行動しうるとするなら、それは恐らく「愛」による合理化がなった時だと思います。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、

成瀬が杉下の恋愛対象としての自覚がいつ生まれたか?の問いにお答えします。

私は早朝デートだと思っています。
杉下が成瀬の背中に頭を垂れ、荷台から成瀬の腰につかまりなおした、その時です。

このドラマ、二人の相互への感情がダダもれしているにもかかわらず、二人の身体の接触シーンって僅か5回しか描かれていない。
3回の手繋ぎと高松デートの帰りのフェリーと、この早朝デートの自転車のみ。そしてこのシーンがその最初のシーンです。

この時杉下は成瀬が暗闇に差し込む光、若しくは闇夜で道を照らすかがり火だと感じたんだと思います。街灯を見上げたのは、その示唆だと。そして成瀬を自身の拠り所と自覚し、その体につかまった。

その行為が意味するところを成瀬も判ったはずです。それ以降成瀬も見守るだけ、寄り添うだけだったのが高松デートに誘ったり、おっかなびっくりその手を握ろうとしたり…。

ですので、この自転車が二人が相互にその関係を自覚したシーンだと取っています。

みきち さんのコメント...

こんばんわ。
みなさんの思考についていこうと必死なみちきです(笑)
書き出して一生懸命考えました。
一回首突っ込んでそれきりってのもやなので、再度投げ込みます。

まず、話がちょっと戻ってしまいますが…
桃さん、はじめまして。
呼ばれずとも渡るに変わったこと、賛同していただきありがとうございます。
呼ばれてる気がする時に動く、っていうのはまさに、お城放火未遂の時もそうですね。

あと、『でも』を強調と捉えること納得しました。
その見方を聞いて思ったのは、
杉下の「甘えられん」発言は、
①だれにも甘えられない
親とのトラウマから来るもの。そもそもだれにも甘えられない、頼れないという、意図。
②成瀬に甘えられない
なおさら成瀬には甘えられない。愛している人を、哀しませてしまう。好きだからこそ、先に遺ってしまう自分のせいで哀しませたくない、という意図。

のふたつが共存するのだなと発見しました。つまり、成瀬くんは、その二つ目も察して、自分の希望を念を推す意味で、「でも、待っとる」と発言した。

自分はそれでいいんだよ。
それでも、限られた時間を杉下と一緒に居たいという気持ち。

またひまわりさん、
裏話教えてくれてありがとうございます!中の人の話題うれしいです(笑)

そして、「一緒になっとったら〜」の
発言で初めて男女の関係として定義した、とのことですが、目からウロコでした!

言われてみれば、杉下から成瀬にそうとも取れるような発言をしたのは初めてですね。

これをどう取るかは、細かい議論になると思いますので、あえて明言はしません。でも、これまでそんな発言はなかったのは事実。


それで、やっと本論に参加します!

もともとの、motoさんからの問いは、「成瀬がプロポーズの時に、どういう意図で『杉下の思うとおりにしたらええ。杉下の人生や』と言ったのか」というところだったと思います。
そこからいろいろな問い・議論点が生まれていますが、根本は杉下は恋ができるか、人を頼れるのかどうかということだと思いますが、いかがでしょうか。

杉下が人に恋ができるというのであれば、西崎に気持ちがあって、だからこそN作戦に参加したというのも成り立つ。そして、成瀬がそれを勘違いするのもありえる。さらに、10年後についてもその疑いが晴れないというのも分かる。(motoさん説)

一方で、杉下は恋ができない。人に頼ることはできない。というのもある。親によるトラウマゆえにだれにも頼れない。という考えを取ると、杉下がN作戦に参加したのは、西崎が好きとかではなく、自分のトラウマにかかることが発端となる。(桃さん説)

かなりざっくりですが、こんな感じで、人を好きになれるのかどうかから、物語に対する分析を広げていけるように思います。

どちらなのでしょう。
いろんな場面をあげて、これを考えてみるのはどうですかね?


ちなみに、まず手始めに、わたくしより場面の提供をさせていただきたいです。
「勘違いをしとったようです」という、安藤がプロポーズする予定だと聞いた時の成瀬の発言をどう捉えてますか?

ここで成瀬は、結婚式で再会後の杉下に関する認識について、何か大きな・重要な間違いに気づいた。
「勘違い」とは何なのか。

ちなみに、
わたしは以下のように取ってます。
○もともとの認識
杉下は島時代と変わらず、親に対するトラウマを抱えている。友人はいるようだが、誰かに頼ることはまだ出来ていない。

○プロポーズを知った後
杉下には、好きな人、頼れる人(=安藤)がいる。トラウマはまだ続いているように見えたが、それは『勘違いだった』東京に来て、なんらかの形でトラウマは解消され、心を開ける、信頼できる人を見つけた。

そのため、極力関わるべきでないと最後の打ち合わせも遠慮した。けれど、みすみす自分の気持ちを伝えずに、逃してしまうのは嫌だと思い、作戦後には、杉下に気持ちを伝えようと思っていた。

成瀬は杉下について、以上のように認識していたと、捉えるのがスムーズだと考えてます。


はじめ、杉下は西崎のことが好きなのだと考えていたけれど、そうではなく別の人だと知った場合、あんなに驚くでしょうか。あれ、別の人だったんだ、と心の中に落ちてくるぐらいでしょう。
人を簡単に愛せないと思っていた相手にプロポーズをしようと思うような間柄の人がいる、人を愛せるようになっていると知ったからこそ、驚愕し、動きが止まった。自分の心の中だけに納めておけなかったために、言葉として漏れ出てきた。というのがスムーズです。

だから、この場面では成瀬の中では、杉下は人を頼ったりできないと考えていた。と取ります。


という感じで、それぞれの場面を検証してみても新たな発見があったりしませんでしょうか・・・。

桃 さんのコメント...

こんばんは。またまたこんな時間なのですが。
勿論、明日も仕事です…

motoさんの考察を読んで、私と対極であることに気付きました。
作戦への協力の動機ですね。島での経験から、協力したいとは思えないはずにも関わらず、協力するその動機。

やはりそれは、奈央子への情というか、人として見過ごせない、という気持ちからであり、自分自身の恋愛感情、愛故とは考えられないです。
むしろ、人助けだと思えばこそ、協力することができた、と捉えています。

安藤と一緒に野口宅を訪れるたび、野口の異常性を垣間見て、希美だけでなく安藤も奈央子を心配する描写があります。
また、島でのお土産を渡すのを口実に様子も見に行ってます。純粋に奈央子を心配する気持ちがあったと見て良いと思います。

motoさんへの質問について、経験がないから〜というお答えですが、実際きっと見て見ぬふりはできないと思いますよ。

私の友人がご主人に暴力をふるわれている時期がありました。ご主人とは元々知人程度で面識があるくらいでしたが、乳児を抱え足がないという友人が一時的に避難したいと相談してきた際、福岡まで車で迎えに行き、共通の地元である実家に送って行き、翌日通常通り出勤という強行スケジュールを敢行した経験があります。
勿論友人をどうにか助けたいという気持ちもありましたが、ご主人だけが悪いとも思えない理由があり(暴力は絶対に悪ですが)ご主人の為にも離れる時期が必要だと思いました。
友人にも非がある。でも、やっぱりほっておけなかったです。
事情を知っている主人が、子供のことと家のことは引き受けると言ってくれたので行動できました。

実際に相談されたら、知らん顔はきっとできないと思いますよ。できない人が多いと思います。直接的な行動はなくても、その友人とは繋がりのない、別の私の友人もシェルターや施設について調べてくれたり、法律事務所で事務をしている友人が、こういう行動をしておく方が良いというアドバイスをくれたりしました。

私に人助け以上の何かがもしあれば、周りの協力はなかったと思うんですよね。

希美と成瀬くんは、西崎さんの目的が人助けではなく略奪の末、自分が幸せになることだったとしたら、協力していなかったと思います。

そうではなかったから、最後、作戦の直前に希美は“自分の幸せも考えなよ”と言ったのだと思います。

みきちさん、こんばんは。

びっくりしました‼︎

成瀬くんの“勘違いしてたみたいです”についての解釈が、まったく同じです。

確か、こちらの図書館?のどこかにも書いたことがあります。(よね?館長)


成瀬くんは、希美が恋愛を遠ざけていること、そのトラウマの原因を理解していた。
だからこそ、互いに想いに気付いていながらも、進展させようとはしなかった。
希美の自分に対する信頼やある種の特別な感情に気付きながらも、最終目標の幸せの形を求めていないことを知っていたから、男としてそばにいることは選ばなかった。

にもかかわらず、突然、希美にプロポーズするような間柄の異性の存在を知り、あそこまで動揺したのだと捉えています。

ひまわり さんのコメント...

motoさん、

お考え理解しました。希美から成瀬に頭を預ける行為、それが恋愛感情を示しているという見方はできると思います。

ついこの前までは、ごく普通の女子高生だったわけですし、年相応に恋愛感情を経験していたことでしょう。それは成瀬くんも同じ。ただ、感情は自覚できても、希美自身の頭や理性がそれを許さない。島での二人は、それ以上の関係になることは望まない。そう私はとっています。

以下、島時代の成瀬の野望のシーン、私の解釈です。

成瀬は『結婚した相手より後に死ぬ』を伝えた後、希美の返事を待たずに手を握ろうとしています。つまり、この野望を自分の恋愛感情を示す手段にしようとした、と私はとっています。しかし、手をつなぐ前に希美が発言し、その後成瀬は手をつなごうとはしなかった。単純にベストタイミングを逃したともとれますが、希美の発言内容により、再度手をつなぐ勇気が持てなかったともとれます。

『成瀬くんも私もいつか誰かと結婚するんかなぁ(今は考えられんけど)…大人になったらどうなっとるんやろ。(恋愛も他のことも)今より楽しいとええな。成瀬くんも私も、幸せやったらええな。』

希美の発言内容から私が感じたことです。当時の希美が、「今は結婚や異性の恋愛を受け入れられない、信じられない」と柔らかく成瀬に伝えているように感じました。心で異性に頼りたいという感情が芽生えても、それを頭・理性で拒否するブレーキが希美にはあると。

一方で、希美の答えには「今(島時代)」と比べて「大人になったら(現代)」に恋愛観や結婚観などが改善され幸せになりたいという願いもあるのではとも感じます。

よって希美が恋愛感情を恋愛関係にするのは「今はまだ早い」と考えている、そう成瀬は受け取って手を繋ぐことをやめた。でも大人になり価値観が変化すれば、希美の恋愛相手になる可能性が最も高いのは成瀬自身だと認識できしたんじゃないかと。

問題のシーンに戻ります。この島のシーンとリンクして考えたいと思います。

「今はまだ早い、感情と理性のギャップを克服すれば、恋愛対象として一番成瀬がふさわしい」

当時の希美の言葉から成瀬が受け取った、それは成瀬から見た希美の思い。

現代のシーン、成瀬がプロポーズをして、親から生まれたトラウマ=恋愛における感情と理性のギャップは今も克服されていない事実を確認した、そこで出てきた成瀬の野望の話。

ポイントは希美からその野望に触れていること。さらに、現代の希美の命には時間がないこと。

希美にとっても自分の感情と理性のギャップを乗り越えるチャンスは、「まだ、早い」じゃなくて、「今しかない」のです。

そんな希美が、自身を結婚相手と仮定して、あえて成瀬の野望に触れてきた。成瀬からしたら、今まさに希美が成瀬を恋愛対象として見ている、と捉えられないですかね?

ひまわり さんのコメント...

みきちさん、こんにちは

あちらこちらに議論がとんでましたね(^^;
原点に戻して頂いてありがとうございます。

上のmotoさんに対する私のコメントとかぶるかもしれませんが、「杉下が恋愛できるか否か」というポイントに絞って、私の考えを書きます。

端的に言うと、「心ではできるが頭ではできない」です。英語で言うとheartとmindの違い。heart(心臓)がドキドキして恋独特の緊張や不安、嫉妬や切なさ、島でも東京でも希美は感じていたと思います。しかし、mind(脳にある心)ではそれを打ち消していた。父やゆき、母親の姿がフラッシュバックするから。

7話かな?西崎の不倫暴露時の希美の恋愛観を言葉にしている場面。どんなに心臓が動いても、恋愛も結婚も頭では理解ができない。信用もしていない。

上に示した島時代の成瀬の野望についての希美の答え、そこにもそんなニュアンスが含まれていると思ってます。そして成瀬もそれを理解している。

なので、私も安藤のプロポーズを聞いた成瀬の反応・心理はみきちさん・桃さんとほぼ同じです。ただ、いつか心と脳のギャップを乗り越えてみたい、そんな希望を希美自身が少し持っていたのでは、とも捉えてます。


桃さん、遅くなりましたが質問に答えてもらってありがとうございました。まだまとめきれていないので、少し時間くださいねm(_ _)m

みきち さんのコメント...

みなさんこんにちは。
今日はお休みなので、ゆったりまったりしております。

桃さん、ひまわりさん
『勘違いしとった』について捉え方が同じということで、ほっとしております。

実は、本当にそうなのか半信半疑だったので。というのも、そもそもは私も、この意味を「杉下が好きなのは、西崎ではなく別の人(安藤)だったのか」というように捉えてました・・・。
成瀬がN作戦に参加した背景としては、motoさんと同じように、杉下が西崎を好き、と捉えたから。と取っていて、でも安藤が杉下にプロポーズするという話を聞いて、杉下が好きなのは西崎ではなかった、という勘違いを知った。それで、久しぶりに会ったけれども、杉下のことを自分は分かっていると思っていたけれど、そうではなかった。という落胆があったと思っていました。

でも、そもそも成瀬は、「杉下は親とのトラウマが原因で、恋愛・恋愛関係をつくることができない」と考えていたという前提に立って、(いろんな場面を考えてみていたのですが) この『勘違いしとったようです』の発言の意図を考えると、すごくすっきりしたのでした。

そもそも恋愛・人と恋愛関係になることができないと認識していた自分にとって特別な人が、他の人とそういう間柄にあると知れば、それまでの自分の認識・前提がすべて崩れるような感覚になる。あのシーンでの成瀬くんの、これまで自分を支えていたものが揺らぐような表情に納得がいくと思いました。

このような形で、島時代のこの場面で、成瀬が杉下に対してそのような認識を持った、というような裏付けまで得ていなかったので、同じだと言っていただきほっとしております。


そして裏付けということで言うと、ひまわりさんが本島デートの後の、『成瀬くんも私もいつか誰かと結婚するんかなぁ』の発言についての考えを述べていらっしゃいますが、それが上の『勘違いしっとった』の裏付けになると感じました。

あの場面では、一度は機を逃して手をつなぐことができませんでしたが、このデートのどこかの機会で手をつなぎたいと目論んでいたとすれば、また違うタイミングで手をつなぐことも可能だったと思います。たとえば、フェリーの中でとか。むしろフェリーの中では、杉下は寝ている訳ですし、ちょっかいをかけようと思えばかけられた。でも成瀬はしなかった。さらには、一緒に聞いていたイヤホンを自分から外した。

この描写から考えると、ひまわりさんが言うように、杉下の発言を聞いて成瀬は、杉下との距離を感じたと取ることに納得できます。
この時の会話から、杉下は自身を結婚という一般的な幸せからすごく遠い場所に置いている。人と恋愛なんて考えられない自分は幸せになれるのかな、と思っている。と成瀬には感じられた。という読み、よく分かります。



また、杉下が恋愛ができるのかどうか?という問いにも答えていただきありがとうございます。

「心ではできるが頭ではできない」

mindとheartの使い分けというのは、かっこいい切り口ですね!
(もしかして、ひまわりさんは英語脳で、英語ぺらぺらだったりするのでしょうか?)

杉下は、強い目的感情の下では、頭で考えるよりも行動に移してしまうという危なっかしい性格ですが、こと自分の恋愛に関しては完全に理性のブレーキがかる。
という、性質をもっているとすると、人物設定的にもとてもおもしろいですね。

それに、確かに成瀬や安藤に対して「どきどき」だったり「頼る」だったりという感情が見える場面があるので、恋愛ができない=人を好きになる感情がないという捉え方をしてしまうのは違うなと思っていたので、すごく深い読みだ!と感動です。

引き続き、いろんな場面に当てはめて考えていければと思います。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
その通りですね。桃さんと私の意見の相違は、結局は杉下と成瀬の西崎への協力動機の源泉をどこに求めるか?なんだと思います。
桃さんは深い博愛的精神による合理化にその根拠を求め、私は特定の個人への強い愛情による合理化に根拠を得ている。これがずっとラストシーンまでその見え方が異なっている原因ですね。
そしてその違いは成瀬及び親(島)のトラウマの取り方に起因しているんです。
最初の頃は、実は桃さんを論破しようと思ってたんですよ。ですけど、早々にそれは諦めました(笑)。そこまで行くと、安藤の外鍵隠蔽のトリック破りのようなロジカルな話ではなくて、たぶんに個人的経験や思想的バックボーンに基づく感覚の領域ですんでね。ですので桃さんとのやりとりに関しては、自分はこう見えるけど、桃さんにはどう見える?と言う事にポイントを置いています(笑)
まだまだ、桃さんから見た時の解釈で聞いてい無い部分があるんで、それもおいおい議論したいね!

みきちさん、
提案ありがとね!成瀬が何を勘違いしたのか、書くね。

もともと?の認識(最初の野ばら荘訪問後)
杉下は随分明るくなった。いい学生生活を送ったんだろう。
西崎に相当の片思いのようだ。彼女は奥手で自分の感情を伝えるのが下手だから、せめて彼女が望む事の手助けをしよう。

プロポーズを知った後
安藤って男だったん?そしてそいつがプロポーズするつもり?
待って、杉下の片思いは西崎だぞ?でも杉下とは相応の関係がある、という事だ。杉下の気持ちは島での事を考えれば西崎に間違い無いはずだが、安藤がプロポーズするなら、こっちだってそれ以上の関係がある。少なくとも安藤と同じ立場に立た無いといけなくなってしまった、やばい、追い込めれた…

というとこですかね。
ですので、成瀬の動揺は安藤の存在というより、自分が同じ立場に立たねばなら無い必要性に陥った事への動揺と取っています。
それがなぜ動揺かといえば、杉下にさざなみの真相を話さなければいけなくなるからです。自分の父親がおそらく犯人であり、意図しない形ではあったけれど、杉下の勘違いを利用する事になってしまった事をです。
成瀬は結婚式二次会後に奨学金を無駄にした事はなんとか話して許してもらいましたが、その奨学金を杉下に譲らせる事になった事にまだ謝罪出来ていません。プロポーズする以上はこれに触れざるをえないし、その事が杉下との関係を吹っ飛ばす事になりかねない事態に陥った事に動揺していた、と取っています。

ひまわりさん、
成瀬の『結婚した相手より後に死ぬ』への杉下の反応、そんな難しいもんなのかな?お互いに恋愛に奥手で自分の感情を上手く伝えられない者同士の、側から見てもどかしいシーンという以外のモノを感じんかったけど…
結婚については若いから想像できんだろうけど、成瀬がその野望を口にする前、杉下自身が成瀬に『なに、なに』ってにじり寄ってますよね。成瀬が発言後に杉下の手を取ろうとしたのと、同じ感情だと思うんです。

『今はまだー』の下りですが、恋愛ってそんな時間軸で測れるモノでしょうか?今は今はだし、過去は過去。未来はあくまで『その時』でしかなくって、それ迄自分も相手もどうなっているか分からない。『その時』に再びそうなる可能性はあっても、今がそうでなければ、それは当人同士では失恋では?

みきち さんのコメント...

こんばんは。

motoさん
いきなりの提案にのっていただきありがとうございます。

成瀬が、勘違いしたことについて、そのような認識なのですね。
安藤と同じステージに立たなければならない、杉下にさざなみのことを打ち明けなければいけない、動揺だったとmotoさんが取っていること理解しました。

ひとつ分からなかったことがあるのですが、
『杉下の気持ちは島での事を考えれば、西崎に間違いないはず』という根拠はどのあたりにあるのでしょうか?
島での何をもって成瀬がそのように認識したとお考えですか?


ちなみに、わたしの考えでは、さざなみの事を話すことで、2人の関係が吹っ飛ぶとは、成瀬は考えてないと思います。

確かに、さざなみ事件の真相を杉下に打ち明けることは確かにハードルの高いことです。自分がやったのではないと言わなかったのことについては、成瀬は謝罪しなければ、とずっと思っていた。

でも、状況的に仕方ないとも理解していた。成瀬は事件直後に、ちゃんと話そうとしたけど、反論・弁解する機会がなかった。杉下が、もう話さんといったことで、その機会を与えられなかったのですから。つまり、それは自分だけのことではない。
逆に、もう話さんという、杉下の意思を尊重していたわけでもあり、それを自分勝手な思いで破れば、杉下に矛先がむいてしまうことにもなる。

ということから。むしろ、謝るべきだとは思うけど、どうしたら良いんだろうという迷いを持っていたのではないかなと。

また、そもそも成瀬は、さざなみでの罪の共有が、杉下にとっての「究極の愛」だったことは知らないですよね。杉下にとって、それがトラウマになってるなんて知らないので、それが嘘・本来はなかったものであると分かった時に、関係性が変わるとは思っていないと思います。


そのため、さざなみの事は、2人の関係の中で、とても重要なポイントではありますが、その真相を話すことで関係が吹っ飛ぶ、とは思っていないと思うのです。

…と、思ったままつらつらと述べてみました。
若干、頭の中整理しきれてないです(・ω・;)

motoさんぜひ、上の質問教えてくださいませ。

motoさん さんのコメント...

みきちさん、こんばんわ

『島での事云々』についてです。これは先の桃さんとの議論とも被るんですが、結局は西崎への協力動機の源泉をどこに求めるか?という事なんです。
西崎がやろうとしている事は、結局は『夫婦という制度にある男女関係に対する、恋愛感情を伴った外部からの介入行動』なんです。それを救出と取るか略奪と取るかは立場の違いでしか無い。杉下が島で苦労したのは、その介入行動の結果なんです。普通に考えれば、自分が苦労した結果を生んだ行動に類似する行動を援助する気にはなれないでしょう。だからこそ西崎の不倫の告白にヒスを起こした。まして島は他所の家庭の事には首を突っ込まない、という文化。両方の基準で考えれば、杉下が西崎に協力するのはNOです。成瀬にはそう見えます。それでも彼女は西崎に協力する、という事は彼女の中にはそのNOをYesに合理化する何かが有った。それはなんだろう、と考えた際にそれは杉下の西崎に対する感情だろう、と成瀬には見える、という事を言っています。
結局成瀬も同じなんです。成瀬は人助けでは西崎に協力出来ない。それは彼の料理に対するルールなんです。でもその彼がルールを曲げて協力した。それはどう合理化され得るか、と考えると成瀬の杉下への感情です。成瀬は杉下に協力するんであって、西崎に対してでは無いんです。そんな彼が杉下の西崎への協力が人助けと取っていたら、彼は杉下に協力するでしょうか?そのために自らのルールを破らないと思います。
成瀬が協力するのは、西崎に自らの感情ゆえの合理化で協力する杉下へ協力する為です。そうであるから成瀬は作戦に協力出来た、という解釈です。

さざなみの真相の暴露についてですが、これは成瀬には相当重たいと思います。奨学金とはレベルが違います。
奨学金は善意を無にしてゴメンなさい、のレベルですが、真相の暴露は、意図しない形ではあっても、人の善意を自らの利益の為に利用した、という類の問題ですので、成瀬とのしては杉下から拒絶されても仕方ない、と思えるほどの問題だったはずです。
言い訳は出来るでしょう。ですがそれをしたところでそれをどう取るかは相手の問題ですので、成瀬には楽観出来る根拠にはならない。車中での成瀬の思いつめた顔は、その部分に対する成瀬の不安だったと見ています。

motoさん さんのコメント...

こちらも随分と長くなりました。
N研2を立ててありますので、そちらに移りましょう!