シークレットつぶやき専用

175 件のコメント:

motoさん さんのコメント...

杉下って本当に成瀬に見事なまで歪んでるんですよね。
そこがいじらしい。

motoさん さんのコメント...

先週の事だけど、『エヴェレスト』を観た。
阿部ちゃんは相変わらず良い、
岡田准一もまあまあ、
尾野真知子も、思わずファンになりそう

でも、何故かイマイチ感が一杯。
ノートの下を、ラストに持って行った構成の変更が失敗だったと思う。
あと、岡田准一が再び山へ戻った意味、理由が曖昧だったな。

原作が素晴らしいだけにちょっと残念。

motoさん さんのコメント...

そういえばエヴェレストの前にブリザードも見たな。
久しぶりの洋画だったが、こっちの方が面白かったぞ。

邦画はVFXがハリウッドに追いついていない

motoさん さんのコメント...

今日は愚息の小学校卒業式。
それを終わって、今は単身赴任の生活費のやり取りのために郵貯の口座を作ってる。
変化の多い春!

motoさん さんのコメント...

朝から修羅場!
気が滅入るよ。
俺は何をやってるんだ?

motoさん さんのコメント...

しかしこの修羅場をどう方を付けようか?

motoさん さんのコメント...

地区の役員で総会をやり、戻って急ぎ荷物の梱包、
さっきやっと引っ越し荷物を送り出し。
ドタバタ!

motoさん さんのコメント...

荷物を送り出したら、その後は地区役員の引き継ぎで、その後はアルコール。
今帰ってきたところ。もうダメ。寝る。

motoさん さんのコメント...

待っていたメールが来た。
でもそれを開けて見る勇気がない自分。

本当にヘタレな自分だ。
何やってんだろう

motoさん さんのコメント...

心配だ。
何が起きた?
何が起きている?

motoさん さんのコメント...

ここ数日、あの時のことを考えていた。
やっとあの時のマリア様の言動の意味、彼女の状態が理解できた。

motoさん さんのコメント...

マリア様の言動。
マリア様は自分の感情に素直に反応していたのだろうけれど、
それを受け取る方にはあまりに難しくて。
その本当のところを理解するのは、
無理だったよ。

だって、その反応が普段のマリア様が他の人に見せる反応と真逆で
かつ普通の恋愛感情の反応とも逆を行っている。
その意味を正確に理解するのなんて、誰に出来るんだ?

motoさん さんのコメント...

今日から新し生活が始まった。
これから先、恐らく十年以上は一人の生活になる。
ホームシックにならんかな?

motoさん さんのコメント...

マリア様は結局は陽炎で
マリア様には私がストレス源であり、
どれだけこちらが距離を詰めようとしても、
いつもスッと距離を取られる。

たとえ今距離を詰めようと考えても、
以前と同じようにかわされる。

この勝負?は結局はこちらの負けなんだ。
今も昔も同じ。勝ちのないゲームでいつも双方が自分が負けたと思うゲームの繰り返しなんだ

motoさん さんのコメント...

何を勝負というのかは不明だけれども、とにかく勝負と呼ぶ事にする。
マリア様との事だ。

この勝負、どう考えても分が悪い。
明らかにこちらが負けそうなのがミエミエだ。
そもそも自分側では何が勝ちなのか?
果たしてマリア様は何が負けなのか?
勝ち負けの基準が設定できない。

勝ち負けの基準が設定出来ない以上は、勝ちはない、という事になるんだよね。

motoさん さんのコメント...

杉下は絶望していましたよね。
絶望とは、いろいろ考え方はあると思うんですけど、
根源的な渇望と、理性的な判断の越え難いギャップの事だと思うんですよ。

杉下にとっての渇望は、成瀬です。杉下の十五年は全て成瀬のためにあったと言っていい。
彼女の成瀬に対する感情はとても一言では表しようがないのですが、とにかく彼女には
成瀬が全てなんです。

では理性的な判断とは?
さざなみ時効成立まで彼には会えない、会ってはならない。
しかし自分の余命が迫り、時効成立後に彼との関係を再開させる事は諦めざるをえない。
スカイローズガーデンで成瀬に嫌われ、連絡も取れない状況。
そして自らが成瀬に接触する事が、彼を不幸にする、という思い込み

これが彼女が絶望した渇望と理性の判断のギャップ、ジレンマなんです

motoさん さんのコメント...

杉下は成瀬のメールに、何を考えていたんだろう?
橋の上で成瀬の『もう少し考える』に『ありがとう』と答えている訳で、
成瀬の参加は杉下が望んでいたこと。
そうすると成瀬の参加そのものが、杉下が考え込む事ではない。
うまく言葉に出来ないのだけれど何かにたじろいでいるような印象なんですよね。
当初は成瀬に『会ってはならない』という感情が湧かないことに気付いた戸惑い、
そう思っていたんですが、どうもそれだけではないような気がする。

motoさん さんのコメント...

原作の謎解きをちょっとずつしていこうかな。ブログでは手をつけなかったんで。

まづは、安藤の僻地赴任
これは抜擢人事だね。ドラマと同じです。
安藤も左遷とは取っていない。
文庫本175項で安藤が『こういうルートもありかもしれない』と言っているし、
176項で敢えて杉下に勝った局面へ誘導した事を認めている。そして杉下がそれに対する対抗策を
考えていることも前提にしているんですね。
そして316項で杉下はやはり安藤の僻地赴任が左遷だと思っているんです。

この辺りはドラマと同じですね。

motoさん さんのコメント...

引き続き原作の謎解き

安藤は杉下へ食事会の際、サプライズのプロポーズを予定していた。

176項で『黙ってシャツの裾に手を伸ばしてきたら、一緒に連れて行ってやっても良い』といい、
181項では自分が負ける事を前提に手を教えようとして、杉下の問いに『後のお楽しみ』と言っている。
つまり勝負に負け、僻地赴任が決まったら、その場で杉下にプロポーズするという腹積もりだったという事。

motoさん さんのコメント...

原作の謎解き 続き

スカイローズガーデンにおける偽証の根幹と杉下の偽証受け入れプロセスはドラマと同じに読めるんですよね。
偽証を受け入れたのは成瀬が入室する前で、ここはドラマと異なるけれど、西崎の要求には拒絶しているものの、
成瀬が事件の当事者となる事に気付いた杉下が結局は偽証に乗った訳で。

ここはドラマと同じ解釈で良いのか?

motoさん さんのコメント...

私は何故マリア様からあそこまで距離を取られたんだろう?

私の何が彼女に距離を取らせたんだろう?

すき、という感情に伴う、近づきたいという欲求を上回ってしまう距離を取りたいと思う心理は
一体何に起因しているんですか?

motoさん さんのコメント...

原作の謎解き

杉下は自分が作戦を野口にバラしたことを西崎に言っていない。

motoさん さんのコメント...

原作の謎解き

西崎は杉下に安藤に会った事を言っていない

motoさん さんのコメント...

原作の謎解き

杉下、西崎は杉下が犯行を見ている事を成瀬に対して隠蔽した。
あえて成瀬に嘘をついた。

motoさん さんのコメント...

原作の謎解き

杉下が再び冷蔵庫を一杯にしたのはドレッサー以降。
まだ杉下は西崎の不倫を知らない。

motoさん さんのコメント...

iPadのキーボードを入して打っているのですが、ソフトウェアキーボードに比べて楽ですね

まだまだ慣れませんが、これまでよりはよっぽど早く文書入力が出来そうです。

motoさん さんのコメント...

奈央子のドレッサー事件で、原作では再び冷蔵庫が一杯になるんですよね。
でもドラマでは冷蔵庫の中が一杯の描写は無い。
西崎の不倫告白に対して料理を始めてしまうのは同じ。

原作とドラマでは料理を作る杉下の原因は別という事なんでしょうね。

motoさん さんのコメント...
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motoさん さんのコメント...

やっちゃった!自分でコメント削除してしまった!

問題は成瀬がなぜチェーンを彼自身の判断として捜査機関に隠蔽したのか?なんです。
ドラマでは安藤が鍵を掛けた事は明らかになっており、作戦直前に安藤と西崎が会った事は
成瀬にも知れている。だから成瀬は杉下に言われるまでもなく、鍵の隠蔽の必要性を理解出来ている。

原作ではどうか?
成瀬は安藤が鍵を掛け得る存在と認識し得たか?
安藤と西崎が会った事を認識し得たのか?

motoさん さんのコメント...

今日は休みを取り、映画を見ています。
『僕だけがいない街』を鑑賞。

いい!とってもいい!
物語冒頭から引き込まれました。
二人の子役がすごくいい!
切なさとやるせなさと、幼い恋心…
一応主演は藤原竜也となっていますが、この映画は二人が居てこそ!
二人に是非賞をあげたい!

motoさん さんのコメント...

自分で言うのも何なんですが。

ドラマ『Nのために』を製作者以外で一番愛し、理解し、隅から隅までしゃぶりつき、
それゆえ杉下希美の歩んだ人生の切なさと、ラストでの杉下希美の心からの歓喜を
知るものはいないんじゃないか?と思っている。

そうであるがゆえに、このドラマを作った製作陣には驚愕する。
表で表現されるストーリーの裏側に、完全に一本裏シナリオを作り出しているのだから。

残念ながらその物語の二重性について理解している人はほとんどいない。
その物語の本当の面白さに気付いているものが殆どいないというのが、自分の自慢でもあり、
寂しさでもある。

motoさん さんのコメント...

原作で、杉下と安藤のインターフォン越しの会話を成瀬も脇で聴いていた可能性が高い。
何故なら、安藤が入室した際、成瀬のユニフォームの裾を杉下がしっかり捕まえているのを目撃しているから。
そうすると、インターフォンフォンでのやりとりの際にも成瀬がすぐ脇に付いていた、と取った方が自然だろう。

motoさん さんのコメント...

原作で成瀬は野口殴打への杉下の関与を否定出来ずにいた。
彼の偽証意図が杉下として、その一点において彼がチェーンを、隠蔽する事の必然が説明し得るか?
捜査機関に対する偽証構造から言って、鍵を隠蔽する意味は安藤を黙らせる、という意味以外には無いはず。

そうすると成瀬は安藤が計画の存在をひっくり返し得る存在であると、気付くことが出来たか?が問題になる。

motoさん さんのコメント...

原作で、成瀬は杉下と西崎が鍵が掛かっていた事を知っていた、と判断していい。
事件が起きて杉下が成瀬に助けを求めた。
それは二人が外に出たくとも出られない状況に追い込まれたから、と判断しても問題無いと思われる。

motoさん さんのコメント...

今更ながら『ちはやふる』の上の句を観賞!
楽しかった!下の句も後日観よう!

motoさん さんのコメント...

原作で

杉下は安藤がマンションにいる事を知っている。
西崎も知っている。
西崎は杉下が安藤がマンション内にいる事を知っている事を理解している。
杉下は西崎が安藤と会っている事を知らない
杉下は安藤が鍵を掛けたことを疑っている

motoさん さんのコメント...

成瀬のメールを見る杉下のシーン。
当初は『成瀬に会ってはいけない』という感情が湧いてこない事に対する戸惑いだと思っていたんだけれど、何だかちょっと違う気がしてきた。
上手く説明出来ないんだけれど、どちらかというと成瀬が作戦に参加する事をきめて、杉下自身が腹を括った、そんなプロセスだったのでは?と思い始めている。

motoさん さんのコメント...

成瀬のメールは、最初に杉下の部屋を訪ねて、西崎から作戦への協力を依頼された後。
この段階で杉下の猛アピールはまだない。
杉下の猛アピールは二回目の、作戦会議終了後。
成瀬が最初に杉下の部屋を訪れる前、杉下が島から帰って来た日が串若丸。

杉下はゴンドラで成瀬をあきらめた。そういう自覚がある。
それなのに、この段階になって、『会ってはいけない』はない。

そうすると杉下の固い表情とメールの凝視は何だったんだろう?

motoさん さんのコメント...

杉下の心情を時系列でせいりするとこうか?

島で成瀬の魅力を再認識
串若丸で西崎に対する感情を再確認
気がある二人が揃い、動揺する杉下
成瀬のメールに悩む(何を?)
決心して成瀬に猛アピール

こんな感じか?

motoさん さんのコメント...

こんなかんじか?
島で成瀬の魅力を再確認するも、関係を再会させるまでは踏ん切りがついていない。
もしくはつけたつもりだったが、帰って来たら西崎から自分のトラウマを明かされ、西崎への秘めていた思いが強化された。
そこで思わず成瀬を噛ませた奈央子救出の可能性を西崎に漏らす。
西崎への感情と成瀬を利用する事に対する申し訳なさから酒を飲みすぎて酩酊。
成瀬が来た時は自分でも気持ちの整理がついておらず、二人の発言にその都度反応。
成瀬の作戦参加表明で、どっちつかずはまずい、と思い悩む。そして成瀬との関係再会を選択。
二回目のの作戦会議後、成瀬に猛アピール。

こんなところか?

motoさん さんのコメント...

で、結局杉下は何をかんがえていたのか?

一つは自らの精神的二股状態についてだろうな。
彼女は自らの二股状態というのは許容出来なかっったんだと思う。
なんせ、夫婦間への介入行動で自分が窮したわけだから、その元となる二股状態を自分で許せないと思うんです。
そうすると、現実に心にある西崎への感情と成瀬への感情のどちらを取るか、という事に悩んだんだと思うんです。
で、その結論は最終的には成瀬だった。この時、西崎を取らず成瀬を取ったんだと思います。

motoさん さんのコメント...

では、なぜに成瀬だったのか?

一つは西崎に対する感情の異常性の認識でしょうね。
西崎の『歪んだ場所にいると〜』に反応しているんです。これは自らの西崎への感情が歪んでいるという自覚がある故のだと思う。
では、彼女の異常性の認識は何処から来たのか?というと、それは成瀬の存在だと思う。
西崎に対する感情は、成瀬に対するそれと比較して、ポジティブ性がないと彼女自身が気付いたんだと。

簡単に言ってしまえば、西崎に対する感情は『傷の舐め合い』以上には成らない、と彼女が悟ったんだと思う。
西崎は母親との経験に依存し、杉下は成瀬との経験に依存した、それぞれ別の異性に強く結びついた感情がベースにあって、その上での感情である事を杉下は分かっていた。そうであれば、仮に西崎との間が上手い事進んだとしても、それは似た者同士の傷の舐め合い、慰め合いでしかない、という事が理解出来たんだと思うんです。

motoさん さんのコメント...

二つ目は、成瀬の自分への気持ち。自分のためであれば崩れそうな橋でも渡る、という成瀬の言葉で、杉下は成瀬の当時と変わらぬ自分への感情を理解した。

三つ目は、二次会で四阿で会話し、自分が成瀬に惹かれた本当の部分を再認識出来た事。自分が素でいる事が許容される、そう思える存在が成瀬だったという部分です。

motoさん さんのコメント...

成瀬と安藤が会ったシーンの評価ですが、以前のものから修正が必要な気がしてきた。
以前は理屈をこねくり回して、結局は成瀬は安藤を赦した、的なニュアンスだったんですが、それってちがう!という感じです。

なんか、こう、まだ言葉で表現できないけれど、成瀬的にはすっごく嫌味たっぷり皮肉たっぷり、が本当の意味だったんでは?
なんだかそっちの方がシンプルな気がする。

motoさん さんのコメント...

成瀬のメールへの杉下の反応に戻る。

後考えたのは、西崎の作戦に対する自身の態度に関してだと思う。
西崎がやろうとしているのは、夫婦間への介入行動。
杉下が島で苦労したのもそれ。まして島は家庭の問題には口を出さない、という文化。
そんな杉下が西崎に協力するのは?躊躇しますよね。

そしてここが問題なんですが、成瀬が作戦参加を決めたのが、実は自分が噛んでいるから、というのを杉下はわかっているんです。
自分が噛んでいるが故に、成瀬が自分のルールを曲げた(料理を人助けの道具にした)。
成瀬が、自分の存在の故に彼のルールを曲げたのなら、杉下も自分のルールを曲げなければおかしい。そう思ったんです。

motoさん さんのコメント...

西崎考。ちょっと述べさせてください。

西崎さんが火事の際母親を見殺しにした心理に関して。
人間が危険に際して優先して働く心理は『危険からの逃避』だと思います。だから先ず逃げ出す。西崎少年は火事から逃げ出しています。
なぜ西崎少年が母親を助けようとしなかったのか?ですが、西崎少年には『母親も』自身にとっての危険だったからだと思うのです。つまり火事という別の危険から逃避すると同時に、それを契機として母親という危険から『逃げ出す』心理が働いた故に母親を放置したのだと思います。
その後、西崎少年はその行為を悔い、罪悪感に苛まれますが、その出所は母親への愛(という思い込み)です。

この『危険(母親)からの逃げ出し』とその後の罪悪感の心理は杉下との類似を感じます。杉下が西崎さんに自身との類似性を見ていたのは、正にそこだと思うのです。
この部分の反応は奈央子さんは西崎さんと異なります。奈央子さんの場合は内部的に鬱屈を抱え込み、限界点を超えた際には危険を直接排除する攻撃的行動をとるように見える。そしてその直接的行動さえ鬱屈の中で愛という名の下に合理化される。

西崎さん(西崎少年)と奈央子さんの類似性という意味では、近親者からのDVに対する心理作用です。DVからの逃避が不可能な場合の人間の精神反応は、そのDVが加害者の自分に対する愛故、という思い込みに逃げ込む場合があります。西崎少年と奈央子さんの場合がそれに合致します。二人はこの部分に相互の類似性を見ていました。
なお、被害者が自身に向けられるDVを自らの精神から切り離す(危害を受けているのは自分ではない、という思い込み)方向にいくと、解離性障害(いわゆる多重人格障害)になります。

motoさん さんのコメント...

今日は、某所で面白い論を見かけた。
なかなか鋭くて、自分でも唸ったよ。

motoさん さんのコメント...

再び杉下が成瀬のメールを見つめる際の心理に戻る。

最後の問題はやはり杉下の作戦参加に関して彼女の中で如何に合理化し得るか?という問題に行き着く。
成瀬の作戦参加は確かに彼女に心理上の合理化を後押しする要素ではあるが、それだけでは難しいと感じる。より積極的な理由をつける必要があるんではないか?

そのためには、自らの行為を美化する方便が必要だろう。自分の価値観にそぐわない事を上書きするような、自分自身への美化。
それが『究極の愛』を持ち出しての合理化する事だったのだと想う。
だから、成瀬のメールをじっと見つめていたこのシーンは、彼女自身が作戦に参加する事への踏ん切りを、自身の『究極の愛』を持ち出して美化する過程だったんだと想う。

motoさん さんのコメント...

今日はドラマと原作の比較をちょっと。

原作では成瀬は杉下の野口氏殺害の可能性を疑っています。
一方、ドラマでは、成瀬は奈央子の心中だとハッキリと理解していました。そう断言できます。
では、なぜドラマの成瀬は杉下は殺害に関与していない、と断言出来るのか?
実は決定的なアイテムが有るんです。
成瀬が杉下から引き取った、血で染まったブランケットと彼女のカーディガンの腹部の汚れなんです。
原作にはこれがない。だから成瀬は杉下の殺害への関与を否定しきれないんですよ。

ではなぜこの二つのアイテムが杉下の殺害への関与を否定できるのか?

まづ、杉下は奈央子の救出のために作戦に参加した。だから奈央子を殺さない。
これは西崎も同じです。西崎も奈央子を殺さない。
そうすると奈央子を殺すのは野口か奈央子自身による自殺。
仮に西崎が野口を殺したのだとする。そうすると、殺害の順番は野口による奈央子殺害の後、西崎が野口を殺害した事になる。

部屋の状況から、西崎と野口が争っていたのは確実。そうすると野口が奈央子を殺害するには西崎が伸びてしまい、動けない間に、野口が奈央子に接近、包丁で奈央子を指し、その直後に西崎が野口を殴打する、という事になる。でも、伸びた西崎がすぐさま野口の後を追って殴打するなど不可能。そうすると西崎は野口を殺していない。
その状況で野口を殴打しうるのは杉下。しかし杉下は血で染まったブランケットを持ち、そしてその血がカーディガンを汚していた。彼女は介抱した、という事なんです。
人を殴打した人間が、その後に介抱など出来ない。つまり杉下は殺害に関与していない、と判断できるんです。
そうすると残る可能性は奈央子による心中しか残らない。

だから成瀬は杉下の殺害への関与は全く疑っていないんです。

motoさん さんのコメント...

ミステリーとしてこのドラマを読み解くキーは、最初の杉下の部屋での、成瀬、西崎の三人の会話のシーンにあるんです。
それは、『ラプンツェル』と『崩れ落ちそうな吊り橋』。
これら二つを、ドラマ全体の中で、どう理解するか?それがしっかり出来ていないと、このドラマの本当のストーリー、製作者が徹底的に隠蔽した真の杉下希望を読み解く事が出来ないんですよ

motoさん さんのコメント...

ラプンツェルはグリム童話です。つまりメルヘン。
メルヘンは今でこそ綺麗なところだけが語り継がれていますが、その本当の文学形式は綺麗な物語の後に用意されている、人の醜さを押し出したオチがセットになっている事なんです。つまり幻想破壊が必ず対として存在するんですよ。
ですから、このラプンツェルの下りは、後のストーリー展開を暗示しているんですね。
この幻想破壊は、ドラマで三重に表現されているととっています。
一つはさざなみの真相。成瀬が放火犯では無かった、父親を庇って杉下の勘違いを(結果的には)利用した、という部分です。
二つ目はスカイローズガーデンの顚末。奈央子救出のはずが、奈央子の心中となりました。
最後が、実は未だに誤解がはびこっているんですが、スカイローズガーデンの各人物の偽証意図なんですね。
一見各キャラクターは、『みんなのため』に偽証したように見える。一人の行動がずべての関係者の利益を実現するためのように見える。相互に『罪の共有』をしたかのように。
そう理解すると、とっても美しいですよね。受けがいい。でもそれはあり得ない。それが真実であるなら、『ラプンツェル』の下りを持ち出すのはなんだ?となる訳です。
この解釈はもう一つの証拠で補強されます。それはさざなみの真相が、このスカイローズガーデンの事件の前に明かされている、という部分です。
さざなみについてはすべての視聴者が美しさに酔っていたわけです。それが実は視聴者の幻想であった事が明かされた。
ですから製作者は視聴者に前振りしたんですね、『これから明かされるスカイローズガーデンも、見たままに理解するな』と。

マリオの話題でオブラートに包まれていますが、ラプンツェルの下りは、このドラマの表現形式を規定しているとっても重要なキーワードなんです

motoさん さんのコメント...

吊り橋について書かないといけないんですが、ふと思い至った事があったので、今日はそちらについて。
実はずっとドラマの中での位置付けについて理解出来なかったシーンがあるんです。
それは、杉下と安藤が、クリスマスイブの前の休日(天皇誕生日と思われます)に二人をで安藤の友人達とのディキャンプに出かけたシーン。
この時の杉下の心理が分からなかった、そしてこのシーンをここに入れる事の製作者側の意図が説明出来なかったんです。そしてそれが漸く理解出来ました。

みなさん、このシーンをどう取られています?

おそらく、杉下と安藤の仲のよさ、杉下の心が安藤によって徐々にほぐれていく様子、と取られたんじゃ無いかと思います。

でもそれは間違いです。あのシーンは杉下の今に瓦解しそうな心理を、空元気で自分と安藤を誤魔化そうとした、それが表れたシーンだったんです。

この理解に至ったキーは、安藤との待ち合わせの際の、街中のクリスマスツリーを見ての『瞬き&シャッター音』です。
これまで『瞬き&シャッター音』は何かが変化する際の瞬間記憶、と理解していました。それがこの作品の思想的背景となっているキルケゴールの実在主義の証左であると。
ですが、よくよくドラマ全体をみると例外があるんです。それが高野が杉下の自宅を訪れた際の『瞬き&シャッター音』です。
この時杉下は過去を思い出しているんですね。島時代を。つまりこのドラマの中で『瞬き&シャッター音』は彼女の中で変化が発生する際の瞬間記憶を表すと共に、『フラッシュバック』を起こした際にも使われいる、という事なんです。
時間軸上では、待ち合わせの際の『瞬き&シャッター音』は高野が杉下を訪ねた直後です。つまり、杉下はクリスマスツリーを見た事で再びフラッシュバックを起こしてしまったんです。
高野でフラッシュバックしたものは島時代の辛い記憶。ではクリスマスツリーでフラッシュバックした記憶とは?それは当然スカイローズガーデンの事件なんです。

フラッシュバクを起こした経験をお持ちの方は解ると思いますが、その直後に普通で居る事は困難です。恐怖で身が竦んだり感情が潰れる感覚に襲われます。
ですから、普通の意味でこの時の杉下のようには笑って過ごす事など出来ないんです。

ですがこの時杉下は笑っていました。それまでの現代編での杉下は一切笑顔が無いにも関わらず。そしてその翌日には緊急連絡先を記載する事が出来ない絶対的孤独の中にいたのに。この時だけ不自然なほど笑顔を見せている。

以上の考察から、この時の杉下の笑顔の意味を読み解くならば、それはフラッシュバックを起こして、今にも潰れそうな心理を無理して明るく振る舞う事で何とか持ちこたえている、という状態と言えます。

この事は杉下の安藤に対する感情も表しています。それは彼女が事件の際に安藤に対してとった行動、入室阻止行動です。これは彼女の中で安藤は『外側』の存在である事の表れです。つまりディキャンプでも安藤はあくまで彼女の心の外側の人物であり続け、彼女は安藤を自らの感情を明かす対象と位置付けられていない、という事の表れである、という事です。

motoさん さんのコメント...

ドラマの謎を読み解くキーが『崩れそうな吊り橋』ですね。

『今にも崩れ落ちそうな吊り橋の向こうに杉下がいたとしよう。杉下が〝助けて!〟と呼んでいたとしたら、きみはその吊り橋を渡るかい?』

私はこの問いを聴いて、このドラマの思想的バックボーンがキルケゴールの実在主義だと確信しました。キルケゴールは著書『不安の概念』で人間の不安を深淵な断崖の底を覗き込む際に襲われる『眩暈』と表現しています。そしてその眩暈は必ずしもその深淵な底を覗き込まずとも、深淵さが自身の存在と関連を持って認識されるならその眩暈を起こす、といっています。

つまり不安とはある可能性が認識され、その可能性が自分自身にネガティブな影響を与える事が予想され、その帰結が見通せない状態の時に陥る心理状態だというのです。

西崎の質問をこの文脈で読み解くならば、
吊り橋が掛かる場所=谷→深淵な断崖
崩れ落ちそうな吊り橋を渡る=落下が濃厚で身の安全を保証出来ない状況
この橋は客観的に観て到底渡りようが無い。この橋が落ちずに渡り得るかは神のみぞ知る、という状況です。

つまり、キルケゴールの言う『眩暈』を覚える状況を設定した上で、成瀬がどう行動するのかを問うた訳ですね。

motoさん さんのコメント...

西崎の吊り橋の問いに対する成瀬と安藤の返答は大変興味深いですよね。
成瀬は『呼ばれれば渡る、と思う』と返し、安藤のそれは『なんだってする!』と答える。
二人の答え、成瀬の返答はなんとなく頼りなさげで、安藤の方が覚悟が座っているように見えるでしょう?それなのに西崎は安藤ではなく杉下を託す相手として成瀬を選んだ。
ここでその西崎の判断の理由として、杉下が安藤に病気を明かさない事を望んだから、とか西崎自身が安藤の将来を杉下の病気で足を引っ張るのを慮ったから、とか色々解釈がありましたよね。
でも、実際はもっとシンプルなんですよ。西崎の判断根拠は二人の答えそのものの中にあるんです。
一般に言われている説を取るとするなら、そもそも西崎は安藤を呼び出して吊り橋の質問をする必要が無いんです。だからこの時の西崎は、杉下の意向は無視して、安藤が彼のテストをパスするなら安藤に杉下の病状を明かすつもりだった。

なぜそう言えるか?というと彼のこの時の関心が『人に頼る事を拒絶し、一人孤独に死を迎えようとしている杉下をどうにか救ってやる事』だからです。安藤にも『あの日が無かったら、杉下は幸せになっていたんじゃ無いかと思うと胸が痛む』と吐露しています。 その事が西崎にとっての大事であり、それ以外は西崎にとってはどうでもいい事なんです。その大事の前では、杉下の意向など小事であり、安藤がどうなるか、という事も小事なんです。

motoさん さんのコメント...

西崎が安藤に杉下の病状を明かさなかった理由が、彼女が西崎に『元気なとこだけ』覚えていてほしい、といったからだとすると矛盾が生じます。
では杉下は成瀬ならいい、と西崎が判断していたのか?
そうでは無いですよね。西崎から観て杉下には安藤が不可で成瀬ならなら可だとは見えていません。成瀬に対して『誰の助けも得ようとしていない』と言っています。その『誰の』には当然成瀬も含まれる。
また西崎が『安藤の将来を慮って』口をつぐんだのなら、成瀬の将来はどうでもよかったのでしょうか?それもありえないですよね。
ですから西崎がこの時安藤に対して口を噤んだのは、世間一般に言われる理由ではあり得ないのです。

なら、西崎はなぜ杉下を成瀬に託したのか?
それは先に書いた通り、彼ら二人の答えそのものに理由があり、安藤の答えは西崎には失格であり、成瀬の答えは合格だからです。

安藤の答えは『なんだってする』でした。一見非常に頼もしく見えます。ですがこの答えは、西崎の問いに対する答えとしては不適切なんです。なぜ不適切かといえば、西崎が設定した状況においては、幾つも選択肢は無いんです。選択肢は橋を『渡る』か『渡らない』かのどちらかしか無いんです。それ以外に選択肢は無いんです。
これは明示されていません。明示はされていませんが西崎が杉下に対する安藤の覚悟を問いただしている質問で設定された状況に対して、それ以外の状況が存在する事を前提に『なんだってする』と返す事がすでにナンセンスなのです。

この安藤の無意識の前提は、安藤の本質を表しています。安藤は今にも崩れそうな吊り橋を『渡れない』のです。ですからそれ以外の選択肢が存在する事を無意識に前提としてしまうのです。

つまり安藤は不確実な、どうなるか解らない事を前提とした状況に飛び込む事はしない、出来ないのです。つまり彼は自分の力量と努力以外の力、ある種の偶然、幸運といったものに身を預ける事が出来ない。これは言い換えれば、安藤は『奇跡』を信じていない、という事なんです。

motoさん さんのコメント...

この安藤が『奇跡を信じない』という点がポイントです。
この時杉下を西崎はどう見ていたのか?
たとえそれが成瀬であったとしても、おいそれと杉下を絶望の淵から救い出す事が困難なように見える。家族や自分を含む友人の助けも拒絶し、あえて孤独な死を望むかのように見える。まるでそれを自ら課したがの如く。
それは非常に頑なで、ある意味意固地。その杉下を救うためには、彼女が自ら救われてもいい存在であると、彼女の内なる認識をひっくり返すしかない。
それは彼女自身の内部の問題であり、外からどうのこうの言ってもどうしようも無い領域の問題なんです。

このような状態が杉下の心理です。キルケゴールはこのように他者の救済さえ拒絶する心理状態を『悪魔的絶望』と呼んでいます。キルケゴールによれば極度に深まった絶望が取る一形態だと言います。

このような杉下が自らを『救われてもいい存在』と認めない限り、彼女を救い出す事は出来ません。そして、救いを拒絶している彼女が『救われてもいい』と考えを改める事が起きるとするなら、それは言わば奇跡なのです。奇跡が起きなければ、彼女の心を開く事などできないのです。

さて、それではここで再び安藤の西崎への返事に戻ります。

杉下を救うには奇跡を起こす必要がある。そうでなければ彼女は心を開かない。しかし奇跡を起こすべく働きかける側が奇跡を信じる事ができず働きかけたところで奇跡など起きはしないのです。
これが西崎が判断した事情です。
この時安藤は杉下の奇跡を起こすべく働きかける立場。その安藤が自らを奇跡を信じずに杉下に奇跡を起こす事などできない。

だから安藤に対して西崎は口を噤んだんです。

motoさん さんのコメント...

野口がシャルティヒロタへメニュー変更を連絡した事情についてです。
これについて従来からの考えを変更する事にしました。
従来は安藤が野口に対して自分が将棋に負けた際には杉下にプロポーズする意向を伝えていた、という解釈だったんです。

ですが、状況を今一度整理し直したらどうも違うと思いました。

安藤が杉下に自分のプロポーズを受けるかどうか探りをいれたのは、野口が賭け将棋を持ち掛けた日、野口宅からの帰り道です。この時、既に安藤は杉下に初めて将棋で勝ったのと同じ駒組で野口を追い込んでいました。
安藤の立場に立って状況を見て見ましょう。

安藤が杉下へのプロポーズを考えたのは、この賭け将棋がきっかけです。もし自分が海外へ赴任する事になるのだとしたら、杉下を連れて行きたい。なぜならエネルギー開発における海外赴任となると、そう簡単に日本に帰る事など出来ないからです。もし別れ別れとなった場合、杉下との関係は切れると判断していい。彼にはそれでも杉下との繋がりを確信出来るようなものは無いからです。まして杉下には部屋を訪ねてくる島時代の同級生の存在がある。
この状況下で安藤が取りうる方針はこうなります。
もし杉下が自分のプロポーズを受けるなら、将棋に負けてダリナ共和国へ赴任。安藤にとってはそのキャリアの為にこの赴任は魅力的です。
しかし、杉下が今の段階で自分のプロポーズを受ける見込みがないなら、将棋に買って国内残留を目指す事になる。
これが安藤の基本戦略になります。

しかし勝負を始めた時点ではまだ杉下の感触は不明です。そうすると、杉下へ探りをいれて感触を確かめる前の段階では、少なくとも野口に対して優勢に立っておく必要がある。
そして実際に野口に対して優位に立ち、杉下の感触を確かめ、行けそうだ1と判断してプロポーズする事を決めた。

さて、ここからが問題なんです。
従来はの判断では、この状況で安藤が野口に対して、自分が負けたら杉下にプロポーズすると伝えた、というものでした。
しかし野口は男と男の真剣勝負、として会社の人事を掛けている。もし安藤がこの状況で野口に自分の意向を伝えたとしたなら、それは自らの『ワザと負ける』と宣言する事に等しい。安藤の性格とこの時の勝負の性質を考えると、これはちょっと解釈として不自然だと思うんです。

motoさん さんのコメント...

安藤は野口に対して、自分が杉下にプロポーズする意思を伝えていない。
それにも関わらず、野口には安藤が杉下にプロポーズする事を予測してメニューの変更をシャルティヒロタへ連絡した…
なぜ野口は安藤が杉下にプロポーズすると予想し得たのか?

ここで、一旦野口が予測し得たの理由の詮索は置いておく事にします。チョット迂回てきですが、この時野口が置かれた状況を考えたい。

この時野口はダリナ共和国での世界最大規模の太陽光発電プロジェクトに自分の手駒から一人若手を拠出する必要に迫られていた。プロジェクトはまだ企画段階であり、三羽商事が受注した訳ではない。言わば派遣される連中はそのプロジェクトを三羽商事が受注するための特命チームになる。もしこのプロジェクトが取れれば三羽商事の利益になるだけでなく、油田開発で失敗した野口個人に取っても名誉挽回になる訳で、野口としては是非取りたい案件と言える。そういう意味では自分の代理として相当な力量者を送り込みたい。
しかし社内における奈央子に関するメールの流通など考えると、自分の手駒の中でさえ彼が気を置いて任せられる人材は正直居なかったとみて良い。
そんな中、油田開発のパートナーだった企業の重役からさえ自分を差し置いてまでその力量を認められつつあり、自分もその力量を認めざるをえない、そして沖縄でのダイビング以来自宅に招き奈央子の事も良く知っている安藤は野口の眼から見てこのプロジェクトに現地に派遣する人物に相応しいように見える。
野口からすると、是非安藤をダリナ共和国へ派遣したい、そう思っていたはずです。

motoさん さんのコメント...

しかし、海外赴任となると転勤命令一本では動かせません。本人の同意を取り付ける必要がある。生活環境、文化ギャップ、安全上の問題、子供の教育…。これらは国内の移動と一緒に考える事は出来ません。ですから海外赴任になると、本人の意向を無視しては命令は出せないんです。

野口が安藤から同意を取り付ける上で、一番問題だろうととったもの。それが実は安藤と杉下の関係だった。野口には二人は恋人関係と認識されています。安藤が杉下との関係を理由に赴任を拒否する可能性は野口には十分あった。杉下は翌春の卒業と就職が決まった状態。まして杉下は野口にも一人ででも生きて行ける力を得ようといている女性に見える。普通にかんがえれば、仮に二人が結婚するとなったとしてもまだまだ先。
この状態で安藤が海外赴任すれば二人の関係が壊れる事は日の目を見るより明らか。杉下とも近しい野口とすれば、恋人の上司の転勤命令で二人が訣れる事になるのは忍びない。また、杉下個人の資質を見ても、バイタリティがあり生活力が豊かで言葉の問題もない…
海外赴任する商社マンの伴侶に相応しい存在に見える。
そうすると、野口には安藤を赴任させるには杉下をどうにかしないといけない存在なんです。

motoさん さんのコメント...

また、野口は結婚に関してこんな事も安藤に向かって言っています。
『その気があるなら、早いほうがいい。海外に連れて行くとなると、誰でもいい、というわけには行かない』
事件が全てつまびらかになった今から考えると、この発言があった頃にはもう野口の中には安藤のダリナ共和国赴任がイメージされていたととっていいと思います。野口から見て、その時点で安藤が伴侶を得るとするなら杉下以外の可能性はない訳ですし、後半については杉下に対する評価と取ってもいい訳です。仮にダリナ共和国で無くとも、部署から見ても早晩海外赴任の可能性が濃厚な安藤が今結婚するならそれは杉下であり、杉下は十分資質がある、というのが野口の判断である、という事です。

motoさん さんのコメント...

一方ではこういう見方も出来るかもしれません。
安藤と杉下が、今の関係のままに止まるなら、野口には安藤は国内残留を目指すと思われた。でも、もし安藤が杉下から振られたら?安藤には国内に固執する理由はなくなる。そうすればもともと安藤のキャリア的には魅力的な話だから安藤が受けない理由は無くなる。安藤は話を受けるだろう、と野口には考えうる訳です。

そうすると、野口には安藤をダリナ共和国へ赴任させるには、安藤を杉下にプロポーズさせ、二人の関係が今の状況から変化させる事が必要だった。仮に杉下がそれを受ければ、そもそも安藤にはいい話だから安藤はダリナ共和国へ赴任。仮に杉下が安藤を拒絶すれば安藤は国内にこだわる理由もないから、安堵はダリナ共和国へ赴任。

つまり野口から見た時、安藤をダリナ共和国へ赴任させるには安藤に杉下へプロポーズさせる事が必要だった。安藤にプロポーズさえさせれば、安藤をダリナ共和国へ派遣できる状況が生まれる訳ですね。

つまり野口は掛け将棋の段階で、安藤に対して杉下にプロポーズしろ、とけしかけた訳ですね。その上で安藤がプロポーズする事を前提に、杉下が受け入れた時用にシャルティエヒロタにのメニュー変更を連絡した、と推理出来ます。

motoさん さんのコメント...

野口は安藤に掛け将棋を持ちかけて、その最後にこう言った。
『もし安藤くんがダリナ共和国に行く事になったとしたら、希美ちゃんはどうする?俺から見ても希美ちゃんは君の伴侶をとしてとてもいい相手だと思うけど』

ここでまでなぜ野口が安藤が杉下にプロポーズする事を知りえたか?については整理できた。最後に残る問題はなぜ安藤の赴任話を、『掛け将棋』という方法を使ったのか?という問題。

嫉妬、挑発。

嫉妬はあるだろうな、カニのエピソードの時と油田開発のパートナー企業の重役から結婚話を持ちかけられた時と。野口の嫉妬心を示す描写がしっかり織り込まれていた。野口には安藤の能力に対する嫉妬があったのは間違いない。

あと、野口にはプライドがあったと思われる。安藤の力量を認め、それに嫉妬しつつも『俺はまだ負けんぞ!』という気概はあったとおもう。それが掛け将棋を持ちかけた際に出ている。『どうだ、俺に負けたままで終わりたくないだろう?』と言っていますね。これは挑発ではあるけれど、挑発の材料になるという事は、誇示している訳でそれはプライドな訳だ。

そして上記でも書いた通り、安藤を挑発している。『男と男の真剣勝負』とも言っている。

でもなぜ掛け将棋なのか?
なぜ普通に安藤に赴任を話すという方法ではダメなのか?

motoさん さんのコメント...

野口が普通に安藤を説得するとしたとすると、かなり下手に出る必要がある。
なにせ赴任地は『電気もガスも撮っていない』土地。まして杉下との事もある。そのまま安藤がダリナ共和国へ行けば、間違いなく二人に別れる事になるのは必定。ここで普通に安藤を説得するとなると、野口が頭をさげる事が濃厚。まして条件を付けられるのは日の目を見るより明らか。これは野口には受け入れられなかったんでしょう。
もし相手が端にも棒にもかからない相手なら、多分野口もいくらも頭を下げたんでしょうけど。相手が力量があり、ライバル視せざるを得ない存在、その能力に嫉妬する帆どの相手。そのような若造に、頭が下げられなかった。多分これが真実。
『この若造には俺はまだまだ負けんぞ!』という感覚でしょう。
プライド。野口が二十年近く掛かって築いてきたものを、わずかな期間で超えていくかもしれない存在に対する対抗心。それが野口に普通に説得する手段をとらせなかったんだと思う。

motoさん さんのコメント...

ちはやふる 下の句を鑑賞。
上の句の方が引き込まれ感があったな。
個人的には広瀬すずより、上白石萌音の方が好み

motoさん さんのコメント...

某所でしたコメントより転載

>>>>>>

西崎に『希美を連れ出してほしい』と頼んだのは、野口から自分が棄てられる可能性に恐怖したからです。
奈央子が恐怖していたのは、『一人で生きてゆく力』が皆無な自分が、野口から愛想をつかされ、野口が『一人で生きてゆく力』をもった人物に流れるのではないか?という自分と野口の関係に自信を持てなかったから。

奈央子の懸念、心配は野口の暴力の前から存在しました。きっかけは土地問題から野口と杉下が二人だけで話をし、また野口がそれについて杉下から届いた手紙の内容を奈央子に明かさなかったから。
野口が話の内容が内容だけに、奈央子にそれを明かさなかったために、二人の関係に疑念を抱きました。一時期頻繁に野ばら荘の杉下を訪ねましたよね。それは、杉下が野口に接近する理由を知りたかったからです。

そこで奈央子は杉下と安藤が恋人関係ではない、という事に目ざとく気づきます。そして一方で杉下という人物が『一人で生きてゆく力』を持とうとしている、つまり男には媚びない生き方を目指している人物だという事にも気づいた。
それなのに安藤との恋人関係を偽装してまで野口に接近する杉下の魂胆がわからなかったのでなおさら奈央子は不安を募らせたわけです、

そのような状態から野口の暴力はが始まり、流産した。
流産がトリガーとなって、精神的バランスを失い、すべての要素が奈央子にはネガティブな方向へ転がり落ち、あの時ピークに達した、というところでではないでしょうか?

つまり、もともと奈央子には自分に『一人でで生きていく力』が無く、何かの拍子で野口のから愛想を尽かされる可能性をかんじていた。そこに『一人で生きる力』を得ようとしている杉下のが現れた。彼女は野口本人へのさしたる興味もないはずなのに、偽装してまで野口に接近してくる。その魂胆が彼女にはわからず、野口から自分が棄てられるかもしれない、という恐怖が現実のものとなった。
一方、杉下が何を魂胆としようとしているかを探る過程で西崎と接点が出来、彼が自分と同様の経験を持っていた事から心理的接近をした。それが野口の嫉妬を生み、野口の暴力を読んで子供が流れ、精神的不安定を起こす。
野口からから棄てられるのが耐えられない奈央子としては、野口の暴力が自分に向く間は彼の関心が自分に向いている証であり、それを野口の自分に対する愛、として彼に執着し、暴力はを受容した。彼が自分に暴力を振るう、という状態は彼の関心が自分に向いている、という意味でもあり、ある種の安心感をその暴力の中に見出していた。
一方で沖縄土産の貝殻が西崎に渡されていた事実から、西崎と杉下が近しい関係にある、と理解した奈央子は西崎が杉下を止められる存在ではないか?と過剰な期待した。

しかし野口から半ば監禁され、外界と遮断され、野口と杉下の関係は止まず、自分が棄てられる恐怖は増大する一方で、それを止められるかも、と期待した西崎とは連絡を遮断され続けた為に精神的ストレスは溜まり、西崎に対する期待もそれに比例して増大した。
そうしたネガティブなものがピークに達したのが、あの事件時というふうに理解しています。

ちなみに、西崎とは肉体関係はありません。それは西崎が野口に殴られている場面で『そんな関係じゃない』と言っています。

motoさん さんのコメント...

某所での投稿より 物語全般のまとめとして

・杉下には成瀬は火で自分を解放してくれた神様であり、同時にトラウマ、囚われ
・彼女の独立志向は成瀬を巻き込んだ事の後悔、罪意識の発露
・杉下が成瀬に惹かれたのは『どんな状態の自分でも変わらず受け入れて貰える存在感』
・杉下の『究極の愛』は彼女の心を守るための精神保護機構
・杉下の『野望』は空っぽ。「野望」実現、独立志向は成瀬との繋がりを確かめる代理行為で彼との『誓約』
・杉下のストレス発散法は料理を作る事。『冷蔵庫のトラウマ』はその結果
・ゴンドラで杉下は成瀬を諦めた。杉下が安藤に感じたのは『敗北感』と『釣り合わなさ』で安藤に対して全く気が無い
・ゴンドラ以降、杉下が心理的に接近したのは西崎。杉下の同類探し癖『火を象徴とするトラウマ』の結果
・杉下は結婚式での再会で、諦めた成瀬への気持ちが再燃
・事件当時は杉下は西崎と成瀬の精神的二股状態。
・杉下が作戦に込めた魂胆は『西崎の奈央子救出(=人妻略奪という罪)に協力(=罪の共有)し、且つ自身の西崎に対する感情は、西崎が〝杉下の究極の愛の相手〟と思っている成瀬と自分の共同作業でカモフラージュ(相手にも知られず)した上で、作戦終了後には本気で成瀬と関係を再開させる(=西崎から黙って身を引く)』
・成瀬は杉下の気持ちが西崎にある事を判っていた
・成瀬が車中で考えていたのは杉下を安全に野口宅から退避させ、安藤の杉下へのプロポーズ機会を潰し、かつ安藤の地位保全を確保するための野口への作戦バラし
・安藤の僻地赴任は『抜擢人事』
・杉下の『安藤の僻地赴任阻止行動』は『本人の努力や能力に関係無く、大人の身勝手な都合で若者の未来が潰される』事への激烈な反発心から
・杉下と成瀬は島時代にお互いを縁にして、そういった現実への抵抗と脱出を図った
・杉下が野口に挑発行動を取れたのは、『もう少しすれば成瀬が到着する。成瀬であれば何とかしてくれる、成瀬とであれば自分は何だって出来る』と自分を鼓舞した結果
・杉下が野口を挑発したのは、『西崎が野口に殴られて警察沙汰にする』以外の方法を思いつかなかったから
・事件の三人による偽証は罪の共有では無く共謀。偽証が通ったのは安藤を含む四人による、それぞれの思惑(エゴ)を抱えて挑んだ暗黙の取引、ゲームが成立したが故。
・それぞれの利益が達成される共通の手段が『安藤の外鍵の隠蔽』
・杉下が共謀に乗ったのは成瀬を事件の外に置くため(さざなみの蒸し返し阻止を含む)
・杉下が成瀬に安藤の外鍵の隠蔽を依頼したのは、安藤が三人の偽証をひっくり返す事が出来る存在だから
・安藤は事件が奈央子による心中だと理解していた。事件について口を噤んだのは杉下が嫌疑の対象になるのを防ぐため
・鍵を掛けた安藤は杉下、西崎、成瀬から嫌われた。安藤はそれを判っていた
・安藤が三人を尋ねたのは三人から赦されたいと願ったから
・成瀬は事件の全真実を理解していた
・成瀬は杉下のN=安藤?と誤解した
・成瀬と杉下の血染めの手繋ぎは、成瀬からの『怒りの決別宣言』
・杉下は成瀬から嫌われた事が判っていた
・杉下が安藤の指輪に涙したのは、野口を挑発する必要が無かった事に気付き、自身の罪深さをさらに思い知ったから
・西崎の「ありがとう、杉下」の意味は「ごめんなさい」
・杉下の「似たようなこと」の意味も「ごめんなさい」
・杉下にとっての十年は、罪深さから自身をすり潰すための期間。野望も上昇志向も独立志向も無く、ただ自分をすり潰したいがために敢えて困難な生き方を選んだ。富も名声も社会的地位も彼女にとってはどうでもいい事。
・西崎は安藤が杉下を救い出すことができないと判断した。「何だってする」=今にも堕ちそうな吊橋を『渡れない』=安藤は奇蹟を信じていない=安藤では人に頼る事を拒絶する、絶望している杉下に奇蹟(人と寄り添いたいという心理)を起こす事が出来ない
・成瀬が杉下と接触を断ったのは、西崎の出所まで杉下の感情に介入しないため
・成瀬の「杉下の人生や、杉下の思う通りに生きたらええ」で念頭にあったのは西崎
・杉下が「甘えられん」のは、成瀬に対する罪意識。杉下が「甘えられん」を乗り越えたのは成瀬の申し出を拒絶する事に対する『冒涜感』
・杉下は残された全ての時間を成瀬を愛するために使おう、という覚悟で成瀬のもとに帰った。この時父親の事も理解した
・杉下は成瀬の前にまっさらでありたいと願った。そのために母親との確執さえ除去しようと母親を尋ね、安藤への心の蟠りさえ捨て去った。
・杉下は成瀬に歪みっぱなし、翻弄されっぱなし。それに伴う辛い囚われが二人を結びつけ続け、それ故杉下は成瀬の元で魂の上昇と解放を得て至福に至った

最初から最後まで、杉下に纏わる全ての事に成瀬が影響している、 というのが私的なNの世界観です。

motoさん さんのコメント...

あー、小豆島行きたい!小豆島行きたい!

motoさん さんのコメント...

杉下の、キャンプの際のから元気は、安藤にもバレバレでしたね。

安藤は翌日西崎と会っています。その際『別人みたいに元気がない』と言われてしまっている。如何に取り繕うとも、安藤にもバレる程に杉下は病んでしまっていたんですね。フラッシュバックで。

motoさん さんのコメント...

今日、とんでもない可能性に気づきましたよ。成瀬の偽証意図、偽証動機です。
多分、日本中の『Nのために』ファン誰一人として気づいていない論理的可能性です。

成瀬の偽証意図、誰もが杉下を護るため、と思っていますよね?私も今朝までそう思っていました。
でもね、成瀬が偽証した意図は『自己保身』なんです。
これを否定出来るものはドラマ内で提示されていません。
ひょっとしたら、このドラマ最大のドンデン返しかもしれない。

motoさん さんのコメント...

成瀬に関しては補足が要りますよね。

全てをここで説明するのは骨なんで、適時本編の記述をフォローしてください。

成瀬の『自己保身偽証説』を理解してもらうには、成瀬には全体がどう見えていたのか?を理解する必要があります。簡単に振り返ります。

1.成瀬は杉下の西崎への感情を理解していた。杉下が西崎に協力するのは杉下が西崎を愛しているから。ただし、杉下が作戦後、成瀬本人との関係再開を願っていた事は成瀬には見えていない。

2. 成瀬には事件の真相を理解出来ていた。その上で自分が西崎と取り決めた事件処理方針を杉下が受け入れたのを見た時、杉下は西崎を護るために偽証を受け入れた、と見えていた。

3.安藤が入室してからの杉下の行動、入室阻止行動と成瀬への外鍵隠蔽依頼及び杉下が『奈央子救出作戦』を野口にバラした理由、安藤のプロポーズ情報などから成瀬は杉下の偽証意図が『安藤保護?』と誤解した。

4.成瀬は安藤が許容できない。彼が鍵をかけた理由も観えているが、彼の行ったわがままな危険な行為であり、嫌悪の対象。

5.その安藤を護ろうとする(ように見えた)杉下を同様に嫌った。だから血染めの手繋ぎは成瀬から杉下への怒りの決別宣言

上記がこれまでの理解です。

motoさん さんのコメント...

さて、成瀬の偽証意図の続きです。

上記まではもう見えていたんです。成瀬は杉下を嫌った。杉下も成瀬から嫌われた事が判った。杉下は辛いですよね。彼女は自分が成瀬から嫌われた事を知りながら、それでもさざなみを蒸し返させまい、と偽証した訳です。そして彼女の真意を伝える術さえ断たれた。成瀬が杉下を自分から遮断するために事件後すぐに携帯番号を変え、バイト先さえ辞めたから、彼女は成瀬を追えなくなったんです。恐らく住まいも移った筈です。成瀬は島の友人や母親にさえ自らの連絡先を隠したんだと思われます。ここまですると杉下にはもう成瀬を追えないんですね。そしてそれ程までに自分は嫌われたんだ、という現実を突きつけられた。
そして成瀬の自分への対応が、彼女の安藤に対する対応なんです。
杉下は安藤との関係を絶つために携帯を変え、野ばら荘を出た後は当然住所も明かさない。安藤は西崎の部屋で杉下の住所をチラ見して把握はしたものの、デイキャンプの待ち合わせも街中と、彼女から住所を教えてもらえてない。

ここの部分については安藤から杉下宛にSNSのメールが着たから、二人は連絡を取り合ってたんじゃ?と思われている方が大多数でしょうけど、これはトリックがある。
SNSがLINEの場合、安藤が杉下の携帯番号を知らずとも杉下のアカウントが安藤に知れるんです。これについても本編に記事をあげてあります。
さらに反論があり得るとすると、杉下が空港から安藤へ電話するシーンがあります。状況としては杉下から安藤へ電話をかけたと思われますが、これも杉下は安藤へ携帯番号を明かさずに杉下側からLINE音声通話を掛ける事が出来る。その上でLINEを止めてしまえば、彼女は安藤と縁を切る事が出来る。

ここらもドラマの謎解きの上で、制作側が仕込んだトリックですね。

あっ。いかん!成瀬の偽証意図に触れてない?また次で。

motoさん さんのコメント...

ちょっと脱線しました。成瀬に戻ります。

杉下を誤解し、嫌った成瀬でしたが、それでも彼が偽証したのは、杉下を殺人の嫌疑から除外するため。そう思っていました。
でもね、ここにも一つトリックがあったんです。杉下の安藤僻地赴任阻止行動と同じなんです。
杉下の場合、奈央子による心中前後で行動原理が変わっています。

安藤の僻地赴任阻止行動→成瀬のさざなみ蒸し返し阻止

これが彼女の行動原理の変化ですが、成瀬のさざなみ蒸し返し阻止の方法として外鍵の隠蔽を行った。これが表面上安藤を庇う効果を伴うから視聴者には一貫して安藤を護る行動を杉下は取った、と見えている。

これと同じ操作を成瀬に対しても製作者は行った、と。

成瀬は杉下の意図を誤解する前後で彼の行動ルールが変わった可能性があり、それを否定出来る描写はない。つまり

杉下の嫌疑除外のための偽証構造構築、指示→自己保身のための偽証

偽証の構造上、成瀬は作戦に関与していない。これは当初の意図は杉下の保護ではあるけれど、それは彼自身の計画への関与の否定であった。彼が杉下を誤解し、彼の行動原理が変わったとしても、偽証構造上彼はそのまま自身の計画への関与を否定する事が彼の利益なんです。

ではなぜ彼の偽証意図が変化し得るか?となると、これは杉下への感情なんです。
血染めの手繋ぎは誤解した彼の、杉下への怒りの決別宣言。そういった彼の以後の行動原理としては、『それでも成瀬は杉下を護る為に』行動した、と説明するよりは『自己保身』とした方が自然です。

島で高野は成瀬と再開し、成瀬にスカイローズガーデンでのNは誰であったのかを問いました。『お前のNは希美ちゃんやったか』。これも今思うと視聴者への事前刷り込みですね。スカイローズガーデンでの相互の関係性から観て、成瀬にとってのNは杉下以外にはあり得ないのに、わざわざ高野に成瀬のNを杉下、と言わせる事で、成瀬の行動原理の変化を視聴者へ隠蔽したんですね。これは安藤に対して高野に『無性に嘘をつく人間もいる』と言わせる事で、視聴者に刷り込みを行ったのと、同じ演出をここでもやったんですね。

このドラマ、本当に徹底してるな。

motoさん さんのコメント...

しかし悔しい!

成瀬が杉下をスカイローズガーデンで嫌った事には去年の夏頃、ここを訪れた人たちとの議論の中から気づいたんです。そこまで行っていたのに、成瀬が最後の最後、捜査機関に偽証した時点での彼の動機が変化し得る事まで、思考が届かなかった!

でも、ここまでくると四人の偽証意図(捜査機関への証言段階)が世間での評価から完全に逆転するんですよ。

西崎に関しては『自分を除く全員(杉下、安藤、成瀬)を保護する意図』が、『西崎個人のエゴの押し通し』
安藤については『鍵を掛けた自分の責任回避(自己保身)』が『杉下への嫌疑回避』
杉下については『安藤の外鍵責任回避』が『成瀬のさざなみ蒸し返し阻止』
そして成瀬が『杉下の嫌疑回避』が『自己保身』

完全に世間の評価から逆転してるんですね。

鉄板であったはずの、成瀬の偽証意図さえ逆転させてしまうんだから、このドラマは!と改めて思う。

でも困ったな〜。
成瀬の現代編での行動を改めて評価し直さないといけないな。前提が変わってくるからね

motoさん さんのコメント...

某所にて家族サービス中。暑い!死にそう!

motoさん さんのコメント...

成瀬のスカイローズガーデンでの偽証動機が保身。
そうすると、真っ先に評価し直さないといけないなのは、彼の『杉下の人生や、杉下の好きなように生きたらええ』の発言なんですね。
これは『杉下のN=安藤?』と誤解していた成瀬が、冷静になってからやはり杉下の偽証動機は西崎、と思い直して西崎を愛しているなら、杉下は西崎に寄り添うべきだ。そういう背中を押す意図が込められた発言だと取っていたんです。

でも、一つ腑に落ちなかったのは、西崎が成瀬にした電話での二人の会話なんです。
西崎はこの時、杉下が余命幾ばくもない事を成瀬に告げ、成瀬に杉下を救って欲しい。そう説得したはずです。
そしてそれは成瀬の知らない、杉下の偽証受け入れまでのプロセス、つまりは西崎の偽証要求は拒否したにも関わらず、成瀬の偽証指示は受け入れた、という部分です。つまり西崎には杉下の偽証意図は成瀬である事が明白であり、彼はそれを成瀬に伝えているはずなのです。

当初の解釈では、それでも成瀬は自分がそれを直接見ていないから、成瀬の中ではその可能性を残しつつ、自らを杉下に再提示する、という意味で、あのような表現が取られたと取っていました。

でも、西崎がわざわざ成瀬が知らない事実を開示していたはずの事項を聞いたにも関わらず、それに疑問を抱えたままの状態で事にあたる、というのは、、ミステリー的には苦しい。成瀬は西崎の説明で自分の誤解が溶けた、とした方がシンプルなんですね。

motoさん さんのコメント...

ただ、従来の誤解説だけでは、この時の成瀬の発言趣旨を説明するためには、杉下の西崎への感情を残しておかなければ、説明できなかったんです。成瀬は『杉下から自分が選ばれない』事を可能性として前提に話をしているからです。
ですが、成瀬の偽証意図が『自己保身』とするなら、もっとここの部分がシンプルになる。

成瀬と杉下の血染めの手繋ぎは成瀬からの『怒りの決別宣言』です。彼は自分の怒りを杉下に伝えるために彼女の手を取った。ですから彼女には自分の感情、怒りが伝わっているという認識がある。そうであるなら、もう一歩進んで、結局成瀬の偽証意図は何であったのか?それは自らの保身である、と杉下が気付くと成瀬には見えている訳です。恐らく杉下にもそれは見えていた、としていいと思います。

そうすると、成瀬はスカイローズガーデンでの偽証動機から、彼女に対して後ろめたさを抱えていた、とした方が自然なんです。

motoさん さんのコメント...

この、『成瀬が抱えた杉下に対する後ろめたさ』があるなら、彼が自分が選ばれない、という可能性を前提とし得る。西崎に対する杉下の感情、というものを前提から外しても、同じ発言をする心理が成瀬には生じ得る訳です。

motoさん さんのコメント...

成瀬の後ろめたさについて補足します。

事件直後、彼は自身の偽証動機に対して後ろめたさは感じていません。
彼は杉下の外鍵の隠蔽依頼を『安藤保護』を目的としたもの、と感じそれに対して怒りを覚えた訳ですから。
ですがどこかのタイミングで、それが自分の誤解だった事に気づいたのです。
彼の後ろめたさは、その誤解に気づいた後に発生したとした方が良いでしょう。

基本彼は非常に頭の良い人間です。杉下の『外鍵隠蔽依頼』が安藤保護が意図では無く、西崎保護の意図であった、と考えを改めたタイミングがあった。事件前杉下が西崎に協力するのは杉下が西崎を愛しているが故、と彼は理解していたからです。そして西愛する奈央子を犯人にしたくない、という動機から西崎が自ら罪を被り、その感情を知る杉下が西崎の意向にそうためには安藤の外鍵の隠蔽が必要だった、という理解をした。

これは10年のうちのどこか、としか言いようがありません。ただ、どこかで気づき、自身の偽証意図が怒りにかまけた自己保身であった事に恥を感じた。高野と再会した際、妙におずおずした様子で杉下の事を尋ねたのは、その印です。

motoさん さんのコメント...

成瀬がいつ、杉下のN=安藤の誤解に気づいたのか?
自分の過去の投稿を振り返って整理しました。
事件から暫くの後、怒りがある程度収まった時点で、『もしかしたら、自分は勘違いしたのかもしれない』そういう気付きを得たと考えられます。
怒りが収まれば、彼は冷静な人物です。自分が直接見聞きした情報、島時代も含めた彼女の行動特性、そして何より偽証の構造に改めて考えを巡らせれば、彼女が外鍵の隠蔽を依頼してきた理由が、成瀬自身がその必要性を感じたものと、全く同じだった可能性に気付けるのです。
杉下のNは安藤ではないかもしれない。この可能性が、彼に自らの偽証意図、自己保身への恥じらい、後ろめたさを生みました。そしてそれは彼女に対する罪の意識です。

この罪意識が高野に対しておずおずとした問いになっています。この時まで、彼が杉下のNgs安藤ではない、という可能性に気づいていないならば、高野に対してこのような態度にはならないでしょう。

motoさん さんのコメント...

成瀬は高野との会話でどこまで認識できたでしょう?
高野の、成瀬への返答は『変わらんよ、あの子は。強い子やけん』。
この言葉で成瀬が何を理解し得るか?
高野が知る杉下は島時代の杉下です。ですから今の杉下は島時代と変わらない、と言っている事になる。ではその島時代がどのようなものであるのか、となると、彼女の島時代とは辛い現実との闘いだった。つまり高野は杉下は今も島時代と変わらず辛い現実と闘っている、と成瀬に伝えた訳です。
もし杉下が安藤を自らの保護意図として偽証したのであるなら?成瀬には安藤が杉下を嫌疑対象から除外する意図で口を噤んだ事は理解出来ていましたから、相互の意図は合致しています。偽証構造からいっても二人が事件後に接点を持ち、新たな関係性でいる事の方が自然であるのに、そうではない、という事が理解出来る。10年の過程で二人が分かれた、という見方もあり得ますが、人間的センスから冷静に分析すれば、外鍵を掛けた安藤を、杉下は自分と同様に嫌悪して関係性を絶った、と理解した方が自然です。
ですので、少なくとも高野との会話で、杉下が安藤保護を意図して偽証したのではない、という事が確定した事になります。

motoさん さんのコメント...

ここで、ちょっと脇に逸れますが、世間で流布しているこの時の杉下の態度に関する解釈について異を称えさせて貰います。

『杉下の偽証意図は安藤の保護。杉下は彼を愛していた、もしくは自分の上昇志向のシンボルとして彼を保護したかったから。彼が犯した罪(外鍵を掛ける)を共有し、さざなみ時に成瀬と距離を取ったのと同様に安藤から距離を取った』

これが一般的な解釈です。でも、こんな解釈は絶対に成立しないんです。

まず、この解釈はは事件の偽証構造を誤解しています。安藤を含めた四人の偽証の本質は安藤の外鍵ではありません。作戦の存在の隠蔽です。作戦の存在のを隠蔽するための手段として安藤の外鍵の隠蔽がなされたのです。

安藤の入室前、杉下は救急への通報を打ち切りました。鍵が掛けられているのを見て、安藤が鍵を掛けた事に気づいたからです。その後奈央子が自殺し、西崎が偽証を要求しましたが杉下はそれを拒否しています。つまり安藤を保護する意図で作戦を隠蔽する事を拒否しているんです。安藤を保護する意図で偽証するなら、この時点で杉下は偽証を受け入れているでしょう。なぜならその後入室し、杉下に偽証を指示した成瀬も西崎の案に沿っているからです。西崎の要求も成瀬の指示も偽証の本質には差がない。ですから杉下が安藤保護の意図で偽証した、という解釈は否定されるんです。

motoさん さんのコメント...

どうやら杉下役の人と安藤役の人が入籍を発表したらしい。

でも、役者さんにはそれほど強い思い入れはないので、この件についてはこれ以上は触れない。

ドラマの世界観と現実世界を混同するのは頂けないと思うので。

motoさん さんのコメント...

さらに証拠があります。もし本当に杉下が安藤を保護するのだとしたら、作戦の存在を警察にバラす事にして、その上で安藤の外鍵を隠蔽するよう二人と口裏を合わせるのが合理的です。しかし彼女はそのような行動はとっていません。西崎の偽証要求は拒否していますが、その理由はあくまで『なにもやっていない西崎が罪を被る必要はない』というものであり、そこには安藤に関する判断は有りません。杉下は後の独白で『一番大切な人の事だけ』『一番大切な人が一番傷付かない方法』を考えた、と言っています。安藤を事件から一番遠ざける方法を彼女が取っていないという事は、彼女の頭の中には安藤は無いんです。仮に西崎に対する配慮があったのだとすれば、それは杉下の懐述と矛盾するんですね。
杉下が偽証を受け入れたのは、成瀬の指示によります。ですが先ほど書いた通り、西崎の要求による偽証と、成瀬の指示による偽証は本質的には同じなのです。
つまり、杉下が本質的には同じ偽証を、成瀬入室前には受入出来なかったのに、成瀬の指示なら受け入れられたのは、成瀬が入室する事で判断基準が変わった、という事であり、それは成瀬そのものである、という事なんです。

つまり、偽証の本質的な構造と杉下の偽証受入過程を観察すれば、杉下が安藤保護を目的に偽証した、という解釈は成立しないんです。

motoさん さんのコメント...

更におかしな事になっているのが、罪の共有に関する理解です。仮に杉下が安藤の罪を共有したとして、彼から距離を取った理由は?さざなみに照らして、距離を取る事が当然のように理解されていますが、さざなみの時は杉下には成瀬と距離を取る合理的理由がある。成瀬を庇うような関係性ではない、という事を担保するためです。ですが安藤に関して同様の合理的理由付けは可能でしょうか?偽証の構造上、その後も杉下と安藤は関係性を維持していて全く問題がないんです。それなのに杉下は安藤との接触を拒絶しています。そればかりか、携帯番号を変更し、野ばら荘を出た後は安藤に対して自身の住所さえ隠蔽しています。これは成瀬が杉下に対して事件後行った事と同じです。
これをさざなみの類例として理解するのは間違いなんです。
そして決定的なのは、密室を作った安藤の行為に対する感情です。この部分が世間で言われる説には決定的に抜けがある。

自身がその状況に置かれた場合を想像してみてください。
自己中心的な理由で密室を作り、それが原因でその中で二人が亡くなり、そこから脱出する事が出来なくなった状況を作り出した人物に対してあなたが抱く感情は?

杉下は母親から部屋に閉じ込められた際、成瀬の導きから母親を切り捨てました。
スカイローズガーデンでは成瀬の救出で窮地を脱した。では自分を閉じ込めた人物に対して杉下は何を感じる?どう振る舞う?

そうです。杉下は安藤を嫌悪し、彼を突き放したんです。杉下だけではありません。西崎も成瀬も安藤を嫌悪した。更に言えば杉下のNを安藤と誤解した成瀬はその安藤を庇った(と感じた)杉下さえも嫌ったんです。

motoさん さんのコメント...

この『成瀬が杉下を嫌った』にはこれまで同意してもらえた事が無いです。ですがこの解釈は間違っていない、と思っています。
安藤に対する評価とも関連しますが、成瀬は安藤を許容出来るでしょうか?
成瀬が杉下に偽証を指示したのは、杉下が殺害の嫌疑の対象になる事を避けるためです。その目的に沿って、西崎を切り捨て、彼との謀議で西崎が提案した線で内容を補強し杉下に偽証を指示した。
安藤が鍵をかけなければ、二人が死ぬことも、西崎が無実の罪を被ることになることも、杉下を危険に晒す事も、成瀬がする必要の無い、西崎の切り捨ても、そしてその結果としての杉下との別れも起こらない。しかもその動機が自分を対象とした子供じみた嫉妬。
そんな人物を成瀬は許容出来る筈が無い。

彼は非常に頭の良い人物ではあるけれど、センスは普通の人です。弱さだって持っている。そんな彼が安藤をどう評価するか?西崎と同じ評価をするんでは無いでしょうか?西崎ははっきりと安藤へ不快感を示しています。10年後もそうです。彼は自室を訪れた安藤を突き放しているでしょう?あれが安藤に対する西崎の評価です。そしてそれが当たり前の反応なんです。
そうであるなら、成瀬が杉下に対して誤解を抱えてしまっていたのであれば、彼の杉下に対する評価も安藤に対するものと同じだ、とするのが道理なんです。

motoさん さんのコメント...

さて、巡り巡って現代での成瀬です。高野との会話で彼女が今も辛い現実の中に居る、と判った。杉下のNは安藤では無い事も確定した。これで彼の杉下本人に対する疑念、蟠りは解消した。高野との会話で成瀬は杉下のNは西崎だったと再認識しました。誤解する前の認識に立ち戻った訳です。

ここでもう一点、彼の行動の再評価をしたいと思います。彼がおとしまえをどう考えていたのか?です。
以前考えた彼のおとしまえは、彼が杉下のN=西崎だと思っているのに西崎は服役中それはお前だ、と聞かされていた。だから西崎が出所するのを待って、さざなみの真相を明かして杉下の足枷=さざなみの誤解を解いてやろう、というのが彼のおとしまえだと考えていました。

でも、その後の検討で、彼は服役中の西崎とは会っていない事が判明しました。そして西崎から事件時の杉下の偽証受け入れプロセスも、西崎から聞かされていない事がわかりました、成瀬と西崎のやり取りは手紙です。ですから西崎はそこらへんは手紙に書けないんですね。偽証構造と矛盾する事は検閲を受ける手紙にはかけない。

motoさん さんのコメント...

つまり成瀬は十年間、彼が事件時に唯一認識できなかった事、それは杉下のNに関する情報を一切持たずに過ごして来た、という事なんです。上記のおとしまえの前提が崩れたんですね。だからそこの再評価をしないといけない。

彼がそもそもおとしまえをつける気があったのか?
彼の、高野に会う前の状況を改めて整理してみます。

杉下のN=安藤は、自分の誤解で、やはり杉下のN=西崎が正しいと考えていた。
それゆえ、杉下に対して自身の偽証意図に後ろめたさを感じていた。
東京を離れ、島に帰る事を決めていた。

こんなところでしょうか。

motoさん さんのコメント...

あら、これまでのページビュー総計が八万を超えたわ!
ビックリ。

motoさん さんのコメント...

ある人の行動特性を分析して、ある仮定を置いた時に非常に良くその行動を説明出来る事に気付いた時。

そして、その仮定というのが、その人を非常に呪縛していてそれを他の人に知られる事を頑なに拒絶するであろう事で、かつそれとその呪縛に起因する事項でその人が過去現在、そして未来においてさえ苦しむのではないか?と想像される時。

あなたはそれをその人に指摘しますか?
もし外していたら『そんなことまで詮索するのか?』と変態扱いされる事必至。
仮に当たっていたとしてもその人は容易にそれは認めない。むしろ隠そうとしている事を暴こうとする人間として恐れられる事必至。

だけどあなたはその人の幸せを真剣に願っていて、それから解放される事を願っている。
あなたはこのような状況下で、行動を起こせますか?

motoさん さんのコメント...

30年以上考えた。
ずっと判らずに放棄していた時期もある。
その人の事よりも自分の事が先で、後回しにもしていた。
どのような仮定を置いても、何処かが矛盾し、説明し得ない。
幾つかの要素を組み合わせたけれど、それでもダメだった。

でも、漸く見つかった。
二つの仮定を置く事で、全ての事の説明が出来る。その人の行動が理解出来る。

でも

その仮定の一つがあってはならない事だとしたら?

motoさん さんのコメント...

二つの仮定のうちの一つはあってはならない事だ。

そしてもう一つの仮定は、ある意味奇跡の領域に属する。

一つは現実的には存在するけれど、でもあってはならない事。

一つはあり得ない事では無いけれど、その時の状況をよく観察すれば、まさか!という領域の可能性。

この二つの事を仮定した時に、初めて筋みちついた理解が可能なその人の言動。

本当にミステリーだよ。
ミステリーにおいては論理的可能性は必然だ。
でもこれはリアルな世界の事。このシナリオを、必然としていいのだろうか?

motoさん さんのコメント...

この推理は帰納的思考によるものだ。
帰納的推論は演繹とは異なり、前提となる仮定はあくまで事象を説明する可能性を提示するのみだ。
それを持って証明とはならない。つまり外れている可能性も多分にあるわけだ

motoさん さんのコメント...

これが学問としてであるなら、サンプル数を多く取りある確率で、といった事も可能だろう。

でもそれに直面する当事者からすれば、目の前にある、これっきりの事象に対して行動を決めねばならん。

motoさん さんのコメント...

ある人物にそれを告げた。
自分にはもうその人を救えないからだ。だとすれば救いうる人に頼まねばならん。

その人もにわかには理解出来ないだろう。でも他に方法が無い。その人が救ってくれる事を期待するしか無い

motoさん さんのコメント...

歪んでいる事は、罪か?
では、歪ませてしまった者には罪は無いのか?

motoさん さんのコメント...

歪ませてしまった者も歪んでいたとしたら?
その歪ませてしまった者を歪ませてしまったのが歪んでしまった者だとしたら?

二人の歪みの責はは誰にある?

motoさん さんのコメント...

ダメだ!
思考が迷走する。やっぱり自分は変態なんだろうか?

motoさん さんのコメント...

歪みがもう、修正しようも無い事を、当の歪んだ者が自覚した時、その歪んだ者は、その歪みとどう付き合うのだろうか?

motoさん さんのコメント...

歪んでしまった者が、その歪みの原因を作った人物へ、自分が歪んでいる事を明かしたとしたら、何が起こる?

増して、その歪みを作った人物が自分に対して歪んでいた時に、何がおこる?

歪みが歪みを相殺して丸くなる?

でも歪み方が異なったとしたら、更に歪まないか?

motoさん さんのコメント...

成瀬が島で『考えたかった』事とはなんだろうか?
彼は杉下のN=西崎と考えている。
西崎からはこの10年間成瀬が入室する前の状況を知らされていない。
自分は杉下に対して、自身の偽証動機に後ろめたさを感じている。
彼は島に帰る事を決めていた。

このような状況で考えたかった箏。

motoさん さんのコメント...

やはり事件が起きなかった時、彼がどうしようとしていたのか?を再評価しないといけないだろうな?

motoさん さんのコメント...

嫌われた。
結末は殆ど予想通りだったが、それでもその現実を自分が飲み込むというのは、それはそれで別の困難がある。
半年前には結果は分かっていた。いや、正確にはもっと前、このプロジェクトを起こそう、と思い立った時には、予想できていた箏だ。

それでもこのプロジェクトを行ったのは、例えそうだとしても、自分がこのプロジェクトを起こした箏、そのものに意味がある、と考えたからだ。
もちろん、首尾よく箏が運んで、もしかしたら奇蹟が起きるんじゃ無いか?という期待があったのは事実だ。奇蹟を期待していない者に奇蹟は起きない。

しかし現在の状況は決して良く無い。もう奇蹟を期待出来る状況では無くなった、と言っていいと思う。
現実的にはもう手があるようには思えない。

それでも諦めるわけにはいかない、という思いも同時にある。
もう、手繰り寄せる糸も無いのかもしれない。でも、それでも何か無いかと探さずには居れない。

多分、これ以上のプロジェクトの遂行は逆効果だろう、ますます嫌われるのがオチだ。
でもここで終えてしまっても何も生まれないのなら、例え悪あがきだとしても何かを求め続ければ、何がしかは生まれる可能性は残る。それに掛けるしかないのかな?

motoさん さんのコメント...

成瀬が野口宅に向かう車中で思案げな表情をしていた事について、再考が必要な気がしてきた。

これまでは西崎の作戦成功後、如何に杉下を安全に野口宅から退去させるか?そのために成瀬自身が野口と安藤に対して三人による作戦だったと告げる事を考えていた、と取っていたんです。

この方法なら、安藤が杉下にプロポーズするチャンスを与えず、野口に杉下への暴力が起こる可能性を排除し、自分と杉下が確実に一緒に行動して、自身の気持ちを杉下に告げる機会を作る。そのためには成瀬自身が作戦をバラす事が最善である、と判断していました。

でも、一つ疑義が出てきた。

それは成瀬が到着し、コンシェルジェが野口宅に電話した時、野口宅に反応がない事実に間髪入れず西崎が出てきたかを確認しているんです。この描写が、問題なんです。

motoさん さんのコメント...

もし仮に成瀬が作戦の成功を信じて疑わない場合、この発言は出てこないはずなんですね。
予定通り事が進んでいれば、西崎と奈央子はとうに脱出を済ませた後。杉下は上手く野口を引き留め続けている。
この場合、二階の防音室にいる野口と杉下がすぐ電話に出る事は無いんです。う万事上手く行っていれば、直ぐには電話に出る事は無い。
ですが、直ぐには電話に出ないケースがもう二つあるんです。
一つは西崎が奈央子連れ出しに失敗し、まさに野口ともめている場合。これも状況的には直ぐには電話に出れません。
更にもうひとケースとして、西崎と奈央子は脱出したけれど、野口が気付きかつ何かの拍子で作戦が野口に感づかれ、杉下が窮地に立っている場合。これも直ぐには反応が無い。

いづれにせよ、成瀬は電話に直ぐ出ない事は必ずしも作戦の成功を意味しない、という事を事前に了解していたからこそ、間髪入れずに西崎の脱出について問い合わせしたんです。

motoさん さんのコメント...

で、最初に戻るんですが、結局成瀬は車中で何を物憂げに考えていたのか?

一般的な理解だと、安藤がプロポーズしようとしている杉下に対して自分はどう振る舞おうか?杉下は安藤のプロポーズにどう反応するんだろうか?という事について考えていた、というものだと思います。

でもそれはやっぱり違うんです。
この時の成瀬は作戦が失敗した場合の杉下の事を心配しているのであり、また作戦が失敗した場合に杉下に危険が及ぶかもしれない、という可能性に気付けなかった、そしてその可能性を残したまま作戦が進んでしまった事を悔やんでいた、という解釈になります。

motoさん さんのコメント...

ここでの描写も巧妙ですね。
厨房でのオーナーとの会話で、如何にも安藤が杉下にプロポーズをしようとしている事について視聴者に刷り込み、それに対して成瀬にモチベーションが上がらない様子を演出している。
その後の車中で物思いに耽る成瀬と、上記の描写を合わせてみれば、視聴者には成瀬が安藤のプロポーズに気を揉んでいる、と見えますよね。

でも冷静に考えると、これも可笑しいんです。
作戦は遂行されつつある中、西崎が奈央子連れ出しに成功しても失敗しても、状況として食事会が無事開かれる、と考え難いんです。
連れ出しに成功していれば、奈央子の不在状況で野口がそのまま食事会を残ったメンツでするか?
連れ出しに失敗すれば、それは西崎と野口がもめてある意味修羅場が容易に想像出来ます。その後に予定通り食事会に成るか?

唯一食事会になるとしたら、西崎が野口に鉢合わせしたさい、『注文の花の配達』という言い訳が通って、何事もなく西崎が野口宅を引き上げた場合に限られる。

そうすると成瀬がオーナーとの会話に物憂げに答えている様子は、一般的な解釈ではなく、もっと別のモノ、とした方が自然に感じます。

motoさん さんのコメント...

じゃあ、オーナーとの会話時、成瀬は車中と同じく杉下に危険が及ぶかも?という状況を心配していたのか?というと、それも違う、という判断になる。
成瀬が杉下の危険を感づいていれば、こんな悠長に構えていられないと筈です。杉下なり、西崎に連絡を取り、西崎に単独で行動せずタイミングを自分と合わせさせる為の行動をとると思うんです。
という事は成瀬はオーナーとの会話の時点ではまだ杉下が陥りうる危険に気付いていない、という事になる。つまり成瀬が杉下の危機の可能性に気付いたのは、もう既に二人に連絡を取る事さえ意味を持ち得ない状況になってから。具体的には店を出て野口宅に向かう車中、予定では既に西崎が奈央子を連れ出す六時半以降だった、という事になると思います。

motoさん さんのコメント...

成瀬はオーナーとの会話時点ではまだ杉下の危機に気付いていない。
彼にとって、この作戦の問題の難しさは一番初めに書いた、作戦が成功した後に杉下を如何に安全に野口家から退避させるか?だった。
その為の方法として、自らの野口への作戦暴露が一番確実。

この方法であれば、杉下が自分と一緒に野口家を退去する理由が立つし、彼女への野口の暴力の可能性も排除できる。さらには野口の認識「杉下は安藤の彼女」を覆し、安藤に対野口への安全地帯を用意することが出来る。さらには安藤による杉下へのプロポーズチャンスを潰す事ができ、自身の気持ちを杉下に伝える機会を作る事が出来る。

杉下、西崎、奈央子、安藤のリスクを最小化できる最善の方法ですが、一つ成瀬にとってリスクがある。それはこれをおこなう事によって自分が店にいる事が出来なくなる、という事なんです。

奈央子救出作戦に警察が絡むとしたら、野口の奈央子へのDVは容易にばれますから、表向き店に迷惑をかけることはない。ですが「料理を人助けの道具にしない」というポリシーを持つ成瀬がそのポリシーを曲げて店のサービスを利用して作戦に加わった以上、成瀬としてはもう店にいる事はできない。当然店にも何がしかの形でサービスを利用した顧客の家庭事情に店の関係者が関わった、という事は伝わることが濃厚ですから、成瀬としては、作戦に参加を決めた時点で店を止めるつもりだった。その最後の仕事という事でオーナーに対する申し訳なさと、寂しさから、意気消沈した状態だった、と考えたほうが良さそうです。

motoさん さんのコメント...

#論考

Yahoo!の知恵袋を時折読むんだけど、スカイローズガーデンでのNが安藤だ、という論調が今持って出てきている。全く回答者は何を観、何を読んでいるのか?

結論から言えば、原作においてもドラマにおいても、杉下が一貫して護ろうとしていたには成瀬である、というのは変わらない。

それは偽証の構造と杉下が偽証を受け入れたプロセスを冷静に追えば、余りにも明白で、それほど難しい問題では無いんです。
だから彼女の独白『残された時間をあなたを護るために使いたい』の『あなた』も安藤じゃ無い、成瀬です。

それよりもっと難しいのは、『なぜ事件が起きてしまったのか?』
ここの裏側にある、杉下の描写されない心理、それは彼女の『究極の愛』の定義から導出される、論理的必然としてのパラドックスの存在に気付けるかどうかです。

このパラドックスに気づいている人はほとんどいない。でもこのパラドックスは製作者が明らかに意図を込めて作り出したパラドックスです。

そのパラドックスに気づけたら、みんなが理解しているドラマの世界がまるきり別物に見えるのに。ぜひみんなに気づいて欲しいと思う。
ホント、このドラマはみんなが思っているより多分10倍くらい楽しめるんですよ。

motoさん さんのコメント...

アマゾンの読み放題サービスの騒動について

アマゾンは市場を舐めすぎたんだ。所詮著作権について日本やヨーロッパと比較してあまりに甘々な国が発祥のサービスだ。

ただし、主だった出版社がノコノコアマゾンに乗ってしまった事実も頂けない。音楽配信と同じ事がいずれ起こるぞ。

motoさん さんのコメント...

最終回、クリスマスイブの日に西崎と成瀬の間で交わされた電話のシーン。
みんなは二人の間でどんな会話がなされたとお思いでしょう?

杉下の余命?そうですねそれが一つ。

で実は私はもう一つ重大な会話がなされたと解釈しています。
二次作品でも書いたのですが、おそらくこの時成瀬は西崎から、成瀬が知りえない、成瀬が入室する前の、西崎と杉下の会話の内容を話したのだと思っています。

もし話が杉下の病気の事だけであるなら、視聴者には既に杉下が病気である事が明らかになっているので、わざわざ西崎の発話に車がスワイプインして内容を隠す、と言った演出は必要無いでしょう。それならそれを聴いた成瀬の表情を撮った方がいい。それにわざわざ成瀬の顔はこのシーンでは見せてない。

そうするとやはりこのシーンでは西崎から成瀬に、病気以外の話もされた、と理解した方が演出上の合点が行くんですよね。

motoさん さんのコメント...

西崎と成瀬の電話のシーンは、スカイローズガーデンの真相が明かされる前です。そうすると、この電話のシーン以降に描写されたもので、スカイローズガーデンの真相の内、どのような推理を駆使しようと成瀬に認識出来ないのは、事件処理に関しての西崎と杉下のやり取りなんです。
それ以外の真実は成瀬には全て見えている。

野口を殴打したのが奈央子で、奈央子が自殺である事。
安藤がなぜ外鍵を掛けたのかの理由と、安藤がなぜ警察に口を噤んだのかの理由。
杉下が安藤が原因で野口に作戦をバラした事。
杉下が西崎に協力した理由のうちの半分。

これらは全て成瀬には事件時に分かっていた。これは成瀬が事件前の状況と事件現場で知りえた事を統合すると推理出来るんです。

しかし杉下と西崎のやり取りだけは成瀬には推測出来ない事項なんです。
ですから、電話で西崎から成瀬に伝えられ、ドラマの進行上隠される必要のある、謎解きの核心は、まさに成瀬入室前の西崎と杉下のやり取りなんです。

motoさん さんのコメント...

成瀬入室前の、西崎と杉下のやり取りとはつまり、西崎が杉下に偽証を要求したにも関わらず、杉下がそれを拒絶している、という事実なんです。

これこそが事件時の杉下のNを解く決定的な事実であり、成瀬が認識出来ない事項であり、それゆえ成瀬のその後の勘違いを防げなかったミッシングリンクなんです。

この部分はこの論考で何度も解説しているので詳述は避けますが、簡単に復讐すると、結局は西崎が要求した偽証は、西崎の為には受け入れ出来ないけれども、後に状況に加わった成瀬のためであるなら、杉下はそれを受け入れる事が出来た、という事実なんです。これこそが杉下のNが成瀬である事の証拠です。

そして西崎がした電話で、西崎がその事実を明かし、それゆえ杉下のNが成瀬当人である、と成瀬に伝え、それゆえ誰をも拒絶する孤独な杉下を救い得るのは成瀬しかいないのだと説得した。

これがこの時の電話のシーンの真実なんですよ。

motoさん さんのコメント...

杉下の『究極の愛』

これがスカイローズガーデンの事件のすべての結節点です。これがなければ事件は発生しなかった。

みんな、この杉下の『究極の愛』がドラマの中でどのような意味を持つのか?飲み込めていないですよね。せいぜい、ラストで成瀬の元に帰る、15年にも及ぶ純愛、もしくはさざなみ炎上の成瀬を庇う気持ちから成瀬から離れる際の言い訳、程度にしか理解されていない。

でも、それだとなぜ杉下が現代編においてあそこまで周囲に対して頑なな態度をとったのか。それが説明出来無い。ホスピスの申し込み書の緊急連絡先を書けないにもかかわらず、それでも周囲の助けを拒絶する心理はどこから来るのか?彼女の罪意識は何に由来するのか?巷に流布する説では、これを説明出来ないんです。

motoさん さんのコメント...

♯Nのために

彼女の『究極の愛』はその罪の共有についてはよく話が出てくるのだけど、大事な半分が見事なまでに語られる事が無いんですね。彼女自身による定義です。

『相手の罪を共有し、相手にも知られず、黙って身を引く』

西崎が偽証を要求する際、杉下の究極の愛は罪の共有、と言っているが故に、前半部分だけに関心が向いているけれど、実は後半の『相手にも知られず、黙って身を引く』この部分をクローズアップしてドラマを見返すと、ある重要な事に気がつけるんです。

ちょっと考えて見てください

もし、杉下がスカイローズガーデンに臨む際、彼女自身が定義する究極の愛を実践しようとしていたとしたら?それは誰に対するものであったなら、その定義上一番ふさわしいか?

安藤ですかね?成瀬ですかね?

motoさん さんのコメント...

しばらくこっちのではコメント入れてなかったけれど。
先日累計ページビューが9万を超えました。
もうとっくにドラマは終わり、本編の更新も10ヶ月もstopしたにも関わらず、見て頂ける方がいる事に感謝致します。

ここでの論考は、決して世間で流布している解釈ではありません。ある意味異端です。
ですがこのドラマが唄った『純愛ミステリー』として真っ正直に取り組んだ結果としての、一つの到達点である、との自負はあります。

私がここで展開しているのは、『解釈』ではありません。あくまで『推理』です。
その推理の見解をこのブログで展開しました。

本編休止後は、時折新たに発見した事、従来の見解からの変更点についてここでの披瀝していますが、未だ何かが出てくるこのドラマは、本当に知的な遊びとして楽しめます。

私がこのブログで得た、杉下に関する知見は、彼女の何から何まで、全てが成瀬真司だという事です。それが製作者の、このドラマにおける真意だと。そんな杉下が、架空のキャラクターではあるけれど、とっても愛おしい存在です。

今後とも、ある一つの杉下希美論としてお楽しみいただければと思います。

motoさん さんのコメント...

成瀬が野口宅に向う車中で考えている事について。

これは当初は、安藤に対抗しての、杉下へのプロポーズだと理解していました。
しかし、途中で見解を変更し、この時考えていたのは、作戦終了後、杉下を安全確実に野口宅から退去させる方法としての、野口に対する三人による作戦の暴露だとしました。

この方法であれば、安藤を野口から隔離する手段を安藤自身に与え、安藤のプロポーズ機会を確実に潰し、杉下の安全と自身の杉下へのプロポーズ機会を作り出す最善の方法だと。ただしこれは彼が店を辞める必要が生じます。その覚悟、悩みを表していたシーン。

ですが、最近この見解も変更が必要な事に気付きました。今ではまた違うものになっています。

そのキッカケは、成瀬が野口宅へのコールに反応が無い事に間髪入れずに、西崎が部屋を離脱したかをコンシェルジュに確認した行為でした。
この成瀬の行為から、車中で考えていた事はもっと違うことだ、と判断したんです。

もし成瀬が車中で考えていた事が安藤に対抗してのプロポーズであったり、もしくは野口への作戦バラしであったなら、コールに反応の無い事の彼の反応として西崎の離脱をコンシェルジュに問う事はないはずなのです。

motoさん さんのコメント...

杉下と成瀬、二人で出かけた本土デートの帰りのフェリー。
杉下は成瀬の肩にもたれて寝ていたけれど、よく見ると成瀬のシャツを羽織ってるんです。
あの姿勢で、寝入った後から成瀬がシャツを羽織らせる、なんて無理なんで、杉下が寝入る前から、彼女は成瀬のシャツを羽織ったんですね。

この時、成瀬は杉下との手繋ぎに失敗しているけど、杉下の方はもう受け入れ体制万全、というところじゃないかな?
この後の自転車二人乗りの際の彼女の自覚(背中への首タレ→腰へのつかまり直し)も含め、この時にはもう彼女には成瀬が心の拠り所だったんだと思う。

motoさん さんのコメント...

成瀬はでは車中で何を考えていたんでしょうか?

西崎の離脱状況を確認する事で判る事と言えば、作戦の成否です。
西崎が奈央子の連れ出しに成功した状態で、杉下が電話に出るなら、野口はまだ奈央子の脱出に気付いていない。
もし野口が電話にでるなら、その時点で奈央子の不在に気付いた状態です。つまり部屋には奈央子不在に気付いた野口と杉下だけの状態。
そして電話に出ないケースは、依然二人で将棋をしているか、奈央子不在に気付いた野口が興奮している事が予想されます。

逆に西崎が離脱していない状態で電話に出ない、という事は今まさに揉めている状況、という推測が可能です。

つまり成瀬は西崎が離脱したかどうかで測りうる野口宅の状況を整理していた、という事です。

ではなぜ成瀬はそのような整理をしてあったのでしょうか?
それは彼にはその整理が必要だったから。

つまり彼は事前には気づけなかった作戦の穴、そしてその穴により杉下が危険な状況に陥りうる可能性に気付いたからこそ、野口宅の状況を推測する手段を必要としたんですね。

motoさん さんのコメント...

成瀬が気付いた作戦の穴。
それは奈央子の呼び出しによる、西崎単独での野口宅訪問と時間の変更です。
この変更で、場合によっては室内に野口と杉下の二人きりになる時間が出来る。それがが作戦の穴なんです。

もし杉下がバイト先を訪ねて来た時、安藤のプロポーズ情報が無かったら、この事件は起きなかった。成瀬の注意力が安藤と杉下の関係に行ってしまったから、西崎の時間が変更を許してしまったんですね。

それに気付いて、杉下を心配する姿。車中での成瀬の様子はこれが最終的な解だと思います。

motoさん さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
motoさん さんのコメント...

新たな発見があったので、久しぶりにコメント追記します。

成瀬が杉下のN=安藤?と誤解した理由について。

当初私は成瀬が杉下のN=安藤誤解説はとっていなかったんだですね。
なぜなら成瀬には杉下のN=西崎に見えていたからです。
事件前後に成瀬が認識し得た事をつないでいくと、成瀬には杉下のN=西崎に見えて、そこに論理的には誤解を生じさせる要素はない、と思っていました。

ですが、その後検討を進めると、成瀬が杉下のN=安藤?と誤解した、とした方が全体の整合がいい。実際彼の癖として杉下の自分に向けられた行動意図を取り違える、というものもある事から、杉下の安藤入室阻止行動と外鍵の隠蔽依頼を受けて、成瀬が誤解した、という見解に転向したんです。

ですが、ずっとこの成瀬が誤解した事情というか、根拠がイマイチ弱いな、と感じていました。聡明な成瀬が、言われなくても明白な鍵の隠蔽を杉下が言い出したとして、それで彼女のNを取り違えるだろうか?という部分です。成瀬には安藤が入室して西崎の『逃げられなかった』と安藤の『俺のせいだ』で、外鍵を隠蔽する必要性が理解出来ていた。それなのに、杉下の依頼が彼が杉下のNを誤解する根拠としては弱い、とずっと感じていたんです。

でも、やっとこの問題に強力な理由を与える事が出来ました。それはやはり彼女の癖であり、その癖についての成瀬の経験から出ているんです。

成瀬が杉下のNを誤解した原因となった経験。それは一話での四阿で、杉下が母親の発作を成瀬に『誰にも言わんといて』と頼んだ、この時の経験です。

この時の状況は事情を知る成瀬に、守りたいモノ=母親について警察に言わないでほしい、と杉下が依頼した。

スカイローズガーデンでは。
事情を知る成瀬に、安藤がについて警察に言わないでほしい、と杉下が依頼した。

状況は四阿の時と同じ。つまり杉下の守りたいモノ=安藤、という類推の結果成瀬が杉下の意図を誤解したんですね。

でも、杉下の意図は違います。成瀬を護る手段として安藤の外鍵を隠蔽する必要性があり、事実関係としては知らない成瀬にその必要性を伝えようとした行動だったのに。

冷静に論理的に積み上げれば成瀬が杉下のNを誤解する事の根拠の薄さを感じていたんですが、やっとその部分に蹴りをつける事が出来ました。

このドラマ、ホントするめみたいで、いつまでも楽しめるな〜

motoさん さんのコメント...

ここのコメントでまだ結論を出し話題がいくつかあるけど、今日はその一つについて。

成瀬と安藤が初めて会話する、十話のエピソード。
本編では視聴率欲しさで押し込んだシーン、ととっていたけど、それは違いますね。こねくり回した屁理屈も含めて、本編での解釈は全面訂正です。

このシーンは最初から予定されていたシーンでかつ視聴者をミスリードさせるためのエピソードだと結論しました。

一般的な解釈だと、同じ女性を愛した男二人の、爽やかな面談シーン、というものですが、それは違いますね。この時成瀬は安藤に対して強烈な皮肉と嫌味をかましたんです。

決定的だったのは、安藤の『事件の事を聞けなければ、吹っ切る』との言葉に成瀬は間髪入れずに、『杉下が…』と応じたんです。その直前には『話せる事は何も…〔ない〕』と返しておいて。

もし世間で言われる、安藤は杉下、西崎に守られた。成瀬は杉下の罪を共有して、安藤を守った、という解釈が真であるなら、彼のこの行動は正しくないんです。どうであろうと成瀬は安堵の問いをスルーし、彼には何も話さない事が正しい行動です。

ですが、成瀬は成瀬が認識する事件の一部を彼に披瀝した。『杉下が考えていたのは安藤…』。

そうすると、世間一般の解釈は正しくないんですね。成瀬の、如何も一般的な杉下のN=安藤の線に沿った発言でオブラートに包まれていますが、成瀬のこの行動はおかしい。安藤は『事件のことを聞けなければ吹っ切る』と言っているわけで、成瀬の行動は安藤にそれをさせないための発言、という事になるんです。

つまり安藤に対して『あんたのせいで二人も死んで、みんな苦労したのに、都合のいい事ほざくんじゃねえ』とかましたんですよ。

成瀬はごく普通のセンスの持ち主です。だからかれは安藤を嫌っている。安藤が鍵を掛けた、幼稚な自己中心的理由と密室を作った行為、そしてそれにより発生した悲劇。普通のセンスの人なら、安藤のことなど許せません。安藤の鍵が隠蔽されたのは、偽証をする事がそれぞれのNを守るための方便であって、安藤そのものを守るためではない。そんな安藤が『もう事件の事は吹っ切る』と言ったら…成瀬の反応はごく当たり前の反応なんです。

結局安藤は十年たっても、誰からも真実を聞く事が出来なかった。つまり誰からも安藤は許されていない、という事です。そして安藤もそれが分かっている。

ここのシーンはそう解釈すべきシーンなんですね。

motoさん さんのコメント...

17/05/08

杉下の『甘えられん』。
成瀬のプロポーズに対する彼女の当初の返事です。
これは彼女の成瀬に対する罪意識から出ていると理解しています。
ですが、もう一つの可能性が存在する事に気付きました。
それは、彼女の成瀬に対する不信です。

杉下は事件現場における成瀬との『血染めの手繋ぎ』で自らの行動(安藤の外鍵隠蔽依頼)の意図を成瀬が誤解している事に気付いています。

杉下の意図は明白です。鍵には触れる事によって、安藤が三人の供述(口裏合わせ=計画を練るような関係性でない)をひっくり返す事態を招かないようにする、というのが彼女の意図です。それはつまり成瀬をさざなみの嫌疑から遠ざけるためのです。

ですが手繋ぎにより成瀬が自分の意図を取り違えた。自分の意図が安藤の保護だと成瀬が誤解した事を知った杉下には、成瀬が当初謀議した通りの線で偽証した事実は、成瀬の偽証意図が『自己保身』と見えたはずです。

なせそう言えるかというと、杉下自身が安藤を嫌悪しているからです。
杉下はその後十年に渡り安藤を遠ざけています。事件後のばら荘を訪ねた安藤を拒絶し、電話番号を変え、自分の住所を明かしていません。安藤と杉下は事件の証言構造から言って、その後も接触を持ち続ける事になんら支障がない関係性にも関わらず、杉下は安藤との接触を避けています。それはつまり彼女が安藤を許せないからです。

自身が安藤に対して抱いた感情=嫌悪。
成瀬は、その安藤を自分が庇ったと誤解している。そうであるなら、自身が安藤に抱く感情を成瀬も自分に対して抱いている、つまり成瀬から自分が嫌悪された事を杉下は理解しているんです。

事件は結局当初の三人で謀議した線で処理されました。つまり成瀬もそのように証言した、という事が杉下にもわかります。
嫌悪された成瀬が、打ち合わせのとおりの証言をしたということは、彼の偽証意図は『自己保身』。そう杉下には見えていたのです。

彼女には成瀬に『甘えたい』という感情がある。だけど『甘えられん』のは、事件時の成瀬の偽証動機に対する不信、という線も有り得るんです。

motoさん さんのコメント...

17/05/08

杉下が成瀬に『甘えられん』理由が、もうひとつある可能性に気付きました。

それは彼女自身の偽証動機から出てきます。つまり、彼女自身ももしかしたら成瀬同様、警察への証言段階での偽証意図が『自己保身』であった可能性があるんです。

彼女も成瀬、安藤同様その偽証意図が仮に自己保身だとしても、その証言内容に変化がないのです。

成瀬が杉下の依頼を安藤保護、と誤解したのしり、そして彼から嫌悪された事を知った杉下が、その偽証意図が当初のの成瀬保護から自己保身に変わったとしても、なんら不思議はない。

そうすると、彼女が『甘えられん』のは、自身の偽証意図への後ろめたさ、という事になる。

まいったな、その可能性は確かにあるのは承知していたけど、まさか、という感覚だったんだが、真面目に検討がいるみたいだ。

motoさん さんのコメント...

杉下の警察への証言段階での偽証意図が成瀬を護る意図であったのか、自己保身であったのか?
これを推理する手がかりは彼女の現代編での言動から得る事になります。

候補となるのは、

『その時考えていたのは大切な人のことだけだった。その人の未来が明るく幸せであるように。みんな、一番大切な人のことだけを考えた』

『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願いに答えを出そうとは思わない。けれど十年という歳月が答えを導き出そうとしていた。それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった、その答えを』

この二つのモノローグだと思います。

先づは『その時考えていたのは大切な人のことだけだった〜』ですが、これは杉下の警察への偽証意図の推論の証拠としては使えない、と判断しました。
このモノローグは、安藤のプロポーズにより安藤の偽証意図が自分を嫌疑がから除外する事だったと杉下が認識した後にか彼女が事件当時の事を振り返ったものです。ですので、安藤を含めた『みんな』になっている。ですがこの証言は事件のすべての時間軸上の事を言っていないのです。

なぜなら、杉下は成瀬は自己保身で警察への偽証した事を知っているから。『みんな、一番大切な人のことだけを考えた』と矛盾する。そうすると杉下のこのモノローグの『その時』には警察への証言時は含まれていない事になる。
そうすると、このモノローグで彼女の警察への証言が自己保身でないとはいえないのです。

そうすると次に当たるのは『あの日伝えられなかった思い〜』です。
こちらのモノローグは時間軸としては『あの日』から十年後の現在まで含まれいます。まづは時間軸上の問題はクリアされます。
そうしてみた時、このモノローグは『心の底に閉じ込めて』きたもの=答えが明らかになる、という意味です。そしてその答えとは杉下には成瀬である、という事がラストシーンで明らかにされた訳です。ですから、事件発生以後、杉下が『一番大切な人』として彼を庇うために偽証を受け入れ、『心の底にとじこめ』たその『一番大切な人』とは成瀬、という事になります。
彼女がそれを『心の底にとじこめ』たのは警察への証言前です。なぜなら『一番大事な人』を護るために『心の底にとじこめ』たわけですから。それが十年間継続し続けている、という意味になります。

以上の分析から、杉下が警察へ偽証した意図は成瀬を庇うためである、ということが論理的に説明され、自己保身は否定されます。

motoさん さんのコメント...

『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願いに答えを出そうとは思わない。けれど十年という歳月が答えを導き出そうとしていた。それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった、その答えを』

この言葉の『それぞれ』とは誰の事だろうか?

これは杉下のモノローグだから、当事者の1人のは彼女自身。そして彼女の答えから、『それぞれ』の相手は成瀬、という事になる。

成瀬の警察への偽証意図を杉下の偽証意図を検証した論理で展開すると、成瀬は杉下を庇う意図で偽証した事になるのでは?という疑念が生ずる。この部分はどう説明されうるのだろう?

彼が西崎の偽証案を補強し、杉下に偽証を指示したのは、杉下を嫌疑から除外するため。だから西崎の『杉下を護ってやってくれ』に深くうなづいた。だけれども杉下が庇おうとしているのを安藤、と取り違えた成瀬は警察への偽証段階では自己保身とその意図が変わっていた。その認識と冒頭の杉下のモノローグは如何に整合するのだろうか?

motoさん さんのコメント...

『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願いに答えを出そうとは思わない。けれど十年という歳月が答えを導き出そうとしていた。それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった、その答えを』

どうも、この杉下のモノローグ、私の理解が間違っているのじゃないか?そう思えてきました。

一つは、『答え』はすでに杉下の中にスカイローズガーデン当時からあって、それが十年後に初めて表現されたのだ、と理解していたのですが、この文章の構造と修飾の関係性を改めて確認すると、当初の理解が間違っている事に気付きました。

問題なのは『その答え』の『その』という冠詞なんです。
当初、この『その』は『それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった』答えを強調する意味の『その』だと取っていました。
でもよく全体を見ると『それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった』は『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願い』の修飾なんですね。

つまり、ここの部分は正しくは
『それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった』『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願い』
になるんです。

そうすると問題の『その』は『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願い』に掛かる事になり、『その答え』とは『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願い』に対する答え、という事になる。

こういう風に捉え直すと、杉下のいう『答え』の意味とその形成時期に変更が生じるんですね。なぜならその答えを出した杉下が『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願い』を『それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られない』で『十年という歳月』を過ごしているからです。つまり杉下は『それぞれ』の相手である成瀬が『心の底に閉じ込め』た『思い』、『願い』を十年間知らずに過ごしてきているのですから、『その答え』は現代に形成されたもの、という事になります。

すると、これまでのすぎしたの『答え』の内容が変わってくるんですね。私は杉下の『答え』は杉下の事件時のNだと取っていたのですが、正しくは『その後の人生を成瀬と歩む』が彼女の『答え』なのであり、そしてその答えがラストシーンで描かれた訳です。

motoさん さんのコメント...

杉下のの『答え』の内容が変わってしまった事により、その前提である『思い』と『願い』も再考が必要になりました。

本編ではこの部分は

伝えられなかった思い=作戦前に作戦が終わった時点で相手に伝えようと思っていた事
すれ違った願い=事件の解決の際、それを願って処理した自分の覚悟が相手とずれていた事

こう理解していました。これそのものはいいと思います。

そしてその内容は

まづ『思い』については

杉下:成瀬への思い。杉下が作戦に込めた魂胆、成瀬との関係を再開させる。
成瀬:杉下へのプロポーズ。さざなみの真相の暴露含む。

そして『願い』は

杉下:成瀬がさざなみの犯人として蒸し返される事を阻止する
成瀬:西崎に対する思いを遂げて欲しい

こういう理解だったんです。

ですが、この理解はまだ私が成瀬が杉下のNを安藤?と取り違えた事を認めていなかった時期のものですから、修正が必要です。

『思い』についてはこれでいい、と思うんです。9話で成瀬が杉下にさざなみの真実を明かした上での、プロポーズしています。十年間明かされずに来た成瀬の当時の心理だと思います。
杉下については直接的な言及はありませんが、事件が彼女の『究極の愛』が招き寄せたものであった事、事件の日にしていたピアスをラストシーンでもしていた事、そして野口宅に向かうため部屋を出る直前に部屋を見回して状態をチェックしている事、彼女の当日のカーティガンが彼女の勝負色である黄色であった事などから推測すると、野口家での作戦終了後に成瀬を部屋に招いて、自身の気持ちを成瀬に伝えるつもりだったと。

修正が必要なのは『すれ違った願い』なんですね。
その前から考えている、彼女の偽証意図がここの評価と関係してくるんです。

まづ、成瀬に『願い』はありません。これは結局彼の偽証意図が自己保身であり、相手に対するものは存在しない。これは杉下自身に伝わっているのです。そうすると、『思い』を抱いていたのは杉下となる。つまり杉下には『すれ違い』を起こすにたる成瀬に関する願いが偽証段階でもあり続けた事を意味し、それは何かといえば、成瀬を庇う意図、という事になる訳です。
ですので、やはり彼女の偽証意図は成瀬を守る、という事だった訳ですね。

ですが、ここで新たに一つ疑問が出て来ます。
彼女は何が『すれ違った』といっているのでしょう?
成瀬には杉下に対する『願い』など存在しないのですから、『すれ違った』という表現はしっくりこない気がするんです。

motoさん さんのコメント...

『すれ違った』願いとは杉下の偽証意図、『成瀬のさざなみの蒸し返しを
防ぐ』です。仮に成瀬に『願い』があるなら、その願いどおしがすれ違ったと解釈したいところですが、成瀬の偽証意図は自己保身であり、その意味で杉下に対する『願い』はない。

そうすると、彼女が『すれ違った』といっているのは願いどおしではない。
『すれ違った』のには杉下以外、つまりそれは成瀬の何かとのすれ違いですから、成瀬が『心の底に閉じ込めた』何かと、自分の『願い』がすれ違った、と彼女は言っていることになる。

つまり、彼女が自分の『願い』とすれ違ったのは、成瀬の『思い』だという事になるんですね。それは『さざなみの真相を暴露して、杉下にプロポーズする』です。さらにいえば、『すれちがった』のは、プロポーズではなく、正確には『さざなみの犯人は成瀬ではない』と『成瀬をさざなみの蒸し返しから守る』という部分が、彼女が『すれ違った』といっている部分なんです。

彼女の人生って、本当にかわいそうに感じますね。彼女は一つの誤解から一つの嘘をつき、そしてまた一つ前の嘘を担保するためにまた嘘を重ねてしまうて…おしてそれを十五年も誤解だと気づかず、一途に成瀬をまもろうし続けて来たんです。

切ないな〜

motoさん さんのコメント...

杉下の『甘えられん』を考えています。
これは本編では彼女の成瀬に対する罪意識、彼を頼る事に対する恐怖、畏れからでた言葉だと判断していたんですが、もしかしたら成瀬に対する不信という可能性もある、と考えています。

確かに彼女の偽証意図は成瀬を護る、さざなみの蒸し返しを防ぐ、というものでした。そしてもしスカイローズガーデンが起きず、先の成瀬の『思い』がその当時彼女に明かされていたなら、彼女はそれを素直に受けたでしょう。それは彼女が『甘えられん』の前に成瀬に語った『もし成瀬くんと一緒になっとったら〜』のくだりでわかります。

ですが不幸にしてスカイローズガーデンは起きてしまった。そして彼女には成瀬の偽証意図が自己保身である事も分かっていた。

自分は成瀬を庇いたい一心で偽証したのに、その庇う相手が自らの保身を意図として偽証した事実に、一筋縄ではいかない思いを抱えるのは致し方ないと思うんです。

もう一つの味方としては、さざなみの真実が語られ、自らのこれまでの彼を庇う行為が意味のないものだった。それを明かさなかった彼に対する不信、という撮り方もあるかもしれない。
でも、これは先の『もし成瀬くんと一緒になっとったら〜』の下りから否定されます。なぜなら、彼女が『伝えられなかった思い』=さざなみの暴露とプロポーズと言っている成瀬の当時の気持ちを知って彼と『一緒になっ』ていたら、という仮定を話している訳で、さざなみの事を隠していた事そのものは彼女の中では障害ではないんです。

motoさん さんのコメント...

あら、いつの間にか総ページビュー数が10万を超えていたわ。

もう三年近く前のドラマの事を未だにちまちま考えている、こんなブログになにがしか興味をもって訪れていただいた皆さんに感謝します。
私は男ですが、杉下希美というキャラクターに自分を投影しています。自分の経験が彼女と多分に重なるところがあるからです。
彼女が何を考え、何を感じていたのか?それを解き明かす事が、自らの経験を自ら咀嚼して、感情を落とし込む事に繋がっている。彼女を真に理解しようとする思考が、自分自身を理解する事に繋がっている。

それが、未だにこのドラマから離れられない理由です。

motoさん さんのコメント...

杉下の『甘えられん』に話を戻します。

彼女の『もし成瀬くんと成瀬くんと一緒になっとったら〜』の下りに関連して、もう一つ彼女の心理がわかります。
この『もし』には暗に『スカイローズガーデンの事件がなかったなら』という意味も込められているんです。

杉下は成瀬に確認しています。『病気のこと、西崎さんに聴いた?』そして成瀬はそれには否定しませんでした。彼は暗に肯定しているわけです。

杉下は成瀬が、自分が安藤を庇ったと誤解して、自分を嫌い、そして距離を取った、という事を理解しています。彼の偽証意図が自己保身であった事も。その彼が、西崎に病気の事を聴き、自分の前に現れ、プロポーズした。
それはつまり、彼が事件の際には既にプロポーズの意思をもっていた事と、西崎から成瀬が知り得ない事件時の真実、それはつまり杉下の偽証の受け入れ過程を聴かされ、自分の意図が成瀬の保護であった事を西崎から諭され、彼が誤解を解いたが故に自分の前に現れたのだ、という事。この二点が杉下に明らかになるわけです。

つまり、杉下の『もし成瀬くんと一緒になっとったら〜』には、事件がなく、その意思を持っていた成瀬からプロポーズされたら、杉下はそれを受けていた、という成瀬へのメッセージでもあるんです。

これには二つの傍証があります。
一つは彼女が事件の日に着ていた黄色のカーディガン。彼女にとって黄色はsy勝負色で、成瀬との高松デートの際も黄色のスカートでした。この黄色は安藤との関係の中では身につけていない色です。
もう一つは彼女が部屋を出る際、自分の部屋の片付き具合をチェックしている事。これは野口家を引き上げたのち、誰かと自らの部屋で過ごす事を前提としているからこその行動です。
その直後に西崎に、奈央子と逃げればいい、と促しているので、2人が自分の部屋にいる、という事は想定していません。
また、上司の夫婦仲を引き裂いた直後に、部下の安藤と懇ろとする事を想定していた、とするのも無理のある事です。
そうすると、クリスマスイブに彼女が一緒に過ごす事を想定していたのは成瀬、という事になる。

ですから、事件の日は作戦の事もさることながら、彼女にとっては成瀬との関係を新たな段階に持って行くための、勝負の日だったんです。

motoさん さんのコメント...

ですから彼女の『会いに来てくれてありがとう』には彼女の成瀬に対する万感の思いが込められているように感じるんです。

事件時の自分の意図が成瀬に正しく伝わった事。
成瀬がその当時既にプロポーズする事を考えていた事をしった事。
そして今実際に病気の身で生い先のない事を知りつつもプロポーズしてくれた事。

それが『ありがとう』に込められているんです。

だからこその『もし成瀬くんと一緒になっとったら〜』は、彼への自分の感情面での答えなのです。『もし事件がなければ、私はプロポーズを受けていた』というメッセージがこめら込められているんです。

motoさん さんのコメント...

杉下が成瀬に『甘えられ』ない理由は、ではなんだったのか?
これ以前のシーンからはその答えを得る事ができませんでした。
しかし、彼女は最終的には成瀬の元に寄り添う選択をした。
そうすると、『甘えられん』と成瀬を拒絶した後に、その『甘えられん』という気持ちを解消し得たが故に成瀬の元に行くことが出来た、という事になります。ですので、『甘えられん』からラストシーンまでの彼女の行動に、彼女が『甘えられ』ないと拒絶した理由のヒントがある。

ラストシーンまでの間に描かれた彼女の行動は医師に『誰も傷つけずに死ぬことは出来ないのか?』と問うたこと。そして早苗との和解です。この二つの内のいづれか、もしくは両方の行動の裏に、成瀬を拒絶した理由があるわけですが、それはなんなのでしょうか?そこには成瀬のぎしょ偽証意図に対する不信はあり得るのでしょうか?

motoさん さんのコメント...

まず医師への問いについてです。彼女は『誰も悲しませずに死ぬことは出来ないのでしょうか?』と問うた。

これは、彼女のこの時点での問題意識からで出ている。つまり自分が死ぬ事で悲しむ人がいる、と彼女は確信していて、それを憂いているわけです。

これは自らの病に対する彼女の視点の変化をしめしています。
彼女はそれまでも、自らの死を恐れ、不安を感じて来ました。妊婦の
姿を見てその背中を視線で追ったり、子供のクローバーに涙したり。子供は未来の象徴であり、自分にはその未来はない。そういった視点で自らを見ていた。

しかし成瀬と会い、彼女は自分以外の視点、つまり自分の死が他の人間にどう見えるのか?何をもたらすのか?という視点を得た訳です。それが医師への問いになっている。

そして医師から『誰も悲しませずに死ぬことは出来ない。誰も悲しませずに生きて行けないように』と諭された訳です。

ここで示された価値観とは結局は『生きるにせよ、死ぬにせよ、誰かしら自らの存在が周囲を悲しませずにはいられない』というものです。

motoさん さんのコメント...

ここで彼女が『誰』かといっているのが、成瀬であるのは明白です。なぜなら成瀬との再会が彼女の視点の変化を引き起こしているからです。

彼女には成瀬に『甘えたい』という願望があります。なぜそういう言えるかというと『甘えられん』という自制、禁止はその裏側に『甘えたい』という願望の存在が前提となるからです。

そしてもう一つこのセリフから判る事があります。彼女は成瀬に『甘えたい』という願望がある事を隠していない、つまり彼女自身が成瀬に『甘えたい』という感情を持っている事をその対象者に対して隠していない、という事実なんです。

そうすると、彼女の自制、禁止の理由とは彼女と成瀬との関係性の中にこそ存在するのであって、そのその外側には存在しない、という事になります。

motoさん さんのコメント...

ここはもう少し丁寧な説明が必要かもしれません。

彼女は最終的には成瀬のもとに帰った訳ですから、この『甘えられん』の後に、その原因を解消する事が出来たことになる。そうすると、この『甘えられん』の後の、彼女に関する描写の中に、その原因を解消しえたものがあることになる。

彼女に関する描写は三つ。
・医師への問い
・高野の諭し
・早苗との和解

彼女が成瀬に『甘えられん』理由が仮に彼との関係性性の外側にあったとした場合、この三つの中に、彼女が成瀬のプロポーズを保留した、彼と関係性の外側にある理由を解消した、その解消に繋がった、と想像しうる描写はあったでしょうか?

医師との会話では、彼女は『自分の死で悲しむ誰か』に関心がむいて向いている。彼女の関心の変化は成瀬が訪ねてきた事によりひきお引き起こされている上、彼女が成瀬に『甘えたい』感情をを隠していない以上、ここで彼女が『悲しませずに死ぬ』事に関心を払っている対象は成瀬という事になる。

また、高野は成瀬のさざなみ放火を疑って彼を追っていた訳で、それは成瀬自身の口から自分は犯人ではない事が明かされた事から、成瀬を追っていた高野の存在が、彼女が成瀬を拒絶する原因とする事も出来ない。

また、早苗に関しても彼女が島を出て以降絶縁状態であり、成瀬との関係再会を目論んだスカイローズガーデン以前から、少なくとも彼女が成瀬を拒絶した段階までその関係性に変化はない。そうすると彼女が成瀬を拒絶する理由とはならない。

つまり、彼女の拒絶理由が成瀬との関係性の外側にあったと仮定した場合、その理由の解消が想定されうるシーンは描写されておらず、そのままでは杉下は成瀬を拒絶した理由を解消出来ない、という事になる訳です。

そうすると、杉下が成瀬を拒絶した理由は、成瀬との関係性の外側にある、とする前提が間違っている訳であり、その事から彼女が成瀬を拒絶した理由は彼女と成瀬との関係性そのものの中にある、という結論になる訳です。

motoさん さんのコメント...

杉下が成瀬のプロポーズを拒絶した理由及びその拒絶を乗り越えた心理プロセス。
この部分がこのドラマでの謎解きの最難関だと思っています。
全ての伏線、全ての謎解き、ドラマの表現形式、その裏にある製作者の意図と思想的背景。
こう言った全ての要素を丁寧に積み上げて、糸を正確に繋いで全体を俯瞰出来た時にこの部分が本当に理解出来るのだろう、そう確信しています。

もうドラマが終了して二年半も経過したにも関わらず、未だにこのドラマに執着しているのは、私がまさにここを完全に理解したい、それはいわばこのドラマを完全に理解することであり、そしてそれはこのドラマを完全に征服する事だと思っているからです。

大枠は早くから判っていました。そこに大きな間違いはないと思っています。ですが、細かい部分で『もしかしたら』という部分が後に幾つも出てきており、また一部その描写の意図、意味を理解しかねている部分が残っているのです。

彼女が成瀬のもとに戻った心理は決して『素直になって』という世間一般の解釈ではない、もっと複雑な心理変化の結果だと思っています。

motoさん さんのコメント...

一度は否定の結論を出した、杉下の偽証意図=自己保身説ですが、もしかして再考が必要かもしれません。

論理のジャンプをしているかもしれない。

それは杉下のモノローグ『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願い〜』の解釈から出てくるんですが、ここの微量な解釈の結果が、必ずしも杉下の偽証意図=自己保身説を否定出来ないかもしれない、というかのうせい可能性に気づいてしまったんです。

motoさん さんのコメント...

杉下の『もし成瀬くんと一緒になっとったら〜』を、成瀬に対する拒絶理由としての、彼に対するふしん不信説の否定的証拠をしていましたが、これは必ずしも正しい見解ではないように感じ始めました。

彼女は成瀬のプロポーズを拒絶する事を前提に、この下りを持ち出しているわけです。

確かに事件がなく、彼が当初の予定通り自分にプロポーズしてくれていたら、それを受けただろう、という事の表明ではあっても、それはある仮定の状況での話であって、実際にはそうは事が進展しなかった。実際に進展した状況下で彼女が彼と自分に感じた事、その帰結として彼女が彼を拒絶する事になった原因として、スカイローズガーデンにおける彼の偽証意図=自己保身と彼女がそれへの反応として、彼に不信を抱いた、もしくは自分自身も自己保身で偽証して、それに対して後ろめたい感情を抱いている可能性を否定するのは、論理のギャップだと思います。

やはり、現段階では杉下が彼を拒絶した理由として、この二つはまだ否定しえない状況にある、といいう事です。

motoさん さんのコメント...

結局は、再び『伝えられなかった思い、すれ違った願い〜』に舞い戻ってしまいます。

ひとつ整理すると、このときの『答え』は、事件当時にはまだ杉下の中に形成されたものではない、という事。そして『誰にも知られないで終わるはずだった』のは、それぞれの『伝えられなかった思い、すれ違った願い』である、という事です。

前に検討した結果を改めて整理すると、彼女が『すれ違った』と表現している願いとは、杉下が成瀬を庇う目的で偽証した、という事を示唆しています。もし彼女の偽証意図が『自己保身』であったなら、ここで『すれ違った願い』という表現にはならない訳です。

この事から、彼女が成瀬のプロポーズを固辞した理由の候補が一つ消す事が出来ます。つまり彼女が『甘えられない』理由は『自己保身の後ろめたさ』ではない、という事なんです。

motoさん さんのコメント...

杉下が成瀬に『甘えられん』理由をしぼりこんで行きます。
二つ目の可能性は、成瀬を頼る事に対する恐怖、トラウマです。

本編で展開した論は、このトラウマ説でした。
その根拠は島編で彼女が『お城放火未遂』をしたさい、成瀬を拒絶した『なんもいらん』でした。

彼女の『なんもいらん』は一般的には彼女の独立心『誰にも頼らん』の発露だと理解されていて、その類型から彼女が『甘えられん』のも『誰にも頼らん』から来ている、と理解されています。

ですが彼女のスカイローズガーデンまでの言動を詳細に検討すればこの『なんもいらん』は彼女のためであれば容易く『崩れそうな吊り橋』を渡ろうとしてしまう成瀬を巻き込む事を恐れた彼女の恐怖であり、そしてこれ以後彼女が人を頼る事を頑なに拒むのは実は『成瀬にさえ頼れん』結果です。

そういった分析から、実は彼女が『甘えられん』のは、一連の彼に対するトラウマ、彼を頼る事に対する恐怖と見ていました。『なんもいらん』『成瀬くんごめん』と『甘えられん』は繋がっている、という見立てだったんです。

motoさん さんのコメント...

彼女の15年は成瀬に翻弄されっぱなしの人生です。

スカイローズガーデンの事件も、彼との関係が悲劇を引き起こし、そしてそのときも彼を守るために罪を重ねた。そのために西崎さえ切り捨てた。

それにも関わらず、実は彼はさざなみの放火は行っておらず、なかんずく彼は自分の父親が放火犯と知りながらそれを隠し、自分の勘違いを利用した事が暴露されたわけです。まして彼女は彼がスカイローガーデンでは自己保身で偽証した事を知っている。

如何にその人物をそれまで好きであったとしても、こういう状況に置かれた人がその人物に対して抱く感情はどんなものか?

やはり杉下が成瀬をこのとき拒絶した理由は、『不信』だと思います。『拒絶』との類推で彼を頼る事への恐怖、とするのは、ミスリードでしょう。
そしてそれがこのドラマで徹底されている、製作者の視聴者への欺きだとおも思います。

motoさん さんのコメント...

彼女の成瀬の拒絶理由と関連して、彼女が成瀬に発した『成瀬くんと一緒になっとったら、私が成瀬くんの野望、叶えっとったね』の評価が、実は怪しいと思えてきました。

この下りは彼女の成瀬に対する万感の思い、もう叶う事のない彼に対する自分の気持ちの表明、と思っていたんですが、彼女が成瀬を拒絶した理由が、彼に対する不信だとするならば、ここで彼女が成瀬にかつての成瀬の野望を口にするのは、ある種彼を皮肉っている、という解釈も成立しうる。

彼女は成瀬が自身の保身のために偽証した事を知っており、彼が自分の勘違いを親を擁護するために利用した事を知り、自分が病気で余命僅かと知ってプロポーズしているのも判る。

この後に成瀬が安藤に対して強烈な皮肉を放っているように、杉下も成瀬に嫌味の一つでも言っていい心境だと思うんです。事実成瀬も杉下の『結婚した相手より後に死ぬ』で、随分と痛い顔をしている。

そしてもう一つこの推理を補強する演出があるんです。

杉下が『結婚した相手より後に死ぬ』を口にするシーンで、カットが二人の背中に回って引くんですよ。

このカットが背中に回る、もしくは引く、という演出。これがある意味、その場所に謎がありますよ、というサジェスチョンではないか、と思っているんです。

西崎からの電話を受けた後の成瀬 この時はのカットがは背中から
成瀬の着信をとっとと直後の杉下 これはカメラを引いています。
スカイローズガーデンでは、4人が揃った状況を上にカメラがを引いていました。

この三つにはいずれも謎、もしくはトリックが存在した。そうすると、杉下の『結婚した相手より後に死ぬ』の発言以降を、普通にとってはいけない、という事なんですよね。

ただ、このカットが背中に回る、もしくはカメラが引く、の演出で一つわからないシーンがあって、杉下がシャルティヒロタを訪ねた時、入り口前で杉下の背中からのカットがあるんです。これが何を意味しているのかな?という部分がまだ整理出来ていません。

motoさん さんのコメント...

ちょっと脱線して、この『カメラを引く』演出について考えてみたいと思うんです。
『カメラを引く』演出はドラマ全体で合わせて5つあったと思うのです。
ドラマの進行順で行くと、こうだったかと。

初出は東京編で杉下がシャルティヒロタの成瀬を訪ねた際の、エントランス前での杉下の背中。
2つ目が現代編で成瀬が西崎から電話を受けた後の、成瀬の後ろ姿
3つ目がこれも現代編で成瀬が杉下を訪ね、電話で杉下を呼び出した際、その電話を受けた杉下を正面上方にカメラを引いたカット
4つ目が東京編、スカイローズガーデンで事件が起きた後、4人が揃った場面。野口夫妻が中央で横たわっているカットですね。
そして最後が現代編で杉下が成瀬のプロポーズに対して『結婚した相手より後に死ぬ』と成瀬のかつての野望を口にした時。これは背中に回ってカメラを引いたケース。

これらのシーンを考えると、分類として二軸を設定出来ると思うんです。

1つは背後に回ったか否か。
もう1つがキャラクターが単独か複数か?というもの。

そうすると組み合わせで4ケースある事になるんですね。

第1ケースとして『単独・背後』を規定すると、これに該当するのが、杉下のシャルティヒロタの前でのカットと、成瀬が西崎から連絡を受けた後のカットが相当する。

第2ケースとして『単独・正面』。これに該当するのは、成瀬からの電話に出る際の杉下です。

第3のケースは『複数・背後』で、杉下が成瀬に『結婚した相手より後に死ぬ』と成瀬の野望を口にしたカット。

そして最後のケースが『複数・正面』で、スカイローズガーデンで4人が野口宅に揃ったらシーンです。

このパターンの違いは、何か意味があるんでしょうかね?

motoさん さんのコメント...

わかりやすいのは成瀬が西崎から連絡を受けたシーンですね。
この時成瀬は西崎から彼が知らない情報を告げられた。彼が知らない情報とは?

1つは杉下が病気で余命宣告を受けている、という事です。でもそれだけでしょうか?

このシーンで西崎が『杉下は‥』と言いかけたところで車がスワイプインして、その後の西崎の発言を隠している。だから彼が何を成瀬に話したのか?は正確には不明です。
ですが視聴者は杉下が余命宣告を受けている事を既に知っています。そして問題のカットで成瀬が愕然として携帯を持った手を下げ、肩を落とした様子を見れば、彼が西崎から杉下の余命を知らされた、と取るのは自然の反応です。そしてその後成瀬のプロポーズに対する杉下の最初のリアクションが『西崎さんから病気のこと聴いた?』とくれば、視聴者が『成瀬は西崎から杉下の余命について知らされた』との判断はより強化される。成瀬はそれには答えていないけれど、そう取って問題ない展開であり、成瀬の反応です。

ですので、この時西崎は成瀬に杉下の余命を告げたのは間違いない。でも、『それだけ』なのでしょうか?その他の、成瀬が知らない情報も一緒に伝えられたのではないか?という懐疑があるのです。

その懐疑はシーンの演出から生じます。
杉下が既に余命宣告を受けている事を視聴者は知っています。そしてそれは成瀬に伝えられた。それをわざわざ車のスワイプインで隠す演出が必要でしょうか?むしろそれを聴いて動揺・苦悩する成瀬の表情を魅せた方が視聴者を引き込むのでは無いでしょうか?

でもその方法を取らず、あえて何が告げられたのかを隠した、という事は彼女の病気とは別に、物語の進行上重大、かつ成瀬が知らない情報もこの時同時に伝えられた、それを隠すための演出がこのシーンでなされた、と理解した方が合理的なんです。

motoさん さんのコメント...

では、このシーンで西崎から成瀬に伝えられた、成瀬が知り得ない情報とはなんでしょうか?
ドラマの進行上、恐らくそれは視聴者にも隠したい情報です。つまり、この時西崎から伝えられた情報とは、10年後であっても成瀬が知り得ない、そしてその時点では視聴者にも明らかにされていない事実であり、その事実に基づく西崎の確信である、と推測できます。そしてそれは当然の事ながら杉下に関するものです。

単刀直入に言えば、スカイローズガーデンにおける杉下のNが誰であったのか?を西崎は成瀬に伝えたのです。そして、西崎がそう判断しうる事実と共に。
つまり、杉下は成瀬が入室する前には、西崎の偽証要求は拒否した事実。そしてその後に成瀬が入室し、杉下に偽証を指示すると彼女がそれを受け入れた事実(この部分は成瀬も知っています)。この2つの事実を時系列で見ている西崎には、杉下のNが成瀬である事は明白なのです。

motoさん さんのコメント...

ここから、背後にカメラを引くシーンはこのような意味があると思われます。

一つ、そのシーンには解かれるべき謎がある。
一つ、それは視聴者に隠蔽されている。一見もっともらしいく視聴者には見えるが、そn裏側に真実がある。
一つ、その真実は写っている人物がその時点では知らず、そのシーンの後にそれを読み解く描写が描かれる

こんなところでしょうか?

motoさん さんのコメント...

なんでこんな分析を考えるのか?と思われるかもしれませんが、それには理由があります。これはご存知の方が多いですが、このドラマは非常に対照、対称な描写が多いのです。つまりアナロジーによる考察が意味を持ちうるんですね。

私はこのドラマが弁証法に沿って作られていると見ているので、アナロジーから導かれる一義的にな答えがひっくり返る、アンチである可能性も含んではいるものの、それはそれでアナロジーからの考察はヒントになるんです。そしてそれは製作者も意識して演出している、という事になるんですね。

motoさん さんのコメント...

では杉下がシャルティヒロタをおとづれた場面での、杉下をバックから引いて撮ったカットの意味を考えて見ます。

先例から一つ言えるのは、このシーンには謎が仕込まれている、というものです。
このシーンで謎となりえる事項というと、成瀬が杉下の申し出(計画変更に伴う、再度の作戦打ち合わせ)を、『この時期は忙しくて』と断った部分です。
これを視聴者はどう取ったのか?大概の方は、この前に成瀬がすでに安藤がクリスマス会で杉下にプロポーズする積りでいる、という事を知っている。だkら成瀬は杉下に気遅れして杉下の申し出を断った、というものではないでしょうか?だから謎って?というのが本音でしょう。

でも、もし謎を設定しうるものは、このシーンにはその他には存在しないんです。
そうすると、ここで設定されている謎は、成瀬が杉下の申し出をを断った理由、という事になります。

そして、成瀬が断った真の理由は、この時点で杉下は知りません。

ではそれがいつヒントにが提示されているのか?というと、先の類推からそれは当然^ながら、このシーンの後のどこか?という事になります。

motoさん さんのコメント...

実はこのカット、杉下をバックの引いたアングルから撮った事の意味を最近までわからなかったんです。

成瀬の類例からこのシーンには解かれるべき謎がある。それは成瀬が杉下の要求『野ばら荘でもう一度打ち合わせしたい』を断った理由だろう、とは思っていました。そしてそれが一般的な理解、『安藤が杉下にプロポーズする積りである事を知って気遅れ、遠慮した』ではない、とも。

そうすると西崎の存在に成瀬が遠慮した?
成瀬が作戦に参加する意識を固めたのは、成瀬が敏感にも杉下の西崎に対する感情に気付き、成就しないにも関わらず西崎に協力しようとする杉下を援助するためでした。

もし、この時西崎の存在が成瀬が遠慮した理由だとすれば、2回目の作戦会議も成立しなくなってしまう。そうするとこの時の成瀬が西崎の存在で作戦会議を断るのはおかしな話になる。
と、すると本当に店が忙しくて時間を取るのが無理だから成瀬は3回目の作戦会議を断ったのだろう。

でも、そうすると彼の『忙しくて』には何ら裏は無くて、その理由は真であり、『杉下のバックから引いたカット』の意味はどこにあるのだろう?という状態だったんです。

motoさん さんのコメント...

しかし、ようやくこの部分の謎、成瀬が杉下の作戦打ち合わせを断った理由にいきあたりました。

結論から言います。成瀬が断ったのはは、作戦会議に参加してしまうと『杉下へのプロポーズの為のプレゼント=青いマフラーを買う時間が無くなるから』です。

青いマフラー、そうです、成瀬が杉下にプロポーズした時に彼女に巻いたあのマフラーです。彼はそれを用意する為に作戦会議を断ったんです。

安藤を思い出してください。
安藤はクリスマス会で杉下にプロポーズを予定していた。そしてそのために指輪を準備していた。そしてその指環は音信不通の10年後、実際に彼が杉下にプロポーズした際に彼女に渡された。

成瀬は?
成瀬は音信不通の10年後、再開直後に彼女にプロポーズした。安藤の例を引くまでもなく、その意思を持たなかった、10年音信不通だった相手に、再開直後にプロポーズなどできません。つまり、彼には音信不通になる前に、彼女へプロポーズする意思を固めていた、という事です。

そして、その意思を事前に固めていた者はどうするでしょう?何がしかプレゼントを用意しようとするのではないでしょうか?実際に安藤は指環を用意していた。成瀬だって同じです。
ではそれは何かと言えば、彼が杉下に巻いてあげたマフラーなんです。

このマフラーは杉下に再開する以前から彼が保有していたものです。ドラマ開始直後の、線路脇で人混みの中佇むカットでもしていましたし、西崎が出所直後成瀬に電話してきた際にもしていました。このマフラーは成瀬がスカイローズガーデンの事件が起きなければ、杉下へプロポーズする際彼女にプレゼントするために用意していたものだったんです。そしてそれを用意する時間を確保する必要があり、作戦会議よりそれを成瀬は優先した、というのが、成瀬が作戦会議を断った理由だったんです。

もう一つ、このマフラーが杉下にプレゼントされる事を前提としたもの、という推理の傍証があります。それは青色だという事です。

成瀬は杉下のパーソナルカラーが黄色である事を知っています。
スカイローズガーデンでは黄色のカーディガンでした。彼女は高松でのデートの時も黄色のスカートを履いているんです。それを彼は知っています。青と黄は色彩上、『補色』と言われる関係にあり、相互を引き立てる色の組み合わせなんです。ですから彼は黄色を引き立てる色=青を選んでいる、と考えることもできるのです。

motoさん さんのコメント...

『バックに引く』カットはあと、『もし、私が成瀬くんと一緒になっとったら…』が残っているのですが、これについては、後に回します。

先に『顔は隠さず上方に引く』カットを考えます。

一つはスカイローズガーデンで安藤入室直後のカットです。野口夫妻を中心に4人が囲み、それを上方から捉えたカット。

ここでの謎はやはり『なぜ杉下は安藤を庇ったのか?』だと思うんです。
ほとんどの視聴者が解けなかった謎です。色々な解釈は存在しますが、それは『解釈』であって論理的な推理でなく、またその解釈はこのトリックを説いたものには容易に論破出来るものなのです。

しかし、ひとまず、製作者はここに謎がある、という事をこのカットで示したのだろうと思います。もっとも、ここはそれに付随してなお難解な、そしてそれに思い至ると非常に面白い謎がいっぱいあるんですよね。ここまでこの論考を読んできてくださった方にはお判り頂けると思います。

motoさん さんのコメント...

『顔を隠さず上方に引く』はもうワンシーン、成瀬が掛けてきた電話に出る時の杉下のカット。
多分ほとんどに視聴者は、謎なんてどこにあるん?というのが正直なところだと思います。

これ、本当にさりげないんですよ。謎の存在にさえ気付けない程。逆にそれ故製作者はこのカットを挿入したのかな?と思っています。敢えて視聴者に気付かせる為に。

このシーンの謎はズバリ杉下が『成瀬くんがどうしてここにおるん?』と同じ事を続けざまに2回口にした理由なんです。

これを10年ぶりにいきなり現れたから驚いた、と理由付けしていたのでは、その謎に迫れません。問題は何故杉下と成瀬が10年もの間、音信不通となったのか?という部分を掘り下げないと、このシーンの謎、つまり同じセリフを繰り返した杉下の心理が理解出来ない。そういう性質のものなんですね。

motoさん さんのコメント...

これは本編でも書いた事ですが、この驚き、2回続けざまに『なんでここにおるん』という問いが出るかと言えば、杉下は成瀬が自らの意識で自分の前に姿を現わす、という事を全く想定、想像していなかった。むしろ、『そんな事起こるはずがない』という前提に立っていたからなんです。

なぜそう言えるか、というと、最初の問いに成瀬は杉下の自宅をどうやって知ったのか?つまり服役中も接点を持ち続けた西崎が杉下の住所を自分に教えてくれたから、と答えている。にも関わらず杉下は間髪入れず『でも、なんで成瀬くんがここにおるん?』と口にしている。
つまり、彼女は成瀬がこの場所にたどり着いた情報の経路には興味を示していない。という事は、彼女の関心は情報の経路では無くて、成瀬がこの場所に来た動機そのものであり、そしてその動機に関心が向くのは、彼女は成瀬がたとえ自分の住所を知っていたとしても、自らの意識で自分の前に姿を現わす筈がない、という前提があったという事なんです。

motoさん さんのコメント...

そうすると、次の問題は『なぜ杉下は成瀬が自分の前に現れる事はない』という前提に立っていたのか。そういう前提を置くに至った理由、となります。

で、実はそれを理解するヒントを提供しているのが『前上にカメラを引く』カットの演出なんです。つまり対応する部分のマーキングとしての役割を担っている。

つまり、スカイローズガーデンで安藤が入室した直後、野口夫妻の亡骸を中心に4人が囲むシーンを上方から捉えたカットが、その場所なんですね。具体的には、この後の杉下と成瀬のやり取りと二人の表情にそれが表現されているんです。

結論はすでにこのサイトで何度か書いているので、繰り返しになってしまいますが、杉下はこの時、自分が『成瀬から嫌われた』と感じており、実際成瀬も『杉下を嫌った』んです。だから杉下は10年後、成瀬が自分の前に現れたから事に、非常に驚いているわけです。

motoさん さんのコメント...

今私が、なぜこのような表現手段の分析をしているかというと、そこに謎解きのヒントがあるのではないか?と思っているからです。
具体的には、杉下が成瀬のプロポーズを保留した、成瀬の野望『結婚した相手より後に死ぬ』のカットにこめられた製作者の狙いが自分ではいまだ結論を得ることが出来ないでるからです。

このドラマは全体の構造および表現の形式まで、非常に細かい部分まで作りこまれています。そうであるなら、似た表現形式を採るシーンには何がしか共通点が存在し、似た、もしくは他との関係性からそれとはまったく逆の結論が得られる可能性が高い。

最後の杉下が成瀬の野望を口にしたカットの意味。それは恐らくラストシーンに繋がるものであるのは間違いないのだろう。ただ、なぜここがラストと結びつくのか?どのように結びつくのか?それがまだ特定出来ない。

ここを解ければ、いかに杉下が成瀬の元に戻りえたのか、ひいてはこのドラマが何を本当に表現したかったのか。このドラマにおける杉下の本当の姿とはなんだったのか?そういったものが見えてくるのではないか?

そういう思いから、こんな表現形式の意味論にまで分析を行っているんです。

motoさん さんのコメント...

『上方にカメラを引く』は成瀬が現れたから時なぜ二度も『なんで成瀬くんが此処におるん?』と口にした、その理由のヒントを提示するためのマーキングだった。

スカイローズガーデンにおける野口夫妻の亡骸を中心とした4人を『上方にカメラを引く』演出は前述の通り。つまり制作側としては、杉下がなぜ安藤を庇ったのか?より杉下が成瀬が現れて杉下がその理由を問う事、つまり杉下は成瀬が自分をどう思っている、と考えていたのか?そしてその理由の方が、視聴者に対するより次元の高い謎かけなんですね。

でも、この謎かけ。

ドラマのファンで、ミステリー好きな人でも殆ど気付いているひとはいないと思う。それ程高度な謎かけであり、だからこそ製作者はマークを入れたんだろうけれど…。

その謎かけに気づいた人はどれだけいるんだろう?そしてそれに対して正しい答えにたどり着いた人は自分の他にどれ程いるんだろうか?もしかして自分以外には誰もいないんじゃないか?そう思える程のものです。

motoさん さんのコメント...

これで『カメラを上方に引く』の演出の意味は理解出来ました。

そこでもう一度『カメラを背後に引く』の演出について考えたいと思います。
実は『上方に引く』をあれこれ考えていた間に、もう一つ同じ演出のカットを見つけたんです。それは島編での二人の『棚田での別れ』。

これ、非常にさりげない形でですが、杉下の背後に回ってカメラを引いているんですね。その意味で既に指摘した『成瀬の呆然』シーンと杉下の『シャルティヒロタ前』と同じ演出なんです。

で、実際に此処では成瀬が杉下に事件の真相、少なくとも自分は放火していない、という事実を伝える事が出来ず、それが杉下に隠された状態となった。

この三つのシーンには共通点があります。
一つは、背後から撮られている人物が知り得ない、もしくは隠蔽されている真実がある。
もう一つは、その事実はドラマの進行上、後に明かされる、もしくはヒントが提示される。
そして最後の共通点は、『上に引く』とは違い、対応するマーキングは存在しない、という共通点です。

具体手にみていきましょう。
1。島編『棚田での別れ』
杉下が成瀬に”来たらあかん”と成瀬を拒絶した時、杉下のバックにカメラが引きました。
この時隠された真実、それは実は成瀬が放火犯ではない、という事です。成瀬へ父親を疑っていましたが、父親への嫌疑を自分に惹きつけるために杉下にそれを言えませんでした。
そしてこの真実が彼女に明かされたのは、現代編において成瀬が彼女にプロポーズする直前でした。成瀬の、さざなみに関する告白には特別マークとなるような演出は見当たりません。これはもしかしたら島での高野との会話で先行して視聴者には真実が開示されたてことと関係があるのかもしれません。

2。東京編『シャルティヒロタ前』
杉下が成瀬に作戦計画の変更を伝えに来たシーンですね。この時彼女に隠蔽されたて真実は成瀬が再度の打ち合わせの依頼を断った理由ですね。それは成瀬がプロポーズ用のプレゼント、それはつまりマフラーですが、これを買う時間が取れなくなるから、というのが真実です。これは以前にも説明しました。そしてこの真実のヒントが提示されるのがまさに成瀬がプロポーズし、彼女にマフラーを掛けた事なんです。
そしてこれも、このシーンの直後に事件の朝に時間が戻っている。つまりドラマの進行的にはヒントが常に後であり、そしてここでも呼応するようなマーキングは見当たりません。

3。現代編『西崎との会話後の成瀬』
既にこれも既出ですが、ここで隠されていた事実があって、それが西崎に伝えられた。その事実とは西崎の偽証要求は杉下は拒絶したものの、成瀬の指示は受け入れた、という事です。これはスカイローズガーデンのトリックそのものですね。この事実は杉下が事件の際に守ろうとしたのは成瀬である、という証拠であり、成瀬が入室前の杉下と西崎の間のやり取りですから成瀬は流石に認識出来ない事項です。
そして当然ですが、このシーンにもそれらしいマーキングはありませんし、また成瀬のシーンの後に真相が明らかにされています。

motoさん さんのコメント...

そして最後が杉下と成瀬、二人の背後にカメラを引くカットの意味ですね。

『背後に引く』演出はの事を考えている間に二つ新しいカットに気付きました。
一つは本土デートの際の、港で階段に腰を掛けているシーン。成瀬が杉下の手を取ろうとしたところですね。
もう一つは、さざなみに炎上を二人が手を取って見つめるシーン。これも二人揃って背後に引く、という意味では同じなんです。
そして最後が杉下の『結婚した相手より後に死ぬ』。

現代編での二人のカットはわかりやすいですよね。何かある、と勘付けるような演出です。でも前の二つは自然なんです。ですから私もこれまで見過ごして来た。

ですが、これらはやはり何かの共通点を持つ、意図された表現形式だと思うんですね。
『棚田での別れ』がそうであったように、意図された共通する何かが、これらには込められていると思うんです。

ですが、それがまだ見えていない。その意図されたものとはなんなんだろう?

『背後に引く』という共通点から、もしかしたらやはり二人の場合にもそこには何がしかの謎が存在していて、その真実、もしくはそのヒントがその後に描写されている、と考える事が可能です。二人が揃っている状況下ですので、二人に対して何かが隠されたもの、というより視聴者に対して、と取った方がいいのかな?という感覚です。

motoさん さんのコメント...

現代編での『結婚したあいてより後に死ぬ』は、何かがある、というのは容易に察する事ができますよね。それは私は杉下が成瀬のプロポーズを保留した理由だと見ています。そしてそこが未だ私も解決がついていません。そこに解決を得るヒントが欲しくてこんな分析を行っているんです。そこには絶対何かがある。表面的な、視聴者が容易に説明出来るようなものではない何か。

それはまた考えるとして、それではさざなみ炎上時の手繋ぎのシーンはなんだったのか?というとそのヒントは『究極の愛』なんだろう、という見立てです。つまり杉下が成瀬の手を取った感情、心理ですね。これが謎。ですが、後に彼女自身が『究極の愛』を語っています。それそのものなんじゃないの?とするとあまりにわかりやすくて、謎にならない。そうすると『究極の愛』はあくまで杉下から見た成瀬との関係、彼女がさざなみ炎上を見て彼に対して彼女が抱え込んだもの。それこそが本当の謎で、実は視聴者が気づいていないものが本当の謎なんだろうと思います。

これらについては後ほどその中身を書いていくとして、問題は本土デートの際の、海を望む階段に腰掛けてのカット、成瀬が杉下の手を取り損ねた部分なんですよね。
じつは、これが謎と呼ぶにふさわしいものが見当たらないんです。

motoさん さんのコメント...

ひとまずはさざなみ炎上から考えます。
このカットには不自然さはなくて、後から考えると、『あ、そうか』といった感じです。
で、ここの謎のヒントは先に書いた通りの、杉下の『究極の愛』。

でも『究極の愛』自体は謎でも何でもないですよね。つまり『究極の愛』に関連した、表面的には表現されていない心理が、さざなみ炎上時における謎だと言える。

つまり杉下の『究極の愛』をもっと掘り下げて杉下にとっての成瀬の存在の意味を問わないと、この謎に答えられないんです。

杉下の『究極の愛』とは以下の定義です。彼女自身による西崎への返答。

〝罪の共有…共犯じゃなくて共有。誰にも知られずに相手の罪を自分が半分引き受けること…誰にもってのはもちろん相手にも…罪を引き受け、黙って身を引く〟

この杉下の『究極の愛』、美しいですよね。私も美しいと思います。そして彼女の成瀬に対する行動が、ここで表明された通りに描写されていて、彼女の成瀬に対する感情がよくわかる名文句です。

ですが、上記の『究極の愛』だけが彼女の成瀬に対する感情なのか?という疑問があるんです。彼女の定義には、ポジティブな面しか表明されていないんですよね。つまり彼女は成瀬が好きだから、彼を守る為の彼女のポジティブな意思、ある美味美化された部分だけが表現されているんです。ネガティブな側面が抜け落ちてるんですね。

では、そのネガティブな部分とは何か?それはこの『究極の愛』の概念が成立した過程、プロセスにあるんです。

杉下はさざなみが成瀬の放火による、と誤解しています。ではなぜ彼女は成瀬が火を放った、と誤解したんでしょうか。それは二人が『燃えてしまえば、大事な場所を誰にも取られない』という思いを共有していたからです。その共有は彼女の『お城放火未遂』の際の事で、そしてここが大事なのですが、杉下を止めた成瀬が『杉下を犯人にしたくない、俺がやる』と代理放火をしようとした。
この行為はそれを杉下が止める事で事無きを得ましたが、その翌日にさざなみの炎上があった。燃えるさざなみを見る成瀬を見つけた時、杉下は前日に彼が言った『俺がやる』を本当に彼が実行したんだ、自分が彼の行動を引き起こしてしまったんだ。そう理解したんです。つまり、それは彼に対する杉下の罪意識です。

彼女がいう『相手の罪を半分引き受ける』というのは、罪を犯した彼を擁護する事から生じているのではない。本来的には彼の罪である事実を隠蔽する事を『共有』とは呼んでいないんですね。彼女はには自分の罪を彼が共有してくれた、という認識がある。つまり罪そのものが二人の共同責任によって生じており、それを『共有』と言っているんです。彼が犯した罪は元々が自分の罪だ、彼が自分のそれを引き受けてくれた、だから私もそれを引き受ける。そう言っているんです。だからこそ、彼女は自分が発端となり、罪を共有してくれた彼に対して罪意識を抱えているんですね。

motoさん さんのコメント...

さらにいえば、鹿野城は彼に対してまた打つのネガティブな部分を抱え込んでしまったのです。それはある種の恐れ、恐怖です、

その恐れの感覚の一端は、彼に対する罪意識から出ている。罪意識が、その対象に対して恐れを抱くのは自然な事です。
もう一つの端は、彼が容易に一線を超えてしまった、という部分から発します。彼女はお城放火未遂時、成瀬の『どうしてほしい?俺になんが出来る?』との問いに『なんもいらん、なんもいらん』と答えています。これは彼が『俺がやる』といい、実際に行動しようとした。一線を越えようとした。そういう行動を見た彼女の心のブレーキだったんです。もちろん、そこには実際にそうなってしまった場合に、彼を失う事になってしまう事への恐れもあります。それも含んだ恐れ、恐怖なんですね。だから彼の言葉に対する回答が『なんもいらん』という拒絶の表現なんです。

ここの表現の出所を彼女の独立心に求める論がありますが、それは間違いです。お城放火をしようとした状況における彼女は、そのような独立心・野心などという事が通用しない状況に追い込まれていました。だからこそ当然罪な行為だとわかっているはずの行動=放火に及ぼうとした。誰かの助けが必要だった、だけれどもそれは自身のドス黒い感情を伴っているが故に、成瀬に助けを求めるのを憚った。彼を巻き込んではいけない、という思い。そして容易に彼が一線を越えようとしてしまう様を見た時、彼の申し出を拒絶する心理が独立心から発せられるはずがないのです。

motoさん さんのコメント...

さざなみ炎上時の杉下の心理はOKです。これは本編でも結構突っ込んで検討した問題なので不明点はない。
そうすると、あとはここでの表現形式なんですね。
まづカットがある。それはさざなみの二人の手繋ぎ。
そしてそのヒントは杉下が西崎に話した『究極の愛』。ですがその究極の愛自体を正確に理解するには、さざなみ炎上に至った経緯をしっかり理解しないといけない。それはカットの直前に描かれているけれど、それさえも通り一遍では製作者の仕掛けに引っかかるので、しっかり裏を読み解かないといけない…

こう言った表現形式をとっているんですね。そうすると難問であった、杉下の『結婚した相手より後に死ぬ』はどういうアプローチになるでしょう。

この部分がずっとこの春以降解けなかった部分なんです。今度こそ解けるのかな。

まずはここで問われている謎は何んだ?という部分から。
これはやはり杉下が成瀬のプロポーズを固辞した理由だと思います。杉下は成瀬に『甘えたい』という感情があります。ですがそれを許さない何かがある。だkら『甘えられん』。もし彼女の固辞が病気を理由としたものであるなら、彼女はラストで成瀬の元に戻る事はなかったでしょう。病であることは時間の経過で変わる事がないからです。西崎にの援助の申し出は間接的にですが、病で人を頼ることはできない、といった趣旨の事を口にしています。ですから病が理由だとすると、彼女は成瀬のプロポーズを最終的に受ける事は出来ないのです。病とは起源を異にする、何がしかの心理。それが成瀬を固辞した彼女の理由であり、それが後の何処かで解消したが故に彼女は成瀬の元に戻る事が出来た、と考えたほうがよい。

そうすると、表現形式のアナロジーから、このシーンの後のどこかに、そのヒントがある。それは何であるか、というとシーンのボリュームからいったらやはり母早苗との和解だと思う。普通のドラマの演出から考えたら、早苗とのシーンはボリュームが大き過ぎると思うんです。謎解きを始めた当初も実は早苗とのシーンのボリュームが大きするるのでは?と感じていましたし、そのドラマ上の位置付けに苦慮していたんです。そしてその苦慮はごく最近まで続いていました。やっぱりどう位置付けたら良いのか解らない。

ですがなんとなく道筋が見えてきました。

杉下は母親と和解する事が出来た。その結果として成瀬の元に戻る事が出来た。
そうであるなら、これまで母親を遠ざけてきた理由が解消出来た事が成瀬の元に戻れた理由となる。そうすると成瀬を固辞した理由は実は彼女がこれまで母親を遠ざけてきた理由と同じで、母親との和解でそれが解消したからこそ成瀬の元に戻る事が出来た。理屈としてそう理解したほうがいいと思うんです。

そう考えると、表現形式とこれまでの推理が一致してくる。

さざなみ炎上の表現形式からいけば、その直前にヒントを解く鍵が描写されている。さざなみならお城放火未遂です。このアナロジーが今回も生きている。

それは成瀬のさざなみの真相の吐露の直後の杉下の発言でした。
『あの火を見てたら、父親も母親もあの女も消えていった。縛るものは何もない、そう思って上向けた』
ここです。ここが杉下と母親の関係を理解する事が出来る部分なんです。
つまり杉下はさざなみ以降、母親を『自分を縛り付ける存在』とはみなしていなかった、と言っているんです。ここの心理分析は本編で凄く細かくやっているので、詳細はそちらに譲りますが、結論として、彼女がそれまで母親を当ざけてきたのは、彼女の母親に対する罪意識。その自らの罪意識に対峙する事への恐れ。それが彼女が母親を遠ざけてきた理由なのです。

つまり杉下が成瀬を固辞した理由。それは彼女の罪意識なんです。

motoさん さんのコメント...

杉下が成瀬を固辞した理由が、彼女の中の罪意識だとして。
その罪意識とは何に対するものなのか?が問題になる。

ぱっと見、成瀬のプロポーズを固辞し、後に彼の元に戻ったわけですから、成瀬に対する罪意識、と考えたくなるのですがここは一考がいる。

確かに彼女にはさざなみに関して成瀬に対する罪意識を持っていた。それが当初東京編で二人がコンタクトを取らなかった一因です。
しかしそれは少なくとも事件前の二人について、接触を断つような性質の恐れとはなっていません。
もちろん罪意識は継続していたでしょう。ですが、杉下がスカイローズガーデン時にしていたピアスを、ラストシーンでもしていた事実。これは杉下にその時点で成瀬との関係性を再開させる、発展させる意志があった、という事の証拠です。成瀬はこの時杉下へのプロポーズを予定していた。打ち合わせをキャンセルしたのはプレゼントとするマフラーを用意するため。そして杉下もこの時、成瀬との関係を新たな段階に発展させるつもりだった。
さらにいえば、成瀬がプロポーズをする直前、さざなみの真相が彼女に告げられた。彼女が成瀬に罪意識を抱く根拠自体が否定された訳です。

そうすると杉下の固辞はさざなみについての成瀬に対する罪意識、とは言えない。

もう一つ、彼女が成瀬に罪意識を抱くものは、スカイローズについてです。そもそもスカイローズは本来成瀬には何ら関係のない事項であり、事件発生時においても、べき論でいえば成瀬を部屋に引き込むべきではなかった。だからこそ彼女は入室した成瀬の背中に『成瀬くん、ごめん』と涙ながらに謝っている。

本編では実はこの『成瀬くん、ごめん』と『甘えられん』は等価だと考えていました。この時の彼に対する罪意識が彼のプロポーズを固辞した理由をだと。

ですが、ちょっとちがうのかな?と。

確かに杉下は成瀬に対してスカイローズの罪意識を抱えています。ですが、彼女がスカイローズガーデンにおいて抱えた罪意識は成瀬に対するものだけではない。
死亡した野口夫妻は当然の事、西崎に対しても、成瀬に対しても、はたまたこれまでは感じてこなかったけれども、プロポーズを契機に安藤に対してさえ彼女は罪意識を抱えた。
なぜなら全ての事象は、彼女があの時とった行動、判断だけでなく、彼女の存在そのものが事件を引き寄せてしまったから。全ての因果が彼女という存在を触媒として結びついてしまった。

彼女の罪意識、自己否定感は相当なものだと思います。ですから彼女は自らの病もある種の罰、報いと取っていた。だから誰の助けも得ようとしない。救われる事を放棄する。

これが西崎や成瀬の援助、プロポーズを固辞する彼女の心理なんです。

ここで一つ反論があるかもしれません。成瀬がさざなみの真相を暴露した事から、彼女のスカイローズでの罪意識、絶望感は緩和されるのでは?というものです。
しかし深い罪意識を抱えた人物からみた場合、自分が勘違いした、そしてその勘違いがその後の展開を形作っていった事実は変えようがなく、罪意識は軽減され得ません。むしろ勘違いがその後の展開を作っていったわけで、勘違いをしなければ、という新たな罪意識を重ねる要素にこそなれ、それで彼女の罪意識、絶望感は増しこそすれ減ずることはないんです。

motoさん さんのコメント...

実は、こうやってこれまで何度もトライして、その本当のところを特定できずにきた、杉下の『甘えられん』がなんであるのか?そしてその位置付けに苦慮し、説明を与える事が出来てこなかった、早苗との和解シーンに道筋が付きました。

そして最後に残っているのが、如何に杉下は成瀬の元に戻り得たのか?という心理分析です。

これが、このブログでの一貫した私の関心です。

これまで何度も、この問題を問う入り口に立った、と思いました。しかし考えるたびに実はまだそこに至っていない、という事に気づかされその度に解決済と思った因果、心理を修正しながら、ここまでようやくたどり着きました。

ですが、一つ困った事が起きているんです。

私はこのドラマが終わった直後より、このドラマがキルケゴールの実在主義で描かれている、このドラマを理解するフレームワークはキルケゴールの実在主義だ、と主張してきました。それは間違っていません。キルケゴールの実在主義を示唆する描写、演出、構成がたんまりとあり、またそれをフレームワークとする事で理解がすごく進んで、ここまでたどり着いた。

杉下が現代編において陥っていた状況はキルケゴールがいうところの『神の救済さえ拒絶する』絶望です。キルケゴールはこの状態の絶望を『絶望が最高度に高まった状態』と言っているんです。つまりこの状態が何か別の状態に遷移する事はない。そういう性質の絶望なんです。
つまり、彼女がこの状態のから抜け出し、成瀬の元に還る事、それはキルケゴールの思想からは不可能なんです。それは杉下の心理変化をキルケゴールでは説明出来ない、という意味なんです。

motoさん さんのコメント...

キルケゴールがまちがいだったのか?それは無いと判断しています。
色々な演出、カット、構成がキルケゴールを示唆しています。『ラプンツエル』のくだりは、原作にも登場しますが、これはキルケゴールが活躍した同じ時代の、キルケゴールが批判したヘーゲル哲学の影響を受けた後期ロマン主義文学を持ち出す事で、ヒントを提示しているんですよね。
そして西崎の『今にも崩れ落ちそうな吊り橋』に対する、成瀬と安藤の回答の違いと、西崎が『なんだってする』という安藤になぜ杉下を託さなかった。それを理解するにはキルケゴールの思想でアプローチしないとりかい出来ない。
これが理解できないが故に、安藤はみんなから守られた、なんていう間違った解釈以外が出てこないんです。
もちろんキルケゴールだけで全てを説明出来ない部分はあるんです。特にスカイローズガーデンに至る過程をよく観察すると、杉下にある種の『構造主義的制約』を感じるんですね。それはいわば『しがらみ』と言えるものです。ですので私はこの物語は『構造主義的制約下でのキルケゴール的実在主義』だと、本編でも述べました。

では構造主義的制約、がラストにおける杉下の精神の高揚を説明できるか?というとそんな事はないんです。なぜなら構造主義主義とはある種、実在主義のいう『無限大の自由』を否定しており、その主張には『実在主義がいうほど人間は自由では無い』。そういったものが、杉下のラストを説明しえるわけがない。

そうすると、なにか別のもの、キルケゴールの『悪魔的絶望』を抜け出しうるなにかを持ち込まないと、これを説明出来ないんです。

motoさん さんのコメント...

ここで注目したいのが、原作からの設定変更です。
具体的には青景島なんですが、原作では愛媛県。ですがドラマでは香川県になってる。
なぜこのような設定変更になったのか?

ひとつ気になっているのは、香川県の宗教上の特質です。

四国fは基本天台宗・真言宗系が多数派なんですが、香川県だけは浄土宗・浄土真宗が多数派を占める。

なんだかこの辺りにヒントがある気がするんです。

私は哲学も宗教も専門ではないので、学術的な議論には耐えられませんが、実はキルケゴールと釈尊は非常ににた事を主張している、と思っている部分があるんです。
二人はともに、『関係性』に着目している、と感じています。

釈尊は『縁起』という概念により、常なるものは有らず、諸処の関係性の上に存在が成立しており、その関係性が消失すれば、存在そのものが成立しない、としました。
キルケゴールは自己とは『自己に関係するところの関係』と規定しています。
つまり二人は人間存在とは他との関係性の中において規定する以外には規定しえない。つまりそれそのものは空っぽであり語り得ない、と規定している。

その後の論理展開は二人の関心の差から祭が発生します。釈尊の関心は当時のインド世界において支配的であった輪廻思想の呪縛からの人々の解放を目指し、キルケゴールは自己と神との関係性とそこでの人間心理を詳述するのですが、とにかくこの二人の人間存在に関する規定は実によく似ている。

で、設定変更がここにどう絡んでくるか、です。
実は同じ仏教でも宗派によって結構中身は異なるんですね。
釈尊の主張は輪廻という現象そのものの否定なんです。輪廻という現象は存在しない。だから輪廻思想による呪縛から人々を解放するのが本来の釈尊の教え。
ですが、天台宗・曹洞宗などの密教系の教えは、釈尊の後の時代にインドの輪廻思想を再び取り入れたんです。

キルケゴールの思想は一代限りのこの生を如何に全うするか。これが後に彼が始祖とされる実在主義の主題ですが、これと輪廻思想は相性がよろしくない。

一方、その後に起こる浄土思想は再び輪廻思想を排除しているんです。その上で私にはイマイチ理解できない事ですが、ある種のレトリックで釈迦の思想を理解していない大衆を涅槃に導く、としているんですね。

どうも、この浄土思想にキルケゴールのどん詰まりを抜け出せる道があるように思えるんです。

motoさん さんのコメント...

ページビューが累計11万を超えました。
こんな妄想を書き連ねている、もう3年も前のサイトに未だにアクセスしていただけることに感謝にします。

私の目指すところは、杉下希美が幸福になることです。それに辿り着きたい

motoさん さんのコメント...

キルケゴールと釈尊の思想は地下い、とはいったものの、絶対に相容れない部分もあります。
キルケゴールは、キリスト教の教義、死後における最後の審判を前提としている。輪廻ではないけれど、精神の永続性を前提にしているんです。
ですが、釈尊の根本思想は全ての永続性の否定です。永続なるモノの存在そのものを否定する事で、輪廻思想からの脱却を図った。ですから死んでしまえばすべては『空』に帰す。それが宇宙の本来的なあり方だ、と主張しているんですね。ですから死後に『自己』や『私』なんてものは存在し得ないのだから、前世がどうの、来世がどうのという考えから解放されるべし、そういった思想から出て来る差別など以ての外。そういうのが釈尊の考えです。

なにか、この辺りに杉下が解放されうる糸口があるような気がしてるんですが、まだよくわかりません。

motoさん さんのコメント...

杉下にとって、再開するまでの成瀬とはどのような存在だったのか?

・一つは彼女は自分が成瀬から嫌われた、という事を理解していました。
・また、それでも成瀬は杉下には救世主です。自分の意図が誤解されて彼からは嫌われてしまったけれでも、彼は自分の危機においてその危機に飛び込んできた。結局は誤解であった事が後に知れますが、さざなみの火で自分がしがらみから解放されるものを感じた。それを実現してくれた彼は彼女にはやはり救世主であった。
・罪意識の対象。彼女にはさざなみが自身のお城放火未遂から出ている、という誤解があり、また本来的には彼には全く関係がないスカイローズガーデンに彼を引き込み、彼を巻き込んでしまった思いがある。『成瀬くん、ごめん』
・行動の為の勇気の源泉としての成瀬。彼女には成瀬の為であればなんでも出来る、ジャンプ出来てしまう、という特徴がある。さざなみの偽証は成瀬を護りたいから(誤解だが)。同時に虎の子の奨学金の機会も手放した。公衆の面前での父親への土下座(ある種のずる賢さをもって)、母親の切捨ては島からの脱出(彼女の手による)を果たした成瀬と共に有りたい、という彼女の欲求から。野口家への接近の為、奈央子ののボンベに手を掛けたのも、成瀬との約束=野望の一つ、『豪華客船で油田を掛けてアラブの石油王と将棋の勝負をする』を実現するきっかけを得る為。野口を挑発したのは、『あと少しで成瀬が到着する、成瀬とであれば何だって出来る』という彼女の特性の表れ。この時彼女は野口の安藤への態度に、激怒した。『大人の都合で若者の未来が潰され』そうになる現実への反発。それを成瀬との共闘で乗り越えた彼女には、成瀬がいれば自分は何でも出来る、と思えたからこそ、野口を挑発出来た。
・恐怖の対象としての成瀬。彼女にとって成瀬は救世主であるが同時に恐怖でもある。さざなみで自分のお城放火未遂に対してとった彼の反応。簡単に一線を越えようとする彼。そして実際に彼はさざなみを自分の代理として放火した(という誤解)。彼の行動への恐怖と彼を失うという事、その二つに関して彼女は恐怖を抱えている。そしてスカイローズガーデンで彼を失った、という事実に対しての絶望。

こういった矛盾を孕むコンプレックスな存在として成瀬は彼女の中にいる訳です。

motoさん さんのコメント...

成瀬と再会する前の杉下の心理とは、誤解から神様に打ち捨てられた者、といった心理ではなかったか?
依然神は思慕の対象ではあるけれども、もはや神に再び見える希望を失った、罪深き身。罪意識からその身をすり潰すような生き方。その結果としての罰としての病。

そんな感覚だったんじゃないかと思うんです。

motoさん さんのコメント...

成瀬のプロポーズについて

なんだか、俗にいう成瀬のプロポーズについて、それが本当に一般的にいう処の『結婚』という意味でのプロポーズなのか、疑問になって来た。

なんていうか、それは成瀬の杉下に対する『贖罪』といったニュアンスが強いものなのじゃないだろうか?

motoさん さんのコメント...

一つは彼が杉下に対して罪を抱えている、という事実です。
まづ、さざなみ。
彼は意図したかどうかは別として、父親と自分への容疑を交わす為に彼女の勘違いと彼女の自分に対する感情による偽証を利用してしまった。そしてそれを現代編での再会まで詫びていません。

二つ目は奨学金。
これもさざなみの彼女の偽証と関係しますが、そもそも奨学金は彼女が得るはずだったもので、それを彼女の自分への感情から差し出したもの。
結果的にフイにしてしまった部分については島での再会時に謝っていますが、彼からしたら、それをそもそも受け入れた経緯や、その結果として彼女は金の工面で苦労したであろう事は理解しているわけです。彼女が父親へ土下座する処を成瀬も見ているわけですから。

三つ目はスカイローズガーデンでの自分の勘違いについて
彼は彼女が安藤をそのNだと誤解し、それゆえ彼女との接触を断ちました。それは決して関係を断つ事で彼女を護る、という意味では有りません。これは彼女に対する怒りです。
この怒りから彼は杉下と接触を絶った。彼女を安藤同様に嫌ったから。
でも、西崎からの電話で、杉下の偽証意図、少なくとも西崎から見える杉下のNが自分であった事が告げられた。彼女の自分を護ろうとした行動を読み違えあまつさえ誤解の上彼女を嫌った、という事実に罪を感じているはず。

そして四つ目が彼女を誤解したが故に、彼女が病にも関わらず放置したが故彼女の命が僅かとなった状況に対する罪意識。

このような四つの罪を杉下に抱えた彼が、『救済者』の心理で彼女の前に立てるか?
それはないと思う。

確かに西崎は、成瀬に救済者・庇護者の役割を期待した筈。成瀬が橋を渡る奇跡を杉下に見せ、それゆえに杉下が自分が救済されうるのだ、というふうに信じられるきっかけとして。

でも成瀬は杉下に強い罪意識を抱えている。その彼が杉下の前に立った心理、とは贖罪だと考えた方が自然。
こう考えると、お城放火未遂やスカイローズガーデンで杉下を危機から強引に引き剥がした行動と、この時の行動に差があるのがすっきりする。
彼は罪を償う為に彼女の前に立った。でもそれは彼女が彼の罪の償いの申し出を受け入れた場合に限られる。あくまで選択権は杉下側にある、というのが彼の考えだった。
そうすると、彼が杉下を置いて先に島に帰ったのも、すっきりする。彼女が拒絶する贖罪など成立しないから。

彼が杉下の前に立ったのは、救済者としてでは無い。彼は彼女の前に贖罪を申し出る目的で立ったのだ。