N研 6

Nため研究所 へようこそ


此処は彷徨えるトリ達が真実を探求する思索の場

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研究所長

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49 件のコメント:

ひまわり さんのコメント...

またまた長文失礼します。

motoさん

制作者の意図は『スカイローズガーデンでは安藤を護った(ように観える)杉下がラストで成瀬の元に身を寄せる、これがこの話のミステリーの部分である』、という事に同意です。

私は希美が病気になったから成瀬に身を寄せたとは思っていません。そしてスカイローズガーデンで安藤を護ったことがフェイクだとも思っていません。よって、何故2014年に希美のN=安藤だったものが、最終的に成瀬に身を寄せるのかということの謎解きが私にとってのミステリーです。

そして、以前motoさんの投稿にもありましたが、台詞の嘘は基本的にルール違反、表情や演技、演出はフェイクが存在する可能性がある。例えば、ドレッサー事件でゆきがフラッシュバックするのは、本当の希美の心理上ではフラッシュバックしてないもの、という部分です。

なのでmotoさんの『成瀬に対する杉下の感情は安藤というフェイクの信憑度を上げるために、製作者から隠蔽されていた(意図的に表現されなかった)』というのも分かります。しかし、隠滅されていても嘘のない台詞(心理の言語表明)がある以上、そこに希美の心情が一本化していなかったら成瀬説は成立しないと思います。なので、疑問点を書いてみます。

2.の段階では『成瀬についてはまだ頭に登っていない』、これは同感です。よって、成瀬を入室させることを深く考えずに実行したということでしょうか。希美の頭が回っていない、その解釈は安藤説でも同様です。ここは西崎と奈央子を天秤にかけて、希美は奈央子のために西崎を切ることはできない=西崎の偽証提案①は拒否ということと解釈しています。

疑問① なぜ西崎の偽証提案②で「でも」と言ったのか?

4.は『成瀬を巻き込んでしまった事(さざなみ蒸し返しの発生を含む)』に「ごめん」であれば、この時すでにさざなみ蒸し返しの可能性に気づいていたということですか?であれば、なぜ5.の西崎の偽証提案②で「でも」という否定を口にしたのかが疑問です。成瀬を護ることの必要性に気づいていれば、この時点で西崎と成瀬を天秤にかけ、西崎を切る覚悟をしてもよいのでは。

疑問② 西崎と成瀬を天秤にかけたタイミングはいつか?

6.も正確な意味があると思います。成瀬の偽証提案「それでいいね?」の後、希美は西崎を見ます。希美の視線に対して、西崎は何を思って微笑み頷いたのか。その微笑みを受けて、希美は何にハッと気づき、その場に座り込んで涙するに至ったのか。ここも、4の時点でさざなみ蒸し返しに気づいたととるならば、ここで西崎を切ることに気づくというのも、遅い気がします。やはり、相当の混乱により頭が回っていなかった…ということなんでしょうか。

疑問③ 作戦会議での成瀬への配慮はどこに?

作戦会議の時点で、『善行であれば成瀬の過去の罪は追求される可能性はない』という希美の成瀬への配慮はありました。これは逆に言えば、『悪行であれば過去の罪は追求されかねない』が希美の頭にインプットされていたということ。であるのに、希美は殺人現場に成瀬を入室させた。これも、頭が回っていないからでしょうか。

①~③を考えると、奈央子の死後から成瀬の偽証提案まで、「希美は相当頭が回っていない」という解釈と、成瀬の「杉下と俺は何も知らんかった、今日会ったのも偶然」の言葉を聞いて、初めて放火事件の蒸し返しに気づき、成瀬と西崎を天秤にかけ、西崎を切ったという流れになる気がします。その場合の新しい疑問。

疑問④ 迷宮入りの事件がどのように蒸し返されると希美は思ったのか?

そもそもさざなみは実質迷宮入りの事件、新証拠や新証言が出てくる訳ではない。成瀬と希美が放火事件後に親しくなり、希美がクリスマスイブに成瀬を自宅に招くことを考えていたのであれば、今更何を蒸し返されることを恐れたのか、疑問です。

疑問⑤ スカイローズガーデンで成瀬を傷つける選択とプロローグの矛盾

希美のプロローグ「その人が一番傷つかない方法を考えた」=迷宮入りの事件である放火の容疑がかからないよう成瀬に殺人事件を偽証させること、でしょうか?容疑がかかることと、殺人事件の偽証という罪を負わせることを天秤にかけて、何故容疑がかかることの方が重くなるのか…ここが疑問です。実際、事件後の成瀬は偽証の罪を負い、希美を失い、相当傷ついていると思います。その10年に意味があった、と希美は西崎に感謝する意を伝えるに至るのか、ここも疑問です。

以上を考えたとき、成瀬派だったんですが安藤派を考えるようになりました。そして、安藤の外鍵をかけた罪を操作機関から護ったのではなく、安藤を罪意識から護ったと考えるようになりました。プロローグの「傷つかない」は、その人の「心が傷つかない」という意味じゃないかと。すると、安藤を護る決意を固め、偽証受け入れたタイミングについても変わってくると思うんです。

しのぶさん
「大学に行っていない」=「希美を忘れた」、その通りですね!希美はそう受け取れると思います。譲った奨学金のこともありますし、成瀬に会うのが怖いという心理、理解できます。

弟の電話の直後、Nチケットに思いをはせる部分、安藤の後ろ姿に何かを感じる部分、その後ゴンドラに乗りたいと上司に頼む部分、ここも希美の心理が一本化させたいなぁと私も思っていました。

とりあえず、ここまでであげます!

motoさん さんのコメント...


しのぶさん、

そうなんですよね。ゴンドラ以降杉下に成瀬に対する能動的行動が見られない部分については、しのぶさんの言われる洋介からの電話に対しての反応も抜きには考えられない気がしてきました。ここでの反応とゴンドラ以降が同じとは今のところ言えないけれど、やはり何がしかの流れとして影響を与えている、という風に考えるべきかな?と考え始めています。

確かに3年もの間接触が無かった、という問題は大きいかもしれません。私もまだ整理できていませんが、しのぶさんの言われるとおり、この三年間という時間の影響も考慮すべきかも知れませんね。

私ももう少し考えて見ます。

motoさん さんのコメント...


しのぶさん、

成瀬の闇落ち後に杉下が能動的に動けていない点を引き続き考えています。

1.成瀬父葬儀
2.杉下、街中で成瀬を見つけて追う
3.早苗さん来訪
4.杉下、洋介から電話で成瀬の闇落ちを知る(チケット凝視)
5.杉下、ゴンドラ乗りたい!アピール(会社・安藤)
6.ゴンドラ

確かこの流れだったよね?

杉下の成瀬に対する心理として基本線は「心配」だと思うんですよね。街中で見かけたとき、見事に脊髄反射してます。ですが、やはりそれ以上の行動は取れない。ここは『究極の愛』の『野望条件』が活きていたから、だと思うんです。呪縛ですよね。で、野望が呪縛であるが故に、彼女は行動できず早苗来訪時に強烈な成瀬に対する思慕から『元気で幸せやったらいいな』
洋介の電話に対する反応は?と考えるとチケット凝視はやはり成瀬への心配だと思うんです。成瀬を心配してのチケット凝視はここだけかも知れません。ただ、この凝視の際の杉下の正確な心理はまだよく判りません。もしかしたらしのぶさんの言われる心理に近いのかも。
で、この後にゴンドラアピールが来る。ここの部分って、杉下が野望の実現を急いだ、焦ったとも取れると思います。成瀬が心配だから。早く野望を実現して、自らの制約を外して、成瀬に連絡をしたいという心理だったのかも。そうだとすると、彼女の野望の変質も、この焦りからだったのかもしれませんね。彼女の中で野望は成瀬に接触するための資格みたいな感覚だったのかな?という感じです。

でも、会社に言っても許可は下りない。最後の野望は実現出来そうにない。その現実に直面して、その実現を諦めたのかな?と。

そして安藤のサプライズゴンドラと…

こう考えると、この時期に杉下が動けなかったのは、やはり野望の実現が彼女の中での呪縛で、その実現が成瀬との関係(接触)の為の資格事項で、それが敵わぬ、となった時に成瀬への諦めの心理が発生したのかな?と。彼との約束さえ実現出来ない自分が彼を支える、なんて大それた事出来るはずがない…

こんな心理じゃないでしょうか?

でも、この心理状態の時であれば、西崎若しくは安藤が杉下の心理に入り込んでくる隙が発生しますね。ゴンドラより前に。

あれ?
安藤との初詣って、4.と5.の間でしたっけ?5.と6.の間でしたっけ?

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、
ひまわりさんの狙っている展開は、現代編での情報量がスカイローズガーデンに比べて圧倒的に少ないので、大変ですね!
でも、ひまわりさんなら人を唸らせるロジック展開が出来るかも!

で、質問についてですが、多少自分でも自分が言った事と矛盾している部分があるかもですが、さくっと行って見ます。

疑問1.の、西崎の成瀬への提案に杉下が『でも…』の発言意図

これはまずドラマの演出上の必要性からだと理解しています。西崎の成瀬への提案は一部が隠されています。ですが杉下に『でも…』と言わせる事で、成瀬に西崎が全てを語っていない、西崎の意向に杉下は同意していない、という事を成瀬に伝える為です。私が成瀬が全てを知っていた、という根拠はこの杉下の『でも…』発言です。この発言が無ければ、成瀬が全てを知っていた可能性は有りうるけれど、ちまたでの成瀬は何も知らなかった、も成立してしまう。でもこの発言で成瀬は事件の真相に気付きうる機会が与えられた。よって成瀬は全てを知っていた、が成立します。
更に言えば、ここで成瀬が全てを知っていた!でないと西崎と成瀬がその後の接触を取り続けていた理由が喪失してしまう。
それともう一つ。『でも…』の発言の前に杉下は西崎の偽証要求を拒否しています。もしこの拒否が描写されていない場合、杉下のNが西崎なのか成瀬なのかを決定出来なくなります。
ですので杉下の『でも…』は、設定を破綻させない為にも、杉下のNを特定する上でも必要な演出だった、という解釈です。

ただ、ひまわりさんが問題にされているのは、そういったドラマ上の必要性の問題ではないですよね。ひまわりさんの疑問については、杉下の中で可能性に気付く事とその価値判断は必ずしも一致しない、というものです。ですから成瀬を引き込んだ時点で、その可能性に『ごめん』といい、しかし西崎の偽証提案内容に異を唱える、というのはありだと考えます。杉下には成瀬は救世主です。自分が躊躇する価値判断(西崎を切っていいのか)を成瀬がどう考えるか、成瀬を頼りたいという心理はありかと。

疑問2.成瀬と西崎を天秤したのは?

これは、成瀬の『それでいいね』の瞬間でしょう。この瞬間に杉下の覚悟が決まった、と観ています。西崎を切ることになる可能性に気付いたのは成瀬への『ごめん』と同じタイミングでしょう。成瀬を護る必要性に気付いた時、西崎を切る事になる可能性にも気付いた、という判断です。

疑問3.作戦段階での成瀬へのさざなみ蒸し返し配慮

これは全く想定外では?少なくとも作戦計画段階で救出対象者による心中になるとは全く予想出来ていなかったという事だと…

疑問4.さざなみの蒸し返しについて

警察が立証しうるか?というテクニカルな問題は恐らく杉下の判断にはないと思います。たださざなみの杉下の偽証の根幹は、『成瀬について成瀬を庇うような関係性でない』というものです。これが事件にならなければ、4年という年月が二人を結びつけた、というもので十分説明がつくし、それで警察が再度蒸し返す、というのは無理があるでしょう。ですがこれが事件となると、事前に成瀬と作戦を練るような関係だった=さざなみの偽証の根幹が揺らぐ、となり杉下にはのっぴきならない事象だったと取っていいのでは?その為に彼女は『究極の愛』などという精神保護システムを形成していたわけです。

疑問5.『一番傷つかない方法を考えた』との矛盾?

これは偽証させる罪とさざなみ蒸し返しの比較というより、スカイローズガーデンでありのままを喋った時がどうなるか?との比較とした方が正確では?

まづ真実を喋っても警察は心中事件としては取りません。計画の上での殺人事件と見ます。成瀬も当然その一味として扱われる。それプラスさざなみの蒸し返し。これが真実を喋った場合。相方がみんなで共謀して偽証した場合。ここはドラマの終了直後から議論を見た記憶がありますが、上記のように比較対象がずれていますね。
もっとも私もこのブログ内でも余り厳密に考えた事が無かったのは事実で『さざなみの蒸し返しを恐れて』と随所で書いていますから。でも直接的には真実を喋った場合の展開として、と考えたほうが正確だと思います。

と、箇条で書き連ねたけど、意味通じるかな?

ひまわり さんのコメント...

またまた長文!失礼しますm(_ _)m

motoさん

疑問に答えて頂きありがとうございました。以前よりも成瀬説、くっきり見えてきました。繋がるところは繋がったんですが、中の3人が最善策として自分のNを護った方法としては、まだ疑問が残ります。もっと良い手段もあったのでは…そこがすっきりしないポイントですかね。

疑問①、②については納得です。成瀬の判断を仰ぐための「でも」は心理が繋がると思います。よって、成瀬入室時にさざなみ蒸し返し&西崎を切る可能性に気づき、さまざまな感情が渦めく中で成瀬の偽証提案を聞き、受け入れる覚悟を固めたという流れですよね。

疑問③④⑤については、相互に絡み合っているのでまとめて指摘します。事件前は成瀬との関係が復活しても、放火事件に直接害はない、これは納得です。事件後は成瀬と作戦を立てるような関係=放火事件でも庇う関係となり蒸し返しになる、これも納得です。

要は、事件前に作戦を立てるような関係であった、ここを隠滅する必要を希美は感じているということですよね。西崎は花屋のふりで当日来ています、他者から成瀬と接点があるようには見えない、と希美は判断できます。よって、警察が希美に容疑をかけた時に成瀬との関係を疑う可能性、これを考えて西崎の偽証を受け入れた、という解釈でしょうか?その場合、以下の疑問が残ります。

疑問⑥ 安藤に成瀬との関係を隠滅させるための希美の行動がない

成瀬が事前に希美・西崎と会っていた事実を知る安藤への口止め、これは必須です。しかし偽証受け入れ後、成瀬との関係の隠滅を安藤に対して希美自ら行っていない。チャンスである安藤入室では入室事態拒絶してますし…安藤に事前に成瀬と会っていることを自ら伝えておきながら、ここも頭が回っていないというのは無理があるし…外鍵の隠滅事態、希美は西崎頼みの成り行き任せ、自ら安藤に対して何も行動していないことが引っかかります。

疑問⑦ 希美が自分の罪を隠した意図

なぜ「西崎と希美、2人の犯行であり成瀬は蚊帳の外」という選択をとらなかったのか、ここへの答えが未だに見つけられません。motoさんの疑問⑤の返答とも被るんですが、成瀬を護りたいのであれば、スカイローズガーデンにおいて当然全てを警察に話すのは良策ではない。希美に容疑がかかれば成瀬との関係を疑われる、であれば希美が西崎同様自白してしまえば追求を回避できる。しかし、希美は自分自身の罪をも隠滅し、自分も偶然いたという選択をする。成瀬説の場合、この意図は何でしょう?

疑問⑧ 成瀬を入室させ偽証させるまで、本当に希美は覚悟を固められなかったのか

作戦会議の内容でも考察しましたが、野口に作戦内容がばれることは御法度です。それを3人の共通認識として挑んだはず。奈央子のSOSを受け西崎は花屋に変装という計画ですから、奈央子にDVの痕跡がない状態はありえない。最悪野口がその場で暴力をふるわずとも、DVの事実は簡単に明るみにできる。よって、「西崎と成瀬に被害はない」としっかり判断し、希美は暴露した訳です。しかし、結果は野口夫妻が心中の末死亡。確かに想定外です。西崎は罪を被る=西崎への被害、は西崎の偽証提案①で希美は理解している。外鍵を開けてもらう必要がある故、成瀬を巻き込み被害が出る可能性にも気づいている。であれば、エレベータで成瀬が部屋に向かっている間に、成瀬が蚊帳の外であるための努力ができたのではないかと思います。成瀬の「ここ開けてください」後、再度インターホンでコンシェルジュに「警察に通報してください」を連絡すればよい。成瀬によって外鍵は外され、成瀬入室よりも警察に通報が先であれば成瀬への疑惑は低くなる。さらに疑問⑦の「希美と西崎による自白」とセットにしてしまえば、成瀬を護れると思います。


何度聞いても、成瀬を護りたい意思と成瀬を入室させ偽証させる結果が、どうも私の中では消化仕切れないんですよね~。その後、安藤を拒絶し続ける行動の意味も、10年後の西崎との再会で成瀬について全く話題が出ないのも、成瀬説だと疑問です。どうにも自分の力では答えが見つからなくて。motoさんや成瀬派のみなさんはどうお考えか、ぜひ教えてください。

motoさん さんのコメント...


ひまわりさんへ、

鋭い突込みが!流石ですね~
私が見えているものをお答えしますね。

疑問6.杉下に安藤に対する外鍵の隠蔽指示がない
これはテクニカルな問題だと思います。
安藤が証言で『自分の入室直後すぐ警察が入ってきて…自分は何も知らない』と証言しています。明確に描かれていませんが、安藤入室直後に捜査機関が入ってきた。その為安藤へ指示する時間が無かった、という解釈です。

そして、安藤が口を噤むことは西崎・杉下には予想出来ます。
これは杉下だけでなく、西崎についても同じですよね。西崎も安藤の外鍵の隠蔽が必要である事を理解しながら、安藤へ指示していません。
ですが杉下には安藤が作戦をばらしうる存在である事を成瀬が了解出来ている、とは見えていません。だから成瀬には隠蔽依頼をしたんです(もっとも成瀬にも安藤が『俺のせいだ』と呟いた時点で、鍵の隠蔽が必要な事は判っていましたが…)

疑問7.杉下が自分の罪を隠蔽した意図?
これは意味を特定できません。杉下が自分が犯人(野口殺害)と偽証すればよかった、という意味ですか?

杉下が犯人=成瀬との関係が疑われるので結局は同じでなないかと。

疑問8.杉下が覚悟したタイミング
この観点は無かったですね。どうなんでしょう?
杉下と西崎との間でさえ、事件の処理方針が決まってなかったわけですから、その状態で警察に通報する、という判断は出ないでしょう。処理方針に関する対立であれば二人の独自判断でどちらからか警察へ通報、という行為は出るかもしれませんが、杉下の場合は判断停止状態といえます。杉下から警察通報、のアイデアは出ませんね。西崎にしても計画を知る成瀬とその処理方針のすり合わせの無いまま警察へ通報するのは、西崎自身の意図が実現するか不明ですので、やはりこの段階で警察へ通報する、という判断は出てこないと思います。

恐らくひまわりさんが疑問なのは成瀬を巻き込みたくないなら杉下は成瀬を入室させなければよかったはず、という部分だと思います。

ですが、成瀬が現場の状況を確認せぬまま、事件の処理方針を確認出来ぬまま捜査機関が入った時、成瀬がどう行動するかは西崎・杉下には読めません。成瀬が作戦参加者であるが故、成瀬は作戦の存在を話すかもしれない。成瀬自身が作戦の存在をばらせば、杉下にとっては同じです。ですので、成瀬の判断を確認しないうちに警察を呼ぶ行為(ひまわりさんの言われる、コンシェルジュへのコールも含む)は選択出来ない判断ではないでしょうか?(もっとも杉下も西崎もそこまで計算できていたか?といわれると…?)

ここが安藤とは異なる点です。
安藤は自身の鍵が事件の凄惨化に繋がった事は判っている。故に自分の行為が殺人事件になったとは自らは言いがたい、というのは予測出来るのです。だからこそ、この事件処理が四人による取引、と私は見ています。

ひまわりさんの最後の疑問が解消されるかわかりませんが、
安藤の拒絶についてです。
簡単に言えば安藤は杉下、西崎から嫌われた、という落ちです。
これ、なかなか皆さんから同意を得られないのですが、安藤の余りに子供じみた、そして確信的な行為で人が二人も亡くなった。彼の行為の本質は混乱する状況を期待して密室を造った、という事です。私ならたとえ何も無くともその行為をした人物は絶交ですね。人間性を疑います。だから杉下が安藤の来訪を拒絶したスナップも、西崎が部屋へ訪れた際の安藤に対する反応も、到って自然なんです。トリックも裏読みも有りません。

西崎と杉下の会話に成瀬が出てこないのは、スカイローズガーデンにおける杉下の成瀬に対する感情を隠蔽するためでしょうね。演出です。演出意図としてはスカイローズガーデンに向けて、杉下のN=安藤との仕掛けを現代編でも東京編でも盛りに盛ってましたから。だから触れなかった、という判断です。
あと、あえて安藤に触れた部分ですね。これは二つの意味があったと思います。
その後西崎が安藤を串若丸に呼び出し、結局は安藤には杉下の病状を伝えなかった事に対しての偽りの理由(安藤には元気なとこだけ…)を視聴者に見せた事。もう一つは西崎に安藤がなぜ鍵を掛けたのか?の理由を伝える為です。そしてその裏で、杉下の『似たようなこと…』が実は西崎に対する謝罪という事を裏付けています。

旨く書けてますかね?疑問点あれば、聴いてください。

motoさん さんのコメント...


杉下が成瀬の事を『忘れようとした』という心理は有かもしれない。

ゴンドラの後、野ばら荘の大家から『つらい事は忘れる事』と諭される。
杉下にとって一番辛かったのはさざなみ炎上以降島を出るまで。当然この『つらい事』の中には成瀬がらみに伴う苦しかった感情も含まれる。成瀬に対する思慕は当然この時期の感情も伴う。そこに大家から『つらい事は忘れる事』と諭されたなら、成瀬に対する感情にケリをつけようとした心理が働いてもおかしくない。

だから能動的に行動しなかった。
ドレッサーに対してもチケットを見なかった。

母親は結婚した。母親からの呪縛はもう発生しない。
洋介からの情報でより大事なのは、母親が結婚した、という情報?
『引き戻されそう』な島の象徴の一つである母親にかたがついた。もう一つの象徴である成瀬に対しても区切りを付けてもいいかもしれない。

ゴンドラに乗りたいのに、乗せてもらえない事。野望実現の困難な現実に諦めの気持ちが出ても可笑しくない。併せてうまく行かない就職活動。自らの限界を突きつけられる。ましてゴンドラで見せ付けられた自分と安藤との能力の差。

成瀬を諦める、気持を切り離すという心理が杉下に発生していた可能性が十分ありそうですね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん

5話を見ました。
ひまわりさんのいう通りですね。一部の瞬き&シャッター音は過去の記憶をフラッシュバックする使われ方がされてますね。
高野が訪れた際の使われ方がまさにそれですね。これは今更ながらですけど、東京編は飛ばし見が多かったんで、ここには気付かんかったな。

ひまわり さんのコメント...

motoさん、いろいろ答えて頂きありがとうございました!

これらもやはり「自分がこの物語に何を見たいか」に関連してくるのでしょうか。motoさんの演出意図という見方もできると思うのですが、「役の心情が原因で台詞や演技が結果」というのが私には芝居の原則でして(_ _;よって、演出意図もその人物の心情に理由がある、と捉えています。ミステリーとして隠滅されている台詞や演技もあると思いますが、その結果残ったものがドラマに存在する全ての台詞と演技だと解釈しています。その部分は議論が平行線になっちゃうかもしれませんので、先に断っておきます。すみませんm(_ _)m

上に書いた理由から、10年後の西崎と希美の会話に成瀬が登場しない理由は演出意図、とは私は解釈できません。ここにも、西崎と希美の嘘のない心が現れている。逆に安藤を拒絶する理由として「嫌われたから」は心が現れている解釈だと思いますので、私は有りだと思います!(笑)ただ、その場合もこの10年後の西崎と希美の会話と矛盾するような気がするので私は別の道を見つけました。

西崎は希美が安藤からプロポーズされたと聞き、「なんで言わなかったんだ~って怒るぞ」と言い、希美は「そしたら西崎さんがなだめて」と言います。この双方の言葉には、それぞれが安藤の心を思いやっているようにとれます。西崎は兄貴分として、希美は兄のような弟のような安藤を気遣っている場面に思えます。2人とも安藤を嫌っていたら、この会話こそいらないと思うんですよね。そして、もし安藤嫌われ説の場合、最後の安藤との電話のシーンで希美は安藤を赦すんですよね?であれば、事件の真相を話しても良いのではと思うんです。しかし、希美は話しませんよね。きっとあれが安藤と話す最後の会話だと、希美も自覚しているように思えます。何故、希美は最後まで安藤に真相を話さないんでしょうか?

それから疑問6については疑問のままです。
安藤の証言『自分の入室直後すぐ警察が入ってきて…自分は何も聞いていない』、この証言は嘘の部分です。あのセピア色の回想シーンが入る部分の考察で書きましたが、安藤が嘘を述べる場面では回想シーンが入りません。よって、話す時間はありました。また、希美が安藤に口止めすべきことは、外鍵のことではありません。安藤入室前まで、安藤が外鍵をかけた事実は確定ではない。しかし、安藤に事前に成瀬と野ばら荘で会っていることを自ら伝え、「付き合っているのか」と安藤が気にかけていたことは希美しか知らない事実です。この時話した内容を口止めできるのは希美だけです。成瀬を護るために自分にしかできない安藤への口止めを何故しない。安藤に「待って、入らないで」なんて言ってないでさっさと口止めしてしまえばいいのに。あの場面で唯一安藤と複数の会話をしたのは希美です。なんのために玄関まで出ていったのか…疑問です。

疑問8についてです。成瀬が野口宅に向かった直後に警察に通報してしまえば、外鍵は外され警察が到着するまで成瀬と口裏を合わせる時間もありそうですが…成瀬を護った放火事件時の希美の行動を考えると、成瀬の意思を聞く前に成瀬を護るための行動をしてしまいそうな気がします。だから違和感が残ります。

順番が前後しますが、疑問7についてです。私の書き方が分かりにくかったです。ごめんなさい。「希美が犯人(野口殺害)と偽証する」、というのではなく、「西崎が犯人(野口殺害)と偽証し、希美は野口への作戦の暴露を警察に伝える」ということです。つまり、『何故希美は自分の罪=野口への暴露までも隠滅したのか』という疑問です。西崎は花屋の変装をしている、よって成瀬とは接点はない、と見えますよね。そして希美が西崎と2人で作戦を立て、西崎が奈央子を連れ出そうとしていることを野口に暴露し、その結果野口が奈央子を殺し、西崎が野口を殺した…と、偽証しても成瀬は護れませんか?さらに疑問8で書いた、成瀬が入室する前に警察に通報すれば、さらに成瀬は部外者である可能性を高くできると思うのですが…

あ、あと安藤との初詣は5と6の間です(^^

motoさん さんのコメント...


ひまわりさん、
謝る、という類の問題ではないですよ(笑)。このドラマに何を見ようとしているか?というより、創作物全般がどういうものであって欲しいか?という類で、もっと上位概念での期待?に対する差だと思います。

恐れながら想像するにひまわりさんが創作物に求めるモノとは、一定の属性を持ったキャラクターが相互作用の中でどう振舞うか、それを切り取ったものが創作物という取られ方をされているんではないですか?いわば仮想上のシミュレーションといういうイメージです。

私が創作物を見る目は、その創作物が一定の意図と目標を持って製作者が『操作している』というイメージです。まあ、その『操作』が不自然であった場合には出来が悪い、という評価になりますが。
ですから、その『操作』は与件として考え、その操作が何を意図して製作者が行ったのか?一つの操作で判らなければ、複数の操作を複合して考えてそこにどんな意図を込めたのか?という形で物語を見ている、と言ったイメージです。

この考え方、創作物の見方は自分の過去のキャリアとも関係するかも知れません。
いい機会なので、ちょっと書きますね。

私は一時期企業の業務基幹システムのプログラム保守の仕事をしていました。担当するソースの量は一時期五十万行ほど観ていた時期もあります。
そんななか、新たな要件の追加や不具合対応で手を加える際なんか、凄いですよ。当然そんな量のソースコードの意味や目的、意図なんて全てを把握しているわけがない。仕様書と実際のソースを比較して、目的の改造をどこに組み込むか、直すかを検討しないといけないんですが、中にはドキュメントの何処にも書いてない処理やドキュメントと全く逆の事を行っていたりする部分があったり。それが複数のプログラムが連携してたりと。
そうなると、もう猛烈に想像するわけですよ。ここの部分は何を目的にこの処理を行っているのか?それを受けて別の場所ではどう振舞っているのか?先行するこの部分を変更すると他の部分にどう影響がでるか?関連を調べ、想像し、ソースを書いた人の意図を推理して他の部分に影響を与えず狙った部分だけ上手く振舞うように改造する。

こんなキャリアがあるものですから、創造物とは製作者の意図を持って操作されているもの、という考え方が身についちゃったんですね。ですから今私がこのドラマの謎解きでやっているのは、上記の仕事と同じ事をやってるんです。

ですから、いいとか悪いとかでは取っていないです。
この場は自分が見えていることを表明させてもらって、また別の方たちの見えているものを披瀝してもらって、自分が持っている視点では見えてこない部分というものを見て、自分なりの世界観が出来上がればいい、と思っていますから。

で、ここからひまわりさんの疑問に対して私が何を見ているかを述べさせて頂くべきですが、ここまでも随分と長くなってますので、一旦ここで上げますね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、
どう話せば上手く伝わるか、正直判らないのですが、判らないなりに何かを書きます。

この物語でとかれるべき謎はスカイローズガーデンでの杉下のNは誰か?という事です。
他の三人は自らのNを語っていますが、結局杉下のNが誰であったか?は語られていません。
そして肝心なスカイローズガーデンにおける杉下のNはぱっと観、安藤に見える。これは俗にいう成瀬派も安藤派も同じです。
もし、杉下のNが安藤であるなら、それはミステリーになりません。そうであるならスカイローズガーデンでの杉下のNが安藤である、と明かした上で、それでも最後成瀬の元に還る部分をミステリーとしたほうがいい(もっともそれでも複雑ですが)。スカイローズガーデンでの杉下のNが未規定である、という事実がそのものずばりこのドラマのミステリーな訳です。

その前提に立った時、杉下のNが未規定にも関わらず、視聴者の全て(初見の私も含め)杉下のNが安藤のように見える。つまりそれはフェイクだという事です。少なくともスカイローズガーデンに直接的に繋がる、杉下のNが安藤に見える描写は全て偽。つまり製作者の操作が入っているという判断です。(この辺りはよほど原作のほうが難しいですね。ドラマのほうが平易に作ってあります)

ですので、私の謎解きはある意味シンプルで、杉下のNが安藤に見える部分が杉下の安藤への感情を抜きに説明しうるものであるなら、それが私にとっては真なんです。

そういう目でスカイローズガーデンの事件を見た時、事件前から現代編でも杉下のNが安藤である、という方向で一貫して演出されている。その最たるものは高野と安藤の会話です。高野の「何かを守るために必死に嘘を付く人間もいる」と言わせる事で安藤がさも護られた存在=愛された存在である、という方向に誘導しました。ですが、この高野が喋った内容はさざなみでの夏江と杉下について語ったものであり、スカイローズガーデンについて喋った訳ではないんです。

ですから、そうやって一つ一つのシーンについて杉下のNが安藤、という演出意図を引っぺがして、その上でそのシーンがどのような意味を持つのか?を解釈していく、というのが私の謎解きの方法論です。

そしてその際に一番重視している基準があります。『みんな一番大切な人の事だけを考えた』です。つまり徹底したエゴイズムです。

これも長くなりました。ここまでで一旦上げます。

しのぶ さんのコメント...

横レス失礼します。
motoさんのお考え、わかります。同時にひまわりさんの成瀬説に関する疑問もわかります。私は成瀬派として完璧なロジックの上に「成瀬説」を構築させたい。だからひまわりさんの成瀬説に関する疑問は実は私の疑問でもあるんです。(ちゃんと私も考えていますよ~、一応、ない頭で)
一緒に見ていた家族は「事件の真相」がミステリーだと思っていたらしく(普通はそう思いますよね)、最終話を見終えた後「なにこれ?」と言って、とっととこのドラマから去っていきました。だからその後Nを見返すときはこそこそ見ています。

いやでも、原作よりは平易といってもドラマ史上でこれほどイヤミス感のあるものってなかなかない気がするのです。私映画なども結構見てますが、ドラマもそこそこ見ています。ドラマ全般として視聴者にここまで解を求めるものって、やっぱりNが初めてな気がするのです。ミステリーでもサスペンスでも通常はドラマの最終回でそのオチ(答とその過程・原因)が明かされますから。製作者に隠蔽とかそこまでの意図があるのか?という部分では何度も首をひねりましたから。脚本家が示したものと原作者の解が同じか違うものかどうかも全く不明ですが、希美の事件時のNは出来る限り伏せる、という意志は制作側にあったとは思います。(原作者の意向?)
だからある意味ドラマ作りとしてもやや掟破りみたいな所もあったのではないかとも思うのです。
ドラマ白夜行を割と最近見たんですが(昔もみましたが)、ドラマ版は主役の心情をたっぷり語っていますが、未読ですが原作は第3者が主役の行動のみを語っているらしいのです。だからこれに(ドラマ版に)原作者が不服だったとかなんとかってどこかで聞いたような~(超未確認情報ですのでテキトーに聞いといてくださいね)
視聴率が重要なスポンサー必須のドラマにおいて「Nのために」は試験的な作品だったのではないか?とも思います。

まずはドラマの解が知りたいですが、いずれドラマと原作の関係性みたいなものもちょっと考察してみたい気がします。
話題がそれてしまってすみません。ではまたない頭で考察を続けます(-_-;) 

ひまわり さんのコメント...

私もうまく伝わらないかもしれませんが、書いてみます。

原作の「安藤望のために」という言葉が、ドラマでは安藤が盛りに盛られている表現とリンクしているのかなと思っています。だから、誰からも一見「希美のN=安藤」になる、原作もドラマもそんな終わりになるように作られている。しかし、疑問が多々残る終わり方でもある。「本当に安藤なの?」という疑問が、わりと簡単に抱けるような作りになっている。

よって、「本当に安藤なの?」という疑問を持ったとき、この物語のミステリーが始まるんですよね。そしてmotoさんは別の人物が希美のNであり、その隠滅のため安藤がフェイクとして使われているという考え方。私は、安藤が希美のNであり、その真意が隠滅されているという考え方、という違いなのではないかと思います。

だから、個人的には「希美のN=安藤」でもミステリーは存在すると思っていますし、残されている謎もまだまだありますが、自分の答えが正解なんじゃないかと期待しながら謎解きしてます(笑)

motoさん さんのコメント...


ちょっと横道にそれます。
ミステリーの要素がこのドラマには二つあるのは確かですね。

一つは先にお話した通り、スカイローズガーデンにおける杉下のNです。
そして二つ目の要素が、現代編で杉下が成瀬の元に還った部分です。
そしてこの二つが相互に関連しているから話がややこしい。

この問題はスカイローズガーデンでの杉下のNが成瀬、としても厳然としてあるんです。
先にスカイローズガーデンについて原作より平易、と書きましたがこの部分はドラマの独自拡張ですね。

二つ目の部分については謎解き、として取られている方は少ないようです。
『解釈』のレベルで解決出来ないんですよ。このドラマの謎解きの議論が何時までも続くのは上手く説明出来ないのですが、人によってこの部分の謎解きとしての扱い、重点の置き方、スカイローズガーデンでの杉下のNの扱いの差、ドラマへの期待感、謎解きへのアプローチ方法、etc…でなんというか、四次元的空間を作り出しているからだと思いますね。

ですから、この部分に関して言えばドラマは原作の上を行っていると言っていいと思います。その意味でかなり野心的な作品であるのは確かですね。

私のアプローチではお二人が指摘した部分に実は答えを与えられない部分があるんです。
例えば西崎の「なんで言わなかったんだ~って怒るぞ」の発言には解を与える事が出来ない。杉下の「そしたら西崎さんがなだめて」には解を与える事は出来るんですけどね。

と、始めは万人に示せる解を提示できるのでは、と思って始めたこのブログですが、今は相互の完全同意は放棄してます(笑)出来るだけ本当の解に近い、と自分が思えるものに近づければ、そしてそれを披瀝していく、という感じですかね(笑)

ちょっと脇にそれました。

原作もやりたいんですけど、原作まで届くかな?その前に力尽きてしまうかも…

motoさん さんのコメント...


さて、ようやくひまわりさんの質問に対する回答を書く段になりました。

先に書いたとおり、一部ひまわりさんの知りたい事に答えられないと思いますが、ご勘弁下さい。

まづ、西崎と杉下の再会シーンについてです。
私はこのシーンは以下の通りに解釈しています。
1.相互謝罪
2.杉下が西崎に事件の真相を伝えようとした
3.安藤に対する拒絶意志の表明
4.『究極の愛』の相手である西崎との別れ

順に行きます
1.の相互謝罪ですが、このシーンで双方謝罪の言葉は使っていません。というか四人の間で一切謝罪の言葉はない。何故かというと謝罪の言葉を使うと、スカイローズガーデンにおける罪意識の方向がばれるからです。つまり謝罪がない方向がその二人の関係性においてはその人のNになる。ですから4人の間で謝罪がないのはスカイローズガーデンでの杉下のNを隠蔽するために必要な演出だったんです。

この前提にたったとき、西崎の「有難う、杉下」は杉下への謝罪の言葉です。自分にとって意味のある十年が過ごせたのは、自分が杉下に自分のエゴを押し付けたから。そしてエゴを押し付けた事が西崎が杉下に謝罪すべき事項です。だからこの「有難う」は「ごめんなさい」と同義です。

これを受けて杉下は「似たような事言いに来た」と返しています。杉下はこの西崎の「有難う」=自分への謝罪と理解し、自分も謝罪を言いに来たんだ、と明かしている訳です。その意味で杉下のNも西崎でない事が、このシーンから判別できます。

2.の事件の真相を伝えようとした、とは何か?というと杉下の「安藤からプロポーズされた」です。安藤がなぜ事件の際に外鍵を賭けたのかを西崎に伝えようとしたんです。

つまりこうです。
西崎が興信所を使って自分の事を調べたのは判っている。その中には自分と安藤との接触が殆ど無かった事も含まれるだろう。殆ど接触の無かった相手に対していきなりプロポーズする、という事は事件当時安藤に既にその意志があった事の表れ。つまり安藤が鍵を賭けたのは成瀬の存在に自らのプロポーズが潰される事を恐れた安藤が自分を試すためだった、という事が西崎に伝わるんです。なので1.の謝罪とも関連しますが、安藤の行為が自分に原因がある、という事を暗に伝えようとした、という事であり、ここで杉下は西崎にプロポーズされた事を伝える必要があったわけです。

3.安藤に対する拒絶意志の表明
拒絶の理由については意見があるでしょうが、いずれにせよ、杉下は安藤とその先の未来は見ていない、という事を西崎に対して宣言している訳です。ですので西崎に対して安藤に対する防波堤になってくれ、自分の事は安藤には言うな、という西崎への依頼と私には見えます。
ここが「病気」を理由にするか、「安藤への嫌悪」とするか、は立場で異なりますね。
(でもその後西崎は杉下の意向を無視して安藤をテストし、結局は安藤には話しませんでした。これは一般的には杉下が西崎に病気の事は話すな、という意向を伝えていたからそれに従った、とされています。でもそれならそもそも安藤をテストする必要が有りません。
つまり西崎が安藤をテストし、かつ安藤に話さなかったのは別の理由がある、と判断しています。ここも私には“安藤揚げ”の操作に見えます。)

4.『究極の愛』の相手である西崎との別れ
これはこのシーンの最後に見せる杉下の涙です。これが杉下にとって西崎との判れ。期待した形とは異なりましたが、漸く彼女の『究極の愛』が完遂し、その別れに思わず涙した、という解釈です。

と、まだ先があるのに、長文になってます。ここまでで一旦上げます。

motoさん さんのコメント...

ごめんなさい、全言撤回です
謝罪がないのがそれぞれのN、とかきましたが、誤りです。
謝罪相手がNはあります。

ひまわり さんのコメント...

motoさんの西崎と杉下の再会シーンの考察を受けて、私の考えをまとめてみます。


motoさんの言葉をお借りしまして…
1.相互謝罪
これは同感です。閃光記憶の考察とも関連しますが、スカイローズガーデンで希美が最も傷つけてしまったと自覚している相手は西崎、よって事件当時の希美のN=西崎という可能性は低い気がします。西崎については、奈央子(死者)と希美を比較するのは非常に難しいので、西崎の希美に対する罪意識の程度はこの場面だけでは計りかねるので保留とします。

2.杉下が西崎に事件の真相(安藤の外鍵をかけた真相)を伝えようとした
その通りだと思います。

3.安藤に対する拒絶意志の表明
私も「安藤には事件の真相も病気のことも、死ぬまで話すつもりはない」という希美の意志表示と解釈しています。その意志が「安藤への嫌悪」から来るものか、「安藤を罪意識から護るため」か、ここがmotoさんとの違いですね。

私は、この場面でずっと違和感がありました。

一つ目は【希美の「西崎さんがなだめて」を受けて、西崎は何を悲しんだのか】ということ。希美の「元気だったところだけ覚えていて欲しい」の後、西崎は悲しい顔するのかなって思いきや、笑顔で「後で知ったら~」を言い、「そしたら西崎さんがなだめて」の後に悲しい顔をする。つまり、西崎が悲しいと感じている部分が前者ではなく後者ということ。前者は「病気のことを伝えてほしくない」ですが、そこに対して西崎は悲しんでなくて、後者「西崎さんが(安藤を)なだめて」に悲しんでいる。西崎の悲しい表情をするタイミングが、なんか違和感ありませんか?

二つ目は【希美の頭の中で「西崎さんがなだめて」と「火は…まだ怖い?」はどう繋がっているのか】ということ。「(安藤が怒ったら)西崎さんがなだめて」の話から、急にコンロを見て「火は…」と聞くんですが、この流れはどのようなものでしょう?

以上の二つを私なりに考えてみました。

まず「西崎さんがなだめて」で西崎は何を悲しんだのか。希美の死後であれば、なだめるべき安藤も病気のことを知っている。よって病気について安藤に伝えること、なだめることを悲しんでいるのではない。おそらく、事件の真相を希美の死後も安藤には伝えることができない、それが悲しいのではないかと思うのです。

「西崎さんがなだめて」=希美が西崎を頼っている台詞です。希美のN=安藤とした場合、希美が西崎を頼った場面は偽証受け入れ時とこの「西崎さんがなだめて」の二カ所です。つまり、希美が西崎を頼る時は「安藤を護る」時に限られている。よって、「西崎さんがなだめて」=「自分の死後も安藤を護り続けて」とうこと。死後までも安藤を護ろうとする希美の覚悟、それを安藤自身に伝えることができないことが辛く悲しかった、と解釈しました。

また希美も同じように、「西崎さんがなだめて」は安藤を護るために西崎を頼った偽証受け入れ時の心情と結びついた。希美は「誰にも頼らん」というトラウマに対して、成瀬以外に初めて頼れる相手を見出した。それが西崎であり、あの偽証受け入れ場面だった。

「西崎さんがなだめて」=西崎を頼る=「誰にも頼らん」トラウマが和らいだのは西崎さんのおかげ=西崎さんのトラウマはどうなんだろう…=「火は…まだ怖い?」という感じで、西崎への罪意識が大きい希美としては聞きたくなったのではないかと思います。

みなさんの「西崎さんがなだめて」前後の西崎と希美、双方の心情はどのように解釈されてますか?

4.『究極の愛』の相手である西崎との別れ
西崎説だと、やっぱりこのシーンは2人の別れのシーンなんですかね、切ないです(T_T)

motoさん さんのコメント...


昨日、一旦取り消しした、『相互謝罪』について、追記します。
四人の間で、誤りの描写を入れてしまった場合、以下の謝罪関係が発生します。
現代編で接触があった順に記します(スカイローズガーデン限定)

1話 成瀬→西崎、西崎→成瀬(西崎から成瀬に電話)
3話 安藤→杉下(安藤と杉下再会)
4話 安藤→西崎(安藤が野ばら荘訪問)
8話 杉下→西崎、西崎→杉下(杉下が野ばら荘訪問)
(10話 スカイローズガーデン真相描写)
10話 杉下→成瀬(成瀬が杉下訪問)
10話 安藤→成瀬(安藤が成瀬呼び出し)

私は、製作者は徹底的にスカイローズガーデンについて、安藤挙げで演出した。スカイローズガーデンのトリックを徹底的に隠蔽するための演出を続けていた、という見方です。

問題なのは、杉下と成瀬です。
製作側とすると、杉下のNは安藤、として釣りたい。そして更に現代編で成瀬に還る部分をミステリーに仕立てたい。成瀬については、さざなみにおける杉下のように、何も知らずとも、杉下の全てをまもる(杉下の感情含め)という美談に見せたい。

安藤が他の三人に対して謝罪を行う。そうすると他の三人は安藤に対して謝罪は行わない。でもそれ以外の三人の間では謝罪が行われる。
この関係を視聴者に見せてしまうと、スカイローズガーデンで安藤が行った行為(外鍵を掛ける)と併せて、三人の安藤に対する感情を見せてしまう事になる。狙う視聴者のミスリードを誘えなくなるんです。

ですから、このドラマで四人の間に全く謝罪が描写されなかったのは、視聴者のミスリードを誘うテクニカルな必要性から、というのが私の見方になります。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、今日頂いたコメントについてはまた改めて確認させていただきますね。

ひとまづ、5日に頂いたものを先に進めます。

次は杉下が安藤に真相を喋らない理由でしたね。
ひまわりさんが『真相』と仰られているのはどちらでしょう?
事件の『事実』ですか?それとも杉下の事件時の心理・心情でしょうか?

このドラマの、ミステリーとしての特徴(原作と同じです)は、『ネタをばらさない』というものです。『ネタをばらさない』ミステリーというのは小説・映像表現も含めて初めての経験です。
先のしのぶさんのご家族の反応どおりで、スカイローズガーデンの『事実』を『ネタバラシ』と取った人は、既にこのドラマから離れてます。ですからひまわりさんは、こちらではないですよね。
ですから、ひまわりさんの言われる『真相』とは杉下の事件時の心理・動機の事でしょう?

でも、それってまさにこのドラマのミステリーそのものです。そしてこのドラマがネタをばらさないのが特徴ですから、このドラマではスカイローズガーデンでの真相を誰も話さないんです。

これについては若しかしたら反論があるかも知れませんね。成瀬が『杉下が護ろうとしていたのは安藤』と喋っているじゃないか!と。
ですが、これも私から見ると、製作側の意図的なミスリードの誘導の為の釣りです。

ちなみに私がここで言っている『真相』とは、野口夫妻の心中の後の、事件処理に当っての各キャラクターの心理・動機です。

実は成瀬が喋ったのは、杉下の左遷阻止行動の部分を言っているんです。確かにこの部分は杉下は安藤の為に行動しました。でも、ひまわりさんも(同意ではないかもですが)後存知の通り、杉下の行動原理は、奈央子による心中前と後では分けて考えないといけない。
そして、成瀬は事件の真実を把握していて、野口に対して杉下が作戦をバラした事を理解しているんです。
(更に言えば、杉下の左遷阻止行動の動機は島時代=成瀬に求められます)

ここでいう『真相』について語っているのは西崎が杉下に語ったのが唯一ですね。

ひまわり さんのコメント...

motoさん

とても丁寧にお答え頂き、自分の解釈で曖昧にしてきたところがスッキリしてきました。

先にお話して頂いた、motoさんのお仕事とこちらの論考との関係も、『創造物とは製作者の意図を持って操作されているもの』、なるほどと思いました。私は芝居を作る観点からしか考えていなかったので、新しい世界が見えたようで面白いです。

私もそれぞれのN達の事件時の心理・心情を『真相』として捉えています。

motoさんのお考えでは、事件について4人の間で明確な謝罪がないこと、および誰も『真相』を語らないこと、これら全てが制作者の意図であり、物語を操作している部分になるんですよね。motoさんの考察は一貫して『制作者が視聴者のミスリードを誘おうと意図したもの』を土台として成立していると思います。私はこの土台が『登場人物の心情』に重きを置いているので、ここで物語の捉え方が異なってきているのでしょうね。

4人の間で謝罪がないこと、誰も『真相』を語らないこと、私の場合は全て『登場人物の心情』に理由があるという見方です。成瀬の『杉下が護ろうとしていたのは安藤』という言葉も、成瀬がそう感じ安藤に伝えたいという理由があるから出てきた言葉と捉えています。また、希美の心情を優先させて考えると、奈央子による心中前と後で希美の行動原理を分けて考える必要も、私の場合はないんです。

もしかしたら、他にもいろいろな土台があるかもしれませんね。それによって何通りもの答えが見いだせる小説・ドラマだとしたら、本当にすばらしい作品だなぁと…なかなか出会えないですよね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさんの問いへの答えを続けます。

疑問6ですね。

成る程、あんな入室阻止行動をせずにさっさと状況を話して安藤に対して口止めすればいい、という論理ですね。

確かに疑問としてはわかります。
ただ、『ない』という事を論理として構築し証明するのは非常に困難なんです。想像はできるかもしれませんが。ですので、私は基本的には『なぜないのか?』ではなく『なぜそれなのか?』を考えるようにしています。
ですので問題のシーンは何故杉下は安藤入室阻止行動(『ある』)を取ったのか?を考えました。そういう意味で、この疑問にはストテートにお答えする事ができませんね。申し訳ない。

で、何故杉下が安藤の入室阻止行動を取ったのか?ですがこれは彼女の行動特性に求めました。杉下って都合が悪い事を咄嗟に他人に隠す癖がありますよね?
例証1.母親の買い物依存症について高野が四阿に現れた際、成瀬に『言わんといて』
例証2.さざなみの際の『成瀬くんと一緒にいた』

つまり、安藤の入室阻止行動は上記二例と同じ、二人も人が亡くなっている、という『都合が悪い事』を隠そうとする行動特性の発露なんです。
そしてここからもう一つの杉下の心理がわかります。それは成瀬と安藤に対する心理的距離です。成瀬は例証の通り、杉下には『秘密を共有』出来る相手ですが安藤にはそれが出来ないんですね。
私が杉下のNが安藤ではない、という論拠の一つのともなっています。
西崎との会話で出てくる『安藤には元気なとこだけ…』の心理は、実は杉下の『都合の悪い事は隠したがる』癖から出ているんじゃないか?と思っていたりします。

また一旦ここで揚げますね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、

疑問7を行きますね。
つまり、作戦参加者として成瀬を除外した形を装えばいい、という事ですね?
何故、そうしなかったか?という疑問は別途あるものの、結論からすればそれは偽証が成立しませんね。

先づ、西崎が同意しないでしょう。彼は『自分だけが』犯人となる事を望んでいるからです。ここで西崎の利益とバッティングする。
あと、成瀬も同意しない。彼の利益は杉下を嫌疑から除外する事ですから。仮にその線で進めても成瀬が自分も作戦に噛んでいた、と証言してしまう。恐らく鍵が掛かっていた、と証言してしまうと思います。

つまり、スカイローズガーデンにおける偽証は四人の個別の利益のバランスの上に成立しているのであり、そのバランスが崩壊する方法では成立し得ないのです。そしてそのバランスが杉下のさざなみに関する誤解により成立している事が、この構造の皮肉なところですよね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん

疑問8ですが、私的には疑問7と同義に成りますね。
結局、複数の人間の共謀ですから、一人だけそうしたいから、と言って行動しても他者との利益に沿わない行動は実現しない。スカイローズガーデンでは四人の個別利益が実現したある構造がどのようなものであったのか?がまさに謎解きの中心ですから。

ひまわりさん、こう考えてみてはどうでしょう?

ドラマで描かれる事象は与件。それぞれ相矛盾するような事象は実はその裏側を覗くと実はあるキーによって繋がっている。その繋がりを探すために、ある仮定を置きそれが繋がるものであれば、それは真とする。それが上手く繋がらないならその仮定は棄却して次の仮定を検証する。その作業を繰り返す。その繰り返しで作業を進めてゆくとどこかで矛盾が出てくる。もしその矛盾が克服できないのなら、それはそれまでの検討でどこかでジャンプや抜け、偽があったと考え戻る。それでもどうしようもない問題が残るなら、それはドラマ側に無理がある…

このドラマだって結構無理がありますよね。
そもそも野口夫妻の死までの時間が余りに短すぎでしょ?とか、西崎、なんであんたそんなぶっ飛んでんの?とか、なんで成瀬の携帯に西崎の携帯の登録があるの?とか…
(あ、因みにですが安藤が杉下のSNSのアカウントを知っているのかは実は解けました!)

まあ、それがトリック破りの本論の周辺に止まるなら、目を瞑りましょう(笑)

しのぶ さんのコメント...

こんばんは。
スカイローズ事件でのひまわりさんの希美に心理が一本化しない、という部分と、私にとっての最大の疑問である成瀬を入室させたこと及び「助けて」への疑問が漸く自分の中で解決できました。(「助けて」への疑問はmotoさんの当該記事がありますが私の中ではまだ未消化でした)

え~と、今しがたその場面を見直しました。次々に起こる事態(の悪化)に希美は成瀬からのコールに気付かず(というか出る余裕もなかったですが)野口夫妻心中後の西崎の偽証提案とその拒否の直後にコールに気付き「助けて」と言います。とっさに「助けて」というのは暴漢に襲われそうになった時とかいわば窮地の時だと思います。なのでこの「助けて」がよくわからなかったのですが。もちろん窮地と言えば窮地なんでしょうけど、この時の窮地は「西崎が犯人になるなんて受け入れられない」(及びまたは第3者に事件がどう見えるか)、の窮地だったのかと。
「西崎(および自分)は犯人じゃない、ありのままを(警察及び第3者に)話したい、奈央子救出のための計画だったことをちゃんと話したい、自分だけではだめ(信憑性に欠ける)だから成瀬からも計画の事を話してほしい」
というような心理だったのではないかと思いました。と考えると咄嗟に「助けて」と言ったことが腑に落ちるのです。つまり西崎と自分(希美)を助けてくれ、ということだと思います。要するにこの時希美の頭には「成瀬を護る」ことも「さざなみ」の事もまだ頭になかったのではないかと思います。入室直後に「ごめん」と言ったのはこんなはずじゃなかったはずの惨劇化してしまった計画に成瀬を巻き込んだことと、(希美自身の誓いを破って)成瀬を頼ってしまったこと、だと思います。(あと成瀬の気持ちを利用したこと?かな)

希美が「さざなみ(の蒸し返しの可能性)」に気が付いたのは西崎が「計画の事は黙っておこう」そしてこのあとの「でも…」、の時でもなく、
の更に後、成瀬の偽証提案及び「偶然」を口にした時なのではないのでしょうか?
「偶然」の一言に希美は漸く本当の意味で成瀬を事件に巻き込んだこと(しかし成瀬の入室が遅いため成瀬が犯人にされる可能性は低いのでそれが偽証の決めてではない)、自分と成瀬の偶然ではない関係性がさざなみ放火事件に結び付くことに気が付き、偽証の必要性と覚悟及び西崎を切る決意を固められたのではないかと思うのです。

さざなみの事もこの時点で漸く気付いたとすれば、安藤入室後に、安藤が3人の偶然ではない関係性を知っていることもまた、希美はこの時点では頭が回らず、思い出せないでしょう。チェーンの事実を確認した時に初めて安藤が3人の関係性を知っていることを希美は気付く(思い出した)のだと思います。

成瀬を入室させた時点では「成瀬を護る」という発想がなかったこと、「さざなみ」にすぐに気付けなかったような気がすること、が一応今日思いついたことです。
ドレッサー事件以降の希美の心理のが鍵になるような気がします。



ひまわり さんのコメント...

しのぶさん

「助けて成瀬くん」の心情、希美が自分のNを護る必要を感じたタイミング、私が考えていた心理過程と同じです!私の場合、希美のN=安藤なんですが、同じ印象でうれしです!!

私も成瀬入室の希美の真意は、「第三者から見てどう見えるのか」ということ。私の場合は、motoさんと同じく成瀬入室の際には、成瀬を巻き込む危険性については察していたという判断です。それでも入室させたのは、救世主である成瀬への絶対的信頼からくる甘えです。しのぶさんの解釈だと「利用した」に近いと思います。

成瀬の「杉下と俺はなんも知らんかった、今日会ったのも偶然」を聞いて、第三者からこの現場がどう見えるか、これを理解した。その結果、安藤を護る必要性に気がついた、という心理過程が持論です。

motoさんとのやりとりを通して、成瀬説の場合、希美が成瀬を護った真の意図は、放火事件の蒸し返しよりも心中事件が3人の計画による殺人事件と判断される可能性、これを最も恐れたという解釈がしっくりきます。すると、「助けて成瀬くん」の時点で殺人事件に巻き込む可能性に気づかない、というのはパニック上分かるのです。しかし、成瀬の「すぐ行きます」から成瀬が入室するまで、希美はパニックが少し落ち着いたはず。成瀬が来てくれる安心感、それと共に成瀬を巻き込むかもしれない危険性を案じる、ここはmotoさんのお考えの方がしっくりくるんです。

すると、『成瀬を入室させた時点では「成瀬を護る」という発想がなかった』というしのぶさんのお考えには疑問が残るのと、motoさんのお考えだと安藤入室の際の希美の行動と心理に疑問が残る、というのが今の私の考えていることです。

motoさん

疑問⑦、⑧について合点しました!西崎とは偽証について合意してないと、それぞれの利益に害が出るという判断はその通りだと思いました。ありがとうございました!

疑問⑥についてです。
希美の『都合が悪い事を咄嗟に他人に隠す癖』、これはmotoさんのお考えの通りあると思います。安藤入室阻止も、この行動特性に由来すること、理解できました。

ただ、この行動特性は『都合の悪いことを隠す』という結果は同じですが、原因は全て異なっていると思います。例証1は成瀬に話している通り、「かわいそうな家の子と思われたくない」=希美のプライド(後の「誰にも頼らん」)に繋がるもの。例証2は放火代理行為と誤解した=成瀬への罪悪感に繋がるもの。そして、安藤入室阻止は…あの場の希美の心理からすると「成瀬が現場にいることを安藤に見られたくない」=成瀬と作戦の関係を隠滅することに繋がると思います。

つまり、「成瀬と作戦の関係を隠す」であれば、やはり「事前に成瀬と会っていたのは単に同級生として招いただけであり、今この場に成瀬がいるのも偶然である」、これを伝えるのが最も「成瀬と作戦の関係を隠す」行動としてふさわしいと思うのです。そもそも、原作のように安藤が警察と同時刻、あるいはそれ以降に野口宅に来た場合、「成瀬と作戦の関係を隠す」ことは不可能。西崎は安藤に鍵を掛けさせた超本人ですから、安藤が外鍵および中の3人の関係に触れないことは分かっていたと思いますが、希美には分かりません。だから、警察より先に安藤が来た、これは希美にとって成瀬を確実に護れる不幸中の幸いだったはず。しかし、「成瀬と作戦の関係を隠す」行動としては、不十分な行動しか希美はしていない。すると、安藤入室阻止は、「成瀬と作戦の関係を隠す」という意図から生まれた行動ではない、という判断になってしまうんです。『都合が悪い事を隠す』、この場面では『安藤にとって都合の悪いことを安藤自身に隠す』という理解もできてしまう、ということなんです。

motoさん さんのコメント...

しのぶさん、教えてください。

実は湊かなえは、他の作品をまだ読んで無いんです。『告白』は最初の数ページでまだ止まってます。白夜行はドラマも見てません。

湊かなえって、一切のネタバラシをしない作者じゃありません?
告白については書評を幾つか見たんですけど、どうもその表現スタイル(一人称形式の、各登場人物の独白)から行くと、どの作品もネタ明かしをしない作風のように思います。
ですから白夜行でのしのぶさんの未確認情報、原作者が不満だったというのも、なんか納得が行きますね。
こういう形式のミステリーって、最近多いんですか?

決して原作の記述をドラマの謎解きには持ち込む意識は無いんですが、原作で最後杉下が『野口に作戦をバラしたのは安藤のため』って書いてある。私は先にドラマを見て、スカイローズガーデンでのトリック破りを行った後から、原作を読んだんですが、明らかにこの記述は釣りなんですよね。
この原作の解かれるべき謎は杉下のNと何故偽証が成立し得たのか?の筈なのに、この一文で何故事件が起きたのか?に読者の問題意識をすり替えている。
だからオフィシャルサイトでも書いたけど、この記述を原作におけるタネ明かしと取られている方が非常に多いんです。

私がこの作品がキルケゴールをモチーフにしていると判断したのは実はこの表現形式も有るんですよね。キルケゴールの著作で、一つの問題について立場の違う二人の人間が書簡で自分の考えを披瀝する、でもキルケゴール自身の本当の考えは実はその二つの立場を弁証法的に止揚したところにあって、その作品内では語られない、という表現形式が有るんです。

どうも湊かなえはこの表現形式をパクってるんじゃないかと。
もっとも私自身はそのキルケゴールの問題の著作は読んだ事が無い、読み物の知識なんですけどね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、

ひまわりさんがやろうとしている事が漸く理解出来ましたよ(笑)
今更?と言われてしまいそうですが…

ひまわりさんがやろうとしているのは、単に『杉下のN=安藤』の展開では無く、私のトリック破りを改めて突破できないか?という事ですね!

ごめんなさい、ずっと気付きませんでした!

あくまで視聴者としてこのドラマに接してきた者としては、ココで議論してる事って非常にレベルの高い事だと思っています。その出発点になってるスカイローズガーデンのトリック破りは自分で言うのもなんですが、非常に盤石に見えます。もしこのトリック破りがいい加減なら、ここまで進めてきた思考の何処かで、破綻点が出てくるはずなんです。
確かに、ドラマの全ての描写、一つ一つのセリフまで、全てを語る事は出来ませんが、物語の大きな構造、解かれるべき謎、反証への理屈付けなど、今のところ(自分の中では)破綻していないと思っています。

それを破ろう、というのは凄く野心的な挑戦ですね!

実は私も自分で否定したにもかかわらず、スカイローズガーデンでの杉下のN=西崎説に、一抹の未練が有るんですよね〜(笑)大大大ドンデン返し!見たいな。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、

西崎が杉下の『西崎さんがなだめて』に痛い顔をしたのは、杉下が自分が独り寂しく逝くことを前提に話をしている事に対してだと解釈してます。
おそらく西崎の『後で知ったら〜』はそこまでの未来でない、比較的近いタイミングでの事を想定していたのだろうと思います。そこに杉下がさも自分がその時にはもう自分が居ないことを前提にした回答が来たので、それが痛かったんだという理解です。

ひまわりさんの解釈で分からない部分が有ります。仮に杉下のNが安藤だとする。この時、杉下は何を西崎に頼ったんでしょう?

解釈としては二様有りそうです。杉下が西崎のNを奈央子、とした場合は杉下のN=成瀬と同じで、切り捨てで『頼る』という心情ではないと思うんです。成瀬は西崎を『頼った』という感覚を持っているでしょうか?
もし杉下が西崎を『頼った』という感覚を持っているとすれば、それは西崎のNが奈央子でない、という風に杉下は考えている事になります。

でもそうすると西崎のNの対象として残るのは自分となる。
杉下が西崎のN=自分、と理解していた場合、まさに杉下の行為は西崎の切り捨てになり、ますます杉下が西崎を『頼った』という感情から遠いモノになりそうです。

そう考えると杉下が西崎に『頼る』感情が生じるのは西崎のN=安藤、とした場合になり、杉下は西崎をホモ?と思っていた、という凄い解釈が急浮上する事になります!(笑)

ひまわり さんのコメント...

motoさん

トリック破り、いやいやそれはたぶんできない(笑)私はオンエア時よりだいぶ遅れて公式を読みましたし、こちらの論考も一通り読ませて頂いて、たくさんの発見や謎解きの過程を頂戴しながら自分の答えを探っている最中です。ですから、安藤の外鍵の隠滅が4人による暗黙のゲームというトリック、これはその通りだと思っています。

自分はそのトリックを『希美のN=安藤』の場合でも、使わせて頂けないかなぁ…という、ちょっとズルイ考え方です(笑)破るというよりも、ちょっとアレンジさせて頂く、そんな感じです。

「外鍵をかけた行為自体から安藤を護る」は、こちらで考察されている通り、希美の偽証受け入れのタイミングなどから判断すると難しい。よって自分は「罪意識から安藤を護る」で考えたところ、すごくスッキリまとまったんです。今のところ、様々な場面と結びつけても納得できる答えに落ち着き、私の中では一番有力になりました。まだ謎が残っている部分もあるので、宿題は残ってるんですけどね(笑)

自分の中では湊かなえさんの作品、「Nのために」も含めて「ネタバラシがない」とは思っていなくて。「Nのために」のあとがきにもあったんですけど、『作者は立体パズルを作りたかった』、つまりパズルのピースは全て作中に存在するわけです。しかし、登場人物達は自分のピースしか持っていなくて、完成体を最後まで知ることはない。そのピース全て手にできるのは読者だけ、『読み終わった後にこんな形だったのか』という作品に仕上がるそうです。これはDVDの特典映像にもあって、湊かなえさんが榮倉さんや窪田さんと直接対談してるんですけど、そこでも話されていました。

そういう経緯もあって、原作の「安藤望のために」という表記、ドラマの過剰な安藤盛り演出、これも受け取る側に完成体をチラっと見せているような気がして…「細かいピースがどのようにはまるのかは、自分で考えてくださいね」というメッセージなのかなぁ~というのが、今の自分の解釈です。


と、ここまで書いてmotoさんの新しい投稿を発見。ここまででいったんあげます。

motoさん さんのコメント...

しのぶさん

『助けて、成瀬くん』から偽証受け入れの部分の杉下の心理の解釈、ほぼ同じ結論でしたね。ひまわりさんから先に指摘あった通り、成瀬を巻き込む可能性に気付いたタイミング位でしょうか?

成瀬入室時点ではまだ杉下の腹は決まってないですね。ですから『でも…』が出る。腹が決まっているのなら西崎の偽証提案に疑義を挟むような言動は無いでしょう。

成瀬を巻き込む可能性にいつ気付いたか?ですが今の私の立場だと実は『助けて!』の時でも入室時でも成瀬の『それでいいね』の時でも余り論理としては影響を受けない。腹を決めたタイミングが重要なのであって、可能性についてはいつでも気づき得る、というのが今の立場です。杉下が偽証を受け入れた理由が、色々ある『ごめん』のうちの最大のものだろう、という推測から『ごめん』の時点ではさざなみ蒸し返しの可能性にも気づいていたんじゃ無いか?という推測です。

杉下が外鍵に隠蔽の必要性に気付いたのは、安藤も含め四人の中では一番最後でしょうね。おそらく西崎が『逃げられなかった』で最初。それを受けて成瀬が気付く。安藤もひょっとしたら同時かも知れません。もっとも安藤の場合は先づ自己保身の必要性が先でしょうが。で一番最後が杉下で、警察が入って来た後なんじゃ無いでしょうかね?

ひまわりさんの疑問ともかぶるんですが、私がひまわりさんの疑問に『時間が無かったから』と応えたのも、多分杉下が気付くのが遅かったから、と取っている事情も有ります。

しのぶ さんのコメント...

ひまわりさん。
私の拙い投稿に以前の投稿や先だっての投稿にも、「同じ印象です!」とひまわりさんのような方から仰っていただけると派は違うとはいえ、やっぱり!超嬉しい~!!!

え~と、成瀬を事件に巻き込む可能性、でしたね?
まず、私の先だってからの感覚だと、希美が「計画殺人」などどいうものの(警察からみられる)可能性には発想がないと思います。第3者からどう見られるか?という恐ろしい不安は感じていても、具体的に3人が計画して夫妻を殺した(と見られる)、なんて発想は希美というキャラクターにはないと思うんです。作戦2の計画立において「成功」というイメージしか持ちえなかったのと同じです。要するに「話せばわかってもらえる」なんじゃないかな~。だから頼れる成瀬に助けを呼び待った、という感覚です。その間多少の落ち着きは取り戻せたとしても、成瀬の姿を見るまでは不安は続くでしょう。ところが成瀬からは思わぬ偽証提案があり、混乱の中でも漸く事態を把握できた、という感じです。
いやしかし、さざ波の時は警察を欺いたではないか、よって「話せば(警察は)わかる」というのはおかしい、と反論が来そうですが、希美はさざなみの時、警察を極度に恐れていました。裏を返せば信頼しているということになるのではないかと。あと自分がうまく伝えられなくても、成瀬なら(あるいは成瀬と一緒なら)大丈夫、という感じでしょうか。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、
いや、立派なトリック破り破りでしょう!

偽証構造はそのままで、杉下の意図だけが、となると形としては今の状態と同じ、という事ですよね?
今の形が『安藤の罪意識を護る(軽減する)』事になると杉下的に言えるかがポイントになってきますね。
その観点は検討した事が無いんで、確かなモノは持ち合わせていないんですが、今の状態の方が安藤を苦しめてるのでは?という論を見た記憶が有ります。
もっとも杉下の意図とそれを受けた側(安藤)との感覚の差異を考慮する必要があるので、そこは注意が要りますね。

後、仮に杉下の意図としての静的な部分が繋がったとして、次は偽証の形成過程とその意図の成立が論理構造として無理なく整合するか?になると思います。
恐らくそこはすでにひまわりさんも気づかれてるんですよね?だから杉下が腹を括ったタイミングを気にしてるんでしょ?

しのぶ さんのコメント...

motoさん。
「白夜行」は東野圭吾の作品です。公式サイトとか割とあちこちで白夜行に似ている、みたいな話題が出ていたので(私はあまり思ってませんが)、ちょっと例に挙げてしまいました。東野圭吾「白夜行」が2000年、湊かなえ「告白」が2008年、同じくミステリー作家、ということを考えると湊さんが東野さんにインスパイアされたところはあった?(この辺は作家通しいろいろありそう)かどうかはわかりませんが。
白夜行の小説版は読者によって主人公の心理の解を求めるものだった(らしい)のに対し、ドラマ版はそれを暴露してしまう形をとった。一方「Nのために」は小説とドラマでほぼ同じ手法をとった? 同じくTBS(あれ?確かそう?)、未確認情報なのだけどちょっとした引っ掛かりを覚えてしまった、というわけです。

え~と、「告白」は既読、映画も見ています。ネタばらし、う~ん、どうなんでしょうね?「告白」はNと同じ一人称ではありますが、ラストまでには読者にもわかる形でネタばらしはされていたと思います。ラストで思いっきりモヤモヤしましたけど、全く解を与えないというものでもなかったような~。N、「告白」以外の湊作品は読んでいませんが、あとは映像(ドラマと映画)で2作品見ました。こちらの方もその描写から察するに、「一切のネタばらしはしない」というものではおそらくないと思います。

ミステリーの形式はどうなんでしょうね?文学に精通していないのでわかりませんが(汗)、一昔前よりはわかりづらい、読者に謎を残す、というものは感覚として確実に増えている気はします。映像作品からもそれは伺えます。印象深かったもので「揺れる」という映画は「答え合わせ」が欲しかったのを覚えています。

キルケゴールとの関係性は私には全くわかりません。ただ文学や哲学、そのほかの芸術分野もそうでしょうけど古典から流行まで一人の作家でも様々な影響をうけながら、作風を完成させていくのではないでしょうか?
ただその際、誰に影響を受けたか?などはっきり言ってしまう人と、そうでない人がいると思います。湊さんは言わないタイプではないかと(前に湊さん出演のテレビ見ててそう思った)。

パクったという感覚だとクリストファー・プリーストという作家の「奇術師」を読んだ時に、あれ?湊かなえっぽい、「一人称」で書かれている、と思ったことはありますが…。


ひまわり さんのコメント...

motoさん

まず、10年後の再会で希美が西崎に何を頼ったか?ですよね。

私の考え(希美のN=安藤)で話しますね。事件時、希美が安藤を護るために西崎・成瀬の偽証を受け入れた、これを西崎は理解しています。なぜ、野口に作戦の暴露をしたか、これについても成瀬以上に希美の心理を理解しています。よって、希美にとっては安藤をNとする心情を一番に理解しているのが西崎です。

希美の死後、希美の「安藤を護りたい」という意志を理解し、受け継いでくれるのは安藤との人間関係を考えて西崎しかいません。よって、「安藤を護る」意志を託すこと、これが西崎に頼るという言葉で表記しました。

次は希美が腹を括ったタイミングを気にしているか?ですね。

こちらN研6に入った頃は、タイミングについてまだ自分の中で曖昧でした。今はお二人のお考えを聞くことで、スカイローズガーデンの希美の心理については纏まりました。

しのぶさん

『希美が「計画殺人」と見られる発想がない』、だから成瀬を巻き込む可能性もあの時点で感じていない、合点いたしました。作戦会議から希美が成功しかイメージしていないキャラであれば、希美の心理は一本化できそうです!私は作戦会議の内容で書きましたが、結構成瀬への配慮から用意周到に作戦をシュミレーションしている希美のキャラをイメージしていました。しのぶさんの希美のキャラを聞いて、一連の違和感が納得できました。


お二人に質問しても良いですか?成瀬派の方のお考えを知りたいんです。

西崎が自白した状況で、成瀬と安藤が外鍵について話してしまった場合、成瀬の不利益って何が想定できますか?成瀬視点ではなく希美視点における成瀬の不利益です。

「成瀬が外鍵を外した」という事実を伝えると、密室の外に成瀬はいたことの証明になり、殺人事件の容疑からは外れると思うのですが、それでも外鍵について隠滅した方が成瀬にとっては利益がある、ということですよね?ここの理由を、ぜひ詳しく教えてください。

motoさん さんのコメント...

しのぶさん

『白夜行』と『夜行観覧車』を取り違えました!夜行繋がりで許して!

で、小学生の頃からの東野圭吾ファンで『Nのために』も既読の娘の弁では、二つは似てる?と聴いてみたところ、『ん〜?そうかなぁ』との事。真偽は不明ですが、表現形式は流行り廃りの中で作者も色々試すでしょうから、似た部分が出るのも仕方ない部分はあるでしょうね。

やっぱりネタを明かさない、という形式は増えてるんですね。

ちなみにパクリネタで話し続けると…

『ライオンキング』が『ジャングル大帝レオ』のカンパクのは日本人なら誰でも知っているとして、実はどこにも見た事はないものの『マトリックス』もある日本人作家の作品のカンパクだと疑っているものがあります。押井守の『攻殻機動隊』じゃないですよ。それは映像表現として影響を受けた事を公式に認めてますから。実は『マトリックス』は小松左京の『果てしなき流れの果てに』という長篇のカンパクと疑っているんですね。

歴史を管理する巨大組織とそれに対するレジスタンス組織の戦い。
いろんな時代を行き来しての攻防。
時代を行き来するためのキーアイテムが黒電話…

映像表現としての押井守の影響は言われましたが、何気にこのストリートの酷似性を隠蔽しているようで。
当時から感じていたんですが、ここを指摘するものを一つも見た事ないんですよ。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、ひまわりさんへのレスは、後ほどさせて貰いますね。

二人に意見聞きたい事が出てきました。
今日思いついたアイデアですが、ゴンドラについて一つすごい可能性に気づきました。
このシーン、今まで誰もが杉下の野望が実現したシーンとして取ってますよね。
でも、その解釈って間違いかも知れない。
確かに形としては野望を実現した。でも上昇志向を放棄したなんじゃないかと。そしてそれはつまり成瀬を諦めた、という事では?

彼女、ゴンドラで『こんな処、一人じゃ来れなかった』と言います。でも成瀬に対する宣言は『誰にも頼らず、上目指す』。つまり成瀬への宣言に違反した形での野望実現なんです。

野望実現が彼女の成瀬との関係再開の為の資格条件です。ですが自らの宣言に違反した形での実現ですから、彼女はその資格を喪失したように感じたんではないでしょうか?つまり成瀬を諦める、気持ちにケリをつけるという心理になったんでは?

こう理解すれば、野望が実現したにもかかわらず成瀬に積極的接触しようとしない事も、奈央子のドレッサーにチケットを見ない事もスッと入ってきます。『満足』したからではなく『諦めた』から。
これであれば、成瀬以外の男性が杉下の中に入って来るのに、支障が無くなる。

もう少し検証が要ると思いますが、こっちの解釈の方がその後の杉下の行動を自然に説明できそうじゃないですか?

ひまわり さんのコメント...

motoさん

私は「野望」の受け取り方がお二人と違うので、ちょっと視点が異なりますが、先のmotoさんのゴンドラにおける解釈、同じ部分だけ拾ってみます。

>『野望を実現した。でも上昇志向を放棄したなんじゃないか=成瀬を諦めた』
N研3か4で書いたような記憶があります。私は「上昇志向の定義が変化した」と思ってます。motoさんの放棄ほどではないかもしれませんが、近い認識です。

>『成瀬を諦める、気持ちにケリをつけるという心理になった』
そうですね。私も希美の中で成瀬への思いにけじめをつけた、そんな印象です。それまでの経緯は「野望を成瀬との誓約」としてとるか否かで異なってきますが。

>『成瀬以外の男性が杉下の中に入って来るのに、支障が無くなる』
そうなんですよね。だからゴンドラ以降、私は安藤との距離が急に近くなったなぁと思ってます。なんか迷いがなくなっていった、そんな感じですね。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん、
杉下のゴンドラでの心理変化への反応、有難うございます。
持論と他の部分でどう影響するかはまた追って検討します。

お待たせした部分について

杉下から観た、成瀬の不利益
さざなみにおける自分のアリバイ証言の無効→成瀬が犯人にされる、だと思います。
自分さえ成瀬が犯人だと思っているわけですから、杉下には成瀬が起訴されなかったのは自分の偽証が決め手だったと思っているはずです。その決め手だったはずの自分の偽証に明白な疑義が生じれば、成瀬が起訴される可能性を杉下は一番恐れたのだと思います。

ポイントは客観的に観て成瀬を有罪になりうるか?では無く、杉下が成瀬が不起訴であった決め手が自分の偽証の信憑性だったと取っているという事です。

仮に成瀬が外鍵を外した、と証言したとします。それが三人にはどう進むように見えたか?
1.外鍵は掛かっていた
2.警察は外鍵を掛けたのは誰か?を追う。
3.警察はセキュリティ完備のマンション。出入りの記録、映像から安藤が鍵を掛けた事が濃厚と判断。安藤が尋問される。
4.安藤が鍵を掛けたと証言。当然警察はその動機を聞きだす。
5.安藤が鍵を掛けた動機を話す。当然その動機の発端となった、西崎との会話が出る。さらに冷蔵庫の中の「かにとケーキ」から、三人が事前に会っていた事も話す
6.これで警察に計画ばれ。計画について三人がいくら「奈央子救出」と主張しても警察はそれを信じず、三人による計画殺人として捜査する。
7.このとき、成瀬の立場は実行犯でなくとも、当然殺人計画の一味として扱われ、起訴濃厚。更に上記さざなみの蒸し返し。

つまり鍵が掛かっていた事を認めてしまうと安藤から計画の存在がばれる事を三人は恐れた訳です。これを鍵が掛かっていなかった、とする事で安藤に取引を持ちかけた(こっちは黙っているから、お前も話すな!)。これが中の三人の判断ですね。(※正確には成瀬については別ですが、少なくとも西崎と杉下にはそう見えていたはずです)

しのぶ さんのコメント...

こんばんは。
ひまわりさんへ
たぶん…、ひまわりさんの感覚だと事件時も含めこの時代の希美にはさざなみ放火事件の事などほぼ頭にない、というものではないでしょうか?私も放送時から暫くはずっとその感覚でした。ただそこに物語としての違和感も感じていました。場面を繋げれば希美のN=安藤が自然な気がするのだけど、物語全体の構造を見ると希美のN=成瀬でなければ私は矛盾を感じてしまうのです。
というわけで時間を下さい。ご質問にちゃんと答えられるかどうか、頑張ってみます。

motoさん。
夜行繋がりって(爆)!
パクりネタは尽きませんよね。私も芸術分野といえるのかな~、あることにうつつを抜かしていたことがあって、やれこれは誰のパクリだのと、仲間内でもそういう話題は事欠かなかったですね。ただ私の感覚だとパクりはあってむしろ当然って感覚なんです。すべての芸術は模倣から始まると感じているので。私の文章などもmotoさんやひまわりさん(他の方も含めて)から意識、無意識にパクッていますから。
先に例を挙げた「奇術師」の作者クリストファー・プリーストという人は1943年生まれ、「奇術師」が何とか大賞を受賞したのが1995年ですからプリースト先生が湊さんをパクったということはないでしょう。逆は、どうなんだろう?一人称形式、各登場人物の独白(奇術師の方は日記だったかな?)という表現形式は同じです。
で、ちょっと調べたのですが、独白者の独白自体も実は真偽不明だったりする、こういうのを「騙りの手法」というらしいです。キルケゴールの手法もこんな感じなんじゃないですか?
そしてmotoさんの言われた「マトリックス」と押井守と小松左京。私には細かいことはわかりませんが、時代がかち合うとばれてしまうから先に暴露してしまう、古典だったり、別時代の異国人からの引用、影響であれば気が付く人はほとんどいないから隠蔽する、のかもしれない、と思いました。作品が発表されるとき、作者、製作者だけでなく関わった出資者も含めてできるだけオリジナルだ!としたいのはあるのではないでしょうか。
芸術家を名乗る人は「オリジナル色」というのをできるだけ強めたいのだと思います、たぶん…。
でも先に書いたように「パクリ」があってこそ受け継がれていく、のだと思っています。
(あと「揺れる」は「ゆれる」でした、トホホ…)


さて、ゴンドラ新解釈来ましたね~!まだ少し疑問が残るところはありますが行けるかもしれません!ただそうなるとまた別の疑問も生まれたりしてちょっと頭整理してひまわりさんの疑問とあわせて考えてみます!

ひまわり さんのコメント...


motoさん

え?不起訴?

成瀬って放火事件って逮捕されてませんよね?だから起訴とか不起訴は関係ないような…希美がそう誤解したってことですか?でも一緒に病院で事情聴取受けて、その後段々畑で話してるし…逮捕されなかった事実は分かっているような…


しのぶさん

そうなんですよね。「この時代の希美に放火事件はほぼ頭にない」、私はその路線なんだと思います。「成瀬は逮捕されてない」、だから「警察は逮捕するような証拠を何も持っていない」、この考えは島時代からあって、4年経っても進展はなく、「洋介の電話で迷宮入りを確認できた」というしのぶさんのお考えに納得しました。


なので、motoさんの5と6の間に論理ギャップを感じます。安藤が「3人が事前に会っていた、何か企てていた様だった」を話し、警察が3人による計画を疑っても、これで「計画の存在がばれる」ということは希美の頭にないのではないかと。

つまり、放火事件と同じような構図ですよね。「安藤が島人のように疑いの証言をする、警察が疑う、本人は否定」の条件であれば逮捕はできない。物証が何もありませんから。西崎のテキトーな作戦計画書が安藤の手元にあれば話は別ですが、3人が作戦は隠滅と決めたとき、あのメモに誰も触れなかったのは、既に処分したかその場に持ち合わせていないから。警察に身体検査受けても何も出てこない自信があるから、希美も作戦隠滅は可能と判断できた。

つまり、安藤が何を口にしても、西崎はその場の感情で夫を殺したと自白し、希美と成瀬は事前に会ったことを認めても、作戦について自供することはないでしょうから、物証がない限り成瀬については逮捕も起訴もないと思います。

逆に安藤は警察に疑われませんか?西崎と作戦を立てて仲間割れした、なんてふうには?防犯カメラとチェーンの指紋、物証がありますから。

匿名 さんのコメント...

ひまわりです。すみません、上の投稿ですがスルーしてくださいσ(^_^;)

motoさんの『希美が外鍵に隠蔽の必要性に気付いたのは、四人の中では一番最後、警察が入って来た後なのでは』という言葉を受けて、あの場面見返してみました。そこで新たな発見があったので、ちょっと聞いてみたくなって投稿したのですが…

その結果、上の投稿の答えがどのようなものでも、自分の論に変更はないんです。成瀬説もないと思います。だから、特に何のためにもならない、ことに気づきました(笑)

あと何かもう一つ新発見があったら、もしかしたら何か変化するかも!?ですが、今のところ何の意味もないものです、お騒がせして、すみませんでした〜

motoさん さんのコメント...

しのぶさん、
小松左京の『果てしなき流れの果てに』是非一読下さい。
同作は小松左京の作品で一番!と言われている作品です。私も暫く読んでないけど、そのうち読もうかな。
パクリは全否定されるものでは無いですよね。何がしか過去現在から創作者は影響を受け、そこにオリジナリティを加味して新たな世界を作ってゆく。潮流とはそういうものかも知れません。そうでなければ、時代若しくは歴史というものは出来ず、単なる時間経過しか残らなくなりますからね。

新解釈への賛同、ありがとうございます。ちょっとこの方向を詰めて行きますね。
論理をこねくり回すより、こっちの解釈の方がシンプルですからね。私は基本的にシンプルさを取るようにしてます。

ひまわりさん
何がなんだかわからんけれど、スルーせよ!との事なのでスルーします!(笑)

motoさん さんのコメント...

なんだかここの処、スカイローズガーデン以後の杉下ってもしかすると自分をすり潰すために生きてきたんじゃ無いか?というきがしてきた。別に成功したいんじゃなく、何かを得たい訳でもなく、ただひたすら自分をすり減らす為。そして敢えてしんどい事を選び、孤独をえらぶ…
成瀬のNチケットを見詰めるのも、罪深き自分を忘れない為。

あくまでインスピレーションですけどね。

匿名 さんのコメント...

ひまわりです。
私もmotoさんと同じインスピレーションがあります!!相当な罪悪感を希美は抱えていますよね。その罪ゆえに、自分は幸せになってはいけない、と言い聞かせているような感じ。西崎が出所していろいろなことが動き出すまでは、それまでの自分が犯した罪全てに対して、ずっと一人で向き合い続けるつもりだったんだろうと…その孤独ともずっと戦わなければならない、そんな生き方を自分に強いているように思います。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさん

そう、そうなんですよ。パートナーと立ち上げた事務所が大きくなって、社会的に経済的に成功したように見えるけど彼女が求めていたのは自分の死に場所のように感じるんです。
だから病気になったのもある意味望んでいた、という心理もあったんじゃ無いかと。

スカイローズガーデンに至る各段階での杉下の行動には必ず成瀬の影響が見え隠れする。恐らく杉下もその自覚がある。
その全ての原因としての成瀬を全体のシンボルとして、Nチケットを見ては自分の罪を意識に刷り込み、無理を続けて自分をすり減らす…

そんな風に見えてるんですよ

匿名 さんのコメント...

ひまわりです。

motoさんの、『病気になったのもある意味望んでいた』、私もそう思います。だから、恐怖はあると思うのですが、これ以上罪悪感と向き合わなくて良い安心感というか…なんとも悲しいですが…

ただ、なんとなく成瀬や母と再会することに恐怖を感じていたような印象もあります。自分の罪を許してもらえない事へではなくて、逆に許して自分の全てを受け入れてくれそうな存在だからこそ、死期が迫れば迫るほど会いたくないというか…高野にこぼした「もっと生きたいって欲が出るかもしれない」怖さ、これを感じていたようにも思います。私自身、病気になった経験があるので、この辺りは複雑な深読みになっちゃってるかもですがσ(^_^;)

motoさんのお考えと違うのは、『必ず成瀬の影響が見え隠れする』という解釈かな。Nチケットを見る時の希美の心理も、ちょっと違う印象です。

スカイローズガーデンでは西崎への罪意識が大きく、続いて成瀬、野口夫妻。10年後の希美が抱えている罪意識は、病気になった経験と高野の出没を経てさらに増え、早苗や放火事件での成瀬への罪意識も復活したというか、付随して膨れ上がってきた…そんな印象です。

motoさん さんのコメント...

杉下の罪意識が全て成瀬に向かっている、という意味では無いですよ。
罪意識は野口夫妻を含めての関係者に対してですね。ただ安藤が入っているかは微妙ですね。

Nチケットはスカイローズガーデンに至る過程を含めて罪意識を呼び出すキーアイテムだったのでしょう。
私がそのプロセス全体に成瀬の影響を認めてるのは、現代編でNチケットを見る部分の描写とその罪意識の呼び出しが符合しているからです。ま、この辺はそれぞれの解釈の領域ですね。

成瀬、早苗に関する心理ですが、杉下は誰からも愛される事を拒絶していたという印象です。その流れの中で改めて成瀬、早苗との再会を捉え直さないといけなですね。
当初の解釈からの変更が伴うと思います。

ひまわり さんのコメント...

motoさんの『誰からも愛される事を拒絶していた』、同感です。

私はそれ以上に「誰かを愛すること」を拒絶しているようにも思います。元々の起源は島時代、親から与えられたトラウマだと思います。さざなみ炎上にて上を向くことはできたものの、成瀬への罪悪感により新しく「究極の愛」という「愛し方」が生まれてしまった。健全に素直に人を愛すること、母に対しても成瀬に対しても、この感情を封印するしか方法がなかった、。

motoさんの「近接距離」の投稿にもありました、希美のパーソナルスペースへの戸惑いについても、私は起源は上で示したトラウマが原因だと思います。さざなみ炎上前と後とでは「究極の愛」も加わってさらに複雑になると思いますが、安藤に対して時より見せる困惑の表情は、「結婚した相手より後に死ね」について語り合う時の成瀬への心情と同じだと思います。

motoさん さんのコメント...

ひまわりさんへ

杉下のパーソナルスペースについては見解が割れますね(笑)
私はこの杉下の特徴は、生まれつき、固有の特徴じゃ無いかと見てます!ここは杉下小悪魔説を個人的には取りたいな(笑)

『愛する事への拒絶感』は同意ですね〜。一般的な意味での誰かを愛する、恋愛するというのはスカイローズガーデン後の10年には欠落していた様に思います。

ここは多分ひまわりさんとは割れるんですが、唯一成瀬については別格だと取っています。私は現代編での杉下にとって『成瀬=サンクチュアリ』説を取っています。聖域ですね。ドラマでのカット割りとか見ると成瀬に神性を負わせている感がプンプンなんですよ。

さて、ここもそろそろ一杯ですんで、この後は、第七研究棟へ移動しましょう(笑)