『Nのために 論考』
今日は杉下のスカイローズガーデンにおける『N』=西崎の証左かもしれない描写の第三弾。
泥酔した杉下が西崎に背負われた背中で発した”西崎さんは悪くないよ”
このシーンも『N』=西崎としてみると、その証左と取りうる。
杉下自身が成瀬への気持ちを自覚した、早朝デートのシーン。
自転車の荷台に座る杉下が成瀬の背中を見つめ、そして頭を成瀬の背中に垂れる。成瀬の背中に絶対的な安心感を得て、自身の感情を自覚し、荷台から成瀬の腰に掴まりなおす。
杉下にとっての男の背中は愛する男の象徴です。
安藤との間には安藤の背中に頭を垂れるシーンは存在しない。
そう考えると、西崎とのこのシーンも背中、頭を垂れるという状況において同じであり、西崎がこの時の杉下の『N』との証左となりうるシーンです。
2 件のコメント:
このシーンと自転車での早朝デートの関連を指摘したものはこれまで見た事が無いですね。
私もこのシーンが無かったら、パラドックスの存在を確信出来なかったかも知れません。
これはそれぐらい重要なシーンですね。
このドラマでは大事な部分について必ず島編と対応する描写があるんです。
それは直接的な彼女の行動理由を表しているものと、ある意味釣りとして使われているものがある。
このシーンは直接的な関連ですね。でもその分気付かれないように、コソっと入れてある。
後者の例は野口に対する杉下の土下座。これはこれ見よがしに父親へ頭を下げたシーンを連想させる。
そこから安直に杉下の安藤に対する恋愛感情、と判断すると彼女の行動原理を読み誤ります。
だから、とってもこの物語、手が込んでいて、それを読み解くのが楽しいんですよね
このシーン、ここで書いた通り男の背中に身を預ける、という描写とともに、なぜ杉下が泥酔したのか?という部分もよく考える必要があるんです。
杉下はアルコールに弱い、という描写はありません。安藤より強いし西崎に付き合っていられる程には飲める。その杉下が西崎の不倫の告白の場で、なぜ酩酊するほど飲んでしまったのか?と考えると、そこには杉下の精神的な動揺があったと考えるのが筋だと思うのです。
ではその動揺はどこから来るのか?と考えると、それは西崎に対する思いと考えるのが、自然なんですね。
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