成瀬が、東京編でしていたマフラーと、現代編で杉下に巻いたマフラーが実は別のものである、という点に気づかれているでしょうか?
①8話 野ばら莊に杉下を訪ねた際のマフラー
②8話 野ばら莊に杉下を訪ねた際のマフラー
③9話 杉下に巻いたマフラー
④10話 杉下に巻いたマフラー
見ての通り、二つは裏地は非常に良く似ていますが、表地の青の深さが異なり東京編でのマフラーは青が深く、杉下に巻いたマフラーの青はそれより明るい青である事が判ると思います。
また記事の色味だけでなく、フリンジ部の毛糸の色と長さが異なります。⑤ ①の拡大
⑥ ③の拡大
だから何?と思われるかもしれませんが、このドラマではマフラーもそこそこ大事な役割を担っているんです。
西崎とマフラー
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1話 出所後高野と |
安藤とマフラー
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2話 杉下との再会時 |
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10話 高野との会話 |
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10話 スカイローズガーデン現場 |
安藤もマフラーをしています。現代編では色は異なりますが、モノトーンのも2本登場です。東京編ではチェック柄のもの1本、スカイローズ時が唯一の出番でした。
成瀬とマフラー
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6話 大学を辞める時 |
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2話 |
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3話 出所後の西崎からの電話 |
成瀬については、東京編では1本です。大学を辞める際にしていたマフラーは杉下を訪ねた際にしていたものと同じものです。実はここの描写は徹底されていて、すべてのカットで同じようにマフラーを掛けているのです。つまり、
- マフラーは首に掛けるだけ。巻かない
- 必ず表地、裏地ともに見えるように首の裏で反転させている
一方東京編では一転して、彼はマフラーをしっかり整えて身に着けている。東京編のような首に掛けるだけ、といった着装はしていません。
もう一つ東京編についていうと、2話及び3話でしていたマフラーはどうも9話のモノと同じようです。裏地やフリンジが見えないので難しですが、どうも色味的には杉下に巻いたものと同じように見えます。
すると、成瀬に関しては東京編1本、現代編1本の計2本です。
3人のマフラーの演出上のちがい
3人のマフラーに注目すると、その演出上の違いがはっきりします。
西崎については10年の歳月を経過しても同じものをしている。安藤については東京編と現代編で断絶している。
一方成瀬については、その着装方法は年月の経過によるものか、東京編と現代編では明確な差異が付けられており、かつモノも異なる。しかしながら、その選択の色味については2つの時代で連続性がみられる、という点です。
これがどういう事かというと、現代編で成瀬がしているマフラーは実は東京編の頃、まだ東京編でしていたマフラーをしている時に別途購入した可能性を示していると言えます。
安藤への対抗としてのマフラー
他にもいろんな可能性があるだろう、といった突っ込みは有りうるんですが、そうかもしれない、というのも結構妥蓋然性のある推理だと思うんですね。
一つは安藤杉下に現代編でプロポーズした際に渡した指輪は実はスカイローズガーデンの時に用意していたものであった訳です。
そして、成瀬は安藤が杉下にプロポーズするかもしれない、という事を事件前に知っていました。そんな彼にシャルティ・ヒロタのオーナーは成瀬に”いったもん勝ちだ”と成瀬の背中を押す発言をしています。成瀬は杉下の事が好きであるのは間違いありません。そうでなければ西崎の質問”今にも崩れ落ちそうなつり橋の向こうに杉下がいたとしよう”に対して、”呼ばれれば、渡ります”と答えるわけがありません。
また客観的にみて、彼がこの状況で杉下にプロポーズをしよう、と判断しても視聴者も納得できるだけの島編での濃密な関係が成瀬にはある。それは彼自身が感じていた事でもあるでしょう。つまり成瀬はこの時、安藤に対抗して杉下へプロポーズしようとしていたと考えても、なんら可笑しくないのです。
作戦会議をキャンセルしたのはマフラーを準備するため
このような視点を持つと、実は成瀬が第3回の作戦会議がしたい、と会いに来た杉下に”忙しくて”と野ばら莊に出向く事をキャンセルしたのは、実は彼が安藤への対抗としてプロポーズする際の品を準備する時間が必要だったから、という可能性が浮上します。
成瀬は安藤と異なりアルバイトの身で高価な指輪などを用意する事は当然無理でしょう。とすると、この時自分がしているマフラーと似たものを選び、彼女にプレゼントしようとしていた、そして10年後に彼女に巻いたマフラーはその時用意していたものであった、という推理は決して荒唐無稽なものではないのです。
23年12月26日追記
杉下のマフラーと西崎のマフラーの色はよく似ている
8話で野口宅からの帰り道、安藤と橋の上を歩くシーンで杉下はこのドラマで唯一のマフラー姿を見せます。
実はこのマフラーの色が画面からは西崎のマフラーと非常に良く似ているんです。
フリンジ部分が杉下のマフラーは短く、西崎のものは長いという特徴があり、この2つは別モノである事ははっきりしているのですが、色味はよく似ています。
画像は探したのですが、見つけられませんでした。
このドラマでは上記の通り、何がしかマフラーに意味を持たせています。ドラマ内では全くこの二人のマフラーに関するエピソードをうかがえる言動はありませんが、スカイローズガーデンでの杉下の行動同期が西崎に対する『究極の愛』だった、と見ている私には、この当時の二人の関係性について示唆を与えているモノであるように見えます。
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