杉下の『N』が西崎であり、しかも事件発生前から杉下が究極の愛を遂行していた、というのが私の結論です。その結論では、杉下の西崎への想いは描写されない、もしくは隠蔽される事になります。
しかし杉下の『N』=西崎 としてドラマを見返すと、その証左かもと思える表現は存在します。
今日はその一つ目
奈央子の不倫相手が自分だと西崎が伝えた時の杉下の怒りの反応
この部分、普通に見れば島時代、父親が愛人を家に迎えて家を追い出された過去を持つ杉下の貞操観、結婚観に基づく拒否反応と取れます。
しかし杉下の『N』=西崎 として改めて見たとき、その貞操観・結婚観に抵触する行動をとったのが他ならぬ自分が愛する人であるという事実に対する強烈なショック、とも見ることが出来るのでは無いでしょうか。
2 件のコメント:
ここの描写にも、通説で理解されている事の一つが否定される証拠があるんですね。
この時杉下はおもむろに料理を始めるんです。
俗に『冷蔵庫のトラウマ』と称されている『食へのトラウマ』が、実はこの描写で否定されるんですよ。
つまり杉下が冷蔵庫をいっぱいにする癖は、食に対するトラウマでは無くて、精神的なストレスを食事を作る事で発散しようとする結果だ、と言う事です。
とすると、杉下はゴンドラまでなぜ冷蔵庫をいっぱいにする癖が直らなかったのか?
何故ゴンドラ以降冷蔵庫をいっぱいにする癖が止んだのか?
では彼女が冷蔵庫を一杯にさせ続けたストレス源とはなんだったのか?
これらを考えると、杉下にとっての成瀬の存在の意味や、彼女の野望の本質、究極の愛の意味、彼女が抱えた本当のトラウマの輪郭が浮かんできます
そうなんです。この部分に関しては仮に彼女の西崎の告白に対する反応を自身の貞操感・結婚観にも基づく拒否反応とすると、結局彼女が西崎に協力する事になる点について説明が付かないんですよね。そもそも島の価値観からいくと、他家の事情には口を出さない、といったものもあります。2重に彼女が西崎に協力する事が困難な点があるにも関わらず、彼女は協力している。
後に、成瀬からはどう見えるか?という点と被るのですが、これは彼女の西崎に対する感情による合理化が行われない事には、越えられないものだと思うのです。
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