2015年3月30日月曜日

安藤の外鍵を掛けた行為の隠蔽工作 4人の行動原理・利益

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『Nのために 論考』

安藤の外鍵の隠蔽行動の4人の行動原理及び利益を下記に解説します。
ここで大事なのは、安藤を保護する意図は無くとも、西崎、杉下、成瀬が安藤の外鍵を隠蔽する事により、それぞれの利益が達成される、という部分です。
これがトリックである、というという事の証左となります。つまり安藤の外鍵を掛けた行為を隠蔽する事がそれぞれの利益を守る上で共通の手段であり、その一点において暗黙の取引が成立したのです。

安藤の行動原理・利益
自分が行った外鍵を掛ける行為により、事件の凄惨化に繋がった事から、その責が自分に及ぶ事を恐れた為。

西崎の行動原理・利益
奈央子を独占する事。
西崎には奈央子を独占するために自分が野口をやった事にしたい。
外鍵の隠蔽に失敗すると、安藤が鍵を掛けた理由を語ることになる。
西崎は安藤に会っている。計画も感づかれた。杉下の究極の愛の相手が計画に入っている事も喋った。安藤にこれらを喋られると、計画が存在した事が白日となりその状況では犯行への杉下・成瀬の関与も疑われ、奈央子の独占が出来なくなる。

成瀬の行動原理・利益
杉下を嫌疑から除外する事。
外鍵の隠蔽に失敗すると、安藤が鍵を掛けた理由を語ることになる。
安藤が杉下へプロポーズしようとしている事を知っており、西崎が安藤へ”逃げられなかった”と告げた段階で成瀬は西崎が安藤に会った事を理解している。
安藤が鍵を掛けた理由を語られると計画が存在した事が白日となりその状況では犯行への杉下の関与も当然疑われる。その状況では進展によってどのように転ぶか判らない。成瀬自身は事実を見ていないので、杉下を護れない。であるなら西崎が罪を被る覚悟である以上、西崎の利益に乗る=西崎を切り捨てることが杉下を護ることになる。よって安藤の外鍵を隠蔽する。

杉下の行動原理・利益
成瀬のさざなみ放火事件の蒸し返しを防ぐ事。
安藤が西崎も含め三人で会っていた事を知っている。(ケーキを見られた)
成瀬が部屋にいる際電話もぶち切りした。
そして西崎が安藤と事件前に会っている事もわかった。
安藤に鍵を掛けた理由を語られると、偶然であったとの偽証が通らなくなる。
偶然でない=計画があった=自分と成瀬の関係を詮索される=成瀬のさざなみ放火事件が蒸し返される。
これは杉下にとっては避けなければならない事態。そのために杉下は成瀬をかばったのだから。だから安藤の外鍵を隠蔽する。

16/01/18 追記
安藤の隠蔽意図を修正します。
安藤が口を噤んだのは杉下を殺害の嫌疑から除外する意図です。その意味で成瀬と同じ、としてよい。これはいかにも自己の保身から、と見える裏に隠された安藤の行動意図ですね。安藤は真相が奈央子による心中であり、自分が喋ると杉下に嫌疑がかかる事に気づいていたんです。

杉下の行動意図は成瀬の保護ですが、その理由はさざなみの蒸し返しだけでは無いですね。作戦の参加者として彼自身が逮捕・起訴の対象にもなります。

2 件のコメント:

motoさん さんのコメント...

本編を中断した後に新たに発見した事が有ります。
それは成瀬の偽証動機が、実は杉下の保護では無く、自身の保身からだった‼︎というものです。

確かに成瀬が西崎と謀議し、杉下に偽証を指示した時点においては、成瀬の行動意図は上記の通り。
ですが、捜査機関に証言した時点における成瀬の行動原理は実は自己保身だったのです。
このドラマで、もしかしたらこれが最後の謎だったのかもしれない。間違いなくドラマの視聴者を裏切る展開ですよね。

ですが、このドラマの視聴者の期待を裏切る、という事を幾つもやっているんです。
一つは成瀬がさざなみの犯人ではない、という事。
スカイローズガーデンが夫妻の心中だったという事。
以下にもスカイローズガーデンにおいても成瀬が犯人?みたいな釣りをしておいて、凶行には全く成瀬は関係なし。
杉下の成瀬にかけた言葉は『あいしている』ではなくて『成瀬君なら何にだってなれる』だった事 などなど

ことごとく期待を裏切っている。そうだとすると、成瀬の偽証動機が実は自己保身、というオチが、一番しっくりくるのかな?と思えるんです。

根拠はあります。
この後に議論が出てきますが、成瀬は杉下のN=安藤、と誤解した。そしてその帰結として、成瀬は杉下に対して怒りを抱いた=嫌った。二人の血染めの手繋ぎは成瀬からの怒りの決別宣言だった。
そのような状況下で、実際に捜査機関に対して証言を行う際の成瀬の心理は?と考えると、自己保身、としたほうがしっくるくる。
ただ、ここが見えにくいのは、彼が自己保身から証言しようが、杉下を護る為に証言しようが、その証言内容に差が出ないからなんです。
これは安藤とも同じ状況です。安藤も杉下の為に自ら鍵をかけた事に口をつぐんでも、それは表面上自己保身のようみ見える。実は製作者は安藤に対して行った操作の逆を成瀬に対しても行っていたんですね。

これを裏付ける描写があります。島で高野と会った際のかいわで、杉下の状況を問う成瀬が凄くオドオドしたものでしたよね。もし成瀬が自らの決意として杉下から離れたなら、あそこまでオドオドしないと思うんです。彼は自身が自己保身から偽証したという自覚があり、杉下に対して引け目を感じていた。だからオドオドした、と。

さらには、これも高野ととの会話ですが、西崎と安藤は自分の事件時のNを自らの言葉で断定していますが、実は成瀬は自らは語っていない。高野が『お前のNは希望ちゃんやったか』と言っている。これも製作者が非常に巧妙な操作をしているんです。

さらに。成瀬の杉下へのプロポーズの際の言葉と態度。
『杉下の人生や、杉下の好きにしたらええ』
これも実は成瀬の事件時の偽証動機の後ろめたさ、そしてそれを杉下も知っていると彼が思っているからこそ出た言葉と推理できるんです。
過去成瀬は二度杉下を危機から救いました。杉下のお城放火未遂とスカイローズガーデンです。この時成瀬は杉下に有無をいわせず、その危機から彼女を引っぺがす行動を取っているにも関わらず、この時はそういう強引さはない。杉下をおいて先に島に帰っているんです。これもずっと違和感が残っていた行動でした。
つまり、この時の成瀬は、自らのスカイローズガーデンでの行動、及びさざなみで彼女の勘違いを利用した、という事に彼女に対して引け目を感じていた。そして彼のそういう真理を杉下も解っている、という前提で『杉下の人生や、杉下の好きにしたらええ』という発言になったと、理解したほうがすっきりとするんです。

この成瀬の偽証意図、こう考えるとアッチコッチがすっきりするんです。例えば成瀬は西崎とは接触を取り続けたにも関わらず、なぜ杉下からは逃げるような形で距離を取っていたのか?とか。

もちろんこれはあくまで状況証拠をかき集めてきた上での推論の一つの可能性ですが、このドラマがやってきた、視聴者への欺き、という意味では一番インパクトがでかい、そして隠すには一番意味がある欺きのように感じます。だって、そう言われたら、皆さんショックでしょ?だからこそ、逆に信ぴょう性が増すんですよ。

motoさん さんのコメント...

スカイローズガーデンでは、偽証構造の成立と状況の変化を丹念に追わないと、特に杉下と成瀬の行動が理解できないんですよね。注意していないと首尾一貫しているように見えるんですが、実は違うという事に注意を要するんです。
この注意を怠ると、杉下のNが誰か?という問題に適切な判断が出来なくなるし、成瀬の捜査段階での偽証意図が判らなくなる。二人のこの辺りの判断を間違えると、現代編での関係性に答えることが出来なくなる。

杉下がが病気だから安藤との結婚はあきらめて…なんて問題じゃないんですよねー