事実関係に基づくポジションについては、昨日投稿した通りなのですが、杉下の行動を理解するうえで、彼女の認識を理解しておく事が必要です。
さざなみにおける杉下の誤解は、さざなみ放火犯は成瀬だ、というものです。
これには伏線があります。
その前日に杉下が苦しみの余り、追い出された実家(父親と愛人が住む)を放火しようとしました。
成瀬がそれを止めたのですが、杉下の苦しみを見かねた成瀬が、〝杉下を犯罪者にしたくない、俺がやる〝と代理放火をしようとした事実がある。
成瀬の代理放火は杉下が止めたのですが、成瀬も翌日にはさざなみを出て行く予定であり、二人が共通して抱えていたのが、〝燃やしてしまえば、大事な場所を誰にも取られない〝という思いでした。
そしてさざなみが燃えている現場を見つめる成瀬を見つけた杉下は、成瀬が本当にやった、自分の代わりに本当にやったと勘違いしてしまった。
この結果、杉下は自身の認識として、自分が夏恵のポジション=事実を知る人、であり、かつスカイローズガーデンでの安藤に似たポジション(事件のトリガーとなる行為をした)だ、という認識であった、という事です。
ここでの誤解が後の15年に影響を与えます。
1 件のコメント:
ここでの議論から少し離れますが、杉下が成瀬に抱いた思い、それは火と結びついているのですが、かなり複雑なものだと思うのです。
一つはここでも触れていますが、〝燃やしてしまえば、大事な場所を誰にも取られない〝という思いの共有感ですよね。
また、成瀬が放火に至った(と思っている)トリガーを引いた事への罪意識。
他には成瀬が本当に火をつけた(と思った)彼の行動への恐怖感。
恐怖感という意味では、その後の捜査により成瀬を喪失してしまう可能性にも恐怖したでしょう。
そこにはある種、今後の彼を守らなければ、といった義務感もあると思うのです。
更には彼が自分の思いを代わりに遂げてくれた、というある種の尊敬の意識。そして解放感。
とにかく、さざなみの火に、杉下が成瀬に多くの感情を結び付けられているのは間違いないのです。
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