2015年11月5日木曜日

杉下の『なんで成瀬くんがここにおるん?』の心理 その一

 成瀬が西崎の連絡を受け、翌日に杉下を訪ねた際の杉下の言葉です。この時杉下は二度この言葉を繰り返します。

 なぜこの時杉下は二度この言葉を繰り返したのか?

 一度目に関して、成瀬は西崎から住所を聴いた、と答えています。つまり此処にたどり着いた理由を答えた。ですがそれでも杉下は再度同じ言葉を繰り返した。つまり彼女が聞きたかったのは、自分の住所に如何に成瀬がたどり着いた経路ではない訳です。

 これをただ単に彼女の驚き、と解釈してしまうと思考停止です。必ず意図がある。では、この時杉下が再度同じ言葉を繰り返した心理はなにか?

 彼女の驚きの正体は、成瀬の行動の意図であり、それが彼女の予測を外れたから驚きとなっているのです。つまり、自分を訪ねてくることなどあり得ない、と思っていた成瀬が自分の前に現れた事に対する驚きがこの言葉の繰り返しの杉下の心理なのです。

 ここから杉下が事件後、自分と成瀬の関係をどう理解していたか?が推測されます。
 一つは、杉下自身は成瀬と接触を持とう、という意思はなかった、という事です。
 杉下は西崎が出所した際、彼に対するおとしまえを付けに西崎を訪ねました。それは西崎は杉下には罪を赦してもらうべき相手であるからです。
 しかし、もう一人の罪を赦してもらうべき相手である成瀬に対しては、西崎のような対応を取る意思がなかった。だから成瀬が現れた事に驚いたのです。

続く…

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