2015年10月23日金曜日

島での出来事の還元先としての成瀬

あの火を見てたら父親も母親もあの女も消えてったんよ。
成瀬くんが火で私を救ってくれた…そう思った。

この杉下の成瀬に対する言葉は彼女の中での成瀬という存在がどのようなものであったのかをよく表していますね。
成瀬は彼女にとって解放者、救世主なんです。どうしようも無いしがらみから自分を解き放ってくれた存在なんですね。
それと同時に、父親も母親も父親の愛人も成瀬という存在を通しての存在となった。つまりその存在が成瀬に還元されたという事です。それがどういう意味かと言うと、これら三人及びその三人に繋がる色々な記憶、そしてトラウマが成瀬を通してのものとなったために殊人間に対する感情面で直接対峙しないで済むようになった、という事です。さざなみ以降少なくとも父親とその愛人に対しては直接的な感情の爆発は発生しませんでした。つまりそれは過去の事となったんです。
ですが一方で島でのすべての事が成瀬に還元されたが故に、成瀬に関する感情に伴いその都度島で味わった辛さなども同時に呼び出されるようになったはずです。

ただ、ここで重要なのはさざなみの火で、島での出来事が全て成瀬に還元されていたという事です。

のちにスカイローズガーデンが発生するのはこの当時究極の愛の対象から成瀬が外れていたためですが、それはゴンドラで杉下の冷蔵庫のトラウマが解消したからなんですね。つまり成瀬に島での出来事が全て還元されていたわけですから、島でのトラウマ解消はすなわち囚われとしての成瀬も解消された、という訳です。

参照
ゴンドラで杉下が解放されたもの

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