…続き
最後は『トラウマ』です。
杉下は成瀬のさざなみの真相の暴露に火で両親と父親の愛人が消えた、と成瀬に告げています。これはつまり彼らに連なるトラウマが火をつけたと思った成瀬に還元されていた、それらは成瀬を通じての関係であったとという事です。
実際に安藤のサプライズあるゴンドラの経験から杉下は『冷蔵庫』のトラウマから解放されました。
ゴンドラの経験で実現したのは、『水平線を見たい』(※元は“まっすぐな水平線”だったものが“高いところから見る水平線”に変質している)という野望です。これで杉下の全ての野望が実現した。この経験が冷蔵庫のトラウマを解消したという事は杉下の中では野望とトラウマがリンクしていて、その野望は成瀬に還元されているわけですから、実は杉下のトラウマも成瀬に対して還元されている事が判るのです。
トラウマが成瀬に対して還元されている例がもう一つあります。
早苗が野ばら荘を訪ねた際の杉下の反応です。この時杉下は最大のトラウマである母親の出現に『誰にも頼らず生きたい』といい、西崎の問いに『助けて、って思った人はいる。でも言えなくて』と答えています。つまりトラウマと『成瀬に助けて!といってはいけない(禁止)』がリンクしているんですね。
このように、杉下を特徴付けている『野望』、『誰にも頼らん!(頼れない)』および『トラウマ』は実は全て成瀬に対して還元されているんです。ですから彼女の行動意図及び判断、心理は全て成瀬に対する彼女の感情の影響を受けている、と考える必要があるんです。
参照先
杉下の野望の本質
杉下の『何もいらん!』の意味
島での出来事の還元先としての成瀬
ゴンドラで杉下が解放されたもの
fin
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