2015年10月24日土曜日

杉下の特徴と成瀬の関係性 その一

杉下にとっての成瀬とはいかなる存在であったのか?
これを改めて考えてみたいと思います。

杉下を特徴づけているのは『野望』に象徴される上昇志向、『誰にも頼らん』の独立心、そして冷蔵庫とドレッサーを代表とする『トラウマ』です。これらと成瀬がどのような関係にあるか考えます。

これらは全て両親及び父親の愛人との関係性から生じたものですが、実は全て成瀬に対して還元されているのです。

先ず『野望』からです。
杉下の野望の本質は高校生として出来る現実的対応以上のものを必要とされた反動、空想上の逃避先です。ですから本来島を脱出した時点で用無しになるはずのものだった。しかしそれ以降も彼女が野望実現に邁進したのは、バルコニーでの初心表明、Nチケットおよび頑張れエールでそれが成瀬との約束になったからです。つまり杉下にとって野望の実現は逢いたくても逢えない成瀬と自分との繋がりの確認行為だったのです。こうして野望は成瀬に対して還元されているのです。

次は『誰にも頼らん』です。
これは実は島での境遇から発生したものですが、実は成瀬に対する感情にすり替わっています。杉下が母親の妄動に切羽詰ってお城放火をしようとしました。それを成瀬が止め、代理放火しようとした。その際の成瀬の『俺に何が出来る?』に対する返答『なんもいらん!』がその後の彼女の独立心の根源なのです。
その翌日のさざなみ炎上とも関係するのですが、杉下はこの一連をみて、成瀬が自分との関係において、いとも容易く『今にも崩れそうな吊橋』を渡ってしまうのを見て、自身の救世主たる成瀬に対してさえ『頼ってはいけない』が刷り込まれたんです。ですから彼女の独立心は元の『誰にも頼らん(意思)』がこれ以後『誰にも頼れん(禁止)』になってしまった。こうして彼女の独立心は成瀬に対して還元されているんです。

続く…

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