2015年12月2日水曜日

早苗の訪問時の杉下の心理プロセス その一

早苗が訪問した際、杉下は西崎の前で怯え、成瀬への想いをダダ漏れさせました。
この時の杉下の心理プロセスを詳述してみたいと思います。

このシーン、杉下の中での早苗の存在というものがよくあらわされていますよね。

まづ、杉下にとっては早苗は思慕の対象である、という事。
これは杉下の『お母さんに逢いたくない訳やない』という発言に現れています。
また杉下が同窓会(=成瀬父葬儀)の為に島へ戻った際、河岸で働く早苗を遠目から確認して安堵している描写と繋がっています。

二つ目が、『逢うと島にいた頃に引き戻されそうで』という発言から垣間見える逃避対象である、という事。
それは早苗は杉下を苦しめた存在であり、彼女のトラウマだから、というのが以前の理解でした。
ここを出発点として成瀬への感情に繋がる心理プロセスを検討すると以下になります。

島にいた頃には戻りたくない、『誰にも頼らんと生きて活きたい』とありますので、『島時代からの逃避』と『誰にも頼らず生きていきたい』が杉下に とっては等価。そしてその『誰にも頼らず生きていきたい』はさざなみ炎上で『成瀬に頼れん』の変形であり、そのことからこの時の杉下の心理は『島時代からの逃避』 と『成瀬に頼れん』が等価。
そしてこの『成瀬に頼れん』心理を杉下に隠蔽・保護するための心理機構である『究極の愛』が起動するものの、早苗の登場という直接的なストレスに 『究極の愛』システムも感情を処理しきれずに西崎が成瀬について問うと涙を流し声を震わせ成瀬への感情ダダ漏れ状態に陥った…

続く…

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