自分の備忘録であれば、このまま放置でもいいかな?と思ったのですが、ここを読んでいただいている方がいらっしゃる事が判った以上、改めてスカイローズガーデンにおける杉下のNについて、ちゃんと整理してまとめておくべきだろう、と考えました。
ただ、単に現在の到達点だけを記したのでは面白みに掛けるので、認識の経過も合わせて書こうと思います。
第一段階
杉下のN=成瀬
これはオフィシャルサイトが2月末で閉まった段階での結論です。
この当時の私の主たる関心は杉下の魂の解放プロセスでした。それを読み解くのに、どうしても解消しなければならなかった障害が、ラストシーンとスカイローズガーデンでは杉下は安藤を護った、という一般的な認識との矛盾でした。
ラストシーンは与件ですから、どうしてもスカイローズガーデン側を崩さないといけない。そうやってもがいていたら、安藤の外鍵の隠蔽が4人による暗黙の取引である、というトリック破りでクリアできた。そこでこの段階では杉下のN=成瀬と結論付けました。
第二段階
杉下のN=西崎
第一段階の後、残りの問題をつらつら考えていたら、どうしても解けない問題にぶち当たったんです。成瀬が10年間杉下と接触を断ち続けた問題です。
『偶然』の偽証を通すために一定期間成瀬が杉下との接触を断つ必要性は認識出来たのですが、それが10年間継続する必然性が見出せなかった。
そうするとこれは西崎絡みだと考えた時、杉下が偽証した理由が必ずしも成瀬のさざなみ蒸し返し阻止とは言い切れない。一番大事な人が傷つかない方法=西崎の奈央子への気持ちを護る、という行動を杉下がとる可能性を排除出来ない。
杉下のN=西崎として考えると、成瀬が接触を絶った十年にも必然性が設定出来そうであり、かつ杉下の『究極の愛』の〝相手にも知られず身を引く〟がまさにミステリー的にマッチする、という事に気付いたんです。それが3月16日でした。
このアイデアに気付いて、直ぐ立ち上げたのがこのブログです。このブログは、杉下のN=西崎を証明する目的で立ち上げたんです。
このアイデアは非常に強力でした。杉下のN=成瀬では、見えていなかった領域にまで視線が及び、物語の視界がそれまでの何倍にも拡がりました。杉下の『究極の愛』の本当の姿や、杉下の作戦に込めた魂胆など、ほとんどの問題はこれで方がついた、障害はなさそうだ、というところまで行きましたが、最後の最後で越えられない壁があったんです。それは、『杉下が西崎の偽証の要求を受け入れ無かった』という、初めから分かっていた事。
西崎であっても成瀬であっても、偽証内容に差はない。ですが西崎の要求にはノーであるのに成瀬の指示にはイエス。これは成瀬のためであれば偽証を受け入れる事が出来る、という事なんです。こうして杉下のN=西崎もすんでのところで頓挫しました。
第三段階 現在の認識
これは第一段階と第二段階の途中で得られた認識のハイブリッドとなります。ですが恐らく最終段階だと思います。これまでの謎解きの全ての障害を乗り越える事ができる唯一の論理です。
作戦計画段階から事件発生まで N=西崎
西崎の奈央子救出(=人妻略奪という罪)に協力(=罪の共有)し、且つ自身の西崎に対する感情は、西崎が〝杉下の究極の愛の相手〟と思っている成瀬と自分の共同作業でカモフラージュ(相手にも知られず)した上で、作戦終了後には本気で成瀬と関係を再開させる(=西崎から黙って身を引く)
事件発生後 N=成瀬
成瀬のさざなみ放火事件の蒸し返しを阻止し、成瀬を護る意図で偽証。
事件の前後で、杉下のNは西崎から成瀬に変わっています。これは人によってはご都合主義的に思われるかもしれませんが、安藤の外鍵の隠蔽と同じく、何から何をまもるのか?のうちの何から、という部分が事件の前後で変わってきますから、その護るべき対象も変化する事は不思議では有りません。
参照
困った
結局杉下は誰のために偽証したのか?
N作戦2への杉下の魂胆
杉下の『N』
安藤の外鍵を掛けた行為の隠蔽工作 4人の行動原理・利益
なぜ多くの人が杉下が守ろうとしたは安藤と取り違えたのか