前稿から…
これは杉下のN=安藤説と根拠とするシーンは同じです。しかし問題は視聴者がどうとるか、ではなく成瀬がどうとるか?という視点の違いです。
まづは一つ目。杉下が成瀬に行った外鍵の隠蔽依頼についてです。
この場面だけみれば、確かに成瀬には杉下のN=安藤と誤解した、と取れるのはたしかです。
しかしここに到るまでのプロセスを詳細に検討する必要があります。
まず、成瀬は杉下が西崎に協力するのは、杉下の西崎への恋愛感情の故、という認識がある。
確かに途中、安藤が杉下にプロポーズする意向である、との情報を得る。
成瀬が動揺したのは、自分が安藤と同じ立場(プロポーズする)に立つ必要性が生じた事への動揺であり、杉下が西崎に協力する理由の認識自体には揺らぎはない。なぜなら島時代を知る成瀬にとって『人妻略奪』行為が杉下の中でどれ程の重みを持つものであるかがわかるからです。
そして事件が発生し、成瀬が状況を把握する。事件の様相を完璧に理解した成瀬は、西崎との間で事件の処理方針を『共謀』して建て、杉下に指示。杉下はそれを受け入れた。
事件の処理方針は
1.西崎単独犯の主張
2.計画性の否定
3.偶然性の主張
以下の三点です。この時点では成瀬には安藤に関する情報は一切無い。安藤が既にビル内いる、という事さえ知らないのです。
この段階において、成瀬には杉下は西崎のために偽証を受け入れたように見える。何故なら杉下の愛の相手である西崎が奈央子の罪を引き受けようとしている、それを支援するのが、作戦に協力した杉下の動機とも符合する、と成瀬からは見える。
続く…
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