安藤は〝西崎は犯人ではない〟と判断していました。
それでは安藤は誰が犯人と考えていたのでしょうか。
安藤が明かしている認識です。
西崎は奈央子を連れ出すために来た。
西崎、杉下、成瀬は計画を練っていた。
自分が掛けた鍵のせいで事件になった。
西崎は火のついた燭台を持てない。
この判断と認識を元に条件を絞り込むと、こうなります。
西崎は犯人ではない→事件のシナリオの否定→西崎は野口を殺していない、野口は奈央子を殺していない。
西崎は奈央子を連れ出すつもりでいた→西崎は奈央子を殺さない
自分が掛けた鍵のせいで事件になった→成瀬が入室前に事件が起きた→成瀬は殺していない
そうすると、この論理で殺害への疑いを否定出来ないのは杉下になるのです。
安藤は三人による計画を認識していました。
西崎の目的も奈央子の救出である事を理解していました。
そうすると、仮に杉下が疑いの対象として残っても、杉下は西崎の協力者であるわけで、杉下が奈央子を殺害することは無い、という論が成立します。
ここまで来ると残る可能性は
野口が奈央子を殺害→杉下が野口を殺害
奈央子が野口を殺害→奈央子が自殺
杉下が野口を殺害→奈央子が自殺
のいずれかです。
但しここで問題となるのは、杉下の服が血で染まっていた、という部分です。
野口は頭を殴打されていた。もし殺害の際についた血であるなら、杉下の服が汚れる部位が異なる。そうすると、杉下は野口を殺害していない、と推測できる。
それはあくまで介抱の結果による血である、という事です。
ここまで来ると、安藤は成瀬と同じ領域にまで認識が届きます。
事件の真相は奈央子が野口を殺害した後、奈央子が自殺した、という処まで認識が可能なのです。
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