2015年6月16日火曜日

安藤のNは杉下と言っていいのか? その二


安藤は事件発生直後には、事件の本質は野口夫妻の心中である事は理解出来ていました。

その上で、自身がどう証言するか、選択したわけです。

ここで問題なのは、安藤は中の三人と異なり、事件の処理方針を聴いていない、と言う事です。
安藤が中の三人から唯一伝えられた情報は西崎の「逃げられなかった」です。

ここから安藤はどう判断するか?
西崎の発言から、鍵が安藤が掛けたものである、という事が中の三人にも判っている、と言う事と、その鍵のせいで事件にまで発展した、と言う事が伝わりました。
一方で、事件が野口夫妻の心中である事、西崎をはじめとする中の三人が事前の計画を練っていた事も判っています。
この段階で、安藤は捜査機関が『計画の末の心中』とは取らないだろう、という事が推測出来る。
そして中の三人も同じ判断をするだろう事も推測可能です。
その時、成瀬は直接の嫌疑の外になる。鍵を開けて中に入ったから。嫌疑の対象は西崎と杉下に絞られる。

安藤としては中の三人の処理は不明ではあるが、最悪の場合杉下が犯人とされてしまう場合が発生する事が理解出来る。この時、どちらを取る?当然杉下を取る。

そこから安藤の事件への対処方針が構築されていきます。

以下は安藤のモノローグとして

もし中の三人が夫妻の心中として処理していくならば、計画その他は隠蔽されるだろう。それで処理が進むなら、誰も傷付かずに済む。そうであるなら、自分から鍵と計画の存在を示唆するような証言はするべきではない。
そうであるなら、西崎に会ったことも、三人が会っていた事も、自分が鍵を掛けた事も黙っているべきだろう。

もしその方向性が破綻した場合。
もし西崎単独犯で処理をしようと中の三人が判断するなら、それでよし。上記と同じ行動を取ればいい。西崎単独犯である限りはわざわざ計画の存在を暴露されかねない鍵の事は隠蔽されるだろう。もし仮に情状酌量が欲しくて鍵は掛かっていたと、西崎が証言しても、成瀬がそれを否定するだろう。成瀬にとっても杉下への嫌疑は回避したいはずだ。

その他の杉下に嫌疑がかかる可能性のあるケースについても、すべて同じだ。成瀬と歩調を合わせればいい。

つまり、俺からは何も話さない。もし杉下に嫌疑が向く可能性のある展開は成瀬が潰しにかかる。俺はそれに歩調を合わせる。仮に成瀬がどうしよう無くなっても俺は何も言わない。それが何れにせよ杉下の被害を最小化する方法だ。


自分で書いておいて、驚きだったんですが、安藤が杉下を護る為には、何れにせよ一切の事について口を噤む、と言う方法がベストなんですね。
この点において、安藤にもN=杉下は成立するんだ。
正直ビックリです。

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