2015年6月24日水曜日

西崎が想像した事件が無かった時の杉下の様子


西崎は安藤に『崩れ落ちそうな橋』の問いの後、呟きます。

『あの日が無ければ杉下は幸せになっていたんじゃないかと思うと胸が痛む』

余命僅かな杉下がそれでも尚人の助けを拒み、孤独の中にいるのを憂いています。
西崎は自らの IF にどのような姿を想像したのでしょう。

西崎は成瀬が杉下の恋い焦がれた『究極の愛』の相手であり、杉下が成瀬と関係を再開させようとしていた事を認識しています。
成瀬が杉下の部屋を訪れる事になったのは西崎とは無関係であり、杉下は成瀬を作戦には巻き込みたくない様子も見ている。また杉下が成瀬の言葉に良く反応しているのにも気付いた。
西崎から見ても、成瀬は杉下に相応しい人間に見えていた。『崩れ落ちそうな橋』の問いに対する答え『呼ばれれば渡る』も西崎の美意識とも合致するし、実際橋を渡り杉下を救い出した。事件前に安藤に『なかなかいい奴だ』と言っている。
二人の間に誰も入り込める余地など無さそうである事を理解していた。

出所後、最初に連絡を入れたのは成瀬であるし、服役期間中一番密な接触を取っている。
事件処理においても、杉下を委ねたのは成瀬であるし、共謀を成立させる為の安藤の外鍵の隠蔽を担ったのも成瀬。

こう考えると、西崎の成瀬に対する信頼度は、相当なものです。

やはり、事件が無かったら…の IF で西崎が想定しているのは成瀬だと思って良さそうです。

西崎の想定にの中にも、安藤が入り込むる余地は見出せません。

安藤派、と呼ばれる方たちの一部に、事件が無ければ安藤が杉下を幸せにしていた、と西崎が思っていた、との意見があります。その根拠は、西崎が安藤にした『崩れ落ちそうな橋』の質問に対する安藤の〝なんだってする〟という、想いの強さだ、というのです。その強さで杉下を幸せにしただろう、という論です。

でもこの主張には簡単に反論が出来ます。西崎は安藤の杉下への想いの強さを知っている。杉下の中の成瀬の大きさは十分知りつつも、一時は杉下を安藤とくっ付けるために背中を押した時期もある。
それでも尚、西崎は杉下を成瀬に託そうとした。それはなぜ?という問いに、上記の主張は答えを与える事は出来ません。

参照
事件後の四人の接触関係の整理
N作戦2における杉下の魂胆

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