安藤が誰からも真相を明かされない理由につらつらと思考を巡らせています。
安藤と他の三人を隔てているものは何だろうと。
一つは先に書いた通り、事件処理における共謀関係です。
その後に気づいたのは、歪みの有無です。
西崎、杉下、成瀬は夫々歪みを抱えた人物です。
ここでいう歪みとは、『自分の力ではどうしようもない現実に飲み込まれ、その中で何かをよすがに、信じる事でしかそれを乗り越える術を持たなかった』経験です。
そのよすがとは西崎にとっては母親、杉下にとっては成瀬、成瀬にとっては杉下です。
しかし安藤にはそのような経験はありません。安藤にとっての世界は、自己の努力で切り開かれるもの、として捉えられています。世界が自分の手の届かない何かの力で、閉ざされる、という経験はありません。
この経験の差が、西崎の『崩れ落ちそうな橋』の質問の、成瀬と安藤の答えの差となっているように感じます。
参照
安藤が真相を誰からも教えてもらえない理由をまだ見つけられない
崩れ落ちる橋 への二人の答え
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