2015年6月23日火曜日

みんな『安藤の僻地行き』の意味を取り違えている


野口と安藤の賭け将棋について。

安藤と野口はこの将棋の勝敗で安藤が勝てば国内残留、負ければ太陽光発電のプロジェクトメンバーとしてダリナ共和国へ赴任、との賭けをしました。

ダリナ共和国は電気もガスも通っていないような地。

杉下は野口のブレーンとして逆転の手を考える、という役回り。結局は野口自身が逆転の手に気付き、安藤の赴任が決定…

これ、皆さんどう取られました?
オフィシャルサイトのコメントを見ても、どうやら杉下と同じく『僻地行き=左遷』と取られている方が大半の様です。私が見つけた限りではしのぶ様の2月20日の投稿くらいでしょうか。そうでは無い、と取られている意見は。

これ、特段のトリックも無い、冷静に考えればわかる事です。ミスリードを誘うための演出は有りましたが。

これは左遷ではありません。野口が安藤の能力を非常に高く買っているが故の抜擢人事です。

野口はあくまでダリナ共和国という開発の遅れた国情を評して『僻地』と言っているだけです。

冷静に以下のテキストを見てください。

三羽商事は世界規模の商社。
世界最大規模の太陽光発電所建設プロジェクト。
各課から若手を一人現地要員として送り込む。
野口、安藤の営業部プロジェクト課は、油田開発も手がける部署。
安藤は新入社員。

どう見ても抜擢でしょう。

安藤も左遷だなんて取ってない。

確かに野口は安藤の非常に高い能力に嫉妬していたかもしれない。競争心もあったでしょう。だから将棋で負けたくなかった。この若い男にまだまだ俺は負けん、という感情はあった。だから賭け将棋をした。でも基本は上記の通りなんです。

ここの部分を視聴者側が左遷、と取ってしまうから、10年後に杉下が安藤の指環に涙するシーンを取り違えている。

安藤派の方は『病気だから安藤と一緒になることが出来ない』、その涙だといい、成瀬派は涙の意味を説明出来ていない。

杉下の涙の本当の訳は、自分が安藤の左遷阻止と思って起こした行動から心中に発展したにもかかわらず、その実情が左遷でもなんでも無いということが解って、罪の意識に苛まれていた、その涙なのです。

参照
安藤の指輪に対する杉下の涙の本当の訳

3 件のコメント:

motoさん さんのコメント...

これは鉄板ですね。これを左遷と取っているから謎解きが進まない。

ただ、安藤がダリナ共和国行きを左遷ととっていない、という部分にはもう少し解説が必要かな、と思います。

まず、野口の安藤への結婚および結婚相手に関する発言があります。
野口は安藤に、海外へ行くなら早く結婚したほうが良い、と言っています。かつ相手についても、「誰でもいい、ってもんじゃない」と、その資質について言及しているんです。
左遷させようとする相手に対して、結婚や結婚相手に対してこんなアドバイスはしないですよね?

続いては安藤が将棋に負けた際に、杉下にプロポーズするであろう事を見越して、食事会をそのお祝いの席として準備している点です。これも、左遷させようとする相手に対して行う事ではない。

他には安藤自身の行動です。
仮に安藤がダリナ共和国行きを左遷と取っていた場合、彼は杉下にプロポーズするようなキャラクターとしてこのドラマで描かれていたでしょうか?彼は合理主義で常勝者として描かれています。もし彼がダリナ共和国行きを左遷と取っているなら、それは彼の敗北であり、それを契機とした杉下へのプロポーズは、ある意味自身を慰めるための行為となるでしょう。彼は負けた際にそのような行動を取るキャラクターとしては描かれていないのです。

彼は焼き肉店での同僚との忘年会に杉下を連れて行っています。これは事前の関係者への伴侶のお披露目と取ることが出来ます。

安藤は食事会の際、杉下にプロポーズする意思を持っていました。それは彼がダリナ共和国へ赴任する事を決意し、その赴任地に杉下を伴うためです。ですから彼は将棋にも勝つ意思はなかったのです。

motoさん さんのコメント...

ここに関してもう一つ挙げると、8話で賭け将棋を野口が持ち掛けたときの安藤との会話にもこの説を裏付ける会話があります。

野口:「ダリナ共和国で世界規模の太陽光発電所を立ち上げる、っていう話が持ち上がっている。関係部署から若い社員を送り込もうっていう話になってる」
野口:「僕がこの勝負に勝ったら、安藤君をそこに推してもいいかな?」
安藤:「会社の人事を将棋で決めるんですか?」
野口:「君(安藤)が勝ったら、名前が挙がっても僕が取り下げる」
安藤:「沖縄以来、負けっぱなしですけど」
野口:「負けっぱなしで終えるのもつまらないだろう。どうする?この勝負。受けてみる?」

ここで重要なのは、野口の“関係部署から~”の部分です。これが単に野口の部署だけにとどまらない、大きなプロジェクトだという事です。
また、“名前が挙がっても僕が取り下げる”という発言も重要です。つまり安藤は野口の部署に留まらず、他部署からもプロジェクト要員に相応しいという声が挙がる(若しくは野口が挙がる可能性がある、と野口が考えている)ほど他部署にも安藤が優秀である、と認識されている訳です。

ですから、これは決して安藤が左遷としてダリナ共和国に行くことになる話ではないのです。

motoさん さんのコメント...

これについては、ドラマ内で他にも証拠があります。
9話で野口が杉下に安藤の僻地行きを話しした場面での会話です。

野口:「つまりずるい、といいたいんだろ」
杉下:「安藤が何をもとめているのか、あたしは知りません。だけど目標を持っているのは確かです。そこに向かってまっすくな人の足をすくうような事は、しないでください」
野口:「そんなつもりはないよ」

野口は杉下が僻地行きを左遷と取って、それを辞めさせるよう野口に訴えている事に対して、野口はそれを否定、つまり僻地行きは左遷ではない、と言っているんです。

映像的な演出で、視聴者のミスリードを誘うような演出はなされていますが、しっかり台詞などを追うと、安藤の僻地行きは左遷などではないのです。

それと、もう一つ。
ここで、安藤が実は杉下の心に入り込めていなかった、という事。つまりそれは杉下の安藤という人間に対する関心度と言ってもよいかもしれませんが、杉下はここで安藤について、『安藤が何をもとめているのか、あたしは知りません』と言っている事です。
この発言は、いわば”安藤という人間が上昇志向を持っていて、それに向かって努力している事は知っているけれど、その目指す先のイメージは私は知らない。そういう関係です”と言っているののと同義です。これはその後に、安藤の『足をすくうような事は、しないでください』と言う発言に対する、自分と安藤の関係に関する注釈、若しくは理(ことわり)と言えます。
もし仮に杉下に安藤への感情があるとするならば、このような自分と安藤との関係について注釈を入れるような物言いはしないと思うのです。