2015年9月1日火曜日

『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座 その6

前回までで杉下のN=成瀬説の立証を行いました。ここからはなぜ視聴者は杉下のN=安藤と取ったのか、製作者が仕込んだトリックを解説します。

使われたトリックをリストします。

直接的なトリック
トリックその1 杉下の安藤の僻地赴任阻止行動
トリックその2 杉下の成瀬への外鍵隠蔽依頼の演出

事前の刷り込み
トリックその3 『一番大切な人の事だけ考えた』の杉下のモノローグ
トリックその4 8話での杉下の立ち位置の操作

事後の刷り込み
トリックその5 高野の安藤への発言『誰かを守るために無心に嘘をつく人間もいる』
トリックその6 成瀬の安藤への発言『あなたを護ろうとしていました』

全般
トリックその7 『〜のために』という言葉の多義性による原因、意図、効果のすり替え誘導

恐らくこのリスト、その4とその7については?で、それ以外は全部杉下のN=安藤の証拠では?と思われる方がほとんどだと思います。
ですが、これらは巧妙に製作者が杉下のN=安藤とのミスリードを誘うためのトリックなのです。

トリックその1
杉下の安藤の僻地赴任阻止行動

これこそ、杉下のN=安藤の証拠なのでは!という方がほとんどだと思います。なぜ、これがトリックであるのか?
私が奈央子の自殺以降を対象に杉下のNを論じているのには、ここに理由がある。
事件の発生の前と後で、杉下の行動ルールが違うんです。
この時確かに杉下は野口に対して安藤を守る意図で行動した。
しかし事件発生以後は、杉下は何に対して彼女のNを守るのか?
それは捜査機関に対してです。闘う相手が異なるのですから、杉下の行動ルールが変わるのは必然です。杉下は野口から安藤を守る意図で僻地赴任阻止行動を行った。これは真です。しかしそれをもって杉下が捜査機関から安藤を保護する事を意図としてその後の行動をする、とは断定出来ないのです。
ですから、これは人間の因果律を利用した、視聴者を引っ掛けるためのトリックなんです。

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