2015年9月2日水曜日

『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座 その7

トリックその2
杉下の成瀬への外鍵隠蔽依頼の演出

これは講座その5において、偽証の構造論より杉下のN=安藤とはなり得ないことは解説しました。それではここではどのようなトリックがあるのでしょう。
これはトリックその1の、僻地赴任阻止行動とセットで理解するべき部分です。つまり僻地阻止行動において杉下は安藤の保護を目的に行動した。ここで杉下の大事は安藤、という刷り込みをした上で、具体的安藤の罪(外鍵を掛ける)について、警察に安藤が連れ出されるまさにそのタイミングで成瀬に対して隠蔽を依頼する、という演出をすることで、杉下の行動ルールの事件前後での変化と、偽証の構造上の従属関係性を視聴者に対して目眩ませをしたんです。

トリックその3
『一番大切な人の事だけ考えた』の杉下のモノローグ

これが実は事前の視聴者への刷り込みだとどれほどの人が気付いたでしょうか?
事件の真相が明かされる前の段階で、杉下のモノローグが安藤が鍵をかけて立ち去る描写に被せられているんです。これで視聴者は、無意識下に杉下の大事は安藤、という刷り込みをされたんですね。
では、このシーンにおいて制作者は嘘をついたのか!というと必ずしもそうは言えない。ある種のレトリック操作で、大切な人=安藤、という表現は成立し得るんです。
それがどのようなものであるかというと、『真の目的を達成するための必須条件、中間目標も真の目的同様に大事と表現し得る』というものです。つまり、『成瀬の保護の為には安藤の外鍵の隠蔽が必須条件。だから大切なのは安藤』というロジックです。

続く…

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