2015年9月10日木曜日

成瀬は杉下のN=安藤と誤解した? その4

熱い議論が止みません。この議論がこれほど熱を帯びるとは!
私が最初に提示した、成瀬は杉下のN=安藤とは取っていない、西崎だと取っていた説。
ポイントはそれでは成瀬は杉下の手を取れないだろう、というものでした。

当初桃さんの杉下は恋愛出来ない説→西崎への感情への疑問の応酬から始まり、その後成瀬が杉下のN=安藤と誤解したとする場合の、島での高野と成瀬の会話の検証と解釈へと話が進みました。
その後杉下の抱えるトラウマの解釈へと話は進み、電話番号を変えた意図の解釈の応酬が行われます。

そこへnaoさんの『杉下の安藤入室阻止行動』の意味は?との問いが入ります。そこから再び事件現場での杉下の行動意図とそれを見た成瀬の解釈論、成瀬から見たときの杉下が偽証を受け入れた理由の再評価と進みました。そして杉下の『都合の悪い事は外の人間に対してとっさに隠す』行動特性が、安藤の入室阻止行動の意味である、という重要な知見が得られた。
その後『大切な人の事だけ考えた』の意味論が展開されました。

そしてついに成瀬が『杉下のN=安藤と誤解した』説の拡張型として『成瀬は杉下を嫌った』説が出てきます。それに対して手厳しい意見も頂きつつ、西崎がなぜ安藤を先に呼び出したのか?という解釈からアプローチが始まっているところです。

参照
成瀬は杉下のN=安藤と誤解した? 1〜3

25 件のコメント:

motoさん さんのコメント...

naoさん、
成瀬の杉下への感情への評価について、追加で書かせてください。
相手を嫌う・不信に思う・遠ざけるという心理と相手の事が好きという心理は併存両立できると考えています。だから嫌う、という表現をしていますが、その裏にはやはり相手の事が好き、という感情が存在するんです。

私はマリア様から『恥ずかしい、という名のシカト』を受けました。実はこのエピソードには映像も、音声も、自分の感情についてさえ、記憶が無いんです。なぜか事実についてのみの記憶しかない。

相当堪えたんだと思います。そして彼女に対してある種のネガティブな感情もそこに含まれていたと思います。事実、年に数度同じ電車を利用する際にも、彼女を避けていました。ですが彼女はそのシカトの後に私のマリア様になった。私のよすがだったんです。
もちろん時間経過に伴う感情の変化、およびもう一度会おう、という気持ちの発生の可能性は否定はしませんが、杉下に対して好きだという感情と彼女を避けるネガティブな感情、もう二度と会わないという決意、そしてそれでも彼女をよすがとする気持ちは共存し得ると考えています。

これは杉下についても言えると思うのです。
おそらく彼女は、成瀬から嫌われたと思っていたと思うのです。
手繋ぎの時から。たとえそうでなかったとしても、何処かで気が付いた。自覚していた。それでも彼女は成瀬をよすがにしていたのは間違いない。自分が嫌われたと思っている相手を愛しもし、よすがとする。成瀬を守ろうとする。
ある種の異常性を感じつつも現に私達はそんな杉下を認め、許容もし、そこに美しさを観ている。そうであれば成瀬も同じく許容されていいのでは? j

nao さんのコメント...

motoさん、コメントありがとうございました。
読んでいて涙がでました。おっしゃることが、よく分かったからです。
人の心には、様々な感情が同時に息づく。好きだという気持ちもあるし、受け入れ難い情況に苦しみ、それがある時はネガティブな感情に変わってしまうことも確かにあるでしょう。

motoさんの文章を読んでいて鼓動が強くなったのは、たぶん自分の中の見ることを避けてきた感情を思い出したからだと思います。
16歳になる少し前、私は私の人生を左右する大きな出来事にあいました。恋愛ではありません。私自身が愚かだったのです。そしてその時、希美ちゃんの悪魔的絶望も、西崎さんの「現実世界とどう向き合えばいいのか分からない」気持ちも、経験しました。

時が経ち、何事もなかったように結婚し、二人の子どもを授かりました。そして、こんな私でも人のためになりたいと思えるようになれました。すてきだと思える人を、老若男女問わず尊敬できるようになりました。生き方のお手本を探していたのだと思います。
けれども、私の心の中を覗けば、たぶん半分はあの時のままなのです。自分が一人で背負うべきものなのに、救われたいと思っている。

motoさんのおっしゃるとおり、成瀬くんの気持ちにも複雑なものがあってもおかしくありません。むしろ、その方が自然だし、希美ちゃんがそうであるように、人間的な魅力もきっと増すでしょう。
希美ちゃんと自分を重ねているわけではありません。
ただ、苦しんでいる人を誰かに助けてほしかった。迷いのない、広い、深い、澄んだ心で希美ちゃんを迎えてほしかったのです。
だから、「嫌った」という言葉に強く反応してしまったのだと思います。

私的なことを書くのは躊躇われましたが、motoさんの真摯なコメントにお答え出来ていれば幸いです。


追伸

一つ、お願いがあります。このコメントを気にしないでいただきたいのです。
個々の経験に基づく感情が大きくなり過ぎれば、作品を取り違えたり、見誤ったりする可能性が出てきます。
先入観なく謎解きをしたい、また、してほしい。そんな楽しみをここでは見つけたいと思っています。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
桃さんの論は広い範囲の情報を統合して述べられるので、その論へのレスが難しい!(笑)
ここでは西崎の安藤に対するテストに絞って書かせてもらいます。

公式にもあった説ですが、西崎の行動目的と安藤に対する評価基準が逆転しているんです。
西崎の行動目的はなにか?これは杉下を悪魔的絶望から救い出す事ですよね?それが出来る人物を探す事ですよね?
それなのに、安藤の答えが「なんでもする」→「杉下の意向に沿わない」から安藤へ話ししなかった、というなら西崎は安藤が不適格である事を確認する為に安藤をテストしたことになりませんか?

もう一点。では仮に安藤が「なにもしない」と答えたなら、西崎は安藤に杉下の病気を伝えたのでしょうか?この回答なら「杉下の意向に沿う」。
仮に西崎が安藤に杉下の病を話す。安藤は行動しない…これは西崎の行動目的と合わない。
「なにもしない」という答えにはやはり西崎は安藤に杉下の事を話さないでしょう。西崎の行動目的が達せられないのですから。

さらにもう一点。では成瀬なら「杉下の意向に沿う」のでしょうか?
たとえ成瀬でも「杉下の意向に沿う」わけではないと思います。杉下は誰からの助けも拒絶しているのですから。

ですので、世間一般で言われている「なんでもする」→「杉下の意向に沿わない」から安藤へ話ししなかった、解釈は安藤がどう答えても結局は西崎が安藤に杉下の事を話す事が出来なくなります。つまり西崎の行動目的と評価基準の取り違えから起きる論理矛盾です。

西崎がテストしているのは、杉下を救うことが出来る能力です。杉下の意向に沿うかどうかでは有りません。西崎は杉下のN=成瀬と知っています。それでも安藤をテストした。西崎からすれば、杉下を救ってやれるなら、それが安藤でも成瀬でもどちらでもいいんです。

成瀬の杉下へのアプローチが杉下の意向を尊重するかの如く描かれているが故に、西崎の判断基準も杉下の意向に沿う事、との解釈ですが、それは製作側の引っ掛けです。

桃 さんのコメント...

こんばんは。

moto様や皆様の解釈とは、前提から違っているようです。

私は、西崎さんの目的を希美を救い出すことだけとは捉えていません。

ですので、安藤の気持ちを汲んで(nao様説と重なる部分がありますが、安藤が10年経った今でも希美のことを想っていると知ったから)希美の病について話そうか迷った。

何故、成瀬くんより先に安藤であったか、というと、これも先に述べましたが、希美のN=成瀬くん、だと西崎さんは理解していたからだと思っています。

そして、成瀬くんが病のことを知ると、希美をほっておけるはずがない、と思っていたから。


しかし、やはりこの場面でも、安藤は外の人間(部外者)なのですよね。

最初からそう扱うのが西崎さんにとっては、安藤に対して申し訳なく思う気持ちがあったのでは。

先ほども書きましたが、西崎さんのN=希美、ではないので、希美のことだけを考えて(希美を救うことだけが目的)の行動ではない、と思いますよ。

それぞれに闇を抱えてしまった3人のことを思っていたと思います。

だから、出所してすぐ成瀬くんに連絡した。

前科のある自分と付き合いがあると、安藤のキャリアの邪魔になると思って遠ざけた。

興信所まで使って希美の現状を調べた。
治療費の援助を考えた。

希美を救うことは、その対象が成瀬くんと安藤である限り、希美を救った人間こそが救われることです。

あのラストシーンで、私は希美以上の幸せを手に入れたのは、成瀬くんだと思っています。

希美が、成瀬くんに救われ幸せになるラストシーン…確かにそうでもあると思いますが、

希美の演説、誰にも頼らん‼︎

を、希美自身が覆し、成瀬くんにすべてを委ねることで、希美が成瀬くんを幸せにするラストシーンだと、私は捉えています。

だから、15年の純愛、なのだと。

本当の意味で、希美が希美自身を取り戻すのに必要なのは、父親の言葉だと私は思っています。

何度か紹介されていた、原作の一文。

父親が用意してくれた病院の部屋…


私は原作未読ですが、この一文で救われた気がしています。

ドラマで希美が最後、成瀬くんの元へ行ったのは、未だ自分を想ってくれていた、いちばん大切な人を、最期に幸せにする為だと思っています。

motoさん さんのコメント...

naoさん、
『心の中を覗けば、多分半分は…』のくだり、自分も全く同じ感覚が有ります。その部分だけ三十年前、若しくは二十五年前から凍りついたまま、時が止まった大きな穴ボコが開いているんです。中は真っ暗です。そしてそれが時折今の自分にのしかかってくる、吸い込まれる、押し潰されるという感覚に陥ることが有ります。
実はこの春先が酷い状態でした。3ヶ月掛かりました。
本当にしんどくて、今まで一切したことがなかったのですが、自分の親友と、彼女の一番の友人にそれぞれ個別に洗いざらい、自分が抱えているモノを全部バラしました。
二人とも当然ですが驚いていました。
親友にはお前が自分の弱さを晒すのを初めて見た、と言われました。彼女の友人いわく、彼女もそのてのことを殆どしゃべらなかったそうです。そういう意味ではお互い似たところがあったようです。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
え?西崎の行動は杉下を救い出す事そのものが目的でない、という理解?
それは意外。ちょっとそれ以外の前提を置いていなかった。ちょっと考えますね。

私も桃さんとニュアンスは異なりますが、世間でいう『最後は自分に素直になって』という解釈は違うと取っています。特に母親とのシーンは重きをおいていて、もし母親との和解が無ければ、杉下は成瀬の元にいっていない、と思っているんです。

また、成瀬の元へ行く覚悟も世間での解釈と若干異なります。確かに成瀬の元で彼女は至福を得た、と考えていますが、彼女は相当の覚悟で成瀬の元に行ったとみています。桃さんのように、自分の上昇志向を覆して、とは異なりますが、限られた時間の中で、成瀬の中で自らが幸福として永遠となるという決意をもって成瀬の元にやってきた、と取っています。

nao さんのコメント...

motoさん、
motoさんが抱えていらっしゃることが、少しでも和らいでくれますように・・・。
でも、話せる、そして聞いて下さる方がいてよかったですね。今更ですが、私は今日、甘えてしまったように思います。いろいろ、申し訳ない気持ちでいます。


さて、気分を変えて質問、いいですか?
とっぴなことを言い出しますが、西崎さんが成瀬くんより先に安藤に連絡したのは、西崎さんの性格(行動の特徴)によるものとは考えられませんか?

私は4人の性格を(あくまでも一面ですが)、それぞれ次のように捉えています。
希美ちゃん=とっさの判断で思わぬ行動をとる(さざなみの火事現場での嘘・奈央子の酸素ボンベの栓を締めたこと、スカイローズガーデンで野口さんに計画をばらしたことなど)
成瀬くん=沈着冷静で現実的
安藤=成功する事だけを信じて行動する
そして、西崎さん=場当たり的、思いつきで行動する(希美ちゃんと安藤の沖縄行きの際、一部屋しか予約しないこと、N作戦2においても計画自体がずさんであること、事件当日エレベーターで会った安藤に成瀬くんのことをほのめかしてしまうことなど)
つまり、「杉下は誰の助けも必要としていない」状態でありながら助けてやりたいと思った時、10年経ってもプロポーズするほど希美ちゃんを想っていた安藤に声をかけてみようと思いついた、という考え方です。
論外でしょうか?

motoさん さんのコメント...

naoさん、気にされる必要はないですよ。
甘えるとかではないです。それを言ったら私はどうなります?(笑)
naoさんが抱えた傷が何であるか、あえて問う事もしませんが、それを告白する事を止める事もする気はありません。
リアルな世界ではいろんな制約で例え近しい関係であっても、言えない、相談出来ないという事はある。そんな事は人間一つや二つは必ず抱えている。私だって自分のマリア様の事は伴侶は知りません。ですので春先に私が落ち込んでいた事を彼女は気付いていません。もちろん話せる相手を持つ事は大事な事です。話す事でしか解消出来ない感情があるのは確かなんです。私も友人二人に話せた事で心が軽くなりました。ですが内容によってはリアル世界では吐き出す先を確保できないケースだってあり得ると思うんです。例えば先のご親戚のお子さんのように。
そうであるなら、ここのように擬似的、テンポラリーな仮想空間で支障のない範囲で感情を吐き出すのもありなのではないでしょうか?

前置きが長くなりました。
西崎の思いつき、っていう事ですよね?
それは禁じ手では?ミステリーで偶然と嘘はやってはいかんよ〜(笑)
面白いアイデアではあるけどね?

ただ西崎の性格分析として話に入らせてもらうと、私の印象はちょっと違っていて、基本的には緻密で細かい。ただし実社会の経験が多少乏しいところがあり、詰めが甘いところがある、といった印象です。

桃 さんのコメント...

いえ、西崎さんの行動は、希美を救い出すこと“だけ”が目的ではない、と書いたつもりです。

それも目的ですよ?

しかし、成瀬くんと安藤が、希美がいちばん大事としている中で、西崎さんに同じほどの希美への気持ちがあるとは思っていません。

だから、他のふたりとは違い、希美のためだけの行動を、西崎さんは取らなくてもおかしくないと思っています。

そういう意味で、安藤のことも考え、成瀬くんのことも考え、その上での行動だったと捉えています。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
たしかに西崎のNは杉下ではないです。でも出所後の最大の関心事項は杉下の事だと思うんですよ。
彼は事件で自分のエゴから、杉下に一生の秘密を押し付けてしまった。だから彼の『ありがとう』は『ごめんなさい』と同義ですよね。
この部分で西崎の中で他の二人と重みが決定的に異なる。
安藤の事は赦しはしたけど、安藤と杉下を同列では扱えない。安藤を杉下と同列に扱うのはあくまで彼が杉下の救いと成る場合に限られると思うんです。西崎にとっては、世話にはなったけど安藤個人はあくまで過去の友人以上には戻れないし、杉下の事以外で今後接点が出来る関係でもないと思います。

成瀬にしても同じです。彼との接点はあくまで杉下を通じてです。安藤以上の信頼はしていても成瀬との間に友人としての関係性がある訳ではない。そうであれば西崎が杉下の事を考える際に、安藤、もしくは成瀬の事を西崎が積極的に『配慮』する、とは考え難いです。
勿論彼らの選択が西崎が期待したものと異なったとしても、それは致し方ない、と西崎も考えると思いますが。

motoさん さんのコメント...

先に書いておいて、なんですが、桃さんの言われる、『安藤の事も考えて』という意味が、もし『杉下を救う能力のない安藤に、彼の生活を変える事になる杉下の情報を与えない方がいい』という意味の配慮の事であるなら、それは同意です。同じ意味で杉下の『関わらせたくない』という意向に沿うという意味にもなります。そういうニュアンスとしての配慮は判ります。

motoさん さんのコメント...

桃さん、

成瀬の杉下への感情についてですが、桃さんはさざなみの杉下の感情の類推から成瀬も同様に反応するだろう、と類推されているようですが、私は条件が異なると見ています。

さざなみにおける杉下は、成瀬との間で『大事な場所を燃やしてしまえば誰にも取られない』という感情を共有し、且つ彼が自分を救うために代理放火した、そして自分が成瀬の行為により救われた、という思いがあっての反応です。

では、スカイローズガーデンにおける成瀬には上記と同様と言える前提はあったでしょうか?
価値観の共有、自分への相手の行為と、それによる救われ感。
それは無かったのでは?

ですので、前提の異なる状況の杉下の心理反応の様相を適用して成瀬の心理を類推するのはミスを犯すように思うのです。

motoさん さんのコメント...

成瀬の杉下への感情についてですが、これまで反発が強かろうと、実は言葉を選んでいましたが、ここら辺りでダイレクトに表現しますね。恐らく皆さんには受け入れ難い暴論です。

成瀬が事件時、より具体的には手繋ぎの際、杉下に抱いていた感情は怒りです。

これは実は自分の経験からの推測です。そして偽証が成立するためには必要な事だった、というのが今の評価です。

凄く抽象度を上げて(つまりは大雑把に)言うと、成瀬が杉下のN=安藤と誤解した状況は私がマリア様に『もう昔の事』と言われた時と、殊二人の関係のプロセスとして酷似しているんです。

好きな相手から突き放された(棚田での別れ、恥ずかしいという名のシカト)
それでも相手がよすがだった(ヤミ落ちからの復帰、マリア様化)
関係の再開を期待しての再会
そして相手の気持ちが別にある事を突きつけられた

私はこの状況下で、ご存知の通り壊れました。ボロボロになりました。でも成瀬は成らなかった。

成瀬は非常に辛かったハズです。同様なプロセスを経た自分にはよくわかります。では彼が私と同じ状態に陥らなかったのは何故?
私が彼同様に、落ち着いている為には何が必要だったかと考えると、それは怒りだったと思うのです。ショックがデカければデカイ程、瓦解しそうな自分を支え得る感情は怒りです。

そして成瀬には怒りを抱いていい状況がありました。
密室を作った安藤。その為死亡者二人と、無実の罪を被る決意の西崎。杉下のために崩れそうなつり橋を渡った自分…
それなのに自分の最愛の、恋い焦がれる人がそれを作り出した張本人を庇うなどという状況。
安藤に対する怒り、杉下へ向かう怒り、そして自分自身に向けられる怒り。

そしてその怒りは偽証の為には必要だったのです。
もし成瀬が怒りで、瓦解しそうな自分を支えられなかったとしたら?私のようにボロボロになっていたら?
偽証は通らず、全ての関係者が誰も利を得られない状況に陥るんです。最後の最後、偽証を通したのは成瀬の怒りです。

桃 さんのコメント...

まず、西崎さんの選択した行動について。

西崎さんはどのような気持ちで10年を過ごしたのでしょうか。

希美に対してだけ、強い罪悪感を抱いていたとは思っていません。

確かに無理心中の一部始終をその目で見たのは希美だけですが、だからといって希美だけが西崎さんのエゴによる被害者なのか?

といえば、そうではないと思うのです。

希美は重たすぎる秘密を背負い、成瀬くんとの未来を失った。

同様に、成瀬くんのことも巻き込んでしまった自覚が、西崎さんにはあったと思います。

ふたりが接触を断つ原因が、自分のエゴによる偽証であると、理解していたと思うのです。

そして安藤にもまた、辛い現実を背負わせた自覚もあったと思います。

希美がふたりと接触していない。
それはつまり、成瀬くんも安藤も、希美との未来を失った、ということですから。

安藤に対しては、社内の風当たり、あらぬ噂など含め、上司である野口さんが被害者であるにも拘らず、加害者である西崎さんを公然と支援しているわけですから、その行動に対する感謝もあったと思います。

そういった点から、ふたりに対して希美よりも罪悪感が異なる、重みが違う、とは捉えていません。

また、西崎さんが安藤を嫌った、という解釈を私はしていないので、安藤のことを考え、病のことを話してみても良いかも、と思ったが、安藤と希美、双方のことを考えた結果、安藤には話さなかった、と捉えています。

それは、最後のsillyのシーン、
『間違ってないよ、3人でやったんだ』
『ふたりが友達で良かったね』

この会話の西崎さんの柔らかい表情から、そう受け止めています。

西崎さんは、ひとり死と向き合う希美をほっておけなかった。

しかし、死ぬ前に希美を、本当の意味で救い出すのに必要なのは、

私は成瀬くんでも安藤でもないと思っています。

希美のことだけを考えたのならば、西崎さんは希美の父親を、たとえ興信所を使ってでも探し出したと思います。

希美の意向に沿うかどうかを、全く考えないのであれば、西崎さんが連絡を取り希美の病を知らせるべき相手は…

私は希美の家族。両親と弟だと思うのです。


それは、希美のトラウマの原因を知り、自らもまた母親からのトラウマに苦しみ続けた西崎さんになら、手に取るようにわかっていたはず。

そして、そのトラウマの相手が存命なら尚のことです。

西崎さん自身は、相手が存命でない為、叶わなかったわけですから。


しかし、その選択は最初からなかったように思える。

それは、希美のことを考えたが、同時に希美を愛するふたりのことを考えての行動だったからこそだと、私は捉えています。


先にも書きましたが、希美を救えた人間は、希美を救ったように見えて実は希美に救われているのです。

moto様であれば、よくご理解いただけるのではありませんか?


あのラストシーンで、本当に救われたのは、希美ではなく成瀬くんの方なのです。


ひとつ、お尋ねし辛いことを聞きますが…

もしマリア様が希美であったならば、共通のご友人に、マリア様の病について教えてほしいと思われますか?
知らないまま、この世からいなくなってから、その事実を聞く方が良いですか?

おそらくご友人は悩まれると思いますが、どちらを選択なさると思われますか?

motoさん さんのコメント...

桃さん、
全体でなく、ご質問頂いている部分だけについてひとまずレスします。

今の私と、今の彼女ということを前提にしてですが、
私は連絡を貰えることを望むでしょう。
ですが、私の友人(彼女の一番の友人を想定しています)は私には連絡をしないでしょう。

もしその友人が予想した通りの対応をしたとしても、それを私は責めることはできません。

ぞして仮に連絡を貰ったとして自分がどう行動するかですが、恐らく行動できないでしょう。
彼女には彼女の歴史があり、自分には自分の歴史がある。
その歴史に相応しい、そこに寄り添うべき人が存在するからです。
そこに割って入るのは彼女の歴史に対する冒涜です。
私にはそのような行為を怖くて出来ないでしょう。

桃 さんのコメント...

nao様の言われていること、よくよくわかります。
私の場合、恋愛面において多大な影響を受けたので、そもそも、男性を信用しておりません(笑)
コレを言ってしまうと、身も蓋もないのですが。
男性に限ったことではないですね。人間を信用していないのです。
親だから信頼できるとも思っていませんし、兄弟だから、祖父母だから、配偶者だから、親友だから…どれも無条件に信頼できる人間関係とは思っていないのです。

恋をしたことがなかったか、と言われれば違います。しかし、進展したいとは思えなかったし、いつか裏切られるかもと思うと、信じて傷つくのは嫌で、信頼していなければ、思う結果とならなくても、ほら、やっぱりね、で済むのです。
だから、周りには期待しない。
人の気持ちなんていう不確かなものを信じる、なんてできないのです。

相手に限ったことではありません。
自分の気持ちだって生涯変わらないなんて自信もないのです。

そんな私が唯一決めていたことは、自立できるまで結婚しない。
自立できるまで、子供を持たない。
子供を持ったからこそ、自立していなくてはならない。

半ば脅迫観念にも似たこの誓いが、私には希美の演説とリンクしてしまった。

奨学金で進学。アルバイト漬けの生活。成績も維持しなければならず、周りとの確かな温度差。

現在でも変わっていません。
夫婦だけど対等。
同じだけ働き、同じだけ稼ぎ、同じだけ育児をする。
経済的依存はしない。

頑なまでに自立の誓いを守り、他の何を捨てても仕事をしてきて。
得たものは何だったのか。役職か収入か、周りからの信頼か。
得たものの代わりに失ったものも、切り捨てたものもある。

でも、本当に欲しかったものはそんなものではなく、真逆な願望があるのです。
それに気付けたのも最近です。
30歳を回ってからでした。

本当は、守られたかった。
誰かに守られる安心の中で、生きたかった。

本当に欲しいと望むものは、札束を積んでも大金をはたいても、手に入らない。

深層心理の奥深くで求め続けていたものは…

“どんな自分でも愛してくれる存在”
“失敗しても、許される”
“至らない私でも受け入れられる”

ワガママも、言える。

もらえなかった愛情を、自覚もないままに相手に求めていたのかもしれません。
だから、いつも歳上に惹かれたのでしょう。
無条件に自分を甘やかしてくれる存在として。

大抵の人は、それを親から与えられ、成長過程でダメな自分をも認められるという自己肯定を手にするのだと思います。
私の場合は、ダメな自分ではダメだ、という自己否定感が半端ないので、頑張っている自分しか認められないのです。

真面目だとここでも言っていただきましたが、頑張らないことは、ダメなことだ。結果を出さなければ。
もっともっと。上に行く。上目指す。
その先にあるのが何なのか。

希美は余命という人生の期限を突きつけられ、初めて本当は出口がすぐそこにあったことに気付いた。
私は何を失えば気付くことができるのか。

moto様は、希美に微笑みかけてもらえる成瀬くんを羨ましいと思い、私はどんな生き方をしても何をしても、成瀬くんに愛された希美を羨ましく思うのです。

この思いが、成瀬くんはいつ何時も希美への想いを抱いていた、という願望に近い思いなのかもしれません。
そうであってほしいと願ってやまないこの気持ちが、現在の解釈を生んでいるのかもしれません。

桃 さんのコメント...
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motoさん さんのコメント...

桃さん、
私はリアルの世界で桃さんの側にいたなら確実になまっちょろい、と烙印を押されるであろう男です。
ですが、自分のサイトで、リアル世界では恐らく見せることのないであろう告白、苦しみの表明をされる方を黙ってやり過ごすことが出来ません。

桃さんは何を失えば気付くことが出来るのか?と仰いますが、すでに気がつかれているんですよ。桃さんが今いる場所が、コンフォートな場所でないという事に。

アドバイスなんて出来ません。あなたの考え方を矯正する事も、当然助けてあげるなんていう事も。出来るのは、桃さんがここでなら話してもいいかな?と思えい続ける事が出来る場でありつつ出る事。

Sexやジェンダー、思い通りならない事も沢山あるだろうけれども、でも自分がコンフォートである事が一番ですよ。自分が努力する事も含めて。

桃さんは、自分が努力する事が楽しいですか?それともしんどいですか?もししんどいのであれば、ちょっとペースを緩めて見てもいいのかもしれません。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
安藤の事、考えようとしました。ですがうまくいきません。

正直にいいます。私は安藤が嫌いです。おそらく好き、嫌いというレベルではなく、毛嫌いという感覚です。はっきりいえば、このドラマに出ているどんなキャラクターより嫌いです。杉下の父親より下です

どう考えても安藤の密室を作るという行為を私自身が許せないのです。

どうもみなさんとこのあたりの感覚が違うようです。

自分に密室に対する何かトラウマがあるわけではありません。何か経験がある訳でもない。
彼が鍵を掛けた理由は解ります。その時の心理も解る。でも彼の行為に酌量出来るものは感じない。

だから桃さんの、西崎が安藤の事も考えて、という部分が実は解らない。だから成瀬が勘違いした杉下のN=安藤に対する成瀬の反応で、身を引く、という感覚が解らない。

密室に対する反応として、自分の感覚が必ずしも当たり前ではない、というのがこのドラマの反応を見ていて解りました。

nao さんのコメント...

桃様

桃様ご自身のことを話して下さったコメント、心にしみました。

成瀬くんという存在は、女性の願い(もしかしたら、わがままや欲望と言い換えてもよい気持ち)の結晶なのかもしれません。
どんな自分でも大切にしてくれる
生き方を肯定し、見守り応援してくれる
そして、苦しい時は全力で助けてくれる

だからと言って、人として完璧なわけではない。
闇に落ちてしまう危うい弱さも、一歩踏み出せないもどかしい面も併せ持っている。
けれども、それを自覚し、成長しようと努力することが出来る。
そんな両面を持っているからこそ、心から信頼できるのだと思います。

絶対的な信頼を寄せていいはずの親を喪失し、高校生にして精神的にも(子どもになってしまった母親との同居・弟を本土の高校に逃がすなど)経済的にも一家を背負わなくてはならなくなった希美ちゃんには、生身の男性よりも、帰れるふるさとのような包容力を持つ人が必要だったのではないでしょうか。
最期まで一緒にいてくれる人・・・希美ちゃんの願いが叶った美しいラストシーンが共感を呼んだのは、同時に多くの人の希望も叶えていたから、という気がしました。

さて、希美ちゃんや西崎さんにとって安藤はどういう位置づけの存在だったか、についてのお答えです。

以前CafeでSillyの歌詞が話題になった時、「何かを求め、確かめたくて、今日を生きてる」の後のバックコーラスが「another life」であることを紹介させていただきました。
私は、希美ちゃんにとっての安藤は正に「another life」だと捉えています。
自分自身はたどれなかったけれど、こんなふうに生きてみたかった、つまり、誰にも邪魔されずに行きたいところに行ける人生を歩める人。
だからこそ、その人生を守ろうとした。
けれども、anotherである以上、共に歩くことは出来ない。人は二つの道を同時に歩むことは出来ないのだから。二人は、同じ人間(だから、のぞみという同じ名前を持つ)が別世界で生きた時の姿なのだと思っています。

西崎さんにとって安藤は現実世界の象徴。殊に同性であることから、トラウマに苦しむこともなく日の当たる道を胸をはって生きる姿が、時には憧れであり、時には焦燥感を呼び起こす存在だったと考えています。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
西崎が安藤のことをどう思ったのかについてのみ絞って考えます。
彼にある基本的感情は安藤が訪ねて来た際の『君とは関わる気はない』だと思うんです。

状況を作り出したのは安藤です。そして悲劇が不可避となった。
西崎にとっては奈央子の喪失です。彼女が犯人としての。
作戦参加者の三人には、動機こそそれぞれですが、自分以外の理由を持って作戦に挑んだ。ですが安藤の行為は、自分以外の理由(動機)を見出せない。しかもそれが密室を作り出すという行為です。明らかに故意であり、これが通常の刑事裁判であれば西崎は十分情状酌量を得られます。そして安藤は少なくとも刑事訴訟の検討対象です。
同じ密室を杉下の母も作りました。でも彼女にはまだ同情できる部分がある。安藤には同情できる部分はあるでしょうか?
仮に悲劇が回避されたとしても、中に閉じ込められた4人と鍵を開けたであろう成瀬は安藤をどう思うでしょう?仮に鍵を開けたのが成瀬でなく安藤として、安藤は野口宅に入れてもらえたでしょうか?否です。再び杉下の部屋で三人で鍋を囲むでしょうか?否です。この手の行為は、結果が相手の心象を決めるものではないです。行為そのものが心象の判断対象です。そして今回の行為は最悪の結果を伴っている。

西崎には事件処理の際、安藤への配慮はありません。安藤はあくまで手段です。そして西崎にとっての安藤の評価は?
西崎は安藤を拒絶していますよね。当然の反応だと思います。
安藤がどれだけ安藤を支援しようと、奈央子は帰ってこないし、西崎の10年が無しになる訳でもない。西崎には殺人者という烙印が付いて回る。
確かに自ら西崎は犯人になった。それは自分の大事を守りたいから。それについては彼は納得している。ですが、その彼の納得と、密室を作った安藤への評価は、たとえ安藤がどれだけ西崎を支援しようが別物です。
時間経過と状況の変化が、西崎に安藤を赦すという心理変化を導きました。でも赦すという心理変化と安藤を慮る心理変化とは等価ではないでしょう。
ですから、私には西崎が安藤をテストしたのは、あくまで杉下を救うための手段としての安藤を確かめた、という見方になるんです。
西崎にとって安藤は確かに羨望の対象でした。歪んだ自分との対比、アンチテーゼの存在として。ですが自分の大事を奪った彼が自分の感情を脇においてまで慮るべき存在であったかと考えると、それは違うと感じます。

motoさん さんのコメント...

桃さん、
12日に頂いたコメントの意味、漸く理解出来ました。自分の事ながら、取り違えてました。

>希美を救えた人間は、希美を救ったように見えて実は希美に救われているのです。
>moto様であれば、よくご理解いただけるのではありませんか?

そうですね。成瀬は杉下が自らの元に還る事で、救われた。
もし杉下が成瀬の元に還れなかった際には、ある意味杉下以上の苦しみに陥る処だった。
それは自分の経験から解る。確実に彼は一生の苦しみに陥っていた。私にはまだ可能性があるけれども、彼にはその可能性さえ存在しない状態に陥る処だった。

桃さんの言われるのは、そういう意味なんですね。やっと意味が掴めました。

アフロ1 さんのコメント...

すみません。謎解きとは関係ないです。どこにコメント入れるか悩みましたが、ココかなと思いお邪魔しました。

人の気持ちを斟酌し私なりに共鳴したつもりでいても、人それぞれで抱える闇も思考も生き方も様々だから、もどかしい気持ちでいっぱいです…。

私の場合、その遠い記憶のトラウマ・コンプレックスに対して向き合わずに赦しています。以前(Cafe前身で)、歪みについてやり取りした自分のコメントですが…

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私の過去記憶を遡れば、閉じ込めた記憶、それに対してmotoさんのおっしゃる 『自分の意識を一度、自分から引っぺがして観察してみた経験』はありません。自分が可哀相だったと思いたくない自己防衛、逃避だと思います。
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…私はこれなんです。記憶を直視する事は出来ずに遠ざけ、どこかで赦す事で日々を安穏に過ごそう、笑って過ごせると思ってたと思います(今もですが) 。
そう考えると、私は希美ちゃんや桃さんの様な強さはないのかもしれません。そもそもの要因(トラウマ)も違います。そんな私が助言出来る立場でもない事も分かってます。
でもね…。桃さんの〈2015年9月12日 23:00
〉コメントを読んでやりきれなく心憂い気持ちとなり、私のつぶやきとして軽く読んでみてください。

「人を信用してない」桃さん、それに至ってしまった桃さんの悲しみ、苦悩、葛藤、絶望…は想像の出来ないくらいの辛く堪えがたいものだったと思います。桃さんの見つけた信念が、希美ちゃん同様の『一人で生きていく』決意。結婚してもなお、(人間)不信は拭えていない桃さんなのよね。
…でもね、桃さん。もう、そんなに頑張らないで楽にしていいよ。長い間、頑張る事(自立する)で心の平衡を保ってた桃さんにとっては、その信念を覆す事自体が簡単なものではないし、その信念を捨てるのはこれまでの自分の生き方を否定するように思うかも知れない。でも、違うと思う。私に比べたら全然立派だし、それは私以外の誰もが思うはずだよ。誰も真似出来ないし、もう充分頑張ったよ。だから、次の(更にその先の)生き方として『不真面目に生きてみる』に切り替えてみてはどう?桃さんの性格からして出来るはずないけど、気持ちとしてね・・。

どんな桃さんでも我が子は愛してくれる。桃さんを必要としてくれている。そこから、桃さんの頑なな心が和らぐといいなぁと思ってます。旦那様はどんな桃さんでも変わらないでいてくれる存在かどうか、そこは分からないけど。どんな桃さんでも受け止めてくれる人は出会えると思うし、今の旦那様なのかも知れない。安心して、もう少し楽に生きてほしいなと思ってます。ここのブログにやって来た同胞として桃さんの事が大好きだから…。

でもネット上での私が何を言っても響かないよね。だから、私のつぶやき・・気を悪くしたなら、本当にごめんなさい。お節介や気遣いが返ってプレッシャーとなり辛い思いを増幅させかねない事を私も不妊時代に経験してます。なのでスルーで構わないです。ごめんね。

ただ桃さんもCafeでは、一緒にくだけん?
たまにアホのお付き合い、お願いします(笑)
それと、こうせん?
“〇〇様”は禁止。
“〇〇さん”でええよ(笑)

motoさん さんのコメント...

ああ、ごめんなさい!!!

操作ミスで桃さんのコメント、削除してもうた!!!

本当にごめんなさい!

このブログのシステム、コメントの削除に確認してこないんで、触ったら戻せんのよ!

本当にゴメン!!!!!!なさい。

motoさん さんのコメント...

削除してしまった桃さんのコメント、監視メールから復元しますね!

桃さん、本当にゴメンなさい!!


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2015年9月12日土曜日、桃さんは書きました:
桃 さんが投稿「成瀬は杉下のN=安藤と誤解した? その4」にコメントを書き込みました。

連投すみません。

かつて公式では、土下座までして野口さんに懇願した希美の想い人が、安藤でないはずがない、という意見が散見されました。

土下座。

自分の自尊心をかなぐり捨てて懇願する、惨めな姿を晒してまでも…というのが世間一般の認識であり、決して肯定的なものではないのでしょう。

しかし、私は土下座程度のものは、ただのパフォーマンスと思っております。

父親に土下座をして進学費用の約束を取り付けた時の、愛人を見下ろす表情。
野口に作戦を告げた時の不敵な笑み。

希美にとって土下座はパフォーマンス。
戦略にすぎないと思います。

どんな手を使ってでも。あの演説の通り。

ですから、安藤=弟や子供のような存在、という感覚とも、私は少し違うのです。

皆様は、希美にとって安藤はどのような存在だと捉えられていますか?

少なくとも輝かしい将来を守りたいほどの存在ではあったはずですし、安藤はズルいことしないもん…ある種の信頼もある。
ゴンドラに乗せてくれて、トラウマのひとつである冷蔵庫を満たすことからは解放された。
安藤も一緒にしようよ、ビ・ル・そ・う・じ‼︎
誘っておきながら、N作戦の段階で安藤はもう関わらない方が良い、と野口と安藤の関係を気遣っている。

希美は確かに、安藤のため、とも言える行動を、全編通していくつか取っています。

しかし、成瀬くんと安藤との決定的な違いは、相手への配慮だと思うのです。

奨学金を譲ってもらい進学したにも関わらず中退してしまったことを、ずっと気に病み、再会時に謝る成瀬くんと、10年後の再会で、事件のことは忘れよう、もう良いんじゃないかな、と言ってしまう安藤。

うまく表現できませんが、安藤は最初から最後まで、外の人間として描かれている故、中の3人とは気持ちが全く違う。

では、西崎さんや希美にとって、どういう位置付けの存在だったのでしょうか。



投稿者: 桃 、ブログ名: Nのために 論考、日付: 2015年9月12日 23:31