『大事な人がひどい目にあってて、いてもたってもいられない気持ちはわかる。だから協力する』
これを杉下はどう取っていたのでしょう。
公式サイトのメッセージでも、ここの解釈については定まった見方は出来ていませんでした。
このメールは直接的には以下の意味に成ります。原文に補足します。
『(西崎にとって)大事な人(=奈央子)がひどい目にあってて、(西崎が)いてもたってもいられない気持ちは(成瀬が)わかる。だから(西崎に)協力する』
ここで問題にしたいのは〝なぜ(成瀬が)わかる〟と杉下が取ったか、です。
ここの視聴者側の取り方で、その後の杉下の行動理由の取り方が変わってきてしまうからです。
一つの見方は成瀬が自らの島での経験から、〝わかる〟と言っている、と取るケース。
それはつまり杉下を慮って、杉下が火を付けようとしたのを止めた上に、杉下が火を付けようとした心理さえ理解した上で、代理放火までしようとした成瀬の行動。さらには、勘違いですがさざなみに成瀬が火を付けたのも、この時の延長上にあると杉下は思っている。
この経験を指している、と杉下が取るケース。
二つ目は、成瀬にとって今現在杉下の他に大事な人がいて、もしその人がひどい目にあっているとすれば、成瀬も西崎と同じ気持ちに苛まれるだろう、という予測を成瀬が言っている、と取るケース。つまり成瀬の気持ちの誤解ですね。これは公式サイトのファンメッセージでも一部出ていた見解です。これは野口宅を出た後の橋の上での安藤との会話で、成瀬と『付き合ってない』と否定したり、安藤の気持ちを配慮した上での無人島で『一人は寂しい』という会話、及び杉下が心を開いている男の右側に立つ癖から安藤への気持ちを自ら意識し直した、という見解から出てくる解釈です。実はこの橋のシーンは、最初に成瀬が野ばら荘を訪れた際駅まで送ったシーンと対になってるんですね。この時も橋の上での会話で杉下は成瀬の左に立ってるんです。この立ち位置の対称がこの見解に一定の説得力を与えている。
あと一つ、ごく一般的な例として、という取り方は不可能ではありませんが、成瀬自身が一度断っているのを考え直しての申し入れであるので、これは考えなくともいいと思います。
私の見解は成瀬が自らの島での経験から、〝わかる〟と言っている、と取っている、というものです。
成瀬は杉下にしきりにメッセージを伝えています。
西崎の『崩れ落ちそうな橋』の質問に対する答え、『呼ばれれば渡る』。成瀬はかつて、杉下が追われた家を放火しようとした際、それを止め、代理放火までしようとしました。そして杉下はさざなみの火事も成瀬がその延長で行った放火だと思っている。そこへ改めて『呼ばれれば渡る』という成瀬の自分に対する気持ちを理解した筈です。
その前段が有っての『気持ちはわかる。だから協力する』メールですから、杉下には成瀬が『分かる』理由も上記の放火事件を踏まえている事も理解できますし、その上で成瀬が協力を申し出るのも、表面上は西崎への協力表明ですが、実際は自分が関与しているからであり、杉下への協力である、という事も理解出来るのです。