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2024年1月16日火曜日

ドラマ:スカイローズガーデンを読み解く入り口

謎解きの入り口としての鳥瞰カットの内、2つ(西崎との会話後の成瀬の後ろ姿、杉下の成瀬からの電話を出た際の立ち姿)からスカイローズガーデンを紐解く入り口を与えてくれています。

  • 成瀬と杉下が距離を取る事になった理由
  • 杉下のN=成瀬である事の理由

成瀬と杉下が距離を取る事になった理由

これは成瀬が西崎に話したはずの内容です。成瀬と杉下の間にこの事件の後に接触がない事から、理由はスカイローズガーデンの中にあります。これは成瀬が西崎に語った内容ですので、端的に言えば、成瀬から見てスカイローズガーデンでの杉下の行動がどう見えたのか?がポイントになります。

成瀬には杉下が安藤を庇っているように見えた

西崎が警察に犯人が自分である事を自供し、杉下は成瀬に「外からドアチェーンが掛かっとった事、警察には言わんで」と依頼しています。これが成瀬には杉下が安藤を庇っていると見えたのです。

成瀬には過去に似た経験があります。島時代、初めて杉下の買い出しに付き合い、幽霊屋敷を訪れた際に早苗の壊れっぷりを見た後に二人で東屋へ立ち寄ります。そこへ高野が訪れ杉下に大丈夫か、と問いかけがありました。この時杉下は成瀬に『母親の事は黙っていてほしい』旨を頼んでいます。

成瀬は、ドアチェーンを安藤が掛けた事を認識しています。この島での経験から成瀬にはドアチェーンの隠蔽の依頼する杉下は安藤を庇おうとしている、と見えたのです。

また、この見え方を補強してしまった事前情報がありました。安藤がこの食事会で杉下にプロポーズしようとしている、というシャルティ・広田でシェフから聴いた情報です。少なくとも成瀬には安藤は杉下と恋仲なのか?と考えさせられる情報を持っていた事が、杉下が安藤を庇っていると見えた要因ともなっています。

成瀬には安藤は許しがたい存在

成瀬はこのドラマでは性格的には『普通』な存在として描かれています。自身の父親がさざなみ炎上の放火犯であると疑っていた彼は、杉下の勘違いを訂正できずにいました。

また、その父親が亡くなった事から自暴自棄に陥り、詐欺まがいの事までしてしまった。決して強靭でも聖人君子でもない普通の青年なのです。

そのような成瀬から見たとき、結果野口夫妻が亡くなり、西崎が奈央子を庇う為に無実の罪を被る決意をし、自分も杉下も偽証するという危険な橋を渡る事になる状況を、鍵を掛ける事で作り出した安藤は許しがたい存在です。

成瀬にとっては安藤を庇うようにみえる杉下も許しがたい存在

そんな成瀬には、安藤を庇うように見える杉下の行動は驚きであり、またそのような行動をする杉下は安藤同様に許しがたい存在であるのです。

事実成瀬は、杉下の依頼に対して目を見開いて彼女を凝視し、警察と部屋を出ていく安藤に視線を送り、再び杉下を凝視しました。その後杉下の手を取り、杉下が部屋を出るのを見送りますが、彼の視線は一貫して冷めたものであり、杉下の背中に向けられたそれは、敵意さへ感じられるほどのものです。

そこには、それまでの杉下を護ろうとする意思、彼女をいたわる感情が全く見られません。

血濡れの手繋ぎは成瀬からの杉下への決別宣言

そのような状況下、成瀬は杉下の手を取ります。杉下は成瀬に視線を送りますが、成瀬は杉下へ視線を送りません。

この手繋ぎは、先の成瀬の杉下への視線、安藤についての成瀬の反応、事件の後10年間成瀬と杉下に接点がない点を考えると、この行為は成瀬から杉下への、決別の意思表示と考えるべきです。

成瀬が西崎に話した事

成瀬と西崎の電話において、西崎は成瀬に何故二人に距離が出来てしまったのか?を問うたでしょう。成瀬は以下の点を西崎に話したはずです。

  • 『杉下からドアチェーンが掛かっていた事を警察に話さないよう頼まれた』
  • 『それは杉下が安藤を庇う意図と理解した』
  • 『安藤は許されざる存在。その安藤を庇う杉下を嫌悪した』

杉下のN=成瀬である事の理由

これは西崎と成瀬との会話において、西崎が成瀬を説得する事を意図し、成瀬に話したはずの内容です。これが説得の決め手となり、成瀬は翌朝、杉下を訪ねます。二人の会話の内容・流れを推測するならば、順番的には先に成瀬が、杉下と自分が距離を取る事になった事情を西崎に話した内容のカウンターとして西崎が話した事項になります。

まず西崎は、成瀬がと杉下の距離を取った理由に対する、彼の誤解を解く

ここでの成瀬の誤解とは杉下が成瀬にドアチェーンの隠蔽を依頼した真意です。西崎は『安藤を庇う』事とは別に存在する、杉下がそうする必要性を成瀬に説明する事になります。

西崎にはドアチェーンの隠蔽の意図が判る

杉下が成瀬にドアチェーンの隠蔽を依頼した事実は西崎は知りません。その時既に彼は警察に導かれ、部屋を退いているからです。しかし西崎は杉下が成瀬にドアチェーンの隠蔽を依頼した真意が判ります。何故なら、西崎自身がドアチェーンについて、警察には話をしていないからです。

当然西崎は安藤がドアチェーンを掛けた事を判っています。西崎は後に入室した安藤に向かって「逃げられなかった」と彼の行為を責め、また出所後西崎を訪ねてきた安藤に対して冷たい対応をしています。西崎の対応には、安藤を庇う意図は見られません。しかしドアチェーンについては杉下と同じ行動を取っているのです。

三人の謀議内容

成瀬が入室した後に3人による謀議の内容は以下のものです。

西崎:「作戦は失敗だ。警察に通報してくれ。警察には作戦の事は黙っておこう。俺が一人で奈央子を連れ出すつもりだった」

杉下:「でも」

成瀬モノローグ:(どうして、今自分がここにいるのか解った。4年前杉下は何も聴かず俺を庇ってくれた。今度は俺の番だ)

成瀬:「大丈夫。全部偶然だ、って言えばいい」

西崎:「ああ」

成瀬:「杉下と俺はなんも知らんかった、今日会ったのも偶然。(杉下に)それでいいね」

(頷く西崎、西崎が自分に向ける笑顔に膝まづく杉下)

つまり、3人の謀議のポイントは以下の通りです

  • 西崎単独計画・単独実行
  • 3人が現場に居合わせたのは偶然

3人の謀議を覆しうる存在

しかし、この3人の謀議を覆しうる人物が存在しています。それが安藤です。

  • 杉下へ電話した際、部屋に『男性のお客さん』が訪ねてきている事を知っている(7話)
  • 蟹を杉下の部屋へ届けた際、西崎の話から西崎と杉下及び『杉下の友人』が食事をしていた事を知っている(8話)
  • 冷蔵庫内にシャルティエ・広田のケーキが在るのを確認している(8話)(そして安藤がその光景=『シャルティエ・広田のケーキが冷蔵庫内にある事』を見ている事を杉下は認識している)
  • 安藤と杉下の会話で、野口宅でのパーティがシャルティエ・広田の出張サービスによるものである事を安藤は知っており、杉下が同級生が働いており、その同級生が特別にクリスマスイブにキャンセルが出た事を教えてもらった事を安藤に話している。また安藤はその同級生が杉下の部屋を訪ねてきた『お客さん』である事に気付いており、杉下も同意している(8話)
  • 安藤と西崎がスカイローズガーデンのエレベーターで鉢合わせした際、西崎に『杉下の同級生の関わり』を問い、「3人そろって偶然な訳ないだろ。何考えてる?」と3人による何がしかの計画に気付いている(10話)

つまり、これらの事実を安藤が警察に証言した場合、上記の3人の謀議は簡単にひっくり返るのです。

杉下の成瀬へのドアチェーンの隠蔽依頼は安藤の口封じ

西崎及び杉下は安藤が謀議内容をひっくり返しうる存在である事は判っていました。そして、3人(西崎、杉下、成瀬)がドアチェーンに言及しなければ、西崎と杉下には安藤は自らドアチェーンを掛けた事は証言しないだろう、と推測したと思われます。

ドアチェーンは野口夫妻の死亡の間接的な原因であり、故に自ら進んでドアチェーンを掛けた事は安藤は証言しないだろう、との判断です。人間は自らに都合が悪い事象については口を紡ぎがちとなりますから、この推測は妥当と思われます。

しかし、成瀬は安藤が謀議をひっくり返し得る存在であるという事を知りません。上記の諸点はいずれも成瀬が認識しえない場所で展開されています。ですから杉下は成瀬にドアチェーンには触れる事がないよう、成瀬に依頼したのです。

ですので、西崎も成瀬に対して杉下のドアチェーンの隠蔽依頼の意図を『安藤の口封じ』が目的であった事を説明したと考えられます

西崎からみて杉下の行動が誰を護るためのものであったのか?

西崎が成瀬に対して、杉下のN=成瀬である、と成瀬に説明するには、西崎自身が見聞きしている杉下に関する情報から説明する必要があります。

  • 西崎との会話で杉下は『究極の愛』の概念を持っており、それが『罪の共有』である事も西崎は聞いている(4話)
  • 早苗が杉下を訪ねてきた際、西崎に匿われた杉下は彼女の『罪の共有』相手に対して感情を駄々洩れさせた(5話)
  • 奈央子救出作戦に成瀬が加わる事を報告した杉下に西崎は成瀬が杉下の『罪の共有』相手であるかを問い、杉下もそれを否定しなかった(8話)
  • 成瀬が杉下の部屋を訪ねてきた際、杉下が非常に成瀬に気を配っている事を見ている(7、8話)
  • 杉下が複数回に渡り、自分と成瀬が共同で事に対処するという趣旨の発言をしており、西崎はそれを聞いている(8話)
    • 「そしたら私が体当たりして成瀬君を助けるよ」
    • 「後の事は私と成瀬君がなんとかするから…」
    • 「なにかあっても、私と成瀬君がついているから」

つまり西崎は成瀬に以下の点を話したはずです。

  1. 成瀬は杉下の『究極の愛』の概念を生んだ相手
  2. 彼女にとって成瀬は『罪の共有』をさせるに至った事件を抱えるにいたった特別な存在
  3. 疎遠であった間も彼女が成瀬に強烈な感情を有していた事
  4. 奈央子救出作戦を契機に杉下が成瀬との関係を再開させようとしていた

決定的な証拠は杉下が謀議を受け入れたタイミング

野口を殴打した奈央子から、西崎と杉下は退去を求められます。西崎は既にドアチェーンが掛かっている事を知っていたため動きませんでしたが、杉下は玄関へ向かいました。そこでドアチェーンが掛かっており、脱出不可能である事を知ります。

奈央子が自殺をし、西崎が偽装工作をしつつ、杉下に偽証を求めます

  • 「野口を殴ったのはおれだ、奈央子を刺した野口を俺が殺した」
  • 「何も見なかった事にしてくれ」
  • 「愛はないかもしれないが、罪を共有してくれ」

しかし杉下はこの西崎の要求に対して杉下はこれを拒否します

  • 「なんでそんな嘘つかなきゃならないの。西崎さんが罪を被る事はないでしょう」
  • 「そんな嘘、つきとおせる自信ない」
  • 「そんなの、出来ないよ」

しかし、その後成瀬が入室し、成瀬が3人が居合わせたのは偶然、という謀議内容を西崎・杉下に提示した段階で、杉下はそれを受け入れました。成瀬の示した内容は、西崎が先に提示した『西崎単独計画・単独実行』を補強するもので、西崎が杉下に要求した偽証と方向性は変わらず、西崎が杉下に要求した偽証の方向から必然として生じる内容なのです。

しかし西崎の要求には拒絶し、成瀬の指示にはそれを受け入れたという事は、成瀬が状況に加わる事で杉下に偽証を行わなければならない理由が生じたという事です。『罪の共有』という彼女の概念を知る西崎には杉下が成瀬と『罪の共有』をするに至った事件は当然未解決である事が予想されます。

つまり西崎には杉下が偽証を受け入れたのは、成瀬が状況に加わる事で、未解決である過去の事件が蒸し返され、再び成瀬が危険な状況に陥る事を杉下が恐れたから、と見えます。

安藤は杉下が偽証を受け入れた理由には入らない

西崎は杉下が野口宅を出ようと玄関に向かった事を知っています。ドアチェーンが掛かっており外に脱出出来ないという事を彼女も認識したと判断したはずです。一方西崎は鍵を掛けたのは安藤と判断していました。彼が入室した際に安藤に向かって「逃げられなかった」と言ったのは、西崎の安藤に対する非難です。

西崎から見たとき、杉下の偽証受け入れに安藤の存在が感じられるでしょうか?

もし西崎からみて杉下が安藤の存在を意識する場面があるとするなら、それは彼女がドアチェーンが掛かっているを確認した時でしょう。しかし、その後の西崎との会話においては彼女は西崎の偽証要求を拒絶しています。つまり嘘を付く事に拒絶をしているのです。もし安藤を庇う意思があるのであれば、西崎の要求には拒絶しないでしょう。そうすると、彼女が偽証の受け入れた理由に安藤を庇う意図はなかった、と見る事ができます。

西崎が成瀬に語った事

以上をまとめると、西崎が成瀬を説得する為に語った事は以下の通りとなります
  • 杉下にとっての成瀬とは『究極の愛』『罪の共有』の相手であり、強烈な感情を抱いている
  • 杉下は奈央子救出作戦を機に『罪の共有』概念に含まれる『だまって身を引く』ことで距離を取っていた成瀬との関係を再度取り戻そうとしていた
  • 杉下が成瀬にドアチェーンの隠蔽を依頼した理由は安藤が3人の謀議を覆し得る存在であった為の口封じ
  • 西崎の偽証要求に対して杉下は拒絶しており、杉下の偽証受け入れは、状況に加わった成瀬の過去の事件の蒸し返しを恐れたからであり、杉下が護ろうとしたのは成瀬である、という事

2015年12月30日水曜日

成瀬が車中で考えていた事は野口への作戦ばらしだった? その二

…続き

そうすると一番難しいのは何気に西崎が予定通り奈央子を連出した後といえます。

この場合、どう展開するか
予定では成瀬が到着するのは西崎が連出した後。成瀬が到着する前か、若しくはその後かは別としても、いずれ野口は奈央子不在に気付く。
仮に奈央子不在の理由に野口が気付かず、奈央子を暫く待つ、という事であれば成瀬は食事会の準備を淡々と進める。この限りにおいて、彼は野口宅に 居続ける事が出来る。
問題は野口が奈央子の連出しに気付いた場合です。そしてどこかでそれはやって来る。このときにどう振舞うか?
この時、成瀬としてはそれ以上野口宅に留まる理由はない。自然に振舞うなら彼はその後を安藤に託して野口宅を去るのが道理。でも杉下は野口及び安 藤の関係性から成瀬と一緒に野口宅を離れる、というのは不自然。まして野口がその後に共謀の可能性に気付いた時その向け先が杉下となる可能性はゼ ロではない。
そうすると、成瀬としては杉下を自分から離す展開は避けたいと考えると思うのです。

もう一つは安藤と野口の関係についてです。
杉下は安藤を巻き込みたくない、と考えていた。作戦の展開次第でどのように転ぶかは不明でありつつ、安藤を野口の攻撃対象から除外するには野口の 前で安藤が作戦に無関係である事を宣言するのが一番効果的です。そうであれば仮に野口のDVの立証に不調を来しても、安藤が会社に対して三人によ る計画を理由に野口の不当な攻撃を事前に防止する口実を作ってやる事が出来る。

そして最後の一つが自分と杉下の関係性です。
杉下と安藤を野口宅に残すと安藤が杉下にプロポーズする機会を残す事になる。杉下の気持ちは見えないけれど、安藤に勝ちうるとすると、シャルティ ヒロタのオーナーの弁の通り『言ったもん勝ち』の状況を作りたい。そうすると確実に安藤のプロポーズ機会を潰したい。

以上を考慮すると、成瀬としては確実に杉下を野口の下から隔離し、安藤の地位保全に配慮し、且つ安藤とのプロポーズ競争に勝ちうるポジションを得 るには、野口、安藤、杉下の前で、成瀬自身が西崎・杉下・自分による作戦の暴露が一番効果的、となると思うのです。

ですので、巷で期待されている『成瀬の起死回生の一手』とは成瀬による作戦暴露であり車中で考えていたのは、この事ではないか?と推理しました。

2015年12月29日火曜日

成瀬が車中で考えていた事は野口への作戦ばらしだった? その一

一つ面白い事を思いつきました。成瀬が野口宅へ向かう車中で考えていた事です。
このシーンについては従来私は安藤に対抗して杉下へプロポーズすべきか?その際さざなみの真相を杉下に話した時、杉下はどう反応するか?について 考えていたと思っていたんです。

ですが、N研でひまわりさんやしのぶさんと作戦の安藤への影響とそれについての展開をここのところ議論していて、今日ひらめいた事があります。

それは成瀬自身が作戦をどう終結させようと考えていたか?です。

実は作戦会議において、ここは殆ど議論されていません。作戦会議で出ていたのはせいぜいが、『野口が成瀬くんに八つ当たりしたら…』くらいのもの で、西崎が奈央子を連出した後の展開と現場からの離脱については未規定なんですね。西崎は完全に成瀬と杉下だのみですし、杉下はあまりこの手の先 を読む、という事にうとい。結局ここの部分は成瀬だのみの状態です。

物語が結局は心中となり、はっきり言ってしまえばここの部分ってまったくストーリー展開に影響を与えないのですが、ひょっとしたら、ここの解釈で その後のエピソードの見え方が変わるかも、と想い検討してみます。

仮に成瀬が作戦の終結方法を考えていたとして、どういうシチュエーションを想定したか?ですが、これは西崎が無事奈央子を連れ出した場合のみ、と 思っていいと思います。
西崎自身が奈央子が外に出る事を嫌がる可能性を口にしますが、それは成瀬には伝わっていない。西崎から伝わっていない状況を成瀬が想定するのはな い、と思っていいでしょう。同様に連出しに失敗する、という状況も想定していなかったはずです。この場合は西崎が室内で野口と対峙している状況が 予想されますから、それを見守り、仮に野口が手を挙げれば警察を呼ぶ、という考えで方が付く。

続く…

2015年12月21日月曜日

スカイローズガーデンで杉下が成瀬を頼った理由

スカイローズガーデンで杉下が成瀬を頼った理由、事情について違和感というか疑念を持たれている方が以外と多いようです。

恐らく二つの要因から来ているものと思われます

一つ目
お城放火未遂では『俺に何が出来る?』という成瀬の問いかけに『何もいらん』と拒絶したのに、スカイローズガーデンでは成瀬を引き込んだ、という二つの事件における対応の違い

二つ目
成瀬が杉下の保護意図の相手(この論考ではスカイローズガーデンでの杉下のN=成瀬です)であれば、なぜ成瀬に助けを求めたのか?むしろ成瀬を部屋へ引き込まず成瀬以外に連絡をしたほうがよかったのではないか?

特に二番目の論点は安藤派の論拠の一部になっていますよね。だからスカイローズガーデンでの杉下のNは成瀬ではない、という。

そこで、この問題を改めて考えました。で、結論から言えばスカイローズガーデンでの四人の取引が成立した理由が援用で理解出来ます。

杉下が外部と連絡をとる候補としては成瀬以外に三者が挙げられます。

一つ目は警察。二つ目はコンシェルジュ。三つ目が安藤です。

最初の警察についてですが、これはほぼ四人による取引に関する思惑の援用で理解できます。
警察に連絡をとった場合、外鍵が掛かっている事を直接的に知る事になりますから、警察は密室内での殺人事件として捜査する。夫妻の心中と主張しても取り合わない。当然だれが鍵を掛けたかが問われ、杉下にも安藤が鍵を掛けた事は濃厚である事が判っている(救急を呼ぶ際に途中でやめた)。鍵が掛かっている事を警察が直接しる限りにおいて安藤は言い逃れは出来ない。安藤が計画の存在を証言しうる存在であり、杉下と成瀬の関係が辿られ結局は成瀬もさざなみ炎上の容疑者として蒸し返される。

二つめのコンシェルジュの場合は、そのまま警察へ連絡した場合と全く同じ。

ここまでの状況は警察が直接的に鍵が掛かっていた状況を知ると結局は成瀬も護れないという事。つまり成瀬を保護したくとも、鍵が掛かっていた事実を警察が直接知ると、いかなる言い逃れも出来なくなる、という事なんです。

では安藤はどうか?
安藤は杉下が陥っている状況を作り出した張本人である事が濃厚な人物。その状況を抜け出す為に頼る人物としては杉下には選択出来ない存在なんです。

つまり、成瀬以外には選択肢が存在しないんです。偽証の受入れはまた別としても、成瀬が鍵を外す事が杉下には成瀬を守るための唯一の可能性であり、あのタイミングで成瀬を頼らないと、家局は安藤が部屋に現れる事になりますから、時間との勝負だったんです。

参照
『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座 その4~5

2015年11月20日金曜日

スカイローズガーデンに至る経過における杉下の罪意識 その二

…続き
安藤の僻地赴任を勘違いし、野口を挑発した
杉下が僻地赴任阻止に動いた源泉は『大人の身勝手さ、自分の手の届かない処で本人の努力に関係なく人の将来が閉ざされる事への抵抗(レジスタンス)と脱出(エクソダス)』。そしてそれが何に還元されるか?というと成瀬に還元される。『抵抗と脱出』という、ある種反社会的闘争のニュアンスを帯びるのは、自身のお城への放火未遂
さざなみ炎上における成瀬のアリバイ偽証、母親への大学進学宣言(母親の切り捨て)、父親への衆人監視下での土下座してでの進学資金借り入れ申入れなど。上記のプロセスは成瀬との関係性の中での出来事であるから杉下の安藤の僻地赴任阻止行動も成瀬の存在を抜きには語れない。

安藤に鍵を掛けさせた
安藤が鍵を掛けたのは、直接的にはプロポーズの機会を失った安藤が成瀬に怯えて自分と成瀬とどちらを選択するか杉下を試すため。でもそもそも安藤が惚れた杉下の特性である野望と独立性はそもそもの起源が成瀬。

成瀬を頼った
成瀬を頼れない、が杉下の最大のトラウマ。それでも彼が杉下にとっての救世主であり、唯一頼れる存在。本来現場に入れるべきでなかった成瀬を頼らざるをえなくなり彼に偽証を強いることになった。

偽証した
成瀬の指示ではありつつ、彼女が偽証を受け入れたのは、西崎単独犯としなければ自分と成瀬の関係が辿られ、さざなみにおける成瀬の関与を蒸し返されるため西崎を切った。

参照
杉下が希求していたもの
杉下の狡賢さについて
杉下の特徴と成瀬の関係性 その一〜ニ
杉下の『究極の愛』は『成瀬に対する罪』を杉下自身に対して隠蔽する心理システム
杉下の『究極の愛』の構造 その一〜ニ
杉下の『究極の愛』が西崎に働いた経過 その一〜三
スカイローズガーデンの事件を招き寄せてしまったもの
N作戦2における杉下の魂胆
安藤はなぜ外鍵を掛けたのか?
安藤の僻地赴任阻止行動の杉下の源泉 その二
杉下の『成瀬くん、ごめん』と『甘えられん』
成瀬、杉下が偽証を選んだ理由

2015年11月19日木曜日

スカイローズガーデンに至る経過における杉下の罪意識 その一

N作戦に参加した
杉下が希求していたのは成瀬という心の『Home』。
お城放火未遂とさざなみ炎上にその『心のHome』から距離を取らざるを得なかった杉下にとって、野原の爺さんの『Home』たる野ばら荘を守る事は、自分の『心のHome』を守る、そしてそれとの繋がりを確認したいという心理の代理行為。

野口家へ接近し知故を得た
きっかけはN作戦ではあったが、裏側は成瀬との約束たる野望『アラブの富豪と出会う』の実現。そしてそれを後押ししたのも成瀬から教わった将棋。きっかけを作ったのは杉下が奈央子のボンベを操作したからで、これは成瀬との誓約=野望の実現のために杉下が身につけた狡賢さの発露。

奈央子に脅威を与え、西崎との接点を作った
野口の将棋のブレインを頼まれた事から野口との二人でのやり取りが増え、それが奈央子の不信を作った。杉下の将棋は成瀬の将棋。また奈央子が杉下に感じた脅威は『一人で生きてゆく力』。一人で生きてゆく事ができる野口に対し一人で生きられない自分が疎ましく思われるかもしれない可能性に対する恐怖を掻き立てる、『一人で生きてゆく力』をもつ杉下が羨ましくもあり、妬ましい。そのような心理が奈央子の野口に対する独占欲と依存心を掻き立て、DVを許容させた。そのDVが同じくDVの経験をもつ西崎との接点を作った。しかし奈央子が感じた杉下の『一人で生きてゆく力』は杉下の『成瀬を頼ってはいけない』という彼女最大のトラウマに還元されるもの。

N作戦2を成立させた
これは杉下の『究極の愛』という精神保護システムのせい。環境が整ったが故にシステムが逆作用し西崎の罪への協力を愛の名の下に合理化させてしまった。またそのシステムの立ち上がり段階において成瀬は機敏にも杉下の感情の変化の糸口を捕まえて先読みし、杉下の感情が西崎にあると考えたが故に彼もまた作戦への参加を杉下への愛で合理化してしまった。そしてそのキーとなった杉下の『究極の愛』という精神保護システムが形成されたのはさざなみ炎上で、これも成瀬が起源。

続く…

2015年7月18日土曜日

杉下のN 再度の整理


自分の備忘録であれば、このまま放置でもいいかな?と思ったのですが、ここを読んでいただいている方がいらっしゃる事が判った以上、改めてスカイローズガーデンにおける杉下のNについて、ちゃんと整理してまとめておくべきだろう、と考えました。

ただ、単に現在の到達点だけを記したのでは面白みに掛けるので、認識の経過も合わせて書こうと思います。

第一段階
杉下のN=成瀬
これはオフィシャルサイトが2月末で閉まった段階での結論です。
この当時の私の主たる関心は杉下の魂の解放プロセスでした。それを読み解くのに、どうしても解消しなければならなかった障害が、ラストシーンとスカイローズガーデンでは杉下は安藤を護った、という一般的な認識との矛盾でした。
ラストシーンは与件ですから、どうしてもスカイローズガーデン側を崩さないといけない。そうやってもがいていたら、安藤の外鍵の隠蔽が4人による暗黙の取引である、というトリック破りでクリアできた。そこでこの段階では杉下のN=成瀬と結論付けました。

第二段階
杉下のN=西崎
第一段階の後、残りの問題をつらつら考えていたら、どうしても解けない問題にぶち当たったんです。成瀬が10年間杉下と接触を断ち続けた問題です。
『偶然』の偽証を通すために一定期間成瀬が杉下との接触を断つ必要性は認識出来たのですが、それが10年間継続する必然性が見出せなかった。
そうするとこれは西崎絡みだと考えた時、杉下が偽証した理由が必ずしも成瀬のさざなみ蒸し返し阻止とは言い切れない。一番大事な人が傷つかない方法=西崎の奈央子への気持ちを護る、という行動を杉下がとる可能性を排除出来ない。
杉下のN=西崎として考えると、成瀬が接触を絶った十年にも必然性が設定出来そうであり、かつ杉下の『究極の愛』の〝相手にも知られず身を引く〟がまさにミステリー的にマッチする、という事に気付いたんです。それが3月16日でした。
このアイデアに気付いて、直ぐ立ち上げたのがこのブログです。このブログは、杉下のN=西崎を証明する目的で立ち上げたんです。
このアイデアは非常に強力でした。杉下のN=成瀬では、見えていなかった領域にまで視線が及び、物語の視界がそれまでの何倍にも拡がりました。杉下の『究極の愛』の本当の姿や、杉下の作戦に込めた魂胆など、ほとんどの問題はこれで方がついた、障害はなさそうだ、というところまで行きましたが、最後の最後で越えられない壁があったんです。それは、『杉下が西崎の偽証の要求を受け入れ無かった』という、初めから分かっていた事。
西崎であっても成瀬であっても、偽証内容に差はない。ですが西崎の要求にはノーであるのに成瀬の指示にはイエス。これは成瀬のためであれば偽証を受け入れる事が出来る、という事なんです。こうして杉下のN=西崎もすんでのところで頓挫しました。

第三段階 現在の認識
これは第一段階と第二段階の途中で得られた認識のハイブリッドとなります。ですが恐らく最終段階だと思います。これまでの謎解きの全ての障害を乗り越える事ができる唯一の論理です。

作戦計画段階から事件発生まで N=西崎
西崎の奈央子救出(=人妻略奪という罪)に協力(=罪の共有)し、且つ自身の西崎に対する感情は、西崎が〝杉下の究極の愛の相手〟と思っている成瀬と自分の共同作業でカモフラージュ(相手にも知られず)した上で、作戦終了後には本気で成瀬と関係を再開させる(=西崎から黙って身を引く)

事件発生後 N=成瀬
成瀬のさざなみ放火事件の蒸し返しを阻止し、成瀬を護る意図で偽証。

事件の前後で、杉下のNは西崎から成瀬に変わっています。これは人によってはご都合主義的に思われるかもしれませんが、安藤の外鍵の隠蔽と同じく、何から何をまもるのか?のうちの何から、という部分が事件の前後で変わってきますから、その護るべき対象も変化する事は不思議では有りません。


参照
困った
結局杉下は誰のために偽証したのか?
N作戦2への杉下の魂胆
杉下の『N』
安藤の外鍵を掛けた行為の隠蔽工作 4人の行動原理・利益
なぜ多くの人が杉下が守ろうとしたは安藤と取り違えたのか

2015年7月17日金曜日

謎解きの終焉:スカイローズガーデンの事件を招き寄せてしまったもの


私はスカイローズガーデンの事件を、さざなみとの対比で『必然とエゴと打算』と形容しました。

打算とは、偽証を通すために行われた四人による暗黙的な安藤の外鍵の隠蔽工作です。
エゴとは、事件の凄惨化を招いた安藤の外鍵を掛ける行為及び西崎、杉下、成瀬の事件処理における究極の選択です。
では、必然とは?

スカイローズガーデンの事件は、起こるべくしておきた事件だと思っています。それぞれの要因は相互に関連しつつも、もし、これが無ければ相互に独立し、事件には至らなかったはずです。そういった、すべての要因を結びつけ、必然へと至らしめたものが有りました。それは何でしょう?

それは『究極の愛』という名の、杉下の精神保護機構です。
これが全ての要因を結びつけた結節点となってしまった。

杉下の『究極の愛』とは杉下が成瀬に対して抱えたトラウマから杉下自身を守る為に作られた保護機構です。
しかしその保護機構はゴンドラで成瀬に対するトラウマが解消された後も生き残り、N作戦2を作戦として成立させてしまった。つまり西崎と成瀬を、杉下を媒介として引き寄せてしまったんです。

実は、このドラマで私が一番のミステリー、解かれるべき謎は『事件を呼び込んでしまったものは何だったのか』では?と思っています。

杉下のNも大事なミステリーですが、それがわかっただけでは、スカイローズガーデンがなぜ必然となったのかは分かりません。
ミステリーでは、結局これが事件の主たる要因なんだ!というのを提示しないといけない。
そう考えた時、このドラマでは、全ての伏線を結節させたものとしての、杉下の『究極の愛』という心理機構こそが最大のミステリーだったと思うのです。

もっとも、湊かなえの作品は種明かしがないので、〝提示しないといけない〟という表現も可笑しいのですが。

ここまで至り、私の謎解きもほぼ終了したようです。

参照
対称性・対称性 さざなみ放火事件とスカイローズガーデン殺人事件 その一
エゴと『あれか、これか』
杉下の『究極の愛』の本当の意味
N作戦2における杉下の魂胆

2015年7月7日火曜日

西崎のN=杉下だと、凄くドラマの設定として美しいのだが…



西崎のN=奈央子です。
ですが、もし西崎のN=杉下であるなら、凄くドラマの設定して美しい、と夢想してしまいます。

もし西崎のNが杉下なら、成瀬、西崎、安藤のNが全て杉下という事になり、なおかつ西崎が安藤は杉下を庇う意図から、自らの外鍵を掛ける行為ほか作戦の存在を自ら捜査機関には喋らない事を認識し得た場合、ドラマ冒頭で西崎が弁護愛に語ったとされる『全てはNのために。俺たちがやった事はそういう事だ』という文言が、一般的なドラマの作りとしては非常に美しいように見えるんですね。
全ての男性キャラが、たった一人のヒロインを皆んなして護る、というメローな構造です。
そうであれば、西崎のいう、〝俺たち〟の中には安藤も入ってきて、なんか丸く収まる的な。

ですが、今のところ西崎のN=奈央子をひっくり返す証拠、もしくは論理的整合性を持って成り立ちうる可能性がないんですよね。杉下の西崎に関する感情は何がしかの証拠と気づき、推論で論が成立するんですが。

本当に西崎のNが杉下なら、面白いな、と期待する面もありつつ、それだとドラマで一貫して貫かれていた、テーマがぶっ飛んでしまいそうで、やっぱりそれは無いんだろうな。

でも、公式サイトでも有った、〝西崎は全てのNを護るため自らの犯人になった〟的な論は、基本的にはタイトルによる原因と意図と効果・結果のすり替え誘導によるものと理解していますが、この『全てはNのために…』のくだりへの、ある種の期待から来ているのかもしれません。

参照
『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』のNって誰?
『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』の俺たちって誰?
安藤のNは杉下と言っていいのか? その二
ミステリーとしての仕掛け その一 タイトル

2015年7月5日日曜日

成瀬は杉下が計画をバラしたのを誤解が原因だと気付いていた


 成瀬はスカイローズガーデンでの事件のほぼ全容が理解出来ていました。野口が書斎から出て、西崎と揉めたのも杉下が野口から安藤の事で、追い込まれて計画をバラしたのも理解していた。

しかし、当初の検証ではそれが杉下の〝勘違い〟によるものである事までは成瀬は認識出来ていないだろう、と思っていたのですが、追加の検討をした結果、成瀬は事件当時すでにそれが杉下の勘違いに起因している事に気が付いていた事が判りました。
この事に杉下が気が付いたのは十年後です。しかし成瀬は事件当時すでに気が付いていたんです。

成瀬がオーナーシェフにデザートの変更意図を確認しているシーンが有ります。
この時、オーナーシェフが安藤が杉下へ場合によってはプロポーズするらしい、と成瀬に説明しています。そのためのメニュー内容変更が野口からの連絡である事もオーナーシェフが説明している。
つまり、野口は安藤と杉下を祝う意図があったという事であり、それはまた成瀬も認識している訳です。
そうすると、野口は安藤について杉下を追い込むような立場では無く、杉下が安藤の件で追い込まれて計画をバラしたのが、実は杉下が何かの勘違いをしてしまったが故、と認識に出きるんですね。

う〜ん、このドラマの謎は深い。まさか成瀬はここまで認識出来たとは。成瀬は、この事件の全体像を、誰よりもよく理解しているんですね。唯一、杉下が偽証をする意図が、成瀬自身を守る為である、という事以外は。

参照
事件に対する成瀬の認識の到達度の検証
安藤の指輪に対する杉下の涙の本当の訳

2015年6月27日土曜日

成瀬と西崎が顔を合わすシーンが欲しかった


四人の関係性の中で、現代編で顔を合わさなかったのが、唯一成瀬と西崎です。

個人的にはこの二人が顔を合わせるシーンが観たかった。
と、言うのもこの二人が杉下にとっての究極の愛の相手であり、スカイローズガーデンの事件を引き寄せた二人であったからです。さらには事件後の杉下の事を託し、託された関係でした。

先に整理した通り、西崎の服役期間中、四人の関係性で一番密であったのが成瀬と西崎です。西崎が成瀬という人物を見込んで杉下を託したにも関わらず、成瀬はその杉下の中に西崎を見て、身を引いた。西崎の『杉下を守ってやってくれ』と成瀬の『杉下を守る』意思が見事にすれ違ってしまった。そのすれ違いを正すべく、相互に杉下に関する応酬があった筈です。『俺に構わず、杉下を幸せにしてやってくれ』ー『いや、出来ない』

そのようなやりとりが交わされたであろう二人を、成瀬が杉下にプロポーズした後、成瀬が島へ出立する際にでも合わせるシーンがあったら、最高に緊張するシーンとなったのではないか?と妄想しています。
 ただ、この二人が交わすであろう会話はまさしくミステリーの根幹に触れる事になりますから、難しかったのかな?

参照
N作戦2における杉下の魂胆
事件後の四人の接触関係の整理
西崎は成瀬と杉下のその後を知っていた

2015年6月26日金曜日

安藤が真相を誰からも教えてもらえない理由をまだ見つけられない その二


安藤が誰からも真相を明かされない理由につらつらと思考を巡らせています。
安藤と他の三人を隔てているものは何だろうと。

一つは先に書いた通り、事件処理における共謀関係です。
その後に気づいたのは、歪みの有無です。

西崎、杉下、成瀬は夫々歪みを抱えた人物です。
ここでいう歪みとは、『自分の力ではどうしようもない現実に飲み込まれ、その中で何かをよすがに、信じる事でしかそれを乗り越える術を持たなかった』経験です。
そのよすがとは西崎にとっては母親、杉下にとっては成瀬、成瀬にとっては杉下です。

しかし安藤にはそのような経験はありません。安藤にとっての世界は、自己の努力で切り開かれるもの、として捉えられています。世界が自分の手の届かない何かの力で、閉ざされる、という経験はありません。

この経験の差が、西崎の『崩れ落ちそうな橋』の質問の、成瀬と安藤の答えの差となっているように感じます。

参照
安藤が真相を誰からも教えてもらえない理由をまだ見つけられない
崩れ落ちる橋 への二人の答え

2015年6月22日月曜日

西崎の『杉下を守ってやってくれ』に対する成瀬の態度について


事件の際、成瀬が杉下へ『それでいいね』と偽証を指示し、それにより三人の間で事件の処理方針が合意された後のシーンです。

西崎が成瀬に杉下を託します。

『杉下を守ってやってくれ』

これに対して成瀬は決意を込めた表情で頷きます。

個人的にはとっても好きなシーンです。

ですが、その後成瀬は10年間杉下と接触を断ちます。そして杉下はその期間に病を患い手術をし、そして手術から3年経過した後再発、余命宣告を受けました。

これを持って、〝成瀬は何ら杉下を守っていない〟という意見が公式サイト1月19日及び20日の奈々美様の意見です。

奈々美様の意見の骨子は、スカイローズガーデンにおいては、西崎の刑が確定してしまえば、成瀬が杉下と接触する事に支障が無い筈であるのに、成瀬はなぜ杉下と接触を立ち続けたのか?という疑問です。杉下側の事情=さざなみが未解決とは様相が違う、というものです。

このご意見、至極まっとうだと思います。二人が〝事件後は〟接触する関係性になった、というのは十分通る。なのに成瀬はそれ以後も杉下と接触しようとしない=守るという意思が無い、と取られても不思議では無いのです。

そうすると、成瀬が西崎の刑の確定後も一貫して杉下と接触を立ち続けたのは、単に偽証の体裁を取り続ける為、という理由と別のところにある、と考えた方が合理的です。

では、その理由は何か?

それは西崎の存在です。
成瀬は杉下の心の中に西崎がいる事を作戦の参加時点で知っていた。そして杉下が偽証した理由も、西崎の為と理解していた。だから西崎が服役している間に自分が杉下の気持ちに干渉する事は一切しない、と事件の時決めたのです。つまり成瀬は黙っって身を引いた。それは杉下に対する愛ゆえに。これが西崎に対する頷きであり、手繋ぎで成瀬が杉下に伝えようとした意思です。

事件の際の杉下のNは本当は成瀬だったのですが。これが成瀬と杉下の最大のすれ違いでした。

参照
『成瀬が事件の時唯一認識出来なかった事』
『成瀬がN作戦2に協力する事にした理由』
『結局杉下は誰のために偽証したのか』





2015年6月18日木曜日

『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』ってそもそもそ言っちゃいけない んじゃ無い?


西崎が弁護士に証言したとされる『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』の第三回です。

ここでこんな事を落ちを付けてしまうのは、本意では無いんですが。

これ、本当は西崎、弁護士に喋ってはいけない話しですよね。
高野がこの証言を見て、ある種の計画性と必然性に気づき、西崎に『殺してませんよね』と言っている。
偽証のポイントは非計画性と偶然性の主張にあった訳だから、それを真っ向から否定するような事を弁護士にさえ言ってはいけなかった筈なんですが。
弁護士だって気づく筈です。それが事件当時はスルーされている。

粗探しみたいなものですが、まあ、ティーブレイク的に書いておきます。

『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』のNって誰?


西崎が弁護士に語ったとされる『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』についての続編です。

昨夜見た通り、俺たち=西崎、杉下、成瀬です。
では、Nは何でしょう?西崎は奈央子と答えています。彼にとってこれは真です。

で、ここで問題にしたいのは、杉下、成瀬も含めて奈央子、といっていいのか?という事です。なぜこんな事を問題にしているか、というと西崎が事件の真相をどう理解しているか、という事の一端を示すからです。

杉下、成瀬も含めてN=奈央子というとのは、1つの考え方。実際、西崎は杉下に『罪の共有』を要求しています。基本的にその方向性で事件が三人の間で処理された訳ですから。
でも、そうであるなら西崎はNの部分をわざわざイニシャルで表現する必要は無い筈なんですね。
『すべては奈央子のために…』という表現でいい筈なんです。

そうすると、西崎はこの時の認識として杉下及び成瀬にそれぞれ奈央子でない、別のNがいた可能性を認識していると言えます。

では西崎は夫々のNは誰と認識していたのでしょう。
まず成瀬についてですが、これはN=杉下と認識していた。そもそも成瀬は西崎とも増して野口とも関係性がありません。唯一杉下を経由して繋がっていた訳ですから。そして実際成瀬は杉下に殺害への嫌疑が掛からない方向性での処理をする、そのための補強案さえ提示している訳ですから。

次は杉下です。
奈央子か?
西崎は基本的に杉下は奈央子が好きで無いという事を知っています。ですから奈央子ではない。

自分か?
杉下に対して罪の共有を求めた際に自ら『愛は無いかもしれないが…』と杉下に言っていますから、自分である、とも思っていません。

安藤か?
これは三人の間で、暗黙として安藤の外鍵の隠蔽が偽証の必須条件である事が認識されていましたから、安藤はあくまで手段と見ていました。

最後に成瀬です。
西崎は自らが『罪の共有』を杉下に求められた時、杉下が拒否されています。しかし成瀬の提案、指示は杉下は受け入れた。西崎であっても成瀬であってもやる事は変わりません。計画性の否定と偶然の主張です。この行為を杉下には、自分に対しては受け入れ出来なくとも、成瀬に対してなら受け入れ出来る様を見ています。
また西崎は成瀬が杉下の罪の共有相手である事も知っています。内容は知らずとも、杉下が成瀬との関係性を捜査機関に対して隠蔽する必要性がある、だからこそ偽証を受け入れた、という事も理解出来ています。

ですから、杉下にとってのNは成瀬だ、と西崎も取っていた、と理解していいと思います。

2015年6月17日水曜日

『すべてはNのために 俺たちがやった事は…』の俺たちって誰?


西崎が事件後弁護士に語ったとされる証言、『すべてはNのために、俺たちがやったのはそういう事だ』。

西崎自身は高野に対して覚えていない、と話していますが、高野は〝俺たちとは、誰と誰か〟と問うています。西崎はその問いには答えませんでした。

事件当時の西崎にとって、〝俺たち〟は誰を指していたんでしょう?

一人目は西崎自身です。一人称複数形での表現ですから。
二人目は杉下。西崎は杉下に『罪の共有』を求めています。
三人目は成瀬。成瀬との間で事件の処理方針を擦り合わせ、杉下を託しました。

安藤は、というとやはり西崎の中に入っていない、と見るべきでしょう。
一つには安藤はもともと作戦外の人物である、というと事。
二つには事件の処理方針を三人で擦り合わせています。もっともこれは『罪の共有』ではなく、共謀ですが。これにも安藤は含まれません。
三つ目には外鍵の隠蔽についてです。中の三人には安藤が外鍵を掛けた理由を喋って欲しく無いが故に、積極的に隠蔽を図りました。中側から見るとその取引に安藤は自己の利益のためにのった、という風に見える。つまり自己保身のために取引に応じた、という理解です。実際は、昨日投稿したように、安藤には安藤のN(=杉下)のために意志を持って口を噤んだのですが。

以上から、西崎の〝俺たち〟に安藤は含まれていない、と見ていいと思います。

2015年6月16日火曜日

安藤のNは杉下と言っていいのか? その二


安藤は事件発生直後には、事件の本質は野口夫妻の心中である事は理解出来ていました。

その上で、自身がどう証言するか、選択したわけです。

ここで問題なのは、安藤は中の三人と異なり、事件の処理方針を聴いていない、と言う事です。
安藤が中の三人から唯一伝えられた情報は西崎の「逃げられなかった」です。

ここから安藤はどう判断するか?
西崎の発言から、鍵が安藤が掛けたものである、という事が中の三人にも判っている、と言う事と、その鍵のせいで事件にまで発展した、と言う事が伝わりました。
一方で、事件が野口夫妻の心中である事、西崎をはじめとする中の三人が事前の計画を練っていた事も判っています。
この段階で、安藤は捜査機関が『計画の末の心中』とは取らないだろう、という事が推測出来る。
そして中の三人も同じ判断をするだろう事も推測可能です。
その時、成瀬は直接の嫌疑の外になる。鍵を開けて中に入ったから。嫌疑の対象は西崎と杉下に絞られる。

安藤としては中の三人の処理は不明ではあるが、最悪の場合杉下が犯人とされてしまう場合が発生する事が理解出来る。この時、どちらを取る?当然杉下を取る。

そこから安藤の事件への対処方針が構築されていきます。

以下は安藤のモノローグとして

もし中の三人が夫妻の心中として処理していくならば、計画その他は隠蔽されるだろう。それで処理が進むなら、誰も傷付かずに済む。そうであるなら、自分から鍵と計画の存在を示唆するような証言はするべきではない。
そうであるなら、西崎に会ったことも、三人が会っていた事も、自分が鍵を掛けた事も黙っているべきだろう。

もしその方向性が破綻した場合。
もし西崎単独犯で処理をしようと中の三人が判断するなら、それでよし。上記と同じ行動を取ればいい。西崎単独犯である限りはわざわざ計画の存在を暴露されかねない鍵の事は隠蔽されるだろう。もし仮に情状酌量が欲しくて鍵は掛かっていたと、西崎が証言しても、成瀬がそれを否定するだろう。成瀬にとっても杉下への嫌疑は回避したいはずだ。

その他の杉下に嫌疑がかかる可能性のあるケースについても、すべて同じだ。成瀬と歩調を合わせればいい。

つまり、俺からは何も話さない。もし杉下に嫌疑が向く可能性のある展開は成瀬が潰しにかかる。俺はそれに歩調を合わせる。仮に成瀬がどうしよう無くなっても俺は何も言わない。それが何れにせよ杉下の被害を最小化する方法だ。


自分で書いておいて、驚きだったんですが、安藤が杉下を護る為には、何れにせよ一切の事について口を噤む、と言う方法がベストなんですね。
この点において、安藤にもN=杉下は成立するんだ。
正直ビックリです。

2015年6月15日月曜日

安藤のNは杉下と言っていいのか?


安藤は高野の問いに答えています。
『自分にとってのNは杉下希美』

でもこれ、納得出来ないんですよね。

『一番大切な人の事だけ考えた』に対して、安藤だけ解を与えられない。
一番大切な人は、自分以外の誰かです。そしてそれは事件の直後、何を自分の利益としてどう事件を処理するか、と言う究極の選択をする際の事なんです。

この時のそれぞれのNは、

西崎=奈央子
奈央子の罪を自分が引っ被って、奈央子を自分だけのものにする。

成瀬=杉下
計画性が認められた際に、殺害の関与を疑われる、ひいては殺人犯にされかねない杉下を嫌疑から除外する。

杉下=成瀬
計画性が認められる=成瀬と計画を練る間柄=さざなみに於ける偽証の発覚=成瀬を放火犯として捜査機関に差し出す、と言う展開を阻止する。

この時、
安藤=杉下?とすると安藤は杉下を護るための選択をしたの?と言う問題が残ってしまう。
安藤はこの時、杉下を護るために何をしたんでしょう?

どうもここの部分を考えると、安藤のN=自分?に思えるんです。 安藤が行った究極の選択は、自分が行った外鍵を掛ける行為を捜査機関に口を噤んだ、と言うものです。
それは誰のため?と考えると、それは自分のため、と見えるんですよね。安藤と言う、中の三人とは異なり、歪みのない真っ当な人間として描かれているキャラクターの行動として、この自分可愛さ故の行動は、十分説得力があるんですよ。私は、安藤の外鍵の隠蔽がある種の取引として実現した、と取っているのも、これが根拠になっています。

すごく曲解すると、安藤にも成瀬の利益と同じく、自分が鍵を掛けた事を話すと杉下が捜査機関の嫌疑対象になる、とは理解出来るのですが、これで杉下のために安藤が積極的に自らの鍵をかける行為に口を噤んだ、と言っていいのかは疑問です。

でもそうすると、全員が自分以外の大切な人の事だけ考えた、と言う杉下のモノローグと矛盾する。

このドラマでは、幾つかの場所で言葉のレトリック操作が行われていますが、それはそれで嘘はついていないのです。だからここの部分も嘘がない、という前提に立つならば矛盾が生じる。

もう少し考える必要のある部分のようです。



2015年6月11日木曜日

安藤が真に知りたかった事


安藤は事件の真相を知りたがっていました。
しかし、野口夫妻の死亡は奈央子の心中であった事は安藤にも推測出来ました。では安藤が本当に知りたかった事は何だったのでしょう?

作戦から除外されたのは容易に推測できます。自分と野口の関係からです。
野口から土地を売却する意思の有無を聞き出すのは杉下の役目とされ、安藤は知らない事とされました。
N作戦2で自分が除外されたのも、容易に想像しうる事です。

安藤の疑問は、何故三人は偽証したのか、ひいてはなぜ自分が行った外鍵をかけた行為が隠蔽されたのか、です。

これは西崎に呼び出された際、はっきりと口にしています。『なんで自分がやったなんていったの?』

安藤のセンスとして、他人の罪を自分がひっ被る、というのが理解出来ないんです。これが安藤にとっての第一の疑問。
西崎が奈央子を救出しようとしていた=西崎は奈央子を愛していた、と理解出来た訳ですから、百歩譲ってだから西崎は奈央子を庇おうと犯人になろうとした、と理解しても、なせ杉下と成瀬がそれに同調したのかが判らない。これが第二の疑問

三人が外鍵をかけたのは安藤だ、という事を知っているのは安藤も理解しています。
それが西崎も杉下もそれには触れず、まして自分となんら関係性のない成瀬が、鍵はかかっていなかった、と証言しているのですから、三人による隠蔽が行われたのは間違いない。

鍵がかかっていた、それでは逃げれずに事件になった、としたほうが情状酌量が得られる可能性がある。杉下、成瀬の行動としてそちらが正しいように安藤には思える。

では、なぜそうしないか、と考えた時、安藤ととしては二つの可能性が考えられる。一つは自分が守られた、という可能性。もう一つは安藤になぜ鍵を掛けたのかを喋って欲しくない、という判断が入った可能性。計画は無かった、偶然だった、としたいんだ、という取引だと。

安藤のセンスとしては、自分が守られる、というのは可能性として低位でしょう。〝究極の愛=自己満足〟というセンスの持ち主ですから。つまりは、これは取引なんだ、と安藤は理解した。それではその取引に参加した三人のそれぞれの利益とは?と考える。
ここで大事なのは、安藤も計画の末の心中事件だとは捜査機関は取らないだろう、と言う事は想像出来る、という事です。いくら性格的に真っ直ぐな安藤といえど、ビジネスの世界での成功を目指す人間がこのような事を理解できぬはずがない。

その前提であってもまず西崎が理解出来ない。奈央子を庇うにせよ、自身が全てをひっ被る必要はない。鍵を理由に情状酌量を求めた方が合理的に見える。安藤には愛ゆえにその罪さえも独占する、という西崎のセンスは理解出来ない。

杉下と成瀬について考える。西崎に同情し奈央子の罪の隠蔽に協力するとしても西崎の事を考えれば鍵の事を話した方が西崎にはいいはず。では、鍵の事を話すとした場合、安藤は計画があったと捜査機関が判断するであろう、三人が会っていたと自分が証言をした場合の展開を考える。この時は、西崎以外の人間も展開によっては犯人とされる可能性が発生する、という事は想像出来る。そのような展開となった場合、成瀬は鍵を外して中に入った訳であるから、嫌疑の外になる。その場合の犯人とされてしまう可能性が発生するのは杉下。杉下にとって成瀬は究極の愛の相手だと聞いていたので、成瀬側にも杉下を庇うに足る事情があり得る。であるなら成瀬は杉下を庇うために外鍵を隠蔽する行動を取りうる、つまりは西崎を切る事は理解出来る。
では杉下は?
鍵をバラすことで自分が嫌疑の対象になる。そうすると杉下は自分自身を守るために西崎を切った?もう一つの可能性としては、罪の共有関係であるという成瀬のため、とも思える。しかし罪の共有の内容とその成立過程を知らない安藤には〝三人が会ったのは偶然〟との偽証との関係性を理解出来ない。

以上から、安藤が知りたがった事件の真相とは下記になります。

何故自分の外鍵を掛けた行為が中の三人から隠蔽されたのか?
その中でも、西崎にとっての意味、利益。杉下にとっての意味、利益。その中でも杉下の利益が、杉下自身であるのか、成瀬にあるのか、はたまたわずかな可能性として自分自身にあったのか。

これが安藤が知りたかった事です。











安藤は誰を疑っているのか


安藤は〝西崎は犯人ではない〟と判断していました。
それでは安藤は誰が犯人と考えていたのでしょうか。

安藤が明かしている認識です。
西崎は奈央子を連れ出すために来た。
西崎、杉下、成瀬は計画を練っていた。
自分が掛けた鍵のせいで事件になった。
西崎は火のついた燭台を持てない。 

この判断と認識を元に条件を絞り込むと、こうなります。

西崎は犯人ではない→事件のシナリオの否定→西崎は野口を殺していない、野口は奈央子を殺していない。
西崎は奈央子を連れ出すつもりでいた→西崎は奈央子を殺さない
自分が掛けた鍵のせいで事件になった→成瀬が入室前に事件が起きた→成瀬は殺していない

そうすると、この論理で殺害への疑いを否定出来ないのは杉下になるのです。

安藤は三人による計画を認識していました。
西崎の目的も奈央子の救出である事を理解していました。
そうすると、仮に杉下が疑いの対象として残っても、杉下は西崎の協力者であるわけで、杉下が奈央子を殺害することは無い、という論が成立します。

ここまで来ると残る可能性は
野口が奈央子を殺害→杉下が野口を殺害
奈央子が野口を殺害→奈央子が自殺
杉下が野口を殺害→奈央子が自殺

のいずれかです。

但しここで問題となるのは、杉下の服が血で染まっていた、という部分です。
野口は頭を殴打されていた。もし殺害の際についた血であるなら、杉下の服が汚れる部位が異なる。そうすると、杉下は野口を殺害していない、と推測できる。
それはあくまで介抱の結果による血である、という事です。

ここまで来ると、安藤は成瀬と同じ領域にまで認識が届きます。
事件の真相は奈央子が野口を殺害した後、奈央子が自殺した、という処まで認識が可能なのです。