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2016年2月4日木曜日

早苗が杉下の罪意識の対象だとした時、安藤を赦せた杉下の心理

早苗は杉下の罪意識の対象でした。

初期の判断では、成瀬に身を寄せる決意をした彼女が、いずれその病状が進んだ時、成瀬に頼り切る事になる。それはある意味生活能力の欠如した、他人に依存、拘束する早苗と同じ状態であり、それを嫌悪していた杉下は、自分を許せなくなる。
成瀬のために全ての時間を使うことを決意した彼女には、そんな自己嫌悪さえ成瀬のためにしたく無かった。だから自らが早苗を許すことが出来るか、それを確かめに、早苗を許すために早苗の元を尋ねた。
そして自らの深いトラウマであった早苗を赦せたから、その後に安藤も赦すことができた…

こういう解釈でした。

ですが、杉下の早苗に対する感情を詳しく分析すると、杉下にとっては早苗は成瀬との誓約を守るために切り捨てた、罪意識の対象である事が判ったんです。

そうすると、杉下は早苗の元に赦される為に訪れた事になる。
とすると、ここで困った事が起きたんですね。では安藤を赦せた心理は何処から来たのか?
杉下と早苗の間の、赦しのベクトルが逆転した事により、杉下が安藤を赦せた心理の出処が不明になってしまったんです。

この問題を暫く考えていました。そして漸く答えを得ました。
杉下は、早苗から赦される事で、安藤を赦せたのです。

赦しの心理とは面白いもので、赦される、赦されたいという心理には必ず相手に対する赦し、赦したいという双方向の感情が伴う事に気付きました。
つまり、赦されたいと願う相手に対してはその内に必ず相手を赦したいという逆ベクトルの関係を内包している、ということなんです。

自分のことは相手から赦されたいけれど、自分は相手を赦さない

こんな心理は赦し、赦されにはあり得ないんですね。
ですから、杉下が早苗から赦されたいと早苗の元へ向かった心理には杉下自身が早苗を赦したいという心理を内包しており、杉下が早苗から赦されたいと実感できた時、彼女自身が早苗を赦すことが出来たと感じた。だから安藤を赦す事が出来た…

ですから、赦し赦されのベクトルの逆転は安藤への赦しの心理とは矛盾しない、という結論に至りました。

2016年1月24日日曜日

何故西崎は安藤を先にテストしたのか?

事件時、西崎は杉下を成瀬に預けました。『杉下を守ってやってくれ』
西崎は成瀬が杉下の究極の愛の相手であることも知っています。
にも関わらず、杉下の病について当の成瀬では無く、先に安藤をテストしました。
この事から、以下の事が推測出来ます。

1.西崎は成瀬と杉下が自身の服役中接触を絶っていた事を知っている。
2.西崎は病の杉下を預ける相手として、成瀬を選択する事に不安を抱いている

西崎の一番の関心は杉下です。成瀬とは手紙のやり取りをしていた。
当然西崎は杉下の様子を尋ねます。成瀬の応えは『杉下と接触していない、知らない』。
若しくはその問いには答えなかったかもしれません。当然西崎はその理由を問いただすでしょう。ただし手紙という手段で当然検閲を受けていますから、あからさまな表現は出来ない。遠回しな表現となる。
直接的な表現では偽証がバレ、場合によっては自分の意志とは離れたところで、再審請求などされかねない。そのような動きが出る事自体が西崎には避けたい。
しかし成瀬は西崎の問いに一切答えなかったと思われます。それは出所後直ぐの電話でも同じだったでしょう。

つまり成瀬が杉下と接触しない理由、二人の関係が途絶えた理由と事情を西崎は全く把握出来ていなかったから、成瀬が杉下の病を知ってどう反応するかが全くわからない。事情が不明であるから、説得しようにも何を材料に説得したらいいのかさえ判らない。ですから当然自信が持てなかったであろう事が予想出来るのです。

それに対して安藤は?
彼に資格があるかどうかは別としても安藤が杉下の病状を知れば動く事は容易に予想出来た。そうであれば動く事が間違いない安藤をまずテストしようと、西崎は考えたのだと思います。そうでなければ、成瀬を差し置いて安藤をテストする理由を見出せません。

参照
成瀬と西崎のやり取りは手紙だった
西崎が安藤に『崩れ落ちそうな橋』の問いをした理由
崩れ落ちる橋への二人の答え

2016年1月15日金曜日

ゴンドラで杉下が安藤に感じた事

ゴンドラでの杉下の心理に影響を与えたのは、成瀬に対するものだけではないと思います。安藤に対する心理も影響を受けました。

ゴンドラの前に杉下が安藤に感じていたもの、それはライバル心。そしてそれに伴う親近感。
恋愛感情は?というとそれは無かった、と観ています。何せ杉下は成瀬に歪みに歪んでいましたから。

そしてゴンドラ。

私はこの出来事で、杉下は安藤に対するライバル心は放棄したと見ました。つまり『安藤にはかなわない』

さっさと難関な大手商社の内定を取った安藤に対してままならない自分の就職活動。
明確に自分のビジョンを語れる安藤に対して面接官に『英文科でなんでウチに?』と言われる自分。
密かにゴンドラに乗る免許を取得し、体重制限はダイビングのウェイトで解決するという自分には思い付かない方法で解決してしまう安藤。
そして自らがたじろいだ広い世界にむしろ武者ぶるいする自分と安藤とのポテンシャルの差…

当初は島育ちで自らを試す為に島を出てきたという似た境遇に親近感を覚え、安藤の生活レベルでのスキルの無さ(のこぎりをろくに使えない)に若干の優越感さえ感じていたものが、いざ自分の野望・野心を実現する能力に関して安藤から見せつけられた圧倒的な差。

後に杉下は安藤に『日本じゃ勝ち目がない』と漏らしています。安藤に対する敗北宣言です。

杉下は安藤に対してある種の好意はあったと思います。それは成瀬という存在が杉下に無かったならば、いずれ恋愛感情になるものだったかも知れません。

しかしゴンドラで杉下は自らの野望を成瀬に対する宣言通りには実現する事が出来なかった。そして彼に対する資格を喪失したと感じ諦めた。
杉下にその現実を突きつけたのは他ならぬライバル視していた安藤。
そうすると、杉下の感情として安藤に対してどのような変化が発生するかと言えば、『不釣合い』感ではないでしょうか?

『どんどん変化していく安藤には、到底付いてゆけない』

ゴンドラの経験で成瀬に対する心理変化で成瀬以外の人物が杉下の心に芽生える可能性が生じつつも、その後に安藤に対して彼女が感じたものは、このような心理ではないでしょうか?ですから、ゴンドラ以後も杉下に安藤に対する恋愛感情は生じなかった、というのが現在の解釈です。

参照
ゴンドラで杉下は成瀬を諦めた

2016年1月10日日曜日

杉下の、男とすると非常に困る『近接距離』での反応の差

久し振りの投稿です。 
ここのところ杉下の男性に対する距離感に関してつらつら考えてました。 今日先の投稿『安藤、車で迎えに行って街中での待ち合わせって…』に匿名さんより頂いたコメントのレスが、丁度そのネタにドンピシャなもんで、先にそちらに答えてしまったんですが、改めて本稿で披露しようと思います。 

杉下って、パーソナルスペース論でいうところの『近接距離』に自分が入っていく事には頓着が無いんですが、相手から入って来られると、困惑する、という非常に男としては困った?特徴が有るんですよね。 
『近接距離』というのは、簡単に言えば恋人同士の距離です。 これに対して『個体距離』というのは、友達の距離ですね。 安藤に対する杉下の反応を思い返していて気づきました。安藤が『個体距離』に居るのは全く問題無いんですけど、『近接距離』の領域になると自分が行動する時と相手が行動する時で反応が違うんです。 

自分が行動するケース例は、ダイビングスクールでのペア編成時とゴンドラ。この時は実に素直にスッと入るんですよ、『近接距離』に。沖縄での泥酔安藤の介抱?もこっちでいいでしょう。
ですが、逆に相手が入ってくるというケース例は沖縄でのキス、初詣の手繋ぎです。この時は明らかに戸惑ってるんですよね。もしかしたら安藤帰国後の抱擁もこちらとすべきかも知れません。

 一方成瀬に対しては、自分が行動するケース例は、早朝デートの際の成瀬への頭垂れとさざなみ手繋ぎ、パトカー内の『成瀬くんなら…』。これは安藤と同じ反応です。
相手が入ってくるケース例は、お城放火未遂時の成瀬の制止、スカイローズガーデン手繋ぎ、Notre抱擁。これは安藤に対する反応と異なり、実に成瀬に対して素直なんですね。 

この辺りが杉下の二人に対する心理の差の映像表現なんですかね。 

西崎の背中に負ぶわれるのは?泥酔の上での事なので、評価が難しい。でも状況としては西崎側から『近接距離』に入った例とした方がいいのかも知れません。

2016年1月1日金曜日

安藤、車で迎えに行って街中での待ち合わせって…

新年明けましておめでとうございます。

早いものでドラマが終了して一年、このブログを立ち上げて9ヶ月が経過しました。
何度かもう書く事も無いよな?と感じた事もありましたが、その度に未検討の領域が見つかり、ドラマの世界観が広がっています。

さすがに一時のようなペースでという訳にはいきませんが、N研の方で形にならずとも考えた事はつづってゆきますので、気長にお付き合い下さい。

今年一年が良き年であるよう。

では今年最初のネタ。

安藤と杉下がデイキャンプに出かけましたよね。このエピソードをどうドラマ内で位置づけするかが微妙なとこなんですが、私が注目したのは、キャンプよりその前の待ち合わせシーン。

安藤、車で迎えに行きますよね。でも待ち合わせは街中なんです。
学生時代同じアパートで過ごし仲の良い友人。安藤は杉下にプロポーズしている。安藤は杉下の住所を西崎の部屋でチラ見して知っている。それにもかかわらず、街中での待ち合わせ?

これ、どう考えても不自然ですよね。そもそも安藤が西崎のところでチラ見して杉下の住所を把握している事も含めてです。

この待ち合わせの際にも、表向き安藤は杉下の住所は知らない。杉下も安藤に住所を知らせて無い。だから街中での待ち合わせになったように感じます。

これを言うと、みんなから叱られるんですが、やっぱり安藤に対して杉下は心を開いていない証拠のように見えるんですよね〜。

2015年12月30日水曜日

成瀬が車中で考えていた事は野口への作戦ばらしだった? その二

…続き

そうすると一番難しいのは何気に西崎が予定通り奈央子を連出した後といえます。

この場合、どう展開するか
予定では成瀬が到着するのは西崎が連出した後。成瀬が到着する前か、若しくはその後かは別としても、いずれ野口は奈央子不在に気付く。
仮に奈央子不在の理由に野口が気付かず、奈央子を暫く待つ、という事であれば成瀬は食事会の準備を淡々と進める。この限りにおいて、彼は野口宅に 居続ける事が出来る。
問題は野口が奈央子の連出しに気付いた場合です。そしてどこかでそれはやって来る。このときにどう振舞うか?
この時、成瀬としてはそれ以上野口宅に留まる理由はない。自然に振舞うなら彼はその後を安藤に託して野口宅を去るのが道理。でも杉下は野口及び安 藤の関係性から成瀬と一緒に野口宅を離れる、というのは不自然。まして野口がその後に共謀の可能性に気付いた時その向け先が杉下となる可能性はゼ ロではない。
そうすると、成瀬としては杉下を自分から離す展開は避けたいと考えると思うのです。

もう一つは安藤と野口の関係についてです。
杉下は安藤を巻き込みたくない、と考えていた。作戦の展開次第でどのように転ぶかは不明でありつつ、安藤を野口の攻撃対象から除外するには野口の 前で安藤が作戦に無関係である事を宣言するのが一番効果的です。そうであれば仮に野口のDVの立証に不調を来しても、安藤が会社に対して三人によ る計画を理由に野口の不当な攻撃を事前に防止する口実を作ってやる事が出来る。

そして最後の一つが自分と杉下の関係性です。
杉下と安藤を野口宅に残すと安藤が杉下にプロポーズする機会を残す事になる。杉下の気持ちは見えないけれど、安藤に勝ちうるとすると、シャルティ ヒロタのオーナーの弁の通り『言ったもん勝ち』の状況を作りたい。そうすると確実に安藤のプロポーズ機会を潰したい。

以上を考慮すると、成瀬としては確実に杉下を野口の下から隔離し、安藤の地位保全に配慮し、且つ安藤とのプロポーズ競争に勝ちうるポジションを得 るには、野口、安藤、杉下の前で、成瀬自身が西崎・杉下・自分による作戦の暴露が一番効果的、となると思うのです。

ですので、巷で期待されている『成瀬の起死回生の一手』とは成瀬による作戦暴露であり車中で考えていたのは、この事ではないか?と推理しました。

2015年12月29日火曜日

成瀬が車中で考えていた事は野口への作戦ばらしだった? その一

一つ面白い事を思いつきました。成瀬が野口宅へ向かう車中で考えていた事です。
このシーンについては従来私は安藤に対抗して杉下へプロポーズすべきか?その際さざなみの真相を杉下に話した時、杉下はどう反応するか?について 考えていたと思っていたんです。

ですが、N研でひまわりさんやしのぶさんと作戦の安藤への影響とそれについての展開をここのところ議論していて、今日ひらめいた事があります。

それは成瀬自身が作戦をどう終結させようと考えていたか?です。

実は作戦会議において、ここは殆ど議論されていません。作戦会議で出ていたのはせいぜいが、『野口が成瀬くんに八つ当たりしたら…』くらいのもの で、西崎が奈央子を連出した後の展開と現場からの離脱については未規定なんですね。西崎は完全に成瀬と杉下だのみですし、杉下はあまりこの手の先 を読む、という事にうとい。結局ここの部分は成瀬だのみの状態です。

物語が結局は心中となり、はっきり言ってしまえばここの部分ってまったくストーリー展開に影響を与えないのですが、ひょっとしたら、ここの解釈で その後のエピソードの見え方が変わるかも、と想い検討してみます。

仮に成瀬が作戦の終結方法を考えていたとして、どういうシチュエーションを想定したか?ですが、これは西崎が無事奈央子を連れ出した場合のみ、と 思っていいと思います。
西崎自身が奈央子が外に出る事を嫌がる可能性を口にしますが、それは成瀬には伝わっていない。西崎から伝わっていない状況を成瀬が想定するのはな い、と思っていいでしょう。同様に連出しに失敗する、という状況も想定していなかったはずです。この場合は西崎が室内で野口と対峙している状況が 予想されますから、それを見守り、仮に野口が手を挙げれば警察を呼ぶ、という考えで方が付く。

続く…

2015年11月15日日曜日

安藤の僻地赴任阻止行動の杉下の源泉 その二

杉下の安藤の僻地赴任阻止行動について考えています。
何故彼女にそんな事が出来たのか?
彼女の行動の源泉は以前考えた通りです。安藤に対する愛、などではない。
それは彼女が島で経験した『大人の身勝手さ、自分の手の届かない処で本人の努力に関係なく人の将来が閉ざされる事への抵抗(レジスタンス)と脱出(エクソダス)』です。この経験が彼女を突き動かした。つまり安藤の左遷が彼女の逆鱗に触れたという事ですよね。
で、今考えているのはこの『大人の身勝手さ、自分の手の届かない処で本人の努力に関係なく人の将来が閉ざされる事への抵抗(レジスタンス)と脱出(エクソダス)』の経験は何に還元されているのか?というものです。
杉下は確かに成瀬との親しくなる以前から彼女なりの現実対応(アルバイト)と逃避(野望)を行っていましたし親を含む周囲への反発もしていました。
ですがそれは『適応』だったのではないか?と感じています。
彼女の狡賢さでも考えた事ですが、彼女の対応はお城放火未遂前までは、社会的規範を飛び越えたものでは無いんです。

ではそれが『抵抗と脱出』という、ある種反社会的闘争のニュアンスを帯びるのは、お城放火未遂からなんですよね。

自身のお城への放火未遂
さざなみ炎上における成瀬のアリバイ偽証
母親への大学進学宣言(母親の切り捨て)
父親への衆人監視下での土下座してでの進学資金借り入れ申入れ

この部分が『抵抗と脱出』のニュアンスに通じている。
この時の杉下の対応が『適応』の範囲内であるなら、左遷阻止行動とはならない、まして野口を挑発する行動にはならないと思うんです。『抵抗と脱出』であるからこそ、杉下は行動できたのだと思うんです。

で、上記のプロセスは成瀬との関係性の中での出来事なんですね。
成瀬との感情の共有、『頼ってはならない』トラウマと『究極の愛』の形成、成瀬との誓約の成立とその実現化。

ですから杉下の安藤の僻地赴任阻止行動も成瀬の存在を抜きには語れないと思えるんです。

参照
杉下の狡賢さについて
安藤の僻地赴任阻止行動の杉下の源泉

2015年11月14日土曜日

何で安藤はクリスマスイブに西崎と会ってるの?

時折りやる、アンタッチャブルネタの投下です。
以下、その時の西崎目線で。

『安藤くん、君は何でクリスマスイブのこの瞬間に俺となんか会ってんだ?
 確かに君を呼び出したのは俺だが、君にはもっと大事な存在があったろう。何故杉下と過ごす事をしない?
 さしずめ杉下から拒絶されたってところだろうが、それにしたって一度返された指輪を強引に杉下に押し付ける事の出来る君が、何故こんな大事な日に何にも予定なく、俺の急な呼び出しにのこのこ串若丸まで出張って来れるのかが俺にはさっぱり分からん。親父に“世話になった人に恩を返せ”と言われて、君を呼び出してみたが、やっぱり君は俺から見るとそういうところがヘタレだ。まあ、俺には退屈しのぎにはなったがな。そんなだから杉下に相手にされず、成瀬くんに勝てないんだ。崩れそうな吊橋の問いに、“何だってする”と答えてしまう君には、それが限界なのかもしれんな』

アンタッチャブル、アンタッチャブル?

2015年11月11日水曜日

安藤の「そいつと付き合ってるの?」について

安藤が野口家からの帰りに、まだ知らぬ成瀬と杉下との関係を聴きました。

「そいつと付き合ってるの?」

全体を俯瞰すると、スカイローズガーデンの事件は大きな流れとして野口夫妻も含めた6人の運命・必然と感じるのですが、その中に「IF」をいれさ せてもらえるなら、安藤のこの言葉を上げさせてもらいたいと思います。

杉下は間髪いれずに否定しました。

もし彼の問いが「そいつの事、好きなの?」であったなら…
事件は起きなかったと思うのです。

杉下は照れながらもその問いを肯定したはずです。
彼女は西崎も含め自分の過去と感情に嘘をついていません。問われないから話さないだけなのです。「付き合っているのか?」と問われたから、事実と しての「付き合ってない!」を返したに過ぎない。

「そいつの事、好きなの?」彼女がその問いを肯定していれば…
安藤はプロポーズをする気にはならなかったでしょうし、そうなれば野口にもその意向を告げる事もない。野口の杉下の土下座に対する茶化し(安藤に ついていく?)もなく、杉下が野口を挑発する事態にも到らなかった…

これは本当に言葉のあや。微妙な表現の差異です。その差異が杉下の返答を変え、安藤の行動を変えた。杉下はあくまで事実を言った。安藤は『付き 合っていない=恋愛感情はない』と取った。だからプロポーズを画策した。

私がこの表現の差異を取り上げたのは、自分も似た経験があるからです。
ある意味、この時の安藤と杉下以上に複雑なやり取りでした。

私はマリア様に安藤と同じ問いをしました。『付き合っている人はいるの?』
彼女はこう答えました。『想いを寄せてくれる人がいる』
私は彼女にこう言いました。『その人に想いがあるなら、真剣に受け止めるべきだ』

私は彼女の背中を押したのです。自分の本心を殺して。

もし、彼女の答えが『付き合っている人はいない』だったら。
私は彼女に『もう一度付き合いたい』と言ったと思います。
もし、彼女の答えが『付き合っている人がいる』だったら。
私は彼女に『今でも君の事が好きだ』と伝えたと思います。

でも彼女の答えは『想いを寄せてくれる人がいる』でした。

彼女は告白されたのでしょう。そしてそれにまだ答えていない。
自分の時と同じだと思いました。
自分は彼女に思いを告げましたが、結局彼女の気持ちは聴けずじまいだった。
彼女は同じ事を繰り返していると思いました。それはいけない事だと思いました。
そして、そこに自分が介入するのは憚られました。
私は彼女の当時の気持ちが、自分にあって欲しい、と願っていました。
ですが『想いを寄せてくれる人がいる』状態の彼女の感情に介入するのは中学の頃の自分から、彼女の感情を掠め取るように感じたのです。彼女の事を 思って、というより自分から自分が彼女を掠め取る行為に思えた。そしてそれは自分には出来なかった。

彼女の本意はどこにあったのか?彼女の言った事は事実だったのか?
それは判りません。ですがこんな些細な、微妙な言葉の選択でその後の人の行動が決定的に異なる、異なりうるという事を経験した自分にとって、この ときの安藤の問いの言葉に『IF』を投掛けてみたくなります。

2015年11月8日日曜日

杉下の『みんな、一番大切な人のことだけを考えた』はいつの時点の認識か?

『その時考えていたのは大切な人のことだけだった。その人の未来が明るく幸せであるように。みんな、一番大切な人のことだけを考えた』

九話における杉下のモノローグです。
このモノローグでは、『みんな』と表現されているんですよね。つまりは安藤を含めて、という意味です。杉下は安藤も一番大切な人の未来が明るく幸せであるよう、その人の事だけ考えた、と杉下も取っていたという事です。

ですが杉下は安藤を嫌っていた。安藤の訪問を事件後拒絶しています。安藤の外鍵は中の三人の思惑の一致からこちらから隠蔽を図ったものですが、杉下には安藤が自身の保身からそれに乗ったように見えていたんです。だからこそ彼を拒絶し、そして彼を嫌った。この段階では杉下には、安藤の偽証意図を理解出来ていないはずです。視聴者側でさえ安藤のN=杉下、という安藤の高野への証言に違和感を抱いている人が多いのですから。

でもこれまで検討した通り、安藤の偽証意図は杉下を殺人の嫌疑の外に置く事です。

では最初の杉下のモノローグはいつの時点での彼女の認識を語ったものであったのかと言うと、安藤が杉下へプロポーズした後の段階です。つまり杉下は安藤が当時自分へプロポーズするつもりであった事をしった。好きな人間を嫌疑にさらす事はできない。だから安藤は自分を嫌疑から除外する意図で偽証した、という事に気付いたわけです。

参照
杉下はなぜ事件後、安藤の訪問を拒絶したのか?
『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座 そのⅠ〜11
安藤のNは杉下と言っていいのか? その一〜二

2015年10月26日月曜日

杉下に安藤に対して気持ちがない事の証拠

自分で書いていて、今更なんですが杉下に安藤にへの恋愛感情が存在しない事の証拠をもう一つ見つけました。

それは、西崎の奈央子救出に協力する事です。
作戦に杉下自ら噛む事自体が杉下には安藤に対する恋愛感情が存在しない事の証拠でした。

つまりこういう事です。

N作戦時、杉下と安藤は若い恋人関係として野口夫妻に接近しています。そしてその関係の偽装は続いていた。実際奈央子も西崎に接触するまではそう 見ていた。
それは杉下自身も野口に「僻地でも安藤についていくか?」と問われた際に「ついて来いと言うなら」と答えている。安藤派の方はこれを杉下の安藤へ の感情の根拠としている。
でも、安藤に対してそのような感情は無くても、野口夫妻へのこれまでの偽装を考えれば、この時杉下は野口に対してそう答える事は十分理由が建つ。 だから、この発言は杉下の安藤への恋愛感情の証拠とは出来ない。

で、話しを元にもどすとして…

もし仮に杉下に安藤に対する恋愛感情があったなら、彼女はN作戦2には参加できないはずなんです。

もし杉下自身が安藤に恋愛感情があったなら、そして野口もそう見ている環境で安藤の彼女たる自分が野口と奈央子の関係に介入行動を取った場合、そ の事実は野口も知る事になる。その時、野口自身が杉下の恋人と思っている安藤に何を感じるか?
部下の恋人が自分と妻の関係に直接介入されたら、その部下の事をどう思うか?当然いい顔をしていられませんよね?

『安藤は作戦の事しらないから』と杉下に言わせ、さも安藤を作戦外においておこうとしているかの如く演出されていますが、冷静に考えれば安藤が無 関係であれる筈は無く、杉下に安藤に対する感情があるなら、N作戦2には参加できないはずなんです。

という事は逆説的に杉下には安藤に対して恋愛感情は持っていない、という結論になるんですね。

参照
成瀬派安藤のプロポーズ情報で杉下の恋人が安藤と誤解するか?

2015年10月22日木曜日

成瀬は安藤のプロポーズ情報で杉下の恋人が安藤と誤解するか?

ガルちゃんの考察を読んでいて、不思議な論を見ました。
成瀬が安藤のプロポーズの意向を知って、安藤と杉下が恋人関係である、と成瀬が誤解したという論です。

ここで一つ前提としたいのが、成瀬は他人の行動意図を、それが杉下の自分に向けられたものでない場合には非常に正確に類推出来る、という特徴があります。

この前提に立った上でこの時の成瀬の類推を追ってみたい。

成瀬は安藤と野口が会社で直接の上下関係である事は事前の打ち合わせで知っている。そしてプロポーズ予定が野口からもたらされた情報であるから、野口も安藤と杉下をそういう関係だと理解している。
杉下が安藤に恋愛感情があるなら、自分が野口からそう見られている事を当然理解しているはず。杉下が野口夫妻の間に介入したら野口にも当然知れる。杉下は恋人たる安藤が置かれる立場をどう考えるか?自分の行動で恋人たる安藤の野口に対する立場が悪くなる事が予想されるわけで、恋人たる杉下にそれが許容出来るか?と考えると、成瀬には杉下には安藤に対してそのような感情はない、という結論になる。
だからプロポーズの情報を聞いて成瀬が、杉下と安藤が恋人関係であると誤解する事は無いんです。

2015年9月28日月曜日

安藤が杉下の連絡先を知っていた事の理屈づけ

ずっと安藤がなぜ帰国直後、連絡を取り合っていない、と高野にも言った杉下宛にメッセージを送れたのか?宛先を知っていたのか、考えてたんですね。

杉下は事件後携帯の番号を変えている。安藤が言っていることが正しいなら(もっともミステリーで嘘はなしですが)なんで安藤は杉下宛にメッセージを出せたのか?

この問題、ついに解けました!

使っていたツールが肝です。
はっきりいいます。LINEです。

LINEの特徴として、相手は自分の携帯番号の登録がなく、相手がLINEを使っている状態で、自分が相手の携帯番号を登録した状態でLINEに登録すると、自分の携帯に登録された番号でLINEの登録があるかを探し、一致する相手があればそのアカウントを『ともだち』として相手側にも通知する、という機能があります。

これなら説明が出来るんです。

つまりこうです。
安藤は携帯番号を事件後も変えなかった。
杉下は携帯番号を変えた。しかし安藤へはそれを教えなかった。安藤の携帯電話の登録は残したままだった。

LINEが普及し、安藤はLINEに自分の番号でアカウントを作った。
杉下もLINEのアカウントを作った。その際杉下側の携帯に登録された安藤の携帯番号で安藤のアカウントの照合がされ、杉下のアカウントが安藤側にも通知された…

この時電話番号は安藤側には通知されません。
ですので、よく見ると10話を除いて二人が携帯で会話しているシーンはない。安藤側からはLINEのアカウント以外に杉下とつながる方法がない。だから携帯で話すシーンは無いものの、安藤が一方的にLINEで時折現況連絡を入れたいたから、最初のメッセージがさも杉下が安藤が海外に行っていたことを知っている前提の書き出しになっているんです。

2015年9月10日木曜日

成瀬は杉下のN=安藤と誤解した? その4

熱い議論が止みません。この議論がこれほど熱を帯びるとは!
私が最初に提示した、成瀬は杉下のN=安藤とは取っていない、西崎だと取っていた説。
ポイントはそれでは成瀬は杉下の手を取れないだろう、というものでした。

当初桃さんの杉下は恋愛出来ない説→西崎への感情への疑問の応酬から始まり、その後成瀬が杉下のN=安藤と誤解したとする場合の、島での高野と成瀬の会話の検証と解釈へと話が進みました。
その後杉下の抱えるトラウマの解釈へと話は進み、電話番号を変えた意図の解釈の応酬が行われます。

そこへnaoさんの『杉下の安藤入室阻止行動』の意味は?との問いが入ります。そこから再び事件現場での杉下の行動意図とそれを見た成瀬の解釈論、成瀬から見たときの杉下が偽証を受け入れた理由の再評価と進みました。そして杉下の『都合の悪い事は外の人間に対してとっさに隠す』行動特性が、安藤の入室阻止行動の意味である、という重要な知見が得られた。
その後『大切な人の事だけ考えた』の意味論が展開されました。

そしてついに成瀬が『杉下のN=安藤と誤解した』説の拡張型として『成瀬は杉下を嫌った』説が出てきます。それに対して手厳しい意見も頂きつつ、西崎がなぜ安藤を先に呼び出したのか?という解釈からアプローチが始まっているところです。

参照
成瀬は杉下のN=安藤と誤解した? 1〜3

2015年9月7日月曜日

杉下の『安藤、待って!』と『助けて、成瀬くん!』

この話題は実は成瀬は杉下のN=安藤と誤解した?を巡る議論の中でコメントを頂いてるnaoさんからの問題提起、『成瀬には杉下の安藤入室阻止行動がどのように見えていたか?』から始まり、そこに桃さんも加わった議論で得た成果です。お二人に感謝!

杉下のN=成瀬という認識下で、成瀬を守る為の行動として杉下の安藤入室阻止行動がどのような意図であるのかがさっぱり見当が付かなかったんですが、naoさん、桃さんの説明で理解出来ました。
『成瀬を護りたい杉下にとって、成瀬と自分の関係を知る者を増やしたくない』という心理です。
この心理は彼女の行動特性から来ています。杉下には『都合が悪い事は咄嗟に他人に隠す』という特徴があります。

四阿で成瀬に対して母親の発作を高野に言わ無いでほしい、と頼むシーン。
さざなみ放火で成瀬が高野に詰め寄られる場面で咄嗟についた嘘『四阿で成瀬に奨学金の申請書を渡した』
そして安藤の入室阻止行動

いづれもが『都合が悪い事は咄嗟に他人に隠す』特性の発露です。

そう考えると、成瀬には『助けて!』と言い、安藤には『入らないで!』という、杉下の二人に対する心理的距離の対比が非常に面白いですね。
杉下にとっては、成瀬は『中の人』であり、安藤は『外の人』だという事が如実に表れている。この心理は作戦の参加者かどうかに関係無い。危機に際して杉下が誰を頼るのか?というまさに安藤が知りたかった事そのものの発露なんですね。
杉下は成瀬の入室直後、その背中に『成瀬くん、ごめん』とつぶやいています。杉下も成瀬は本質的に巻き込んではいけない存在だとこの時点で判っていてる。それでも切羽詰まった時に助けを求めざるを得ない、そしてそれができるのが唯一成瀬なんだ、という事が端的に表されているのが、この二人に対する対応の描写なんですね。

2015年8月29日土曜日

『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座 その3

先ず一つ言葉の定義について明確にさせて頂きたいと思います。ここで論じる『杉下のN』とは、スカイローズガーデン事件の処理の際、杉下が誰の事を大事として行動したか、とします。より具体的には奈央子の自殺以降、杉下がその人物を護るために行動、選択をした対象者とします。つまり杉下が『一番大切な人の事だけ考えた』相手です。

なぜこのような形で時間軸上のある点以降に限定するか、については実はそれ自体がトリックに関係するからです。ですので本来であれば、このようなテクニックを用いる事自体がトリック破りのための方法論なので、謎解きの一部に含まれるのですが、これを予め提示した上で先を進めないと、話が正確に伝わらない可能性が高いため、便宜上先に提示させて頂きました。

もう一点はここで分析、解説させていただく事項に関しては、『杉下の意図』がその対象である、という事も併せて先に断っておきます。
この点についても、上記の時間軸に関する説明と同じです。これから進める論中、『〜のために』という表現が頻出する事になりますが、その意味を取り違えるとこれも話が正確に伝わらない、あまつさえ、全く意味が逆になる事が起こるので、先に明確にさせて頂きます。

実を言うと、上記二点を明確に意識する、使い分ける事に気付く事がこの『杉下のN』分析上の方法論として必要不可欠で、これを取り違えるとあらぬ方向に論が進んでしまいます。その意味で製作側のミスリードのテクニックのネタばらしであり、これに気付く事自体がここの謎解きの楽しみの一つではあるのですが、それでは解説にならないので、皆さんの楽しみを幾つか減じますが、その点は了承願います。

それでは明日以降、具体的に話を進めていきましょう

続く…

2015年8月27日木曜日

『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座

このドラマで一番解りやすく且つ一番多くの方が解消できていないギャップがスカイローズガーデンで『杉下のN=安藤』に見えるにも関わらず、ラストシーンで杉下は成瀬の元で幸せを得た描写です。
他のメンバー、成瀬、西崎、安藤がそれぞれ自身のNが誰であったかを高野に明かしているにも関わらず、杉下のNだけは最後まで明かされることなくドラマは終了してしまいました。

このギャップを解消するため、番組終了直後からさまざまな解釈が展開されました。それは成瀬を中心に解釈する系譜(いわゆる成瀬派)と安藤を中心とする系譜(いわゆる安藤派)の2系統に大別されます。

成瀬派の論旨
・島時代を含め、全編で杉下の成瀬への想いが描写されている。だからラストで杉下が成瀬の元に還るのは当然。
・スカイローズガーデンでは杉下は安藤を護った(杉下のN=安藤)
・杉下が安藤を護ったのは、安藤が杉下の上昇志向の象徴的存在であり、彼の将来がつぶされることは何としても避けたかった。また生活能力に若干の問題(のこぎりをろくに使えない)のある安藤を長女気質でまもった。

安藤派の論旨
・東京編での杉下の恋愛感情は安藤にあった。
・だからスカイローズガーデンでは安藤を護った(杉下のN=安藤)
・成瀬の元に還ったのは杉下が病気となり、安藤の将来への邪魔になるのを嫌がったから。安藤を諦め、それでも受入れてくれる幼馴染の元へ行くのは、現実的な女性の選択。
・原作者自身が『紆余曲折を経て主人公が両思いになる物語を自分が書く意味がない』と言っている。成瀬派の論旨は原作者が書かない、と言っている事そのもの

いわゆる中間派、と呼ばれる系統も存在しますが、これは上記二派のハイブリッド論ですので、この講座では特に扱いません。

続く…

2015年8月23日日曜日

成瀬が安藤にいった 『杉下があの時考えていたのは… 』の意図 その四

続き…

そしてさらには、成瀬にはいずれ杉下は安藤を赦すだろう、という予測が出来たんです。それは杉下が成瀬のプロポーズを留保した言葉『甘えられん』です。この言葉は、留保する理由が自分の中にある時にしか使え無い言葉です。つまり成瀬からの見た時、杉下がスカイローズガーデンについてのわだかまりが杉下自身の中にある感情であり、他との関係性に依存し無いものである事が分かる。だから成瀬には杉下がいずれ安藤を赦すと。

以上より纏めると、成瀬が安藤に『杉下があの時考えていたのは…』と言った意図は以下の通りとなります。

杉下の赦しを得たい安藤を慮って、いずれ杉下が安藤の事を赦す筈であるから、今自ら杉下を吹っ切る必要はない、と安藤に伝える為。

桃さんとMacさん、ありがとうございます。
お二人がいなければ、この成瀬と安藤の会話の意味が迷宮入りしてしまう処だったんですが、これで解決出来ました。貴重なサジェスチョン、感謝です。

参照
やっぱり解けない安藤と成瀬の会話の謎
安藤と成瀬があったシーンの評価
この作品のテーマ
『杉下希美を愛してやまない人祭』開催のお知らせ(桃さんコメント)
事件に対する成瀬の認識の到達度の検証
安藤が真に求めていたもの
成瀬は安藤が外鍵をかけた事を捜査機関に喋らない事が判っていた
安藤のNは杉下と言っていいのか? その二
杉下の『成瀬くん、ごめん』と『甘えられん』

2015年8月22日土曜日

成瀬が安藤にいった 『杉下があの時考えていたのは… 』の意図 その三

続き…

おそらく安藤としては、杉下に何度も会うが、事件の事は一言も語らない。プロポーズをしてまで聞こうとしているのに杉下は一向に心を開かない。それは自分の行いが、杉下とその究極の愛の相手である成瀬との関係までもぶち壊してしまったから。成瀬からの赦しを得られない限り杉下が自分を赦す事は無い、と判断したものと思われます。
ですので、成瀬から何も聴けない=成瀬から赦されない=杉下からも赦されない→杉下を吹っ切ろう、という安藤の成瀬への発言になるんですね。

で、漸く本論に入れる訳ですが、安藤の発言で成瀬には安藤の意図と置かれた状況が理解出来た。つまり安藤は杉下の赦しが得たい、そのためには自分が条件になる、そして自分が赦さなければ安藤は失意の内杉下からの赦しを得る事を諦める、という事です。

ここで成瀬という人物の性根ともいうべき性格が出た。相手にそっと寄り添う優しさです。
成瀬としても杉下を窮地に陥れた安藤は嫌悪の対象であった。しかし事件は既に過去のものであり、いつまでもそれを引きずっていても過去が変わる訳では無い。それに成瀬としても事件処理の際に安藤が独自の判断で杉下を擁護するために、一切の事に口を噤む事がわかっていたし、安藤は実際にそれをやった。成瀬と安藤の間ではある種の共闘関係が出来ていた。そこに想いを巡らせたんです。彼にも救われるべき部分がある、と。

ここで自分が杉下に赦された事が成瀬の心理に効いてきます。
成瀬にしたって、さざなみの際にずいぶんな事を杉下にしたという自覚がある。しかし杉下は自分を許してくれた。そうであるなら、自分も安藤を赦すべきだ、と考えたと思われます。

続く…