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2016年2月4日木曜日

早苗が杉下の罪意識の対象だとした時、安藤を赦せた杉下の心理

早苗は杉下の罪意識の対象でした。

初期の判断では、成瀬に身を寄せる決意をした彼女が、いずれその病状が進んだ時、成瀬に頼り切る事になる。それはある意味生活能力の欠如した、他人に依存、拘束する早苗と同じ状態であり、それを嫌悪していた杉下は、自分を許せなくなる。
成瀬のために全ての時間を使うことを決意した彼女には、そんな自己嫌悪さえ成瀬のためにしたく無かった。だから自らが早苗を許すことが出来るか、それを確かめに、早苗を許すために早苗の元を尋ねた。
そして自らの深いトラウマであった早苗を赦せたから、その後に安藤も赦すことができた…

こういう解釈でした。

ですが、杉下の早苗に対する感情を詳しく分析すると、杉下にとっては早苗は成瀬との誓約を守るために切り捨てた、罪意識の対象である事が判ったんです。

そうすると、杉下は早苗の元に赦される為に訪れた事になる。
とすると、ここで困った事が起きたんですね。では安藤を赦せた心理は何処から来たのか?
杉下と早苗の間の、赦しのベクトルが逆転した事により、杉下が安藤を赦せた心理の出処が不明になってしまったんです。

この問題を暫く考えていました。そして漸く答えを得ました。
杉下は、早苗から赦される事で、安藤を赦せたのです。

赦しの心理とは面白いもので、赦される、赦されたいという心理には必ず相手に対する赦し、赦したいという双方向の感情が伴う事に気付きました。
つまり、赦されたいと願う相手に対してはその内に必ず相手を赦したいという逆ベクトルの関係を内包している、ということなんです。

自分のことは相手から赦されたいけれど、自分は相手を赦さない

こんな心理は赦し、赦されにはあり得ないんですね。
ですから、杉下が早苗から赦されたいと早苗の元へ向かった心理には杉下自身が早苗を赦したいという心理を内包しており、杉下が早苗から赦されたいと実感できた時、彼女自身が早苗を赦すことが出来たと感じた。だから安藤を赦す事が出来た…

ですから、赦し赦されのベクトルの逆転は安藤への赦しの心理とは矛盾しない、という結論に至りました。

2015年11月20日金曜日

スカイローズガーデンに至る経過における杉下の罪意識 その二

…続き
安藤の僻地赴任を勘違いし、野口を挑発した
杉下が僻地赴任阻止に動いた源泉は『大人の身勝手さ、自分の手の届かない処で本人の努力に関係なく人の将来が閉ざされる事への抵抗(レジスタンス)と脱出(エクソダス)』。そしてそれが何に還元されるか?というと成瀬に還元される。『抵抗と脱出』という、ある種反社会的闘争のニュアンスを帯びるのは、自身のお城への放火未遂
さざなみ炎上における成瀬のアリバイ偽証、母親への大学進学宣言(母親の切り捨て)、父親への衆人監視下での土下座してでの進学資金借り入れ申入れなど。上記のプロセスは成瀬との関係性の中での出来事であるから杉下の安藤の僻地赴任阻止行動も成瀬の存在を抜きには語れない。

安藤に鍵を掛けさせた
安藤が鍵を掛けたのは、直接的にはプロポーズの機会を失った安藤が成瀬に怯えて自分と成瀬とどちらを選択するか杉下を試すため。でもそもそも安藤が惚れた杉下の特性である野望と独立性はそもそもの起源が成瀬。

成瀬を頼った
成瀬を頼れない、が杉下の最大のトラウマ。それでも彼が杉下にとっての救世主であり、唯一頼れる存在。本来現場に入れるべきでなかった成瀬を頼らざるをえなくなり彼に偽証を強いることになった。

偽証した
成瀬の指示ではありつつ、彼女が偽証を受け入れたのは、西崎単独犯としなければ自分と成瀬の関係が辿られ、さざなみにおける成瀬の関与を蒸し返されるため西崎を切った。

参照
杉下が希求していたもの
杉下の狡賢さについて
杉下の特徴と成瀬の関係性 その一〜ニ
杉下の『究極の愛』は『成瀬に対する罪』を杉下自身に対して隠蔽する心理システム
杉下の『究極の愛』の構造 その一〜ニ
杉下の『究極の愛』が西崎に働いた経過 その一〜三
スカイローズガーデンの事件を招き寄せてしまったもの
N作戦2における杉下の魂胆
安藤はなぜ外鍵を掛けたのか?
安藤の僻地赴任阻止行動の杉下の源泉 その二
杉下の『成瀬くん、ごめん』と『甘えられん』
成瀬、杉下が偽証を選んだ理由

2015年11月19日木曜日

スカイローズガーデンに至る経過における杉下の罪意識 その一

N作戦に参加した
杉下が希求していたのは成瀬という心の『Home』。
お城放火未遂とさざなみ炎上にその『心のHome』から距離を取らざるを得なかった杉下にとって、野原の爺さんの『Home』たる野ばら荘を守る事は、自分の『心のHome』を守る、そしてそれとの繋がりを確認したいという心理の代理行為。

野口家へ接近し知故を得た
きっかけはN作戦ではあったが、裏側は成瀬との約束たる野望『アラブの富豪と出会う』の実現。そしてそれを後押ししたのも成瀬から教わった将棋。きっかけを作ったのは杉下が奈央子のボンベを操作したからで、これは成瀬との誓約=野望の実現のために杉下が身につけた狡賢さの発露。

奈央子に脅威を与え、西崎との接点を作った
野口の将棋のブレインを頼まれた事から野口との二人でのやり取りが増え、それが奈央子の不信を作った。杉下の将棋は成瀬の将棋。また奈央子が杉下に感じた脅威は『一人で生きてゆく力』。一人で生きてゆく事ができる野口に対し一人で生きられない自分が疎ましく思われるかもしれない可能性に対する恐怖を掻き立てる、『一人で生きてゆく力』をもつ杉下が羨ましくもあり、妬ましい。そのような心理が奈央子の野口に対する独占欲と依存心を掻き立て、DVを許容させた。そのDVが同じくDVの経験をもつ西崎との接点を作った。しかし奈央子が感じた杉下の『一人で生きてゆく力』は杉下の『成瀬を頼ってはいけない』という彼女最大のトラウマに還元されるもの。

N作戦2を成立させた
これは杉下の『究極の愛』という精神保護システムのせい。環境が整ったが故にシステムが逆作用し西崎の罪への協力を愛の名の下に合理化させてしまった。またそのシステムの立ち上がり段階において成瀬は機敏にも杉下の感情の変化の糸口を捕まえて先読みし、杉下の感情が西崎にあると考えたが故に彼もまた作戦への参加を杉下への愛で合理化してしまった。そしてそのキーとなった杉下の『究極の愛』という精神保護システムが形成されたのはさざなみ炎上で、これも成瀬が起源。

続く…