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2015年3月31日火曜日

製作者の意図、目標

『Nのために 論考』

今日はドラマの謎解きを少し離れて、このドラマでの製作者の意図、目標について触れておきたいと思います。

製作側の意図は下記3点と思ってます。
1.物語の構造にこだわりにこだわったこと
2.視聴者をだまくらかす事
3.杉下を幸せにする事

構造については、既に書かせて貰いましたが、さざなみ事件とスカイローズガーデン事件を、同一ポジションの登場人物に原因・意図・行動・結果・時間を反転させた対構造を作り上げた。
その上で、さざなみは”偶然と勘違いと思いやりによる美”を、スカイローズガーデンでは”必然とエゴと打算による醜”を弁証法的に作り出し、杉下に二重の苦しみを負わせた。

視聴者のだまくらかしについては、スカイローズガーデンの安藤の外鍵の隠蔽の先にある、4人の取引を隠蔽し、杉下の成瀬を守る意図を視聴者に隠した。

そして現代編での、杉下の魂の解放、ラストシーン。
杉下に幸せを与える、苦しみから解放する。
死期を迎えようとする人間には、自分が頼れると思う存在、その存在が近くに居てくれる、という信頼が最後の拠り所だと思うのです。
杉下の最後の幸せとして、杉下が頼れる成瀬の元に。
それが製作者の目標だったと思います。

2015年3月23日月曜日

『Nのために 論考』対称性・対称性 さざなみ放火事件とスカイローズガーデン殺人事件 その三

さざなみとスカイローズガーデンでの対称性・対照性の付記として、さざなみにおける杉下の誤解による、杉下の認識のねじれについて触れておきます。

事実関係に基づくポジションについては、昨日投稿した通りなのですが、杉下の行動を理解するうえで、彼女の認識を理解しておく事が必要です。

さざなみにおける杉下の誤解は、さざなみ放火犯は成瀬だ、というものです。
これには伏線があります。

その前日に杉下が苦しみの余り、追い出された実家(父親と愛人が住む)を放火しようとしました。
成瀬がそれを止めたのですが、杉下の苦しみを見かねた成瀬が、〝杉下を犯罪者にしたくない、俺がやる〝と代理放火をしようとした事実がある。
成瀬の代理放火は杉下が止めたのですが、成瀬も翌日にはさざなみを出て行く予定であり、二人が共通して抱えていたのが、〝燃やしてしまえば、大事な場所を誰にも取られない〝という思いでした。
そしてさざなみが燃えている現場を見つめる成瀬を見つけた杉下は、成瀬が本当にやった、自分の代わりに本当にやったと勘違いしてしまった。

この結果、杉下は自身の認識として、自分が夏恵のポジション=事実を知る人、であり、かつスカイローズガーデンでの安藤に似たポジション(事件のトリガーとなる行為をした)だ、という認識であった、という事です。

ここでの誤解が後の15年に影響を与えます。



2015年3月22日日曜日

対称性・対称性 さざなみ放火事件とスカイローズガーデン殺人事件 その二

さざなみとスカイローズガーデンの二つを構造的に分析した結果を詳述します。
各ポジションでの各キャラクターの行動、動機、結果、時制がなにがしか逆転している事がお判り頂けると思います。

私は、オフィシャルサイトへのメッセージ投稿でも書きましたが、将棋における〝同一駒配置の手番組違い〝だと表現しました。静的なシンメトリー性と、動的なベクトルの逆転現象及び結果の違いを表現する方法として一番適切なように思えたからです。


犯人
さざなみ:成瀬父
行動は自殺目的の放火
行動動機は成瀬の進学資金を捻出する為
結果は夏恵に救助され生存

スカイローズガーデン:奈央子
行動は野口殺害
行動動機は野口との揉み合いで危機に陥った西崎を助けるため
結果は自殺、死亡

嫌疑を受けた人
さざなみ:成瀬
行動は〝自分はやってない(誰がやったのかも知らない)〝
行動動機は犯人である父親の保護
結果は自分及び父親双方とも逮捕されず

スカローズガーデン:西
行動は〝自分がやった〝
行動動機は犯人である奈央子の保護
結果は逮捕、服役

捜査機関に対して隠蔽行動を取った人
さざなみ:杉下
行動は無かった事をあった事をとする偽証〝成瀬と会っていた〝
行動動機は自身が犯行を疑った、嫌疑を受けた成瀬の保護
結果は成瀬との別れ

スカイローズガーデン:成瀬
行動はあった事を無かった事をとする偽証〝鍵はかかっていなかった〝
行動動機は杉下を嫌疑から除外する為
結果は杉下との別れ

事実を知る人
さざなみ:夏恵
行動は証拠隠滅、犯人を知っている事自体を隠す
行動動機は成瀬親子の保護
結果は声を失う

スカイローズガーデン:杉
行動は成瀬への外鍵隠蔽依頼(あった事を無かったことにする)
行動動機は成瀬の保護。偶然を装う事でさざなみ放火事件まで蒸し返される事を恐れた。
結果は病による余命宣告

実を知りたい人
さざなみ: 高野
行動は スカイローズガーデン関係者へのインタビュー。タイミングは事後
行動動機は夏恵が声を失う事になってしまったさざなみ放火事件の真相解明
結果は夏恵が事実を知る人であり、自分の行動が夏恵を苦しめていた事の理解

スカイローズガーデン:安藤
行動は外鍵を掛ける事。タイミングは事前
行動動機は危機状況で杉下が助けを求めるのは自分かどうかを知るため
結果はその他三人から事件の真相を隠されている。仲間ハズレ、疎外。


対称性・対称性 さざなみ放火事件とスカイローズガーデン殺人事件 その一

さて、今日は物語で提示された対称性・対照性の内、特にさざなみ放火事件とスカイローズガーデン殺人事件については詳述したいとおもいます。

私がこのドラマにはまった一番のポイントであり、私の謎解きのスタート地点でもあります。

二つに事件では、同じ役割を担ったキャラクターがそれぞれに配置されたいました。
しかし、それを動的に観察すると、相互に原因・意図・行動・結果・時間を反転させた対構造となっているんです。さらにはさざなみにおいては勘違いからその構造にねじれが発生してしまい、さらに解りづらくなっています。

これはかなり複雑な構造で、製作者が徹底的に作り込んだ部分です。ドラマの真相を理解する上でも重要です。

その上で、さざなみは”偶然と勘違いと思いやりによる美”を、スカイローズガーデンでは”必然とエゴと打算による醜”を描き出している、というのが2つの事件の対称性・対照性です。


2015年3月20日金曜日

対称性・対照性

ドラマがキルケゴールの実在主義のモチーフである根拠を述べてゆきます。 
次は対称性・対照性についてです。 
 これも皮肉(イロニー)と併せ、多くの例があります。 
キルケゴールは弁証法を駆使してその思想を展開して行きました。
これはキルケゴールの時代、ヘーゲル哲学が持て囃された事に対するアンチテーゼとして同じ弁証法を駆使して、ヘーゲル哲学が描かない、論理的には説明しえない個人の問題を描こうとしたためです。
弁証法においてはテーゼに対するアンチテーゼという形で二つの対称性・対照性を統合(ジンテーゼ)する、という方法がとられます。 
 対象性・対照性の例を挙げてゆきます。 
他にも見つけられた人はがいらっしゃれば、ぜひ教えて下さい。

 お城と幽霊屋敷
杉下は〝お城〝と呼ばれていた実家を追い出されて、地元の子供からも〝幽霊屋敷〝と呼ばれていた集落の一番外れにある古びた一軒家に居を移すことを余儀なくされました。

 スカイローズガーデンと野ばら荘 
名称も空と地、実際の居住環境としても一方はタワーでセキュリティも万全なマンションであるのに対して、もう一方は築70年にもなるオンボロ格安アパート

 杉下と西崎
さざなみが燃え上がる炎を見て、苦しみから救われた杉下と、母親からの炎によるDvとその母親が亡くなった原因も火災であるという強烈な炎に対するトラウマを抱えた西崎。

 さざなみ放火事件とスカイローズガーデン事件
製作者の意図により作り出された対称性と対照性を持つ二つに事件。対称性と対照性が多重構造として形成されていています、これについては別途詳述するつもりです。