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2015年8月7日金曜日

この作品のテーマ


実はこの作品のテーマは何だったんだろう?それをずっと考えていたんです。
いろんな処でいろんな意見を見ても、なかなか納得出来るものが無かった。

描かれていたものが何であるかは、わかる。その中で共通に流れるキーワードは何か?

9話及び最終話の現代編の描写を一つ一つ思い出しながら、つらつらと考えていたら、漸く一つのキーワードに辿り着きました。

この作品のテーマは『赦し(ゆるし)』です。

西崎は謝罪に行った実家で父親から『たまには帰ってこい』と赦された。
西崎は安藤を赦す事が出来たから、安藤を『串若丸』へ呼び出した。
自宅に放火した父親を赦す事が出来た成瀬は、杉下にさざなみの真相を話した。
成瀬は父親を護る為に杉下を利用した事に赦しを請うた。
杉下はさざなみで自分を利用した成瀬を赦した
成瀬はスカイローズガーデンで自分を利用した杉下を赦した
杉下は島時代の母親を赦した。
杉下は永く嫌っていた事を母親に赦された。
夏江は嘘をついていた事を高野に赦された。
杉下は赦す事ができた安藤にエールを送った。
杉下は自分自身を赦す事で、魂の解放を得て成瀬の元に還った。

すべてのシーンが、赦しというキーワードで説明できる事に漸く辿り着きました。

『赦し』というキーワードは、杉下の魂の解放過程における母親との再会で重要な事項として認識していたんですが、改めてそれ以外のシーンでも一貫した作品全体を貫くテーマであった事に思い至りました。

よく杉下と母親の再会シーンの評価について、『杉下が自分の気持ちに素直になって』という評価を見るんですが、私はそうは見えないんですね。杉下は相当な覚悟で母親の元に来た。それでも怖くて一度は逃げ出しているんです。
想像になってしまいますが、もしここで母親と相互に赦し合える事が出来なかったら、杉下は成瀬のもとには行けていなかったのでは?と考えています。すべてを赦し、自分を受け入れてくれる成瀬に対し、赦す事が出来ない自分を抱えたまま成瀬のもとには行けない、と考えたからこそ、杉下は母親に会いに来た、と理解しています。

正直、母親とのシーンは長すぎる、と感じていたんですが、作品テーマを代表するシーンとして、やはり重要であったからこそ、その描写に時間を充てたんですね。

参照
杉下が安藤へエールを送る事が出来た心理変化
西崎が安藤に『崩れ落ちそうな橋』の問いをした理由
杉下は成瀬の何に〝悪魔的絶望〟を抜け出す光を見たのか
魂の解放