2015年11月19日木曜日

スカイローズガーデンに至る経過における杉下の罪意識 その一

N作戦に参加した
杉下が希求していたのは成瀬という心の『Home』。
お城放火未遂とさざなみ炎上にその『心のHome』から距離を取らざるを得なかった杉下にとって、野原の爺さんの『Home』たる野ばら荘を守る事は、自分の『心のHome』を守る、そしてそれとの繋がりを確認したいという心理の代理行為。

野口家へ接近し知故を得た
きっかけはN作戦ではあったが、裏側は成瀬との約束たる野望『アラブの富豪と出会う』の実現。そしてそれを後押ししたのも成瀬から教わった将棋。きっかけを作ったのは杉下が奈央子のボンベを操作したからで、これは成瀬との誓約=野望の実現のために杉下が身につけた狡賢さの発露。

奈央子に脅威を与え、西崎との接点を作った
野口の将棋のブレインを頼まれた事から野口との二人でのやり取りが増え、それが奈央子の不信を作った。杉下の将棋は成瀬の将棋。また奈央子が杉下に感じた脅威は『一人で生きてゆく力』。一人で生きてゆく事ができる野口に対し一人で生きられない自分が疎ましく思われるかもしれない可能性に対する恐怖を掻き立てる、『一人で生きてゆく力』をもつ杉下が羨ましくもあり、妬ましい。そのような心理が奈央子の野口に対する独占欲と依存心を掻き立て、DVを許容させた。そのDVが同じくDVの経験をもつ西崎との接点を作った。しかし奈央子が感じた杉下の『一人で生きてゆく力』は杉下の『成瀬を頼ってはいけない』という彼女最大のトラウマに還元されるもの。

N作戦2を成立させた
これは杉下の『究極の愛』という精神保護システムのせい。環境が整ったが故にシステムが逆作用し西崎の罪への協力を愛の名の下に合理化させてしまった。またそのシステムの立ち上がり段階において成瀬は機敏にも杉下の感情の変化の糸口を捕まえて先読みし、杉下の感情が西崎にあると考えたが故に彼もまた作戦への参加を杉下への愛で合理化してしまった。そしてそのキーとなった杉下の『究極の愛』という精神保護システムが形成されたのはさざなみ炎上で、これも成瀬が起源。

続く…

2 件のコメント:

マロン さんのコメント...

この辺の考察、すごく好きなんですよね!
自分の趣味に都合のいいところばかりに目が行くのですが、ここらの二人の関係性が好きで好きで、なかなか抜け出せない理由なんですよね!

motoさん さんのコメント...

マロンさん、
こちらまで出張っていただき、有難うございます。
ご覧の通り、基本は謎解きメインでもう8ヶ月も続けてます。
最初は杉下の『意志・意図』が関心の中心だったのが、ここのところは杉下に対する成瀬の絶大な影響力に驚愕している処です。
トラウマというか、歪みというか、コンプレックスというか…

神性であり、畏怖であり、恐怖であり、父性であり、母性であり、思慕であり、希望であり、悲しみであり…後はなんだろう?

とにかく彼女にとって、良くも悪くも成瀬という人物は『全て』なんだと思うんですよね。ドラマの中で、成瀬と出会って以降、成瀬という人物の息が掛かっていない杉下の行動、判断、志向、意志って存在しないんじゃないか、そう思ってます。