Nのために 論考
杉下は野口の死亡後、奈央子が自殺を図る前、奈央子に退出を要求され、西崎を誘い野口宅を出ようとした。その際救急へ通報しかけたが、外鍵が掛かっている事に気付き、その通報を中断した。
何故、この時杉下は救急への通報を中断したのか。
もし鍵が掛かってなかったとしたらどう展開するであろう。
奈央子は杉下が野口に言い寄っていると誤解し、杉下を野口から引き離すのが本来の目的であり、西崎に接近した理由であったことが野口殴打後の話で杉下にも理解出来たはず。
そして一方で西崎を野口から守った事から杉下にも、奈央子が仮に警察が入ってきたとしても二人に罪を被せる意思はないだろうという推測は可能。
西崎も自分も何もしていない事から、真実を証言すれば三人の証言が揃い、問題にならない。
これが杉下の判断。
問題は外鍵が掛かっており、密室内であったという事。
この時点で鍵をかけうるのは早めに到着していた安藤。つまり杉下はこの時点で安藤が鍵をかけた、少なくともその可能性がある事に気がついた。
例えで内部の人間の証言が一致しても、外鍵の影響を調べられる。そうすれば安藤が鍵をかけたことが明るみになる。
安藤は計画の存在は知らないし、この時点で西崎が事前に鉢合わせたことを杉下は知らない。
とすると、杉下には安藤が鍵をかけた可能性に気付けてもその理由は推し量れない。
そうであるなら、この時杉下が通報をためらったのは、安藤が事件への関与でその将来への影響を懸念したから、という事になる。
1 件のコメント:
この部分は今読み返してみても、やはりこの通りだろうと思うのです。
この作戦を実施する事で、自分と安藤との関係が終了する事になると、杉下も理解していたとはいえ、安藤のキャリアを邪魔する事そのものは、意図にはない訳です。
視聴者にも、この部分はやはり杉下が安藤への影響をおもんばかって通報を打ち切ったと考えると思うのです。
では、なぜこのシーンが挿入されたのか?という演出側の意図を考えたい。
これはやはり杉下が一貫して安藤を護る意図で行動していると、視聴者に刷り込みたい、そしてミスリートを誘いたいという意図であろうと思います。
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