『Nのために 論考』
杉下の『N』が西崎であり、しかも事件発生前から杉下が究極の愛を遂行していた、というのが私の結論です。その結論では、杉下の西崎への想いは描写されない、もしくは隠蔽される事になります。
しかし杉下の『N』=西崎 としてドラマを見返すと、その証左かもと思える表現は存在します。
今日はその二つ目
作戦実行前、西崎の部屋で杉下が『自分の幸せを考えなよ』の描写
杉下のNが必ずしも西崎でなくともセリフとしては成立するのだが、このシーンにおける杉下の視線がしきりに泳いでいるように見える。
この後別途検討するが、杉下は西崎への気持ちを整理させて成瀬と新しい関係を築こうとしているのであり、その終局に置いて自分の究極の愛の対象が幸せで無い、という状態がいたたまれずに発した言葉のようにも見える。
作戦を三人で練っている時の杉下の西崎に対する視線。
この時の杉下の視線については、西崎の崩れ落ちる橋に対する成瀬の回答の際の杉下の反応などはオフィシャルサイトでも議論があり、杉下の成瀬に対する気持ちをの表現として認識されていたが、同じ一連のシーンで、杉下のN=西崎として見直すと、西崎の発言にも成瀬の発言同様非常によく反応している。取りようではあるが、これも証左の一つと取りうる。
二回目の打ち合わせの後の、成瀬に対する、『困っている時に助けてもらうと嬉しいよ』
杉下が困っているという表現はおかしい。困っているのはあくまで西崎であり、杉下ではない。この時杉下は西崎の困っている、を自身の困っていると同義として発言している。
このように、非常に細かい部分で、その前提で観察しないと気付かないレヴェルで細かい描写が入っている。
杉下のN=西崎、と7話以降の杉下と西崎のシーンにを追うと、ここでの主張がご理解いただけると思うと。
1 件のコメント:
西崎の部屋で杉下が『自分の幸せを考えなよ』と言いつつ、瞳を泳がせるシーンの直前には、杉下が自分の部屋の状態をチェックしてるんですよね。
その一連で西崎との会話のシーンとなっている。
部屋をチェックした、という事は野口家での会食の後、彼女は誰かが自分の部屋を訪れる事を想定しての行動だと思われるんです。
では、それが誰か?と考えると成瀬だと想定される。
西崎は奈央子を救出した後、二人で逃亡するわけであるから、彼女の部屋を訪れる事もない。安藤?としても、ここまでの二人の関係を描写で、改めて部屋を事前に片付けておく、というような関係ではないと思います。そもそも、この作戦の内容が安藤の直属上司の妻への横恋慕であるわけで、作戦が実施された後に、安藤と杉下・西崎が従来の関係を維持できるはずがない。普通のセンスであるなら、作戦が発動された後に杉下が安藤と一緒に過ごす、などという状況は想定しようもないし、西崎・杉下にとっては以後安藤との関係が終わる事を覚悟しての作戦な訳です。別に安藤の地位を守る為に彼を作戦から除外しているわけではないのです。
そうすると、やはり彼女が訪れる事を想定しているのは成瀬しか残らず、2回目の杉下の成瀬への猛アピールを考えると、杉下が成瀬との関係を一歩進める覚悟であったと考えられるのです。
にも、関わらず西崎への『自分の幸せを考えなよ』の際の瞳の泳ぎからを考えると、やはり杉下には西崎へのいたたまれない思いがあった、と考えられるのです。
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