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出典:https://www.tbs.co.jp/ |
Nのために 論考: ドラマ:スカイローズガーデンの深読み (ronkouforn.blogspot.com)において、野口に対する杉下の『安藤の僻地行き阻止行動』に纏わる周辺の状況・シーンから杉下のNは安藤ではない、と説きました。
しかし放送当時から杉下のN=安藤の根深い誤解の根拠として、この時の杉下の行動が挙げられる事も事実です。今日はこの点について述べます。
スカイローズガーデンにおける一番の問題は警察に対する偽証
スカイローズガーデンで中の杉下を含む中の3人の一番の問題は、野口夫妻の心中をどう言い逃れるか、という点です。
「その時考えていたのは、大切な人の事だけだった。その人の未来が明るく幸せであるように。みんな一番大切な人の事だけを考えた」
この杉下のモノローグのいう、『その時』とは野口夫妻の心中以後、警察への証言を終えるまで、という時間的に区切られるものです。杉下の『安藤の僻地行き阻止行動』はこの時間の中には入りません。
また、『その時』の杉下の敵は警察ですが『安藤の僻地行き阻止行動』における杉下の敵は野口です。つまり二つのタイミングにおける杉下の敵が異なる事から、一方の行動の類推からもう一方の行動の結論を得る事は論理的には不可なのです。
杉下の『僻地行き阻止行動』は安藤に対する恋愛感情とは別の動機がある
「護るべき人」=「愛する人」=「大切な人」という、メロドラマにおける三段論法です。
しかし杉下の場合、『護る』行動の動機がその対象者に対する恋愛感情とは切り離されて存在しうる、という点に気付く必要があります。
『大人の身勝手さ、自分の手の届かない処で本人の努力に関係なく人の将来が閉ざされる事への抵抗(レジスタンス)と脱出(エクソダス)』
Nのために 論考: 安藤の僻地赴任阻止行動の杉下の源泉 (ronkouforn.blogspot.com)で指摘した事項です。
彼女は父親や母親の身勝手な行動に振り回され、自分の夢や希望が閉ざされそうな状況に対して必死に抗い、そこから脱出したのです。このような経験から杉下は『本人の努力の外の力による、人の将来を弄ぶ行為及び人』全般に対する激烈な反発心を持っていたと考えられます。
彼女は野口に対してこう言っています。
『安藤が…目標を持っているのは確かです。そこに向かって真っすぐな人の足を抄うようなことは、しないでください』
この杉下の発言は、『安藤の足を抄う事』ではなく、『夢を持って努力している人の足を抄う事』をしないでくれ、として対象が一般化されているのです。
安藤の僻地行き=左遷と理解した杉下には自身の島時代と類似する状況に対して、激烈な反発心が発生し、彼女はその阻止行動に走ったと考えるべきでしょう。
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