2015年6月6日土曜日

伝えられなかった思い、すれ違った願い


事件の真相が全て明かされた後に流れる杉下のモノローグ。

『あの日伝えられなかった思い、すれ違った願いに答えを出そうとは思わない。
けれど十年という歳月が答えを導き出そうとしていた
それぞれが心の底に閉じ込めて誰にも知られないまま終わるはずだった、その答えを』

実はこれに未だに明瞭な解を与える事が出来ていません。
オフィシャルサイトのコメントでも幾つかの説が出ているのですが、ストンと胸に収まらないんです。

答えは十年後に出た、という事ですから、このモノローグの後のラストシーンに答えがあるように思える。
これは杉下のモノローグですから、杉下にとっての答えです。彼女の最終的な選択は成瀬だった。だから、ここでいう答えとは成瀬とその後の人生を歩む、という事です。

問題は、それぞれが心に閉じ込めた思い、願いが誰の何だったのか、なんです。
私は、この問題を以下の通りに解釈しました。


伝えられなかった思い=作戦前に作戦が終わった時点で相手に伝えようと思っていた事
すれ違った願い=事件の解決の際、それを願って処理した自分の覚悟が相手とずれていた事

先ず伝えられなかった思いから。
杉下:成瀬への思い。杉下が作戦に込めた魂胆、成瀬との関係を再開させる。
これには証拠があって、これはオフィシャルサイトでの2月10日投稿のうめ様の手柄なのですが、事件の日に杉下がしていたハートのピアスを成瀬の元に戻った日にもしていたんです。ここから杉下は事件の日に成瀬と自室に戻り自らの気持ちを成瀬に伝えるつもりであった事が推測できます。

私は、ここに杉下の安藤に対する〝誰に邪魔されず…〟を加える事が出来ません。確かにオフィシャルサイトでも見られた論で、有力だとは感じましたが、これに十年後である必然性が見出せないのです。
他のキャラクターとの関係の中で、杉下と安藤だけが事件後も接触があって問題のない関係性です。野口に対して僻地行き阻止の行動を取っていますので、その気持ちの存在〝誰に邪魔されず…〟は認めますが、別に10年後である必然性はない。むしろ安藤との接触を拒絶した、まさにその時に伝える事が出来たのに、杉下はそれをしていない。そうであるなら、これはここで議論すべき〝伝えられなかった思い〟では無いんです。

成瀬:杉下へのプロポーズ。さざなみの真相の暴露含む。
安藤がプロポーズするつもりである、という情報は成瀬にも事件前に伝わっていました。
成瀬は杉下の気持ちは西崎に在る、と考えていましたが安藤がプロポーズする意図があるなら、成瀬も同じ土俵に立つ必要が生じていたわけで、成瀬はそのつもりでいたんです。ただしそうであるなら、成瀬は杉下に対してさざなみの真相を明かさなければなりません。杉下が自分から離れた理由がさざなみ放火が成瀬の手によるものだ、と勘違いしている事を成瀬が知っているからです。又、この時点では成瀬自身が疑っていた父親も他界しています。成瀬としては、それを杉下に明かす事は問題ないのです。いや、むしろ明かさなければ、と考えていたはずです。

次はすれ違った願いについてです
杉下:成瀬がさざなみの犯人として蒸し返される事を阻止する
これは杉下が偽証を受け入れた理由そのものです。これに対して、成瀬は先に見た通り、杉下にさざなみの真相を明かそうとしていました。

成瀬:西崎に対する思いを遂げて欲しい
これは成瀬が自ら十年間杉下への接触を絶った理由です。西崎が出所するまで自らは杉下の感情に介入しない決意でした。これに対して杉下は作戦終了後は成瀬に自分の思いを伝えるつもりででいたのです。
これが私の『伝えられなかった思い、すれ違った願い』の解釈と成ります。
参照
『成瀬が事件の時唯一認識出来なかった事』
『結局杉下は誰のために偽証したのか』
『成瀬は作戦終了後杉下との関係とどうしようとしていたのか』


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