2016年1月15日金曜日

ゴンドラで杉下が安藤に感じた事

ゴンドラでの杉下の心理に影響を与えたのは、成瀬に対するものだけではないと思います。安藤に対する心理も影響を受けました。

ゴンドラの前に杉下が安藤に感じていたもの、それはライバル心。そしてそれに伴う親近感。
恋愛感情は?というとそれは無かった、と観ています。何せ杉下は成瀬に歪みに歪んでいましたから。

そしてゴンドラ。

私はこの出来事で、杉下は安藤に対するライバル心は放棄したと見ました。つまり『安藤にはかなわない』

さっさと難関な大手商社の内定を取った安藤に対してままならない自分の就職活動。
明確に自分のビジョンを語れる安藤に対して面接官に『英文科でなんでウチに?』と言われる自分。
密かにゴンドラに乗る免許を取得し、体重制限はダイビングのウェイトで解決するという自分には思い付かない方法で解決してしまう安藤。
そして自らがたじろいだ広い世界にむしろ武者ぶるいする自分と安藤とのポテンシャルの差…

当初は島育ちで自らを試す為に島を出てきたという似た境遇に親近感を覚え、安藤の生活レベルでのスキルの無さ(のこぎりをろくに使えない)に若干の優越感さえ感じていたものが、いざ自分の野望・野心を実現する能力に関して安藤から見せつけられた圧倒的な差。

後に杉下は安藤に『日本じゃ勝ち目がない』と漏らしています。安藤に対する敗北宣言です。

杉下は安藤に対してある種の好意はあったと思います。それは成瀬という存在が杉下に無かったならば、いずれ恋愛感情になるものだったかも知れません。

しかしゴンドラで杉下は自らの野望を成瀬に対する宣言通りには実現する事が出来なかった。そして彼に対する資格を喪失したと感じ諦めた。
杉下にその現実を突きつけたのは他ならぬライバル視していた安藤。
そうすると、杉下の感情として安藤に対してどのような変化が発生するかと言えば、『不釣合い』感ではないでしょうか?

『どんどん変化していく安藤には、到底付いてゆけない』

ゴンドラの経験で成瀬に対する心理変化で成瀬以外の人物が杉下の心に芽生える可能性が生じつつも、その後に安藤に対して彼女が感じたものは、このような心理ではないでしょうか?ですから、ゴンドラ以後も杉下に安藤に対する恋愛感情は生じなかった、というのが現在の解釈です。

参照
ゴンドラで杉下は成瀬を諦めた

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