さざなみとスカイローズガーデンの二つを構造的に分析した結果を詳述します。
各ポジションでの各キャラクターの行動、動機、結果、時制がなにがしか逆転している事がお判り頂けると思います。
私は、オフィシャルサイトへのメッセージ投稿でも書きましたが、将棋における〝同一駒配置の手番組違い〝だと表現しました。静的なシンメトリー性と、動的なベクトルの逆転現象及び結果の違いを表現する方法として一番適切なように思えたからです。
さざなみ:成瀬父
行動は自殺目的の放火
行動動機は成瀬の進学資金を捻出する為
結果は夏恵に救助され生存
スカイローズガーデン:奈央子
行動は野口殺害
行動動機は野口との揉み合いで危機に陥った西崎を助けるため
結果は自殺、死亡
嫌疑を受けた人
さざなみ:成瀬
行動は〝自分はやってない(誰がやったのかも知らない)〝
行動動機は犯人である父親の保護
結果は自分及び父親双方とも逮捕されず
スカローズガーデン:西崎
行動は〝自分がやった〝
行動動機は犯人である奈央子の保護
結果は逮捕、服役
捜査機関に対して隠蔽行動を取った人
さざなみ:杉下
行動は無かった事をあった事をとする偽証〝成瀬と会っていた〝
行動動機は自身が犯行を疑った、嫌疑を受けた成瀬の保護
結果は成瀬との別れ
スカイローズガーデン:成瀬
行動はあった事を無かった事をとする偽証〝鍵はかかっていなかった〝
行動動機は杉下を嫌疑から除外する為
結果は杉下との別れ
事実を知る人
さざなみ:夏恵
行動は証拠隠滅、犯人を知っている事自体を隠す
行動動機は成瀬親子の保護
結果は声を失う
スカイローズガーデン:杉下
行動は成瀬への外鍵隠蔽依頼(あった事を無かったことにする)
行動動機は成瀬の保護。偶然を装う事でさざなみ放火事件まで蒸し返される事を恐れた。
結果は病による余命宣告
真実を知りたい人
さざなみ: 高野
行動は スカイローズガーデン関係者へのインタビュー。タイミングは事後
行動動機は夏恵が声を失う事になってしまったさざなみ放火事件の真相解明
結果は夏恵が事実を知る人であり、自分の行動が夏恵を苦しめていた事の理解
スカイローズガーデン:安藤
行動は外鍵を掛ける事。タイミングは事前
行動動機は危機状況で杉下が助けを求めるのは自分かどうかを知るため
結果はその他三人から事件の真相を隠されている。仲間ハズレ、疎外。
2 件のコメント:
安藤が『真実を知りたい』と言って行動をしたのは、現代です。
そこを捉えて、高野と同じく事後に行動した、と理解するのは間違いです。彼の事件に対する直接的な行動はあくまでも鍵を掛ける、という行為であり、その動機は杉下が自分と成瀬のどちらを頼るか?というギャンブルをやった。ですから、安藤の行動は時間軸上は、事前とした方が正しいのです。
では、安藤が現代編で各人を『真実が知りたい』と言って回った行動はなんだったのか?
これも後に議論が出てきますが、簡単に言えば『お詫び行脚』と表現するのが正しいのです。
安藤の行動が、10年経過した後の、西崎の出所を待ってのお詫び行脚であったという評価は変わっていないです。
では、安藤が『知りたい』といった真実とは何だったのか、とは思う。
安藤は事件が奈央子による心中であると理解しています。鍵をかけるという行動になった、杉下の選択(成瀬をたよる)も知っている。
捜査機関に対しる他の3人の証言内容も把握しているでしょう。裁判の際に西崎を支援(西崎が支援ととったかは別として)しているから。
別に新たに知らなければならない事はないように思える。なので当初は、『真実を知りたい』と回って、もし事件の内容が誰かから語られるなら、それは、安藤がその人間から”許された”訳です。その許しを得る為に接触するための口実だった。
でも、ひょっとしたらまだ、安藤が知りたいなにか、それは安藤の中にしかない何かがあったのかもしれない。今はまだそれは言葉にならないのですが、安藤というキャラクターの、ドラマ上の設定と関係するのかもしれない。”事実”ではなく”真実”という単語が使われているのと関係しそうな気がしています。
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