2016年1月27日水曜日

立体パズル論 その三

…続き

そして、さらにこのドラマの魅力は、見えているニューロンを繋いでいるだけでは、必ずどこかで全うなつながりを維持できない部分、つまり破綻が出 てくるんです。

破綻例としては、事件後野ばら荘を尋ねた安藤を拒絶した杉下の描写です。スカ イローズガーデンで杉下のN=安藤、とした時には説明出来ない描写で す。
破綻の例をもう一つ挙げます。西崎が安藤を呼び出し、吊橋の質問をするシーン です。このとき西崎は安藤に質問したにも関わらず、杉下の病気を伝え る事は しませんでした。その説明として、「杉下が安藤に伝える事を拒んだから」との 説明がありますが、それならそもそも西崎が安藤を呼び出す必要 性さえないの です。さらに言えば、西崎はその後成瀬に杉下の病気を伝えますが、杉下は成瀬 なら病気の事を西崎が話すのはオーケーだったのか?と言 えば、決してそんな わけはない。

こういった破綻を、全体の中に組み込むには、表面に見えているものに隠され た、若しくは隠蔽された意図の裏にある動機と、その動機に繋がる隠され た原因の腕を改めて繋いでいく、という作業が発生するんですね。その作業がまさに謎解きであり、この裏側が表面から見えるネットワークの何倍もの 密度と広がりがある。

一つの破綻点を回避しても、ネットワークですからその破綻を回避するために用いた解釈から派生して、それまでは何も問題のなかった箇所で、別の破 綻が新たに発生したりする。それをまた修正するとまた別の場所が…

これの繰り返しです。ですからある破綻を回避しようとした作業の結果、これまで見えていたものが全く180度見え方が変わった!なんてモノが幾つ も出て くるんですよ。

このドラマの本当に面白いのは、こういった発見が未だに続くという巨大なネットワーク空間が限られた世界の中で成立しているからなんだと思います。

fin

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