2015年12月21日月曜日

スカイローズガーデンで杉下が成瀬を頼った理由

スカイローズガーデンで杉下が成瀬を頼った理由、事情について違和感というか疑念を持たれている方が以外と多いようです。

恐らく二つの要因から来ているものと思われます

一つ目
お城放火未遂では『俺に何が出来る?』という成瀬の問いかけに『何もいらん』と拒絶したのに、スカイローズガーデンでは成瀬を引き込んだ、という二つの事件における対応の違い

二つ目
成瀬が杉下の保護意図の相手(この論考ではスカイローズガーデンでの杉下のN=成瀬です)であれば、なぜ成瀬に助けを求めたのか?むしろ成瀬を部屋へ引き込まず成瀬以外に連絡をしたほうがよかったのではないか?

特に二番目の論点は安藤派の論拠の一部になっていますよね。だからスカイローズガーデンでの杉下のNは成瀬ではない、という。

そこで、この問題を改めて考えました。で、結論から言えばスカイローズガーデンでの四人の取引が成立した理由が援用で理解出来ます。

杉下が外部と連絡をとる候補としては成瀬以外に三者が挙げられます。

一つ目は警察。二つ目はコンシェルジュ。三つ目が安藤です。

最初の警察についてですが、これはほぼ四人による取引に関する思惑の援用で理解できます。
警察に連絡をとった場合、外鍵が掛かっている事を直接的に知る事になりますから、警察は密室内での殺人事件として捜査する。夫妻の心中と主張しても取り合わない。当然だれが鍵を掛けたかが問われ、杉下にも安藤が鍵を掛けた事は濃厚である事が判っている(救急を呼ぶ際に途中でやめた)。鍵が掛かっている事を警察が直接しる限りにおいて安藤は言い逃れは出来ない。安藤が計画の存在を証言しうる存在であり、杉下と成瀬の関係が辿られ結局は成瀬もさざなみ炎上の容疑者として蒸し返される。

二つめのコンシェルジュの場合は、そのまま警察へ連絡した場合と全く同じ。

ここまでの状況は警察が直接的に鍵が掛かっていた状況を知ると結局は成瀬も護れないという事。つまり成瀬を保護したくとも、鍵が掛かっていた事実を警察が直接知ると、いかなる言い逃れも出来なくなる、という事なんです。

では安藤はどうか?
安藤は杉下が陥っている状況を作り出した張本人である事が濃厚な人物。その状況を抜け出す為に頼る人物としては杉下には選択出来ない存在なんです。

つまり、成瀬以外には選択肢が存在しないんです。偽証の受入れはまた別としても、成瀬が鍵を外す事が杉下には成瀬を守るための唯一の可能性であり、あのタイミングで成瀬を頼らないと、家局は安藤が部屋に現れる事になりますから、時間との勝負だったんです。

参照
『杉下のN=成瀬』説普及短期集中講座 その4~5

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