2015年12月10日木曜日

【二次作品】西崎の判断 その三

…続き

「もう関わる気はない、って言ってなかった?」

 俺は安藤を串若丸に呼び出した。電話した際、ちょっと驚いていた。そりゃそうだろう。俺だって杉下の事が無ければ、あえて安藤に連絡をとる事はない。恐らくこれからもそうだろう。もう、二人が住む世界は違うのだから。
 
「関わらんに越したことはない」
「俺は気にしないけど」

 そういう事を俺に向かって言えてしまうコイツにはやはり腹が立つ。お前は自分がした行為をどう思っているんだ?お前が鍵を掛けなければ、奈央子と野口が死ぬことも、俺が服役することも、杉下に一生の秘密を抱え込ませる事も起きなかったんだ。
 しかし、裁判に関しては彼が助力してくれたのは事実だ。そこは俺は彼に頭を下げる必要がある。それに杉下の事もある。小事より大事だ。

「安藤くんのおかげで、マイナスだった自分がゼロになった。これからはプラスで行くさ」

 自分で口にしたセリフに、多少のテレを感じた。俺は役者には向いていない事は判っていたが、自分で自分のセリフに突込みを入れたくなった。もう前置きはいいだろう。
 安藤に注文したビールが来た。

続く…

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