2話で安藤は高野に対して『自分のNは杉下希美』であったと答えています。しかしスカイローズガーデンのあらましを見る限り、彼のNは自分ではないのか?と見えます。警察に対する証言で自身が鍵を掛けた事に口を噤んているからです。
安藤の警察への証言
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出典:https://www.tbs.co.jp/ |
6話での安藤の警察への証言全文を示します。
「6時に伺いう約束でしたが、早めに到着したので野口さんに電話しました。」
「少し仕事の話がしたいと言われて、最上階のラウンジで待っていました。」
「6時になっても野口さんは現れませんでした。」
「自宅のインターフォンを押すと答えたのは杉下でした。」
「中に入らないでくれと強く言われましたが、様子がおかしかったので、中に入りました。」
「野口さんと奈央子さんが倒れていて、その場には西崎さんと杉下の同級生が居ました。」
「その後すぐに警察や救急の人が入ってきたので、何があったのか、僕は誰からも何も聴いていません。」
安藤が警察に隠したこと
安藤は警察に対して、自身が見聞きした事の内、いくつかの事を隠しています。
- エレベーターで西崎と鉢合わせしたと
- 自身がドアチェーンを掛けた事
- 室内で西崎から「逃げられなかった」と事件の一端を告げられた事
- 西崎・杉下・成瀬が事前に会っていた事
安藤には事件の真相はどう見えていたのか
確かに安藤は事件の内容についてほぼ何も聴かされてはいませんが、安藤にもいくつか解っている事があります。
ドアチェーンを開けたのは成瀬
成瀬は殺害に関与していない
西崎・杉下は奈央子を殺害しない
西崎は野口を殺せない
杉下は野口を殺していない
野口夫妻が共に亡くなる順として、可能性は以下の通りとなります。
- 野口が奈央子殺傷⇒杉下が野口殴打
- 奈央子が野口殴打⇒奈央子自殺
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ここで判断材料となるのは、杉下のカーディガンに付着していた多量の血痕です。安藤が入下した際に成瀬が地に染まったブランケットを持ってはいましたが、成瀬の着衣には血痕は見られません。そうすると状況的にそのブランケットは杉下から預かったモノと見る事が出来ます。つまり杉下はブランケットで介抱しようとしたことが解ります。
野口は後頭部を殴打されています。もし杉下が野口を殴打するなら、野口が奈央子を殺傷した直後でなければ彼の背後を取る事は困難だと思われます。そうすると彼女は野口殴打の後に介抱を行った事になるのですが、人が亡くなる程の殴打の後、その実行者が介抱を行えるか?と考えるとこれも困難と思われます。
そうすると杉下も野口を殴打していない事にます。安藤にはこの事件が野口夫妻の心中である事が解っていたのです。
安藤が口を噤んているのは杉下が彼のNであるから
安藤は杉下にプロポーズをするつもりでいた
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これは6話現代編で杉下を呼び出した安藤が、杉下にスカイローズガーデン当日にプロポーズするつもりであった事を明かしています。その意味で安藤にとって杉下は自身のNど言いうるものでした。
杉下が犯人だと考えていたら安藤は全てを証言していた
安藤は6話で西崎による杉下の究極の愛/罪の共有に関する説明を『自己満足』と断じ、以下のように答えます。
この安藤の発言から、安藤が杉下を野口夫妻殺害の犯人と判断していたら、彼は警察に全てを証言していたでしょう。彼は杉下が犯人でない、と判断しているからこそ口を噤む選択肢が発生するのです。
警察は計画故の心中事件とは考えない
この事件の本質は野口夫妻の心中です。しかし安藤を含む4人が野口宅に集まった状況の発生は安藤・杉下・成瀬の3人による計画です。
仮に全てを正直に警察に証言したとして、それが奈央子救出のための作戦故の野口夫妻の心中と主張したとしても警察は心中ではなく、作戦参加者による殺害を疑うでしょう。そうすると事件時宅内にいた杉下が犯人とされる可能性が発生します。安藤には杉下が殺害に関与していない事が明白であっても、彼が宅内にいない状況下での事であり、安藤には杉下を護れないのです。
この点において、安藤のN=杉下において、彼が事件について口を噤む事の理由が生じるのです。
ドアチェーンの証言は計画の開示に繋がる
彼が警察に対して口を噤んだ事項は何れも計画の存在・その可能性に繋がる事項です。自身がドアチェーンを掛けた事も、それが明るみになった場合、その動機を語る必要が出てきます。その動機には成瀬の存在が関わっています。そうすると何れにせよ3人の計画の存在の開示に繋がる為、安藤は自身がドアチェーンを掛けた事を隠蔽したのです。
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