私はスカイローズガーデンの事件を、さざなみとの対比で『必然とエゴと打算』と形容しました。
打算とは、偽証を通すために行われた四人による暗黙的な安藤の外鍵の隠蔽工作です。
エゴとは、事件の凄惨化を招いた安藤の外鍵を掛ける行為及び西崎、杉下、成瀬の事件処理における究極の選択です。
では、必然とは?
スカイローズガーデンの事件は、起こるべくしておきた事件だと思っています。それぞれの要因は相互に関連しつつも、もし、これが無ければ相互に独立し、事件には至らなかったはずです。そういった、すべての要因を結びつけ、必然へと至らしめたものが有りました。それは何でしょう?
それは『究極の愛』という名の、杉下の精神保護機構です。
これが全ての要因を結びつけた結節点となってしまった。
杉下の『究極の愛』とは杉下が成瀬に対して抱えたトラウマから杉下自身を守る為に作られた保護機構です。
しかしその保護機構はゴンドラで成瀬に対するトラウマが解消された後も生き残り、N作戦2を作戦として成立させてしまった。つまり西崎と成瀬を、杉下を媒介として引き寄せてしまったんです。
実は、このドラマで私が一番のミステリー、解かれるべき謎は『事件を呼び込んでしまったものは何だったのか』では?と思っています。
杉下のNも大事なミステリーですが、それがわかっただけでは、スカイローズガーデンがなぜ必然となったのかは分かりません。
ミステリーでは、結局これが事件の主たる要因なんだ!というのを提示しないといけない。
そう考えた時、このドラマでは、全ての伏線を結節させたものとしての、杉下の『究極の愛』という心理機構こそが最大のミステリーだったと思うのです。
もっとも、湊かなえの作品は種明かしがないので、〝提示しないといけない〟という表現も可笑しいのですが。
ここまで至り、私の謎解きもほぼ終了したようです。
参照
対称性・対称性 さざなみ放火事件とスカイローズガーデン殺人事件 その一
エゴと『あれか、これか』
杉下の『究極の愛』の本当の意味
N作戦2における杉下の魂胆
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