お城放火未遂の際の、成瀬の『何が出来る?』に対する杉下の『何もいらん!』
この杉下のセリフ、みなさんはどのように取られたでしょう?
一つの取り方として、杉下の独立心の発露という見方がありますが、私はそうとっていません。
これは彼女の独立心の発露でなく、自分のお城焼くという衝動に成瀬が躊躇なく代理放火をしようとした行為を見て、自分の衝動を成瀬にぶつけたら、成瀬が何をするか知れない、巻き込んではならない、頼ってはいけない、甘えてはならない、という抑制が働いた為です。
教室で成瀬にシャーペンで助けを求めたにも関わらず、それを口に出来なかったのも、自身のどす黒い衝動に成瀬を巻き込み兼ねない事に躊躇したから。
彼女の『だれにも頼らん!』は、母親に対する反発から形成されたものではありつつ、成瀬のお城放火未遂に対する反応から、自らが頼る事に対する、相手の反応(巻き込み)への怖れから来ている、という理解です。
このときの杉下の経験はかなり複雑ですよね。
この経験で、杉下は成瀬が自分の危機において自分を救い出してくれる救世主である事を痛感したにも関わらず、成瀬がいとも簡単に崩れそうな吊橋を渡ってしまう、それゆえ成瀬を頼る事が憚られるという二律背反、ジレンマを抱え込んでしまった。このジレンマを解消するには杉下は『だれにも頼らん!』を張らざるを得なくなった。自分が救世主だと思っている相手にさえ頼る事が出来ない以上、だれも頼れないのは理屈です。
このジレンマが後の『成瀬くん、ごめん』であり『甘えられん』に繋がっているととっています。
このあたりも、成瀬に対するトラウマを親に対するトラウマの如くカモフラージュするすり替え演出がされているのかな?と感じる部分です。
参照
杉下の『成瀬くん、ごめん』と『甘えられん』
成瀬は杉下の救世主
0 件のコメント:
コメントを投稿